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氏 名所 属
高崎 みつる 石巻専修大学 理工学部 教授

■ご意見の内容

・都市への一極集中、地方の過疎化が進む中、鍵を握るのは道路整備によってもたらされる移動時間短縮と確実性であり、必要とされる道路整備が進んでいない状況で、道路特定財源の一般財源化されることについては反対である。

・人々が個性を持って心身ともに豊かに、自分にふさわしい場所で生きる(仕事をする)ためには、地域を繋ぐ道路が重要である。各地方でさまざまな人の仕事を支えるためのベースとなるのは道路である。

・地方の文化を継承するためにも道路は重要。地方を支える文化の紹介も必要。

・都会は仕事の場として良い環境であるが、住むための場所としてはふさわしくないという人が多い。郊外に住んで希望を持って街に就職できるような環境をつくるためには道路が重要な役割を担う。つまり道路はものを運ぶだけの動線ではなく、人の気持ちを運ぶ動線としての役割がある。

・日本は農水産物の自給率低下が進行している。今は産地直売による小さな地域・コミュニティーの中での流通・消費が重要であるが、「道の駅」は道路利用者のための休憩施設の他に産地直売のスペースも持ち合わせていることから、非常に有効な施設であると思う。

・空港・港湾へ速くものを運ぶことが出来るような道路の整備は、地域を活性化させ、若い人たちに希望を与え、やる気を起こさせるなどの効果をもたらすと思われるので、非常に重要である。

・現在は若い人に限らずベテランも、就業に必要なスキルは極めて高度化されてきている。また時々刻々と変化している。スキルを磨き続けることには精神的なストレスも大きい。人々がストレスから解放され、癒しの場へ行く時の交通アクセスの良否は、健全な精神を支えるうえで、また良好な業務遂行のうえでも重要になっていくのではないだろうか。

・一人一人の個性を活かし、個人が輝く、魅力ある生活を送るには、様々な地方特性を活かした産業育成が欠かせない。しかし、地方の産業育成は都市とのアクセスにより決まっていく要素が大きい。個性ある生き方や個性を活かした「魅力ある国づくり」には、道路整備が重要になっていく。

・道路整備が進み、空港のアクセスが良くなれば、例えば石巻の海産物が海外へも流通できるようになり、今よりももっと豊かな生活が出来るようになり、地方に活力が生まれる。

・道路施策の優先度は、有識者の意見を取り込む前に、将来の日本の方向性をどうするかの議論が必要。

・中期計画アンケートは普通の人たちの見た目だけの評価で、将来の理想形は描けない。違う視点(現在の問題だけでなく、中長期を見据えた将来の日本や、都会と地方の関係で成り立つ国の姿など)でものを見て考えていく能力が問われる。