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氏 名所 属
和賀 幸雄 (株)エフエムゆーとぴあ 代表取締役専務

■ご意見の内容

・今回の具体的な取り組み方針においては、地域別、年齢別に偏りが無いような配慮がなされている点は評価できる。テレビを代表とするマスメディアに登場する、所謂オピニオンリーダーと言われる方々の意見の多くは首都圏や大都市圏からのものであり、これが大きく世論を動かしているのが現状である。地域格差是正の第一歩は、まず地方の生の意見を取り上げることではないか。

・地方の高速道路(高規格道路)には暫定2車線で整備されているものが多い。将来的な展望の中で4車線化が困難と予想されるのであれば、地元自治体や地域住民の要望を聞いた上で、確定2車線および3車線で整備を進めるべき。これにより「無駄な」用地の取得費用を無くすことができる。

・平成10年に国が策定した「21世紀の国土のグランドデザイン」には、全国主要都市間で日帰りを可能にする”全国一日交通圏”や半日での地域間の交流を可能とする”地域半日交通圏”の実現がうたわれている。地域間交流の創出や地域経済発展のためには高速道路は必要不可欠なものであり、交流人口の増加こそがこれからの地域活性化の切り札であると言える。
空前の景気上昇を迎えているデジタル家電や自動車産業が全国で工場を新設するなどの積極的な設備投資を行っているが、高速道路に隣接またはアクセスが容易な立地が多いのが現実である。このことは高速交通体系の整備が、地域の雇用増加、人口増加、地域経済の活性化に直結していることを示しており、整備の有無が地域格差をさらに加速していると言える。
以上のことから道路整備の重点化・優先度の決定は必要だが、決して「最大多数の最大幸福」という功利主義で決定されてはならない。最終的な決定のプロセスにおいては特に地方からの多様な意見を汲み上げていただき、格差是正という観点からも議論が必要ではないか。将来的な道州制の議論をする際も、同州内での高速道路による「一日交通圏」の実現は不可欠である。

・首都圏に限らず地方でも、サラリーマンの中で家族から離れてやむを得ず単身赴任する人たちも多い。ここには子供達にとって極めて重要な時期に、親との触れ合い・家族の団欒の機会が十分に持てないという問題が存在する。社会問題化している教育の荒廃、若年者の倫理観の低下や犯罪の増加が懸念されて久しいが、根本には夫婦親子という社会の最小ユニットが健全でないことにも問題があると指摘する声も多い。現在国や自治体は「男女共同参画社会」の実現や「子育て支援」などの少子化対策に関する多くの事業を行っているが、高速交通体系の整備は移動時間を短縮し、貴重な家族間コミュニケーションの機会を増やすことにもつながる。
高齢化社会を迎えた今日、年老いた親の介護のため実家に通ったり、遠くの病院に入院している家族の看病に通ったりすることを高速道路は可能にする。介護や看病にはどうしても家族の生活の負担・犠牲というものが伴うが、これを最小限にしてくれるのが高速道路でもある。親の危篤の報を聞き、高速道路で駆けつけたおかげで死に目に会えたという事実もある。こういったことに地域間格差が存在するのは悲しいことである。