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氏 名所 属
田村 亨 室蘭工業大学 建設システム工学科 教授

■ご意見の内容

・高規格道路を9,342kmから14,000kmに延伸していく中で、北海道の予定計画延長の100%は不要であるが、80%は必要と考える。その理由は、広域分散型都市構造を持つ北海道において、地域拠点である稚内市・根室市・浦河町・岩内町が医療、教育面で、孤立させないためである。100%を80%と考えた理由は、従来の自動車専用道路の構造・規格は不要であり、より低規格な自専道でもよいと考えたためである。

・北海道が東アジアの中で自立して行くためには、北海道の地域戦略である北海道総合開発計画に沿った投資の選択と集中が必要である。第7期の計画の目玉としては、
1)環境・エネルギーに関わるわが国の先導地域。
2)マルチハザードを取り込んだ防災に関わるわが国の先導地域。
を目指すべきであり、この2点から、北海道の道路整備(使える道路への改良)を打ち出すべきであろう。

・また、国際空港、国際港湾へのアクセスのための使えるハイウェイも必要である。

・地方分権は、国から自治体への官官分権をイメージするが、地域のことは自分達で決めるという地域社会への分権であろう。確かに自分達ができることに参加すればコストを下げられる可能性は高い。

・国の役割を外交と国防など小さいものにするという議論がなされているが、総合的な交通システムの計画立案とその実践は、空間的に自治体を超え、時間的にも価値観の変容をもたらすものであり、俯瞰的に見る必要がある政策として国が主体的に行うものであろう。

・英国ではサッチャー政権以降、公共分野にPFI,エージェンシー化、民営化、民間委託等により市場メカニズムの活用を進めることを主要な柱のひとつとするNew Public Management (NPM) という行政手法が採られてきた。ブレア政権のもとでも、財政支出削減などの経済性・効率性の向上に加え、住民の効用・満足度といった有効性を重視する行政を目指す Best Value という概念を採り入れNPMの制度改革が行われた。交通サービスに関しても、事業者や住民との協力(PPP= Public Private Partnership)によって、コスト抑制や効率性向上だけでなく、利用者に使いやすい Best Value な公共交通サービスが提案され、地域公共交通の活性化を図ろうとしている。わが国でも、この考えが導入されているが、もっと先導的に必要があろう。