閉じる
氏 名所 属
酒井 仁志 (社)福井県観光連盟 観光ネットワーク推進事業部部長・観光プロデューサー

■ご意見の内容

○これまでの道路政策に関して、特にどのような改善点があるとお考えですか。 
観光連盟の立場で観光と道路の結び付きについてお話しする。
道路整備は観光地・観光客について大きな流れ
  ・「他府県(中京圏や関西圏)からの観光客の流れ」
  ・「観光客に分かりやすいルート」
  ・「各観光地へのアクセス距離・時間の短縮」
  ・「観光や地域の交流の活性化」
を考えて行う必要がある。

例えば「福井県の東西 (福井市内〜越前海岸)を結ぶ様な道路」や「中部縦貫自動車道の様な他府県からの観光客の流れに随分影響を与える様な道路」の整備について必要性を感じる。福井県の嶺南地方に観光へ行くにはR27と若狭梅街道があるが、近畿自動車道敦賀線が開通すれば更に便利になり、交流人口の拡大が期待できると思う。

嶺南と嶺北の交流が結構少ない様な気がする。それは道路の問題だけでなく、時間的な距離感の問題でもあると思う。また、近畿自動車道敦賀線が繋がれば、関西圏からの観光ルートも出来る。中京圏や関西圏からの道路が出来る事によって、観光ルートに広がりが出てくるので、観光や地域間交流の活性化に繋がると思う。

特に海外からの観光客がバスで4泊5日で来る場合、かなり広域に回るため、時間が読めないという理由から違うルートに回ってしまう事もある。空港発着の場合、4泊5日程度のバスツアーが主流のため、様々なコース提案のバリエーションが広がるかどうかという点で道路整備による時間短縮は好ましい。

福井県の場合、マイカー利用率が観光客においてもかなり高いので、観光ルートの広がり・コース提案の多様性を考えた道路整備が必要だと思う。

・ 車で来県した観光客の視点に立った『大型観光地へのルートが分かりやすい案内標識の整備』や『地図利用者に優しい交差点標識の整備』について改善が必要である。
・ 近隣観光地を繋ぐ道路に名称を付けるなど、観光客にとって観光地周辺を分かりやすくしてやる事が必要である。また、観光地を繋ぐ道路は単なる移動手段ではなく通行する事自体が楽しめる様に花を植えるなど工夫する事を考える必要がある。
 

標識が分かりづらい時がある。福井市方面から越前海岸へ行く時も、何ヵ所か曲がり角があり、初めて訪れる観光客は、南北どちらに行けばよいのか分かりにくいという事である。地元の人は標識を見なくても分かると思うが、地理に不案内な観光客が見て分かりやすい標識である事が望ましいと思う。地図を見ながら観光地へ行く場合、交差点を目印に行くが、地図には交差点の名称が出ていても、実際の交差点には名称の標識が無い時がある。しかも、十字路の場合に東西方向は名称が出ているが、南北には名称が出ていないなど色んなケースがある。結局、地図を頼りにする人は何処で曲がるかを何らかの目印で確認しているわけで、せめて交差点には名称の標識があると良いと思う。

福井県の観光のネックを考えると、来訪者の多い大型観光地間のアクセスの問題がある。中でも、大型観光地としては東尋坊と永平寺・芦原温泉があるが、東尋坊から永平寺へのルートを考えた時に、一本道ではないので道案内が非常にしづらい。東尋坊と永平寺はセットで行かれる観光客が多く、永平寺から山中温泉はR364で割と分かりやすく行けるが、永平寺から芦原温泉へのルートは説明しづらい。もちろん標識はあるが、一個見落とすと永平寺〜芦原温泉間は分かりづらい。早急に改善してほしいと思う。
それから一乗谷朝倉氏遺跡と永平寺・河和田の漆器など、縦(南北)のルートに名称を付けた様な道路になっていくと良いと思う。意外に近いが、あまり知られていないと思う。ある程度観光客が多く訪れる永平寺などを起点とし、近くにある朝倉氏遺跡から漆器がある丹南地域へのルートが分かりやすくなれば良いと思う。勝山の様に「恐竜街道」と名前を付け、モニュメントを整備するなど分かりやすくしてもらうとありがたい。理想を言えば、その街道の両側に花があって、花に沿って行くと観光地があるなどとなれば分かりやすい。そういう意味で、道路は単なる移動手段ではなく、通行そのものを楽しめるような工夫が必要ではないかと思う。花があれば通行する事自体を楽しむ事が出来る。そういう事も考える必要が有ると思う。

・ ロケーションが良い道路には立ち止まるスポットの整備が必要だと思う。道の駅の様な車を止めて軽くお茶を飲めるスポットがあると良いと思う。ロケーションを活かした立ち止まれるスポットを整備する事で観光にも好影響があると思う。
海岸線を通るR305のラインはもう少し整備しても良いと思う。拡幅もしづらいエリアでは有ると思うが・・・。道の駅「河野」の様に立ち止まるスポットが有ると良い。河野海岸有料道路に入ってしまうと、道の駅「河野」は通らない。ずっと北の方へ上がって行くと三国まで道の駅は無い。せめて越前海岸に道の駅の様なスポットが有ると良い。軽くお茶を飲める所があると良いという事である。カニ屋さんの様な所はたくさんあるが、喫茶MAREの様な喫茶店はほとんどない。ちょっと車を止めてお茶したいと思える様な所が欲しい。ロケーションは海が見えて良い所なのだが、車を止めて海を見ながら休憩する所がない。
水島(敦賀)の辺りで、夏だけの問題ではあるが、ほぼ車でしか行けないが、この辺の駐車場はグチャグチャ状態で車を停めるスペースがない。私も水島はきれいな所だと案内するが、遅く着くともう車を止める所が無い。ただ、オールシーズン混雑するわけではないので、なかなかそこまで投資する事は難しいとは思うが・・・。


○道路に関して無駄と感じることはありますか。具体的にお教えください。
・ 歩行者や自転車に優しい『自転車の走れる歩道』、『路肩の広い道路』、『自転車専用道路』の整備が必要だと思う。また、観光地周辺においては二次アクセスの充実の観点から、観光客が歩いたり自転車に乗って観光地内を回る事が出来る歩道が必要だと思う。

 歩道により、すごく整備されている道と、整備されてない道がある。歩道が急に無くなってしまう所もある。私も自転車に良く乗るが、路肩のない2車線道路での場合は歩道上を走らないと危なく感じる。自転車専用道路を作る事が望ましいが、歩道がなく自転車が通る余裕の無い・路肩が狭い道路は、自転車が通っても良いのかと思う事がある。
特に冬などは(昨年は雪はなかったが)、歩道に雪が上げられると歩道を歩く事は出来ないし、自転車が車道を走ろうとしても路肩に雪があるので、非常に走りづらい。歩行者や自転車に優しくない道路がまだまだあると思う。例えば観光の面でも、三国の東尋坊の方から三国市街の港の方へ下りてくる道路には歩道が無い。例えば海岸線沿いに歩道だけ繋げてやるなどすると、東尋坊に来られている観光客が歩いて三国市街に下りて行けるようになり、観光客の流れも変わってくると思う。パーク&ライド、パーク&ウォークなど、マイカーで来られた観光客が歩いたり・自転車に乗ったりして観光地内を上手く回り、滞在型の観光地につくり上げていくことが出来ると思う。


○その他、道路政策全般に関して、ご意見、ご要望があればお聞かせください。
・ 観光連盟として中日本高速やJAFとETCや情報発信についての施策を考えており、施策の有効性を高める点からも観光を考えた道路整備・施策がなされれば高まる。

平成18年度、観光客数は伸びており、県内入込み数は985万人、前年比105.9%の伸びとなっている。知事もマニフェストで1000万人を目指すとしており、このペースで行けばクリア出来ると思う。しかし、本当の意味で観光で潤っているかと言えばまだまだで、実態としては日帰り客が多く、地域によってもばらつきがあるのも事実だ。

 道路の話で言うと、東海北陸自動車道の開通で中京圏からの観光客の流れが能登や富山に変化してしまうのではないかと危惧している。今後、中日本高速道路などと連携して、北陸の観光ルートで3日間有効なETCのフリーパス券を作ってもらう様な動きを考えている。東海北陸自動車道で石川県や富山県まで行き、更に福井でも宿泊していただけるような、北陸を2泊3日楽しんでいただけるような施策を仕掛けていきたいと思っている。JAFさんも情報発信など非常に協力的なので、マイカー利用客をターゲットにした連携を強化していきたいと考えている。福井県は道路を利用する観光客が多いので色々な機関と連携して施策を仕掛ける事が出来ればと思っている。