部会概要
 
第6回基本政策部会内容
日 時
平成14年5月22日(水) 13:00〜15:00 
場 所
国土交通省4階特別会議室
部 会 長
中村 英夫
武蔵工業大学教授
部会長代理
 
横島 庄治
高崎経済大学教授
委   員
 
越澤 明
北海道大学大学院教授
委   員
残間里江子
潟Lャンディッド・コミュニケーションズ゙代表取締役
委   員
白石 真澄
東洋大学助教授
委   員
家田 仁
東京大学大学院教授
委   員
中条 潮
慶應義塾大学教授
委   員
波頭 亮
鰍wEED代表取締役社長
委   員
リチャード・クー
竃村総合研究所主席研究員
       ○は出席した委員
 

第1回部会資料−2「基本政策部会の運営について(案)」に基づき、委員氏名は○○としています。
 
「進め方を改革する」をテーマに開催。

 第6回部会では、道路政策の「進め方を改革する」ことについて、中条委員、家田委員からの発表があり、それを受けて議論が行われました。

中条委員が「21世紀における道路整備組織・財源のありかた」を発表。

 「進め方を改革する」について議論するにあたり、中条委員(慶應義塾大学教授)より発表が行われました。中条委員発表では、市場化・商業化のグローバリゼーションが進展し、21世紀の経済社会はオープン化の世紀になると指摘しています。
  このような背景認識のもと、社会資本整備、道路整備の進め方について、以下のような方針を示しています。

・社会資本整備に分権的意思決定メカニズムの活用を
   〜社会資本も分権化(市場メカニズムの活用と地方分権化)の時代に〜
  (1) 先行投資型から需要即応型・即戦力型へ
  (2) 集権的意思決定システムから分権的意思決定システムへ
  (3) 内部補助体系の是正
  (4) 政治的資金配分ルールからの脱却
  (5) 周辺整備との経営一体化を
・市場機構の活用と民営化
  (1) 経営の効率化
  (2) "going concern"としての民間会社の視点に立てば、多くの課題が解決可能
  (3) 利用者意識・国民意識の改革 〜「ノー」と言える道路会社に〜
  (4) 民営化の条件 〜民営化すればイイってもんじゃない
・規制改革の精神に反する道路特定財源の一般財源化
   〜特別会計を民営化して市場メカニズムの機能を最大限発揮させるべきであり、一般財源化は選択されるべきではない〜
  (1)「道路は無料」という誤解 〜ガソリン税は税ではなく利用料〜
  (2)「税の裁量性」という議論の誤り
  (3)道路以外への支出の非合理性
  (4)特別会計は可能な限り民営化せよ
 
家田委員が「ユーザーオリエンティッドな道路行政の仕組み作り」を発表。

 続いて、家田委員(東京大学大学院教授)より発表が行われました。家田委員発表では、基本的な考え方として、道路関係税の納税者だけでなく1億3000万人が道路ユーザーであること、現道のマネジメントが道路行政の原点であること、「工事」型道路行政から「成果」型道路行政への転換が必要であること、の3点が示されました。
  また、具体的な仕組みとして、「協働型道路パフォーマンスマネジメントの導入〜機能と空間の総合管理〜」が提案されました。
  (1) ユーザーサービスの評価と診断のシステム作り (即地主義、診断機能、サービスベースの組織変更、評価・診断の専門組織化 など)
  (2) ユーザーとの協働型道路マネジメントの導入 (道路マネジメントの「場づくり」、主導的な協働マネジメント など)
  (3) 「道路のしみだし」=道路周辺境界領域への貢献を進めるべき (ユーザーにとって問題の多い境界領域、道路行政がユーザーを捉える試金石 など)
  (4) 試験導入と社会実験をスタートすべき (必要な仕組みづくりとソフト開発、ファインチューニング など)
 
部会では、委員を中心に活発な議論を展開。
  • 道路には地域と地域を結ぶ道路もあり、都市計画などとは異なり、必ずしも地域住民の意向がすべてではない。道路の特異性を考慮することが必要。
  • 日本は欧米に比べ地域独裁主義。住民一人の反対で国の施策が止まってしまう。欧米ではそのようなエゴを排除できる制度を持っている。前提が異なるので、市民参画に関する海外の制度をそのまま持ってくることはできない。
  • 真のユーザーはバスやタクシーなど本当に道路を使っている人である。日本では、「ユーザー=地域住民」となっている。
  • (地域に合わせた道路構造に関し)歩道を狭めて車道を広くするという考えはないのか。また、一度2車線でつくってしまうと、将来4車線にするのはほとんど不可能。将来の需要を見定めることが必要。
  • 「命」に関しても、便益とコストを考えるべき。
  • 地方分権は地域エゴとして捉えるのではなく、地方の自己責任原則と考えるべき。
  • 経済効率だけではなく、今後は人命や環境といった観点も重要。また、その時々の世論も見据えていかなければいけない。
  • アウトカム指標を全国一律で考えることができるのか。都市部では渋滞や輸送コスト、地方部では高次医療施設への到達時間など、異なってくるはず。地域特性とアウトカム指標の選別が重要。
  • 地域のエゴで道路ができないなら、それも地域の責任。地域の中で反対者を説得すべき。地域に自己責任と負担を求めることが重要。
  • 安全と経済を比較するのではなく、安全性を保つために、費用対効果の観点でどの政策を選ぶべきかということ。
  • 既存道路については地域住民は強い関心を持っている。現道マネジメントには地域住民を参画させるべき。
  • 新たにつくる道路についてはいいものをつくるべき。どのような道路をつくるかは、地域特性によって柔軟に考えるべき。地方では2車線から4車線にするのは比較的容易だろうが、都市部では絶対無理。
  • 地方の自己責任原則でやるべき道路と、地域間移動のための道路のように地域だけで決められない道路がある。
  • きちんとしたアウトカム指標、コストベネフィットが重要。その際、基準、計算方法、ウェイト付けなどで結果は大きく変わってくる。スタンダードの詰めの部分までこの部会で細かくチェックすることが必要。
  • 評価については、単純な話ではなく、すぐに科学的、客観的に出すのは難しい。これまで公共事業全体について検討してきたところだが、その検討状況について、事務局から説明してほしい。
次回の部会の進め方について合意。

次回の部会については、以下のように進めることが合意されました。
  • これまでの部会における論点を整理し、中間報告の作成に向けた意見交換を実施する。
 
 
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