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【指標−12】災害時に広域的な救援ルートが確保されている都市の割合(中間アウトカム指標)
現在の値66%(200都市/303都市)
中期的な目標長期的に概成することを目標に、平成19年度までに約76%まで向上
平成15年度の目標68%(205都市について救援ルートを確保)

(1)指標の現況値と数値目標

 本指標については、平成14年度の66%(303都市のうち、200都市について、災害時における救援ルートを確保)を、平成19年度までに約76%とすることを中期的な目標としている。なお、平成15年度は、全国で68%とすることを目標とする。(図12-1)
図12−1 指標の現況値及び数値目標

(2)指標の定義、位置づけ、目標

【指標の定義・位置づけ】
 地域の中心都市のうち、隣接する地域の中心都市*への道路の防災・震災対策が完了しているルートを少なくとも一つは確保している都市の割合。
 本指標は、災害発生時に地域が孤立しないよう、他地域からの救援ルートが確保されている状況を表す中間アウトカム指標として採用した。

 防災対策:事前通行規制区間等における法面防護工、落石防護工等
 震災対策:橋脚耐震補強等

【指標の示す目標】
 本指標の向上は、災害時における他の地域からの救援ルートの確保による地域の安全性の向上を意味する。これにより、集中豪雨や大規模地震等の災害時に、被災した地域に対して他の地域からの救援活動等が迅速に行われ、安全で安心できる暮らしが確保される。

*地域の中心都市:群島単位で二次生活圏を形成し、陸路で連絡する隣接二次生活圏の存在しない圏域を除く二次生活圏の中心都市(計303都市)を指す。(ただし、北海道については地方生活圏中心都市、首都圏・近畿圏・中部圏については都府県庁所在地。)

(3)指標の示す現状と問題点

1)脆弱な我が国の国土
 我が国においては、豪雨等による落石や土砂崩落、地震による橋梁の損傷等の道路に関する災害は依然として多発している。(表12-1)
 特に、集中豪雨や地震等の大規模災害時においては、被災そのものによる道路利用者への影響に加え、被災地への救援ルートの確保が困難となり、緊急活動への支障が大きい。

2)通行規制により医療阻害や孤立が発生
 我が国においては、災害や通行規制による道路の通行止めは約150万時間(平成13年度)に及んでいる。(表12-2)
 また、通行規制区間は、山間地を抱える地域において数多く設定され、地域によっては、都道府県道以上の幹線道路の3割以上が通行規制区間となっている。(図12-2)

表12−1 近年の主な道路災害

発生年月日災  害  名
H2.11.17〜雲仙普賢岳噴火災害
H5.8.6平成5年8月豪雨
H7.1.17阪神・淡路大震災
H9.8.25豊浜トンネル岩盤崩落
H9.8.25第二白糸トンネル岩盤崩落
H10.8.26〜31平成10年8月末豪雨
H11.7.10〜15平成11年7月豪雨
H12.3.31〜有珠山噴火活動
H12.6.26〜三宅島火山活動等
H12.9.8〜12平成12年度東海豪雨
H12.10.6鳥取県西部地震
H13.1〜2.平成12年度豪雪
H13.3.24芸予地震
H13.9.10〜12台風15号豪雨
H15.5.26宮城県沖を震源とする地震
H15.7.19〜21平成15年7月梅雨前線豪雨
H15.7.26宮城県北部を震源とする地震
出典:国土交通省資料


表12−2 通行規制の発生状況(平成13年度実績)
 通行止め延べ時間
規制区間内規制区間外
高速自動車国道0.00.00.0
本州四国連絡道路0.04.84.8
都市高速道路0.02.92.9
一般国道指定区間2,371.85,811.38,183.1
指定区間外73,623.221,270.494,893.6
都道府県道187,692.4291,822.7479,515.1
市町村道134,982.9803,929.7938,912.6
一般有料道路日本道路公団0.00.00.0
土木部企業局0.00.00.0
地方道路公社2,517.6269.32,786.9
401,187.91,123,111.11,524,299.0
出典:国土交通省資料

図12−2 通行規制区間の県別比較


 こうした通行規制の影響により、例えば、5年に1回よりも高い確率で生じる豪雨に伴う事前通行規制により、完全に孤立する人口は約150万人、高次医療施設への1時間以内のアクセスが阻害される人口は約230万人に達すると試算される。(図12-3)



図12−3 事前通行規制実施に伴う孤立地域及び医療アクセス影響圏域分布(5年確率降雨時)


(4)課題と講じる施策

1)災害時における救援ルートの効率的整備

 厳しい自然条件、地形条件を有する我が国の国土の状況に鑑み、災害時における地域の緊急活動等を支援する道路について重点的な防災・震災対策を実施し、災害時における救援ルートの効率的・効果的な整備を図る。

【関連する施策・事業】【関連する平成15年度の主な施策】
地震や豪雨、豪雪に強い緊急輸送道路ネットワークの整備
東海地震、東南海・南海地震等による津波対策としての避難路の整備
道路の法面対策・橋脚耐震補強等
防災・震災対策
(法面防護工、落石防護工、橋脚耐震補強等)

2)通行規制による日常生活への影響の緩和
 地形条件等により迂回路のない地域においては、通行規制により医療等の日常生活への影響が大きいため、通行規制の緩和・解消を図り、安全で安心な日常生活を確保することが必要である。
 このため、豪雨等による地域の孤立を解消し、医療施設等へのアクセスを確保する生命線となる幹線道路について、法面等の防災対策や事前通行規制区間を迂回するバイパス整備等により、災害時の通行規制による日常生活への影響の緩和を図る。

【関連する施策・事業】【関連する平成15年度の主な施策】
地震や豪雨、豪雪に強い緊急輸送道路ネットワークの整備
道路の法面対策・橋脚耐震補強等
生命線道路の整備

(5)指標のバックデータ

区分直轄国道
km
補助国道
km
都道府県道
km
合計
km
全国1,367.26,224.415,497.423,089.0

 

 

 
北海道336.1(47)-(-) 637.8(45)973.9(45)
青森県0.0(1)238.0(40)421.5(35)659.5(34)
秋田県1.0(8)242.4(41)462.2(37)705.6(37)
岩手県0.0(1)105.4(24)416.6(32)522.0(26)
山形県40.8(39)231.0(38)639.7(46)911.5(44)
宮城県6.1(16)78.5(20)200.0(15)284.6(15)
福島県67.9(44)487.6(46)953.1(47)1,508.6(47)
東京都0.0(1)20.2(6)179.5(11)199.7(7)
神奈川県8.9(19)52.6(15)198.7(13)260.2(12)
千葉県12.2(22)49.7(12)161.9(9)223.8(10)
埼玉県0.0(1)52.6(15)214.2(19)266.8(14)
茨城県0.0(1)13.3(3)195.2(12)208.5(8)
栃木県0.0(1)48.1(11)355.0(30)403.1(23)
群馬県26.1(29)199.1(35)331.5(28)556.7(28)
長野県53.7(42)200.1(36)432.7(36)686.5(35)
山梨県21.3(27)113.8(25)318.4(27)453.5(24)
新潟県70.4(45)232.9(39)557.8(39)861.1(43)
富山県18.6(25)84.6(21)162.4(10)265.6(13)
石川県16.0(24)165.6(29)620.0(42)801.6(40)
静岡県31.3(31)192.4(34)421.3(34)645.0(33)
岐阜県77.9(46)184.4(32)300.9(24)563.2(29)
愛知県9.2(20)66.3(17)527.9(38)603.4(32)
三重県40.6(37)244.0(42)254.3(22)538.9(27)
滋賀県6.0(15)86.4(22)205.9(17)298.3(17)
京都府15.1(23)98.1(23)242.0(21)355.2(19)
大阪府5.7(14)24.1(8)104.8(5)134.6(5)
兵庫県33.3(33)160.4(28)633.1(43)826.8(41)
福井県46.5(41)186.0(33)353.3(29)585.8(31)
奈良県31.0(30)362.4(44)303.2(25)696.6(36)
和歌山県40.7(38)412.2(45)316.4(26)769.3(38)
鳥取県4.4(10)62.6(16)143.4(7)210.4(9)
島根県21.9(28)31.1(9)199.6(14)252.6(11)
岡山県8.0(17)52.4(13)298.8(23)359.2(20)
広島県5.6(13)142.7(26)636.3(44)784.6(39)
山口県44.2(40)36.6(10)205.7(16)286.5(16)
徳島県39.2(35)230.9(37)110.0(6)380.1(22)
香川県4.9(12)21.1(7)160.5(8)186.5(6)
愛媛県33.1(32)69.4(18)370.6(31)473.1(25)
高知県65.3(43)170.4(31)618.8(41)854.5(42)
福岡県8.4(18)71.1(19)234.5(20)314.0(18)
佐賀県0.0(1)2.5(1)8.5(1)11.0(1)
長崎県12.2(21)18.0(5)18.9(2)49.1(2)
熊本県4.0(9)168.7(30)206.1(18)378.8(21)
大分県4.9(11)154.1(27)419.4(33)578.4(30)
宮崎県33.5(34)334.9(43)615.3(40)983.7(46)
鹿児島県40.0(36)9.9(2)84.4(4)134.3(4)
沖縄県21.2(26)15.8(4)45.3(3)82.3(3)

単位未満四捨五入のため合計が合わないことがある。
カッコ内は順位、網掛けは通行規制区間延長10位以内の都道府県を示す。
通行規制区間延長は、通行規制区間と特殊通行規制区間の合計。
通行規制区間:過去の記録により危険箇所の事故発生と異常気象時との間に相関関係がある場合で、異常気象による規制の基準を定めて、これにより事前通行規制を実施する区間。
特殊通行規制区間:危険箇所の事故発生と異常気象時との間に相関関係が見られない場合で、パトロール等により気象、現地の状況等により判断して危険が予想される場合に事前通行規制を実施する区間。
政令指定都市管理の規制区間は属する都道府県に含めた。


2)事前通行規制区間延長/都道府県別ベスト10・ワースト10
順位直轄国道

km
補助国道

km
都道府県道

km
合計

km
1
青森県
岩手県
茨城県
栃木県
埼玉県
東京都
佐賀県
0.0
佐賀県2.5
佐賀県8.5
佐賀県11.0
2
鹿児島県9.9
長崎県18.9
長崎県49.1
3
茨城県13.3
沖縄県45.3
沖縄県82.3
4
沖縄県15.8
鹿児島県84.4
鹿児島県134.3
5
長崎県18.0
大阪府104.8
大阪府134.6
6
東京都20.2
徳島県110.0
香川県186.5
7
香川県21.1
鳥取県143.4
東京都199.7
8
秋田県1.0
大阪府24.1
香川県160.5
茨城県208.5
9
熊本県4.0
島根県31.1
千葉県161.9
鳥取県210.4
10
鳥取県4.4
山口県36.6
富山県162.4
千葉県223.8
38
和歌山県40.7
山形県231.0
愛知県527.9
和歌山県769.3
39
山形県40.8
新潟県232.9
新潟県557.8
広島県784.6
40
山口県44.2
青森県238.0
宮崎県615.3
石川県801.6
41
福井県46.5
秋田県242.4
高知県618.8
兵庫県826.8
42
長野県53.7
三重県244.0
石川県620.0
高知県854.5
43
高知県65.3
宮崎県334.9
兵庫県633.1
新潟県861.1
44
福島県67.9
奈良県362.4
広島県636.3
山形県911.5
45
新潟県70.4
和歌山県412.2
北海道637.8
北海道973.9
46
岐阜県77.9
福島県487.6
山形県639.7
宮崎県983.7
47
北海道336.1
※北海道の国道は
直轄のみとなるため対象外
福島県953.1
福島県1,508.6

通行規制区間延長は、通行規制区間と特殊通行規制区間の合計。
通行規制区間:過去の記録により危険箇所の事故発生と異常気象時との間に相関関係がある場合で、異常気象による規制の基準を定めて、これにより事前規制を実施する区間。
特殊通行規制区間:危険箇所の事故発生と異常気象時との間に相関関係が見られない場合で、パトロール等により気象、現地の状況等により判断して危険が予想される場合に事前規制を実施する区間。
政令指定都市管理の規制区間は属する都道府県に含めた。

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