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氏 名所 属
大和 健司 (社)大阪府トラック協会 会長

■ご意見の内容

○はじめに(自由意見)
 トラック運送は、物流の主役として国内貨物輸送の約9割を担い、日本経済の発展と国民生活の向上に欠かせない産業となっております。
 また、トラック運送業界は、高速道路の有効活用を通じて、環境・安全問題の軽減化、道路交通の円滑化、物流の効率化などに一層取り組みたいと考えているため、道路整備とりわけ高速道路などの幹線道路網の整備は、一層重要になっているものと認識しております。
 一方、当業界は、お客様からの物流コスト削減や良質な輸送サービスの構築が要請される中、運賃水準が回復しないことに加えて、環境・安全対応コストや燃料価格がさらに高騰するなど、コスト負担がますます増大し、各社の経営は自助努力の限界を越える大変厳しい状況が続いております。 
 こうした中、平成18年12月8日に政府与党が合意した「道路特定財源の見直しに関する具体策」では、「現行の税率水準を維持する」とありますが、トラック運送業界では厳しい経営環境の中、自動車関係諸税と高速道路料金という重い負担に耐えて、道路整備の促進に協力しておりますものの、少しでもコストを下げるために、やむなく一般道を利用せざるを得ないという差し迫った状況を迎えております。このため、当業界は引き続き、納税者として道路特定財源の一般財源化反対と軽油引取税暫定税率の撤廃など、税負担の軽減を強く要望しております。

○今後の道路政策において
【何を重点とするべきか】
・重点項目
 ・道路特定財源の活用による高速道路料金の大幅引下げ
 ・環境改善のため、迂回する事業用ディーゼルトラックを対象とした高速道路料金の無料化
 ・都市部道路における荷捌き駐車帯の整備促進
 ・環状道路・バイパスの整備促進
 ・国土軸となる高速道路の早期整備促進

・その理由:
 ・国内の高速道路料金は、世界に例を見ない高水準であり、そのため止むを得ず一般道路を利用する車両が増加し、沿道住民の生活環境の悪化や交通渋滞、交通事故の増加の要因ともなっていることから、道路特定財源の活用により、高速道路料金を大幅に引下げる必要があると考えます。
 ・国道43号、阪神高速3号神戸線等沿道地域の環境改善を図るため、通行車両の5号湾岸線への転換を期する環境ロードプライシングを実施されておりますが、同地域の環境改善には明確な効果が認められないことから、その実効性を高めるため、迂回する事業用ディーゼルトラックを対象とした5号湾岸線や西大阪線の通行料金を無料化する必要があると考えます。
 ・平成18年6月に施行された改正道路交通法により違法駐車の取締りが強化・厳格化されたことに伴い、トラック運送事業者では、民間駐車場の確保や2人乗務体制等で対処しているものの、たいへん厳しい経営環境の中、その対応には限界がある。このため、物流の円滑化・効率化をいっそう図るうえでも、荷捌き駐車帯の整備促進が早急に必要であると考えます。
 ・大阪市内や周辺部の交通事情は、慢性的な渋滞や走行速度の低下、交通事故の多発など深刻な状況にあります。例えば、阪神高速道路は都心部集中型のネットワークであるため、通過交通を含む多くの車両が環状線へ過度に集中し、交通渋滞の大きな要因となっております。これらの問題を解決するためには、都心へ入る車を分散させる大都市圏の環状道路(大阪都市再生環状道路)やネットワークがつながっていない高速道路(大阪湾岸道路西伸部、名神湾岸連絡線)の早期整備により、交通分散と迂回道路機能の強化が必要であると考えます。
 ・経済活動のいっそうの活性化を図るため、国土軸となる高速道路の整備は必要であります。特に、渋滞緩和や南海・東南海地震など大規模災害に備えるとともに、現在の名神高速道路や中国自動車道のバイパス機能を持つ新名神高速道路は、全線を早期整備する必要があると考えます。