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氏 名所 属
米倉 亜州夫 広島工業大学 工学部都市建設工学科 教授

■ご意見の内容

Q.これまでの道路政策について特に改善すべき点
・今ある道路ストックの維持・補修を着実に実施することが急務。予算が十分ではない現状を嘆くよりも、維持・補修の必要性をしっかり国民に知らしめ、必要な予算が確保できるように努めることが重要。
・道路特定財源を、これまで以上に維持・補修費に充てることも検討すべき。
・道路ストックは国民の共有財産であり、善し悪しにかかわらずキチンと情報提供を行うべき。特に、老朽化して劣化が著しい公共土木施設の情報が積極的に開示されていない現状は疑問。市民は老朽化がどれほど重大な問題か、将来の禍根となるかを十分知らないし、関心も低い。キチンと周知すべき。

Q.道路政策の重点化を図る上で、優先度が高い課題への対応
・今ある道路ストックの維持・補修を適切に行うことが重要。
・中山間地から都心へのアクセスは自動車に頼らざるを得ないため、都心へのアクセス道路の整備を進め、中山間地の人口定着(人口減少の歯止め)を図ることが必要。
・都心部では公共交通機関の充実を図り、交通機関分担の最適化を図ることが必要。広島では100万人都市としては公共交通機関が不足しており、アストラムラインの環状化などを進めるべき。
・高度経済成長期に建設された土木施設の質が概して悪い。明治・大正期に建造された土木施設でも立派に使用できるものがある反面、最近造られたもので質が悪いということは、技術力の低下や経済性重視の手抜きが原因と考えられる。維持・補修に際しては、二度と同じ過ちを繰り返してはいけない。

Q.その他
・土木施設が壊れて一般被害が生じたときのみマスコミが騒ぐのは良くない。裏返せば、土木施設は我々の生活に無くてはならないものという証左であり、その社会的重要性や維持管理の困難さもマスコミは正しく伝えるべき。例えば、腐食による下水道の陥没事故が発生しているが、本来、下水道は伝染病の予防に非常に役立つものであり、国連でも普及に力を入れている状況だが、あまり知られていないのではないか。
・事故・事件の際、職業が「土木作業員」と報道されることはあるが、「化学/機械作業員」の職種が報道されることは少ないと思う。他にも気になる点があるが、マスコミは「土木」に悪いイメージ・先入観を植え付けていないか。