閉じる
氏 名所 属
内山 久雄 東京理科大学 理工学部土木工学科 教授

■ご意見の内容

○歩道等整備の必要性
・地方部には、歩道のない道路が多く見られるので、どう整備していくかが課題。
・歩道は、歩いて「心地よい」と感じてもらうことも大事であるから、必ずしも車道と一体である必要はない。例えば、あぜ道を歩道として活用し、完全な歩車分離はできないか。
・また、道路区域の有効活用を図るため、歩行者や自転車の交通量・動態に合わせ、例えば、上り線は歩道、下り線は自転車道、といった整備もあるのではないか。また、区画整理事業が行なわれた地区は車道幅員が広めにできている。そのような住宅系(一部商業も含む)の地区では、3車線運用とし,1つの車線を駐車帯とすることも可能ではないか。

○道路の整備目標
・現在は、道路の整備状況・目標を「延長」で評価しているが、同じ延長でも細い道路と太い道路では効果が違う。「面積」で評価してはどうか。
・例えば、面積をドイツと比べると、わが国の道路面積は極端に低い。
・昔、小渕元首相が空間倍増論(ゆとりある生活)を打ち出した。一人当たりの住宅床面積や、オフィスの床面積が増えているのに、一人当たりの道路面積が増えないのはおかしい。

○ゆとりのある道路(景観)
・環境に配慮し、需要だけにしばられない道路整備が必要。130番目時間交通量の時代はもう終わった。
・例えば、高架部を街路樹で隠すような道路(木陰を演出)は考えられないか。一般道路にしても緩衝帯を設け、街路樹は必要。
・周りに街路樹を配した高架は、ゆとりや景観にとどまらず、CO2の吸収効果も期待でき、温暖化防止策の一助として大いに宣伝できるのでは。

○SA・PAの有効活用
・外に対して開かれたSA・PAとすべきである。
・地域の防災拠点としての活用等、地域におけるメリットを最大化させる活用を考えるべき。
・また、アクセシビリティが高いことから、人命救助、救急拠点の機能にも目を向けるべき(ICの跡地を含めて)。

○道路のあり方
・これまでの道路は、指定された道路敷という空間内をただつくるだけであった。今後は、道路法の改正も視野に入れつつ、良い道路とは何であるかをきちんと議論すべき。
・特に道路沿道は、もはや道路敷外ではなく、道路そのものと考えるべき。

○渋滞時間の有効活用
・渋滞している時間に、当該ドライバー等に対し、周辺地域の観光情報等をリアルタイムに伝達することができれば、ドライバーも効率的に行動ができ、地域にも喜ばれる。
・我が国の道路には空間の制約がある以上、その使い方をマネジメントすることが大事。
・地球温暖化防止が急務なら、自動車交通をコントロールする施策をもっと積極的に展開すべき。(混雑賦課金の導入、ナンバープレート規制は勿論のこと、推奨走行速度の提示など速度変化を最小にすることも含めて)

○道路による地域分断
・道路による地域分断は負の効果をもたらすと一般的には考えられている。しかし、道路が異なった土地利用の境界であるとの認識はない。例えば、道路の左側は環境保全すべき地域、右側は開発すべき地域としたら、道路そのものが相互の侵食を許さない防波堤の役割を果たす。
・この意味で左右の土地の交換分合は積極的に推進すべき。

○その他
・東京では日本橋プロジェクトが話題になっているが、これを進めることはいうまでもない。加えて市ヶ谷から飯田橋にかけての外堀の再生(外堀通りの地下化と親水空間の創出)、隅田川の再生道路(首都高6号線の地下化と親水空間の創出)の3つの親水空間創出は東京全体の再生につながる。