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【指標−9】市街地の幹線道路の無電柱化率(中間アウトカム指標)
現在の値約7%
中期的な目標平成19年度までに約15%まで向上
平成15年の目標約8%

(1)指標の現況値と数値目標

 本指標については、平成14年度末の約7%を、平成19年度までに約15%とすることを中期的な目標とする。
 そのため、平成15年度中には、約8%とすることを目標として、無電柱化の促進を図る。(図9-1)
 また、都道府県庁所在都市における駅前通り等の主な道路について、平成19年度末までに概成することを目標とする。

図9−1 指標の現況値及び数値目標


(2)指標の定義、位置づけ、目標

【指標の定義・位置づけ】
 「市街地の幹線道路の無電柱化率」は、市街地*の幹線道路*の総延長(約22,000km)のうち、電柱・電線のない延長の割合を示す。
 電線類の地中化等による道路の無電柱化は、市街地などでの安全で快適な通行空間を確保するとともに、都市の景観、防災性を向上させるなど生活の質の向上を図るもので、政策テーマ「暮らし」に関する施策である。この政策の進捗を表す中間アウトカム指標として本指標を採用した。

*「市街地」とは、都市計画法における市街地化区域及び市街化区域が定められていない人口10万人以上の都市における用途地域をいう。
*「幹線道路」とは、道路種別で規定されるものではないが、ここでは一般国道及び都道府県道をいう。
*本指標の数値目標等については、平成15年7月31日発表の内容に比べて上方修正した。


【指標の示す目標】
 「市街地の幹線道路の無電柱化率」の向上は、市街地の幹線道路において、電線及び電柱がなくなり、快適な通行空間が確保されるとともに、都市の景観、防災性等が向上することを意味する。

(3)指標の示す現状と問題点

1)無電柱化の現状
 我が国においては、これまで国土交通省と関係省庁、関係事業者の協力のもと、昭和61年度から3期にわたる「電線類地中化計画」に基づき、平成10年度までに約3,400kmの地中化を達成し、現在、平成11年度から15年度までを計画期間とする「新電線類地中化計画」に基づき、さらに3,000kmの地中化を目標に鋭意推進しているところである。
 しかし、無電柱化率は、全国の市街地等で約1.5%に過ぎず、欧米主要都市であるロンドン、パリ、ボンなどが100%地中化されているのと比較して、依然として大きく立ち遅れているのが現状である。(図9-2)
 また、身の回りの生活空間を構成する非幹線道路の無電柱化率は、幹線道路に比べ、一層低い状況である。



図9−2 欧米主要都市と日本の都市の地中化の現状


2)道路管理者の果たす役割
 現在、電線類の地中化は、平成7年に制定された「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」に基づく電線共同溝方式を中心に整備しているところである。
 この方式は、道路管理者が電線を地中に収容する管路部分を建設し、その中に電線管理者が電線等を敷設する方式で、道路管理者と電線管理者(電気、通信、CATV等)の費用負担は概ね7:3となっており、他の地下埋設施設(上下水道、ガス等)や欧米における電線類の埋設と比較しても、道路管理者が果たす役割が大きくなっている。(図9-3)


図9−3 電線類地中化の施工区分


(4)課題と講じる施策

1) 平成15年度中に関係行政機関・関係行政機関等との連携を図り、平成16年度を初年度とする新たな「電線類地中化計画」を策定
 平成11年3月に策定した「新電線類地中化計画」においては、比較的大規模な商業地域、オフィス街、駅周辺地区などに加え、新たに中規模程度の商店街の道路や住居系地域の幹線道路なども整備対象とし、同年11月には経済対策閣僚会議による「経済新生対策」において、新電線類地中化計画の目標を2年前倒して、現在、平成11年度から15年度までの5年間で3,000kmの地中化を目標に整備を推進しているところである。
 平成15年3月には、関係副大臣により「電線類地中化の着実な推進に向けた基本方針」が合意され、平成15年度中に以下を基本的な推進方針とする新たな「電線類地中化計画」を策定することとしている。
  1. まちなかの幹線道路については、引続き重点的に整備を推進
  2. 都市景観に加え、防災対策(緊急輸送道路・避難路の確保)、バリアフリー化等の観点からも整備を推進
  3. 良好な都市環境・住環境の形成や歴史的街並みの保全等が特に必要な地区においては、主要な非幹線道路も含めた面的な整備を実施
2)都市景観に加え、防災対策、歴史的街並みの保存等の観点から、電線類地中化を重点的に推進
 前述の「電線類地中化の着実な推進に向けた基本方針」において、まちなかの幹線道路に加え、良好な都市環境・住環境の形成や歴史的街並みの保全等の観点から、特に整備が必要な地区においては、主要な非幹線道路も含めた面的な整備を進めていくこととしている。
 また、平成15年7月に発表した「美しい国づくり政策大綱」に基づき、観光振興等の観点からも電線類地中化を推進していく。



図9−4 幹線道路における地中化整備イメージ


3)さらなる簡便でコスト縮減が可能な地中化方式の導入

 国・地方公共団体の財政状況の悪化や電力・通信分野の自由化の進展等に伴う電線管理者の経営環境の悪化により、電線類地中化の推進にあたっては、さらなる簡便でコスト縮減が可能な地中化が求められており、以下の手法によりコスト縮減を図ることとしている。

(1)同時施工都市部のバイパス事業、拡幅事業、街路事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業、バリアフリー化事業に併せて、電線共同溝等を原則同時施工
(2)浅層埋設方式の導入従来よりコンパクトで簡便な浅層埋設方式を標準化
掘削埋め戻し土量の削減等により概ね2割のコスト縮減を目標
(3)既存ストックの有効活用既設の地中管路について、管路所有者と協議の上可能であれば、電線共同溝等の一部として活用
(4)地中化以外の無電柱化手法の導入非幹線道路を中心に、軒下配線・裏配線等の手法も導入


【関連する平成15年度の主な施策】
電線類地中化の推進、さらなる簡便でコスト縮減が可能な地中化方式の標準化(図9-5)


図9−5 さらなる簡便でコスト縮減が可能な地中化方式


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