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【指標−13】CO2排出削減量(最終アウトカム指標)
中期的な目標平成22年度までに運輸部門における二酸化炭素排出量を約250百万t-CO2まで削減

(1)指標の現況値と数値目標

 地球温暖化対策推進大綱では、運輸部門におけるCO2排出量を平成22年度までに250百万t-CO2まで削減することを目標に位置付けており(図13-1)、運輸部門のCO2排出削減量は約4,600万t-CO2としている。道路行政においては、道路交通の円滑化、自動車交通需要の調整・抑制等により自動車の走行速度の向上を図り、自動車に起因すると考えられるCO2排出量の削減を目指す。
 ただし、環境省よりCO2排出量が発表されるのは、当該年度終了後1年半程度後となるため、これらの数値目標に対する達成度は、長期的な傾向をもって把握することとする。
図13−1 運輸部門における二酸化炭素排出量の推移


(2)指標の定義、位置づけ、目標

【指標の定義・位置づけ】
 運輸部門全体におけるCO2排出削減量として定義する。
 本指標は、地球温暖化の防止に資する道路事業による成果を表す最終アウトカム指標として採用した。

【指標の示す目標】
 運輸部門におけるCO2排出量の削減は、道路整備による旅行速度の向上等に伴う燃費の向上等により、自動車等から排出されるCO2が削減されたことを意味している。

(3)指標の示す現状と問題点

1)CO2等温室効果ガスの排出による地球温暖化の進行
 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告によれば、全球平均地上気温は1861 年以降現在まで0.6±0.2 ℃上昇していること(図13-2)、全球平均海面水位は20 世紀中に10 pから20 p上昇していること等が明らかにされている。
 

図13−2 地球温暖化の状況(1880年〜1998年)

 地球温暖化の進行により、21 世紀中に全球平均地上気温は1.4 ℃から5.8 ℃上昇し、海水のなどにより21 世紀末には海面が9cm から88cm 上昇すると予測されており、その影響としては異常気象の発生のほか、生態系への影響や、マラリアなどの感染症や浸水被害を受ける人口の増大等の人間社会に対する影響が予想される。


2)我が国のCO2排出量の約2割が自動車から排出
 温室効果ガスの9割以上を占めるCO2について、我が国の総排出量のうち21%を運輸部門が占めており、そのうち約9割が自動車から排出されている。(図13-3)


図13−3 日本における二酸化炭素の排出量の割合(H12年)


(4)課題と講じる施策

1)交通量の抑制による排出量の削減
 交通量の増加に伴い、大気汚染物質の排出源が増加するとともに、走行速度が低下することで車両1台からの排出量も増加していることから、交通需要の調整等による適正な交通量・走行速度の確保が課題である。
 具体的に講じる施策としては、指標−1「道路渋滞による損失時間」における「交通需要の抑制」において提示した施策を実施し、同時にCO2排出量の削減を図る。

2)旅行速度の向上による排出量の抑制
 CO2排出量は、車種や走行環境によっても異なるが、旅行速度が60〜70km/h程度の場合に最小となり、旅行速度が遅くなるほど増加する傾向にある。(図13-4)
 これは、渋滞による旅行速度の低下により、車両1台からのCO2の排出量が増加することを意味するため、CO2排出量の削減の観点からも、道路ネットワークの整備やボトルネック対策等による適正な旅行速度の確保が課題である。
 具体的に講じる施策としては、指標−1「道路渋滞による損失時間」における「交通容量の拡大」「交通需要の抑制」において提示した各施策を実施し、同時にCO2排出量の削減を図る。

図13−4 旅行速度とCO2排出量の関係

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