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氏 名所 属
関川 三男 帯広畜産大学地域共同研究センター長 教授

■ご意見の内容

【■全般】
○北海道の広大な面積と厳しい冬期間などの特殊性に鑑みて人的・物的移送の手段は、住民の経済や情緒に多大な影響を与える可能性がある。このため道路整備に当たっては中長期的な観点からの施策が肝要であり、これを納税者へ十分に説明し理解を得ることや地域住民が主体的に地域の道路等の社会資本整備や維持管理に積極的に参加する方策が望まれる。これらの考え方やさらに個別の提言等は、平成19年1月刊行の提言書「これからの北海道における道路施策の方向性について」に非常に良く纏められている。

【■優先すべきこと】
○北海道全体あるいは支庁単位でも統一的な景観を醸成するための施策が必要と思われる。このためには景観を形成するための主題と成るテーマあるいは目標等の設定が重要である。例えば街路樹の選定一つによって、十数年後の町並みの景観が一変し、観光と健康をキーワードとする住民の情緒や地域の経済性にまで影響を与え得る。今、地域に暮らす人が近い将来に責任をもって選択することが重要と思われる。卑近な例で恐縮するが、個人住宅の外壁や屋根の色調で町並みの印象が一変する。固定資産税の優遇措置等で色調の統一も加速するものと思われる。
○物流の第一の目的は、人類の福祉に貢献することと思うが、食と健康が第一。これを確保するための手段が経済である。人の健康を維持する食の安全確保に寄与するための生産と搬送の効率化、および両者のバランスが重要である。北海道における環境に配慮した食料の生産力増大と食料備蓄は食の安全保障に通じる国の永遠のテーマと思われる。

【■効率化のために取り組むべきこと】
○中長期の展望では、道路単独の議論ではなくJR等の公共的交通機関との連携が必須であり、工程表の提示等で利便性や整備状況の低い地域住民への理解を得る必要がある。余り日常的ではない災害等の緊急時の議論に捉われ過ぎて全体の整備管理の議論が歪曲されることは避けるべきである。しかし、自衛隊との連携や地域住民独自の活動等による緊急時の対応策と実行性確保に関する方策は提示する必要があろう。公共財を地域住民自身の財としても維持管理する方策、自助努力が報われる施策が望まれる。
○温暖化防止に貢献する道路に関する研究は急務である。例えばエネルギー効率の良い道路、位置エネルギーの有効な活用方法、CO2排出量と街路樹の吸収量、路面等の吸収方策など必要と思われる。