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【指標−11】道路構造物保全率(橋梁・舗装)(中間アウトカム指標)
【橋梁】 現在の値86%
中期的な目標長期的に100%を目指し、平成19年度までに約93%まで向上させる
平成15年度の目標約87%
【舗装】 現在の値91%
目標今後とも、現状の水準を維持する

(1)指標の現況値と数値目標

《橋梁》
 橋梁に関する道路構造物保全率については、平成14年度の86%を、平成19年度までに約93%とすることを中期的な目標とする。
 そのため、平成15年度中には、約87%とすることを目標とする。(図11-1)
※橋梁に関する道路構造物保全率:直轄国道における橋梁のうち、今後5年間程度は通行規制や重量制限の必要がない段階*1で、予防的修繕*2が行われている延長の割合。

※1今後5年間程度は通行規制や重量制限の必要がない段階:橋梁定期点検(1回/5年)において、「速やかに補修する必要がある」、の判定とならない段階。
※2予防的修繕:劣化が進行して構造物に大きな損傷を発生させる前に適切な修繕を行うこと。

図11−1 
道路構造物保全率(橋梁)の現況値と数値目標
《舗装》
 舗装に関する道路構造物保全率は、平成14年度現在で91%であるが、維持管理が行われない場合、5年間で保全率が約37%(直轄総延長約21,000kmのうち、およそ8,000km)低下していくことになる。よって適切な維持修繕により、今後とも、現状の水準を維持することを目標とする。(図11-2)
※舗装に関する道路構造物保全率:直轄国道のうち、路面の轍やひび割れによる振動や騒音が少なく、道路利用者が快適に感じる舗装の状態(MCI*3>4.0)の延長の割合。

※3</td><td>MCI(維持管理指数):路面特性を表すひび割れ率(C(%))、わだち掘れ(深さ:D(mm))、縦断凹凸(平坦性:σ(mm))という3つの要因を組み合わせて舗装を評価をする方法

図11−2 
道路構造物保全率(舗装)の現況値と数値目標


(2)指標の定義、位置づけ、目標

【指標の定義・位置づけ】
 道路構造物保全率は、道路構造物(舗装、橋梁、トンネル)の保全のうち、道路利用交通量や、構造物を取り巻く周辺環境(降雨、気温、海岸付近等)に応じた損傷等が顕著に表れ、このことにより交通に著しい支障を与えることとなる橋梁及び舗装について、健全な状態を表す中間アウトカム指標として採用した。



【指標の示す目標】
 構造物保全率の向上は、道路の安全性を維持・向上するとともに、構造物の劣化・損傷が原因として生じる通行規制や重量制限の可能性を低下させ、道路ユーザーが快適で、より安定した道路サービスを受けられることを意味する。

(3)指標の示す現状と問題点

1)今後予想される道路構造物(橋梁)の大量老朽化
 我が国の社会資本は、戦後から高度成長期にかけて集中的に整備されており、その結果として、高度成長期に建設された道路構造物が、橋梁で全体の約4割を占めている。
 これらの橋梁は、20年後には新設後50年を経過することになり、その橋梁数は現在の約10倍にもなる。(図11-3、図11-4)


図11−3 建設後の経年数別の橋梁数


図11−4 建設後の50年以上の橋梁の今後の推移

 今後これら橋梁の更新時期が集中し、更新にかかる財政的な負担が飛躍的に増大することから、現状の予算規模で事後保全的な管理形態を続けた場合、多くの橋梁で通行規制や重量制限が発生する可能性があり、社会的影響が極めて大きくなる。(図11-5)

図11−5  橋梁健全度の推移の試算(直轄国道・内地)


(4)課題と講じる施策

○ 効率的・効果的な道路構造物の維持管理
 今後、集中する道路構造物の更新時期の平準化、維持管理から更新までのトータルコストの縮減等を図るため、効率的・計画的な道路構造物の保全手法(アセットマネジメントシステム*)を導入する必要がある。
 このため、以下の施策を講じることとする。
○道路構造物のトータル資産管理システムを構築
 ・ 道路構造物の健全度の推移をマクロ分析し投資計画を策定
 ・ 全国同一レベルで道路構造物の点検結果をデータベース化するとともに、個別構造物について 詳細調査結果を踏まえて補修・補強を実施。
○アセットマネジメントシステムを支援する技術開発や体制の整備
 ・ 損傷原因別の理論的な健全度評価、劣化予測手法等の開発
 ・ 管理・支援体制の整備

*アセットマネジメントシステム:資産管理(asset management)の方法。道路管理においては、橋梁、舗装等を道路資産ととらえ、その損傷・劣化等を将来にわたり把握することにより、最も費用対効果の高い維持管理を行うための方法


【関連する施策・事業】【関連する平成15年度の主な施策】
維持修繕事業
道路構造物のトータル資産管理システムについて、直轄国道事務所での試行
道路構造物の点検要領の見直し
点検結果のデータベース化
損傷原因別(塩害、アルカリ骨材反応、疲労)の健全度評価、劣化予測手法の検討  等


図11−6 橋梁延命化のイメージ(延命化により平均寿命を60年から90年に)



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