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【指標−3】路上工事時間(中間アウトカム指標)
現在の値1kmあたり年間235時間(直轄国道全線)
中期的な目標平成19年度までに約2割削減し、路上工事に伴う渋滞の軽減を図る
平成15年度の目標約4%削減(1kmあたり年間225時間)(直轄国道全線)

(1)指標の現況値と数値目標

 路上工事時間については、平成14年度の路上工事に伴う1kmあたり年間交通規制時間(表3-1)を、平成19年度までに約2割削減し、道路上において行われる工事(以下「路上工事」)に伴う渋滞の軽減を図ることを中期的な目標とする。
 そのため、全国の直轄国道の場合、平成14年度に1kmあたり235時間であった年間交通規制時間を平成15年度には約4%削減して年間約225時間とすることを目標として、路上工事縮減施策を推進する。(図3-1)

表3−1 全国及び三大都市における路上工事時間(時間/km/年)
 平成14年度平成15年度平成19年度
全国
(直轄国道)
235約4%削減約2割削減

 

 

 
東京23区
(国道+都道)
1,022
名古屋
(国道+県道+主要市道)
558
大阪
(国道+県道+主要市道)
717

(2)指標の定義、位置づけ、目標

【指標の定義・位置づけ】
 「路上工事時間」は、路上工事に伴う年間の交通規制時間を道路1kmあたりに換算したものである。
 路上工事によって引き起こされる渋滞(いわゆる工事渋滞)の発生や工事に伴う通行規制により、道路利用者の利便性の悪化につながることから、路上工事の縮減施策の進捗を表す中間アウトカム指標として「路上工事時間」を採用したものである。

図3−1 路上工事時間の現況値及び数値目標
【指標の示す目標】
 路上工事時間の減少は、路上工事に伴う交通規制時間の短縮と、それによって発生する渋滞の軽減を意味する。この効果として、通行規制、工事渋滞の発生により通常以上に移動時間を要する可能性が少なくなり、目的地に予定通りの時間に到着できるようになる。また、渋滞損失時間と同様に、物流コストの減少などによる産業経済活動の発展や、生活道路への大型車の迂回が減少することによる交通事故の減少、沿道環境の向上なども期待できる。

(3)指標の示す現状と問題点

1)深刻な工事渋滞
 東京23区における、1日の夜間交通渋滞延長(約51km)のうち、約15%にあたる約8kmは、路上工事が原因で発生した渋滞であると推測される。(国土交通省調査による)

2)路上工事のやり方への不満
 これまでの、工事調整などの路上工事対策の結果、例えば、東京23区内の路上工事の件数は、この10年間で、平成4年度の16,472件から、平成14年度の約7,500件に、ほぼ半減している。(図3-2)
 しかし、「道路利用者満足度調査」によれば、東京都における路上工事のやり方に対する満足度は5段階評価で「2.15」(平成15年度調査結果)であり、道路施策別に見て2番目に不満が高く、路上工事のやり方に対し、未だ、不満を持つ利用者は多い。これは、現在の路上工事の水準も国民の満足を得るには十分ではないことを示している。


図3−2 東京23区における路上工事件数の推移


3)路上工事の多くを占める占用工事
 東京23区内で行われる路上工事のうち、純粋な道路管理のための工事(補修工事)は約2割にとどまっており、残り約8割は道路管理者以外によって行われる電気、ガス、水道の事業者などによる占用工事である。路上工事の縮減をさらに進めるためには、その多くの割合を占める占用工事の縮減が有効である。(図3-3)
 これは、占用企業者等に、工事縮減のインセンティブが働く施策が実施されていないことと共に、縮減目標を確実に達成するための仕組みが構築されていないことが原因である。

図3−3 東京23区における路上工事の内訳

(4)課題と講じる施策

1)占用企業者に縮減インセンティブの働く施策の実施
 路上工事の大部分を占める占用工事に対し、占用企業者自ら路上工事の縮減を行うようなインセンティブが働く施策を講じることが必要である。具体的取組みとして占用企業者別の路上工事実施状況の公表を実施し、平成15年度はまず東京23区内で試行する。

2)道路管理者自らの縮減強化
 占用企業者のみならず、道路管理者自身も路上工事の縮減を図る施策の実施が必要である。その具体的取組みとして、工期短縮等を指標とした総合評価発注方式による道路工事発注の促進を行う。

3)利用者への情報提供と監視強化
 路上工事の実施状況を道路利用者に正確かつ迅速に提供するのと同時に、道路利用者からの路上工事実施状況に関する情報を収集し、双方向の情報伝達によって路上工事実施に関する監視を強化することが必要である。平成15年度においては、リアルタイム路上工事状況提供システムの試行を実施すると同時に、ホームページを活用した道路利用者からの意見収集を開始する。

4)更なる縮減のためのマネジメントの強化

 より一層の路上工事時間の縮減を図るため、路上工事実施の計画段階および実施段階において、マネジメントの強化を行う。具体的取組みとして、平成15年度においては、面的集中工事と掘り返し規制を一体的に実施する「掘り返し対策重点エリア」を三大都市において選定し、平成15年度内の集中工事、平成16年度以降の掘削規制を実施する。東京23区における実施予定箇所を表3-2および図3-4に示す。

表3−2
東京23区における掘り返し対策重点エリア予定箇所


図3−4
東京23区における掘り返し対策重点エリア予定箇所


道路工事改善委員会の設置

 これらの課題に対応し、道路利用者の立場に立った路上工事縮減施策を一層推進するため、「ユーザーの視点に立った道路工事マネジメントの改善委員会」(委員長:家田 仁東京大学教授)を設置し、学識経験者や道路利用者のご意見をいただきつつ、更なる改善策を検討していくこととしている。この委員会では、構成員による審議を行うだけでなく、委員会設置と同時にホームページを開設するなどして、一般の方からのご意見・ご質問等を募集している(http://www.dorokoji.net/)。いただいたご意見については委員会での審議内容に反映させるほか、ご質問・苦情等については、必要に応じて実際に路上工事を行っている関係各機関に回付し、回答および改善策の検討の要請を行うという試みも実施する。

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