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氏 名所 属
杉尾 秀哉 (株)TBSテレビ 報道局局次長(特別解説委員)

■ご意見の内容

○道路政策の改善策としては、
@日本の高速道路は、あまりにも料金が高い。アメリカの場合は、基本はフリーウェイ(無料)であり、ヨーロッパや中国を見ても、日本の数分の1程度である。料金はもっと安くすべき。

A都心では、渋滞解消の対策がとられていない。国道246号線を見ても、常に大渋滞であり、更に年中工事を行っている、これは道路工事だけではないが、工事は渋滞の大きな原因となっている。
立体交差化などを進めていることは理解しているが、進捗スピードが遅く、もっと重点化を図り短期間に完成させるべき。

B道路政策において、本当に選択と集中がなされているのか疑問。何を選択して、どこに集中するのか、優先順位をつけているのかわからないし、政治家の利権誘導に用いられているような印象を受け、一般国民には非常に見えにくい。仮に選択と集中が行われているとするならば、道路行政が、どういった選択をして、どういった優先順位の下で進められているのかをもっと国民にアピールすべき。


○無駄と感じることとしては、
 第二東名の必要性は理解できない。事業展開に疑問がある。第二東名の進捗状況を見ると、非常に工事が進んでいる区間とそうでない区間の差が大きく、効果のあるところより、やりやすいところから進められているような感じがする。たとえ、やりやすいところを部分供用しても渋滞解消には、ほとんどつながらないのではないか。いつ全体が完成するのか全く先が見えない。こんな無駄なやり方で本当にいいのか疑問。


○高速道路については、
@ただし、高速道路が全て不必要という訳ではない。確かに北海道は、一般道の充実で十分と思われるが、山陰地方で見ると、縦は高速道路があるけれども、横をつなぐ高速道路はない。このため例えば、鳥取と島根間は非常に時間がかかり、島根であれば広島に向かうほうが、鳥取へ向かう方より時間がかからない状況である。このような地域では、早く高速道路を造るべきではないか。
日本では、縦の交通を担う高速道路ばかりを先に造ってきたことが日本海側から太平洋側に人が流れる要因の一つになっているのではないか。

Aその一方で高速道路を造ったことによって、ますます集中化が進むことにもなっている。例えばハイウェイバスで全国から東京に安い値段で行けるようになったが、週末などに若者などを東京に集める原因にもなっており、地方の疲弊につながっているのではないか。地方が潤うはずの高速道路が逆に全て東京に吸い上げられる状況となり、造れば造るほど一極集中化が進むという矛盾が生じているのではないか。国土をどの様にしていくのか、道路以外の政策との連携が必要。

Bまた、首都機能を分散していくという意味では、圏央道のような道路は早く整備し、圏央道に沿った拠点都市を造るべき。これは、国のグランドデザインとしてあるべき姿であり、そのためには、街作りと道路整備をセットとして考える必要がある。日本は、このようなグランドデザインがないのではないか。


○今後、特に留意すべき点としては、
@コスト面が高い点、これだけ日本の発達した建設技術を考えれば、もっと安いコストで道路が造れるはず。また、日本は過度に立派な道路を造ろうとしているため、それによってもコスト高になっているのではないか。日本は道路に限らず、いろんなところで完璧なものを造ろうとする傾向があり、その分コストに上乗せされ、それが利用者の負担となっている。地震が来たらすぐ壊れるような橋脚ではだめだが、ある程度妥協してでも、コストを下げることを考えるべき。

Aまた、運用面(ソフト面)から言えば、環境に考慮すること。私はHOVの考え方など良いのではと思う。あるいは、ナンバー規制。既に外国では導入されていると聞くが、日本でも都心の渋滞をある程度おさえるために、ナンバーを決めて、日によって環状7号線の中は、奇数ナンバーしか走れないとか、偶数ナンバーの人は、車に乗らずに公共交通機関を使う日をつくるとか、いろんな手だてを講じることが考えられる。環境を目的としたソフト面での取り組みも進めるべき。


○最後に本アンケートについて、いろんな方々に意見を聞いたりしているようだが、このような意見が今後、どういった形で政策に反映させていくのか、だた単に意見を聞きましたとか、ガス抜き的なものであるのであれば、非常に残念。今後の政策に何らかの形で反映してほしい。