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氏 名所 属
上野 征洋 静岡文化芸術大学 副学長

■ご意見の内容

1.これまでの道路政策に関する改善点
 ・近年の国土交通行政全体に危惧を感じる。まず、道路、河川、港湾、空港などの社会資本整備が、それぞれの分野に特化しており、この「中期計画」策定の質問事項も「道路」に特化しているが、他のインフラ整備との整合性に配慮すべき。近視眼的である。
 ・具体的には、「道路政策7つのポイント」の第一に挙げられている「国際競争力の強化」だが、「空港や港湾へのアクセス」「国際物流ネットワーク」が揚げられているが、いかにアクセスを良くしても空港や港湾が貧弱で、物流のハブは韓国(仁川や釜山)に奪われ、中国、香港との物流の分野でも主導権を奪われている。道路だけ良くしても、国際競争力は向上しない。マクロな国土整備計画を再検討すべきである。

2.無駄を排するなど効率化を徹底するために、道路政策において特に重視すべき点
 ・国がこのような政策展開として、効率化を徹底することは望ましいが、都市交通の円滑化や住民の安心・安全のためには、県、市町村との連携が重要。道路整備がバラバラに推進されている実例が多く、それぞれ連携して一体的な整備が行われるべきである。国道だけ良くなっても地域社会や生活の利便性は向上しない。

3.道路に関して無駄と感じること
 ・入札制度の改革が進んでいない。特に県、市町村と一体化して入札制度を改善すべき。相変わらず不祥事の温床になっており、国がモデル方式をつくって自治体に範を示すべきである。
 ・国・県・市町村の協力体制が非効率。

4.道路政策の一層の重点化を図るために、優先度が高い又は低い課題への対応
 ・地球温暖化対策は急を要すると思われる。特に交通政策と道路行政との連携を図るべき、と思う。
 ・大規模な災害発生後の安全確保、緊急輸送道路など重点整備は重要である。
 ・「道路政策7つのポイント」の2番目に、「地域の自立と競争力強化」があるが、まず、道路特定財源の地方への配分を増加させ、地域の自立、県道、市町村道の整備をさせるべき。市町村の整備が遅れていることを国は放置している。地方の社会資本整備の優先度を高めるべきである。
5.国民の皆様に対し幅広く意見を頂く上で特に留意すべき点
 ・PIやパブリックコメントの充実は市民との連携において、きわめて重要。
 ・道路の整備や維持管理は、可能な限り、自治体への権限委譲や民間の活用を図っていく。

6.その他、道路政策全般に関しての意見、要望など
 ・今後の分権化の進展を考えれば継続管理に関して国は市町村への技術的支援をすすめるべき。
 ・NPOや市民団体との連携で「ストックの維持管理」「コスト削減」が可能になるケースも多い。道路の管理にも一種の「指定管理者制」や「PFI」の考え方を導入をしてはどうか。
 ・自転車レーンについての課題なども検討をすすめるべき。