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氏 名所 属
鈴木 裕範 国立大学法人 和歌山大学 経済学部 准教授

■ご意見の内容

○道路特定財源については、都市と地方を区別して語られている感があるが、全く不毛なことであり、都市と地方がそれぞれの役割を果たしながら、ともに発展するのが望ましく、そのような観点から語られるべきである。和歌山県のように県土が広く南北に長く少子高齢化が進んでいる状況では道路整備の重要性は極めて高い。ただし、県内一律に整備するのではなく、遠隔地ほど手厚く整備するなど、和歌山県の地域性を考慮して整備を進めていただきたい。

○和歌山県内には魅力のある道路が少ない。和歌山市内においても歩いてみたい道路がなく地域の顔が見えてこない。JR和歌山駅から和歌山城までの「けやき通り」や「三年坂通り」はかつての城下町を思い起こさせる数少ない”歩いてみたい”道路であるが圧倒的に少ないのが現状である。和歌山市や田辺市といった都市部と地方部ではまちの個性が異なるので、それらを考えた整備が必要であり、そうすることにより、道路はもっと住民に身近となり親しみも生まれてくる。「道空間」としての考え方が重要である。道路整備はハードであるが地域にとっては文化であるので、整備については官民協働で考えるべきであり、そのようなテーブルづくりが必要である。都市空間とは街並みだけでなく、道路も景観を構成するひとつであることを忘れてはいけない。

○和歌山市内は右折レーンが少ないうえに距離も短いため走行しづらく感じることが多い。また、ドライバ−のマナーの問題であるがウィンカーを点滅させるのも遅い。道路建設時にスペースが確保できなかったのかもしれないが、走行しやすいよう右折レーンを整備していただきたい。

○国道42号沿いの南部町は全国的な梅の産地であり、「梅街道」と呼ばれているところがあるが、高速道路が南伸されれば間違いなく「梅街道」は寂れてしまうこととなる。高速道路が開通し便利になることは良いことではあるが、事前に完成時期がわかっていれば「梅街道」の方々も設備投資をしないのではないか。「いつ頃完成します。」といったアナウンスが必要である。道路整備においては、住民の想いや願いを真に応えているのかを感じるべきであり、それらに耳を傾けるような道路行政が必要である。

○最後に、和歌山県の道路整備は十分ではない。また、和歌山県は少子高齢化が進んでおり一次産業が中心である地域であることから、道路が果たす役割は大きく、都市部との交流は必須である。さらに、他府県に比べ少子高齢化を先に経験している地域であることから、道路行政においても全国のモデルとなりうることが可能である。「和歌山モデル」と言われるような道路行政を推進していただきたい。