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氏 名所 属
高嶋 裕一 岩手県立大学 総合政策部 准教授

■ご意見の内容

【改善点】
◇事業の無駄については3つの観点がある
・原則論=B/C(現在の事業評価制度が正確に機能すれば、原則無駄は発生しない。政策評価制度の存在下では以前にあった無駄な投資を原則として行い得ないので、それをまずは遵守する必要がある)

・個別論1:少子高齢化への対応(将来需要が減り、設備過剰となる。時間の経過による見直し[車線数減少等]も必要。新規設置ばかりではなく維持管理についても評価が必要である。)
・個別論2:地域性への配慮が必要である。冬季通行等。

◇地域全体のインフラを対象とした将来戦略構想が必要(東北、岩手、地方都市)

・道路投資は都市のありかたとの関係で決められるべきである。都市マスタ−プランについて、大都市においては住民参加が進展しているが、中小都市においては遅れが見られ、また、そうした地域では、マスタープランと関係なく道路が必要との声が出される。このような目標のない設備投資が無駄と表現される。

・道路は様々な分野(観光、農業etc)の産業を支えていく手段で、それ自体が目的ではない。今後は地方整備局の側から他分野に議論をぶつけていくことが必要。例えば平泉の世界遺産登録などで具体的にどのような観光需要が発生するのか、それを支えるためにどのような道路整備が必要なのか。また、現行の整備において道路が整備されると、農地が商業地として売りやすくなりかえって農村の疲弊を促進している傾向がある。
・道路インフラがマクロ的な意味で地域経済の様々な分野にどのような影響を及ぼすのかを評価する必要がある。

【優先度】
◇人命尊重という意味では交通事故対策が最重要課題である。
・交差点、住宅地周辺(これまでは道路の走りやすさのみが評価されてきた。走りやす過ぎてはいけない、スピードが出せない道路構造に)
・交通弱者と自動車交通を分離する必要がある

・地域のマスタ−プランと関連づけての整備が重要
・交通弱者対策を評価する基準が必要(特に冬期に問題を抱える東北独自の基準)

◇冬期間の除雪は、車道よりも歩道が優先されるべき。試験除雪と本除雪の位置づけを変えていく必要がある。