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氏 名所 属
吉田 和男 京都大学 経営管理大学院長

■ご意見の内容

○ 道路の管理について
 ・ 中山間地を除けば道路整備はほぼ目標を達成したから今後はメンテナンスが重要となってくる。
 ・ ライフサイクルを考えていく必要がある。
 ・ 学内の建築物でも高度経済成長期のものは程度が低い。道路でもそれらと同時代に作られた橋梁などの寿命が今後訪れ、70年代のアメリカの様になるのではないか。

○ 道路のネットワークについて
 ・ 近畿道摂津南ICと阪神高速守口線の乗り継ぎでは一般道路を介しており、効率が悪く不便。
 ・ 大都市圏ではネットワークが連続していない所を連結するのが重要。高速道路どうしが繋がっていないところがある。大阪湾岸道路や淀川左岸線は他の高速道路と繋がっていないため有効に活用されない。
 ・ 国鉄もJRになってちょっとアーバンネットを手直ししたらよくなった。人の住んでいない所を整備するより既存のネットワークの効果が上げられる所を整備すべき。
・ 全総的ネットワークの発想を、日本のグローバル化の中で変更せざるをえない。
・ 日本の将来には産業のビジョンがない。
・ 大阪港は輸入に特化しており、主に中国からの消費財など生活物資を取り扱っている。また、神戸港は輸出品が多く10年後20年後の輸出品はものすごく減っているだろう。こういった中で、どこまで国際物流をサポートしなければならないかはわからない。
・ 南北高速ネットが脆弱。やっと舞鶴(日本海側)と京都が結ばれるのか。
・ 将来、世界情勢の変化により日本海側が物流の玄関になるかもしれない。舞鶴港と京都を結ぶことはいいことである。

○ 道路整備と地域の発展について
 ・ 道路ができただけでは、工業団地がいっぱいになるわけではない。人がいかに来るかと言うことが重要。
 ・ 何km離れていれば不便という定義はない。人が集まるところが便利な所である。
 ・ バブル期には、郊外の自然豊かな土地の広い所に価値があったが、今は駅前の病院に近いマンションが人気である。
・ 都市構造は、東京一極に人が集まり貧富の差が大きくなり、他の都市では、単身の高齢者が増え、地方では自飯のための農業と年金で生活する人が増加するだろう。
・ 20年後の地方都市は老人ばっかりになる。そんな中で道路整備のあり方については、今までと転換する必要がある。
・ 都市部について、たとえば、シニアカーの利用が増え、歩道の見直しや作り直しが必要だろう。思い切って一車線削減して歩道、自転車道にするという発想も必要だ。
 ・ 地方は、都市(市街地)の集約が必要だろう。地方には産業都市は無理で、これからは消費都市を作る必要がある。
 ・ 昔は道路を造って産業振興。これからは、頭脳で稼いで消費道路。これからは、地域振興イコール産業振興ではない。
 ・ 発想の転換がないといくら投資してもよくならない。魚介類を和歌山から大阪に運ぶために道路が必要とはいえない時代。魚介類の大半はインド洋や中国からきている。

○ 道路整備について
 ・ 道路管理者以外でも林道、農道を造っており調整がとれていない。
 ・ 日本の道路は、区画道路を含めると土地の1区画が小さいこともあり、ものすごく多い。
 ・ 今後の道路整備は効率が悪くなる。それは、効率の良い順に整備をしてきたからである。「今後は効率のいい道路整備をする」といえば、いままでやっていなかったことになる。
 ・ 学生時代に本四のアクセスについて検討をしたことがあるが、交通公害のファクターをいれると人のいない所にルートが来る。現に西神自動車道はそうなってしまった。
 ・ 今問題となっているのは、必要な所から順次整備をしてきて、順番を待っていた人がやっと自分の番になったときに財源の問題がでてきて、考え方が変わろうとしていることである。
 ・ 計画を作って優先度の高い所から整備するのは重要であるが、ネットワークのことを考えずに順番に整備していくのが問題である。
 ・ 道路整備を始めたら止められないのも問題。思い切って止めることも必要。
 ・ 効果が発現するように集中投資すべき。
 ・ 高速道路の一番初めの考え方は、ペイすれば無料開放することだった。しかし、負担する人と利益がバランス(ラムゼールール)しているのだから、無料にする必要はないのではないか。無茶はできないが、支払ってもらえる所は支払ってもらえばいい。
 ・ 有料道路の整備であれば、外国資本の活用も考えられる。
・ 整備延長を増やすより、ネットワークの効率化への投資を優先する方がいい。
 ・ つまる所を拡幅する方が、もう一本整備するより効果的である。
 ・ 日本の道路整備は分水嶺を越え必要があるのでたいへん。だからこそ効率のよい投資が必要。
 
○ 地方道について
 ・ 県境を超えると道路の幅が違うのは問題。
 ・ 地方道も含めてネットワーク機能を高めるべき。
 ・ 地方道は地方が整備すべきであるが、県境などのボトルネックの所は、国が積極的に整備してもいいのではないか。
 ・ 「ちょっと手を入れればいいのに」という所がある。

○ 物流について
 ・ スーパー中枢港湾を作るなら外洋航路に近い串本に作り、主要都市へは内航海運で運ぶべき。大阪港、神戸港は外洋航路からは遠い。
 ・ 陸送のコストは、世界的見てすごく高い。色々な規制も原因の一つ。
 ・ 高速料金にも使い放題料金があっても良い。企画料金を考えるべき。
 
○ 個別路線について
・ 新名神(高槻〜八幡)は不要。