社会資本整備審議会道路分科会「基本政策部会」のページ

第15回基本政策部会
日 時平成18年3月9日(木)14:00〜16:00
場 所国土交通省11階 特別会議室
部 会 長
森 地   茂
政策研究大学院大学教授
委   員 
越澤 明
北海道大学大学院教授
委   員 
残間里江子
(株)キャンディッド・コミュニケーションズ゙代表取締役
委   員 
  白石 真澄
東洋大学助教授
委   員
家田 仁
東京大学大学院教授
委   員
中条 潮
慶應義塾大学教授
委   員
波頭 亮
経営コンサルタント
委   員
リチャード・クー
(株)野村総合研究所主席研究員
委   員
山内 弘隆
一橋大学教授
       (平成18年2月14日現在)
       ○は出席した委員

経済・社会の今後の動向/・将来の国土を支えるネットワークのあり方
1. ネットワークの話は大事なので、「経済と社会の今後の動向」から「ネットワークのあり方」につながる筋道をきちんとつけることが必要。
2. 資料には示されていないが、イタリアの人口減少は日本と同じような形を示しているはず。
3. 今後、人口が減って余力がない中で、なぜまだ道路をつくろうとするのかが疑問。昭和62年の計画(高規格幹線道路)をいかに圧縮するかが今の道路行政の課題のはず。
4. 一定距離以上のトリップがもっと高速を使えるようにするべきということを伝えるためには、50km以上走行する人の中でどれだけの人が現在高速を使っているのかというデータで説明すべき。
5. 代替路線は高速道路だけで確保するのでなく、地域高規格道路や改良済みの道路なども含めて考えた上で代替性担保というと国民も理解できる。
6. 人口密度が低くなっていく社会で、どのくらいの人口密度に対してどれくらいのサービスレベルを先進諸外国では持たせているのかという比較をすべき。
7. 昭和62年当時は1時間アクセス率を目標にしていたが、今要求されるサービスレベルは果たしてそれでいいのか計画論までさかのぼって検討することが必要。ただし、全て「フル規格」かつ「有料」を想定していた時代からは随分と時代が変わった。
8. ユーザーの視点はやはりコスト。日本は陸運があまりにも高い。それは高速道路が高いから。長期的な競争力を考える上で、わざわざ日本のメーカーが釜山経由で持って行かなくても、陸運がそれで対応できるような状況を構築すべき。
9. 社会経済動向の中で、「地方分権」や「財政再建」も大きな流れなので盛り込んだ方がいい。
10. ネットワークの体系・分類の中で国がすべきこと、地方へはどこまで支援するのかという考え方の整理が必要。国道の指定区間外とは何なのか考え直すときではないか。

都市交通の新しい秩序づくり
1. なぜ公共交通機関を優先すべきなのかというロジックが不明。都市構造再編の方が重要。高齢者・身障者にとって公共交通は使いにくい。また、なぜ中心市街地を活性化させなければならないのか。市街地の防災は重要。
2. 都心を大事にするということは魅力を上げるということ。都市交通や都市構造、道のあり方が重要。踏切の問題は渋滞だけではなくて、道路の交通事故、鉄道の事故という面でも問題。
3. 自転車道整備はいいが、自転車をどこにとめるかも考える必要がある。
4. 外国は立派な駐車場や駐輪場がきちんと整備されているが、日本は駐車場も駐輪場もない。
5. 大都市と地方の県庁都市をそれぞれどういう体系にするかという空間概念や理念がないと、特色を出せといっても無理。環状道路や駐車場、公共交通などをもっと集中的に投資しないと変わらない。
6. 国としては、新しく質を高めるのを応援していくのか、非常に災害上危ない場所の解消を支援するのか、重視すべきところをはっきりと打ち出すべき。
7. 都市の郊外化(スプロール)を止めようとするなら相当のコストがいるが、それに必要なコストはいくらかというように、成功のためのクリティカルマスの計算が必要。
8. 都市中心部の状況については、70年代終わり頃は欧米も日本と同じ状況だったが、欧米では公共交通支援、駐車場整備、TDM、歩道ゾーン拡大などいろいろと努力してあそこまできた。日本でも間に合うところはきちんとやればいいが、すでに手遅れの地域も多いと思う。そういうところは自動車交通中心に置き換えざるを得ないのでは。それでもいい町にする努力やまだ間に合うところについては今からでも遅くないから努力することが重要。

良好な沿道環境の保全・再生・創造と地球環境問題への対応
1. 環境保全の基準は地域に応じたものでいいのでは。また、CO2の削減目標を達成したら、経済成長の鈍化が生じて、結果的にCO2は目標以上に削減されるのではないか。
2. CO2排出量が、97年から03年までの間で下がっているが、地方と首都圏ではその内訳が異なると考える。それぞれ対策も違うはず。渋滞は、交差点などの影響も大きい。信号制御でどの程度改善できるかのスタディも必要。
3. 社会空間の中で道路は非常に大きな公共空間であり、品格とか歴史とかそういうことを通じて道路行政をやっていく、そのための手段の無電柱化というようなロジックが欲しい。

その他
1. 信号と道路の連結、道路と単体対策など、周辺分野との関係をどう考えていくか。道路単体では政策に限りがある。道路ハードそのものよりも、ITSなどが全体で強調されてもいい。
2. 道路をよりよい形で維持するには、今後国として良いところを積極的に応援していくことが必要。また、外環など全国でPIが広がったが、PIを実施した意味を一回総括すべき。
3. 世の中でも大きいテーマである首都直下型地震への対応という観点も必要。
4. 海外と比べたコストはどうかという観点は経済界にも歓迎される。また、人口は減っていくが、こういうふうに持って行きたいという問題意識をもう少しはっきり出ないだろうか。
5. 全体のストーリーの展開がそろそろ必要。まず、道路行政をとりまく概況をとらえ、道路の特記すべき提案、理想を掲げ、その上で、制約や制限を考慮しつつ具体的な計画と優先性を提示すべき。
6. 今までやってきたこと、やり残したこと、これから何をどうやろうとするかをきちんと分けして議論を進めたい。必ずしも全国同じように変えるというだけではなく、どこかでこういうことをやったらということも含め、どんどん意見をだして議論していただきたい。
All Rights Reserved, Copyright (C) 2006, Ministry of Land, Infrastructure and Transport