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【指標−8】 1日当たりの平均利用者数が5,000人以上の旅客施設の周辺等の主な道路のバリアフリー化の割合(中間アウトカム指標)
現在の値約17%
中期的な目標平成22年度までに概成することを目標に、平成19年度までに約5割まで向上
平成15年度の目標約21%

(1)指標の現況値と数値目標

 本指標については、現在の約17%を、平成19年度までに約5割まで向上することを中期的な目標とする。(図8-1)
 そのため、平成15年度には、約21%とすることを目標として、歩行空間のバリアフリー化を推進する。

図8− 1 指標の現況値と数値目標


(2)指標の定義、位置づけ、目標

【指標の定義・位置づけ】
 本指標は、政策テーマ「暮らし」に関する施策の一つである歩行空間のバリアフリー化の進捗を表す中間アウトカム指標として採用したものであり、高齢者・身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(通称「交通バリアフリー法」※1)に基づく重点整備地区※2で設定された特定経路※3のうちバリアフリー化された道路の割合を示す。「バリアフリー化された道路」とは、車いすがすれ違うことができる幅員を有している、段差が解消されている、視覚障害者誘導用ブロックが設置されているなど、道路の移動円滑化整備に関する基準(「重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」※4)に定められた構造基準を満たし、高齢者・障害者にとっても円滑で安全に移動できる歩行空間が整備された道路のことをいう。
 なお、本指標は、現在定められている重点整備地区の特定経路におけるバリアフリー化の割合をもとに全国値を推計している。

【指標の示す目標】
 本指標の向上は、鉄道駅周辺の主な道路における歩行空間において、車いすがすれ違うことができる幅員を有する、段差が解消されている、視覚障害者誘導用ブロックが設置されているなどの条件を満たし、高齢者・障害者等誰もが安心・安全で通行しやすくなることを示す。

※1交通バリアフリー:交通バリアフリー法に基づき、公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上を促進するものである。(図8-2)

図8−2 交通バリアフリー法の枠組み


※2 重点整備地区:特定旅客施設(1日あたりの平均の利用者数が5,000人以上の旅客施設)を中心として設定される地区で、特定旅客施設との間の移動が通常徒歩で行われ、かつ高齢者、身体障害者等が日常生活又は社会生活において利用すると認められる官公庁施設、福祉施設その他の所在地を含み、また、周辺施設について移動円滑化のための事業が実施されることが特に必要であると認められること、移動円滑化のための事業を重点的括一体的に実施することが有効かつ適切であると認められる地区であるといった要件に該当する地区に設定される。
※3特定経路:特定旅客施設と、高齢者、身体障害者等が日常生活又は社会生活において利用すると認められる官公庁施設、福祉施設その他の施設との間の経路であり、市町村が重点整備地区について策定する基本構想において定められている。なお、基本構想は、146の重点整備地区(平成15年4月16日現在)において定められている。
※4「重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」の主なポイントは、以下の通りである。
@.歩道等
 
高齢者、身体障害者等が日常的に利用する旅客施設と官公庁施設や福祉施設との間の経路(特定経路)には、歩道を設けるものとする。
歩道の幅員は、少なくとも2メートル以上とする。
歩道等の舗装は、雨水を地下に円滑に浸透させることができる構造とする。
歩道等の縦断こう配は、5パーセント以下、横断こう配は、1パーセント以下とする。
歩道の高さは、5センチメートルを標準とする。
歩車道境界部の段差は、2センチメートルを標準とする。
A.立体横断施設
 
特定経路には、必要と認められる場所に、移動円滑化された立体横断施設を設ける。
当該立体横断施設には、原則として、エレベーターを設ける。
B.乗合自動車停留所
 
乗合自動車停留所の高さは、15センチメートルを標準とする。
C.路面電車停留所
 
乗降場の有効幅員は、島式の場合は2メートル、片側式の場合は1.5メートル以上とする。
乗降場と車両の床面とは、出来る限り平らとする。
D.自動車駐車場
 
自動車駐車場には、身体障害者用駐車施設及び身体障害者要諦者施設を設ける。
E.その他
 
必要な箇所には、案内標識及び視覚障害者誘導ブロック等を設ける。

(3)指標の示す現状と問題点

○ バリアフリー化の現状
 我が国では、世界でも類を見ないほど、急激に高齢化が進展しており、高齢化率は、2030年には約30%に達すると予測されている。(図8-3)
 また、障害のある人も障害のない人とともに生活し、活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」や誰もが使いやすい施設等のデザインを目指す「ユニバーサルデザイン」の考え方も広がっており、高齢者・障害者を含む全ての人が安心して安全に生活し、社会参加が図られるよう、自宅から交通機関、まちなかまで連続したバリアフリー環境を整備することが急務になっている。
 この一環として、歩道の段差解消や幅の広い歩道の整備、電柱の撤去等により誰もが安心して安全に通行できるよう歩行空間のバリアフリー化が必要となっている。(図8-4)
 歩行空間のバリアフリー化は、旅客施設やその周辺施設等のバリアフリー化を重点的かつ一体的に整備することが重要であり、このため、交通バリアフリー法に基づき関係者が互いに連携・協力して基本構想を策定し、重点整備地区を設定することが重要である。
 現在、交通バリアフリー法に基づく基本構想策定済み市町村は、対象となる562市町村のうち67市町村であり、また、これらに定められた特定経路のバリアフリー化率も17%にとどまっている。(図8-5)

図8−3 我が国の高齢化の現状と予測



図8−4 歩行者の立場から道路整備に望むこと(世論調査)





図8−5 市町村におけるバリアフリー基本構想の策定状況



(4)課題と講じる施策

○ 交通バリアフリー法に基づく重点整備地区における歩行空間のバリアフリー化の推進

 市街地の駅、商店街、病院等の主要ルートにおいて、高齢者、障害者をはじめとする誰もが安心して通行できるよう、幅の広い歩道の整備や歩道の段差解消、エレベーター等が設置された歩道橋の整備を推進する。特に、交通バリアフリー法に基づき、基本構想が策定された重点整備地区において積極的に推進する。(図8-6〜図8-10)

【関連するH15年度の主な施策】
歩行空間のバリアフリー化の推進


図8−6 歩道の幅員の考え方



図8−7 歩道の高さを5cmとし波打ちを解消したイメージ



図8−8 幅の広い歩道の整備



図8−9 歩道橋でのエレベーター設置

図8−10 ペデストリアンデッキ


(5)指標のバックデータ

1)バリアフリー基本構想の受理状況(平成15年4月16日現在)

 市町村名受理日 市町村名受理日
1 福岡県福間町H13.4.12 36 神奈川県藤沢市H14.9.30
2 北海道室蘭市7.4 37 千葉県柏市10.1
3 広島県呉市8.31 38 福岡県古賀市10.3
4 千葉県千葉市12.4 39 静岡県静岡市10.15
5 山梨県石和町H14.1.24 40 富山県魚津市10.17
6 大阪府守口市1.31 41 大阪府東大阪市10.18
7 鳥取県鳥取市2.13 42 千葉県袖ヶ浦市10.21
8 新潟県亀田町3.8 43 大阪府阪南市11.11
9 大阪府交野市3.12 44 兵庫県宝塚市11.14
10 大阪府八尾市3.14 45 兵庫県神戸市12.11
11 大阪府堺市3.20 46 東京都羽村市12.12
12 北海道千歳市3.20 47 東京都北区12.24
13 東京都荒川区3.25 48 新潟県新発田市H15.1.7
14 福岡県大牟田市3.28 49 愛知県春日井市1.7
15 千葉県船橋市3.29 50 静岡県焼津市1.10
16 富山県小杉町4.4 51 大阪府柏原市1.16
17 福岡県福岡市4.5 52 大阪府大阪狭山市2.3
18 兵庫県明石市4.8 53 大阪府茨木市2.6
19 香川県丸亀市4.9 54 新潟県長岡市2.10
20 石川県金沢市4.10 55 愛知県名古屋市2.14
21 北海道恵庭市4.25 56 大阪府藤井寺市2.24
22 埼玉県熊谷市4.25 57 北海道遠軽町2.24
23 神奈川県相模原市5.9 58 東京都千代田区3.12
24 滋賀県守山市5.29 59 三重県津市3.20
25 大阪府河内長野市6.3 60 宮城県仙台市3.24
26 広島県広島市6.3 61 大阪府堺市(2)3.26
27 神奈川県秦野市6.19 62 鹿児島県鹿児島市3.28
28 福岡県北九州市6.27 63 大阪府八尾市(2)4.1
29 大阪府豊中市7.1 64 東京都武蔵野市4.2
30 長崎県佐世保市7.22 65 岐阜県穂積町4.3
31 京都府長岡京市8.1 66 埼玉県深谷市4.4
32 長崎県長崎市8.22 67 大阪府吹田市4.4
33 長野県諏訪市8.30 68 東京都八王子市4.8
34 岐阜県各務原市9.17 69 大阪府柏原市(2)4.11
35 岐阜県可児市9.27 70 北海道札幌市4.16
※国土交通省資料に基づく。
※番号は受理順。複数作成の場合( )内に提出回数を記載。



2)バリアフリー基本構想の都道府県別受理状況(平成15年4月16日現在)


1日の利用者数5000人以上の旅客施設がある市町村における基本構想作成状況都道府県別集計
(「交通バリアフリー法に基づく基本構想作成予定調査(平成14年9月現在調べ)」より作成*。


平成14年9月〜10月調査をベースに平成15年4月16日までに基本構想を受理した市町村や協議会等を設置した旨の連絡があった市町村を反映した。
国土交通省資料に基づく。

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