部会概要
 
第3回基本政策部会内容
日 時
平成14年4月9日(火) 15:00〜17:00 
場 所
国土交通省11階共用会議室
部 会 長
中村 英夫
武蔵工業大学教授
部会長代理
横島 庄治
高崎経済大学教授
委   員
越澤 明
北海道大学大学院教授
委   員
残間里江子
潟Lャンディッド・コミュニケーションズ゙代表取締役
委   員
 
白石 真澄
東洋大学助教授
委   員
家田 仁
東京大学大学院教授
委   員
中条 潮
慶應義塾大学教授
委   員
波頭 亮
鰍wEED代表取締役社長
委   員
リチャード・クー
竃村総合研究所主席研究員
       ○は出席した委員

第1回部会資料−2「基本政策部会の運営について(案)」に基づき、委員氏名は○○としています。
 
「経済活力を高める」をテーマに開催。

第3回部会では、「経済活力を高める」ための道路政策のあり方について、波頭委員、クー委員からの発表があり、それを受けて議論が行われました。

波頭委員がテーマに沿って発表。

「経済活力を高める」について議論するにあたり、波頭委員(鰍wEED代表取締役社長)より発表が行われました。波頭委員発表では、背景認識として、これまでの基本政策は量的拡大重視であり、20年遅れの高度経済成長意識を終焉させる必要があると指摘しています。
その上で、これからの道路行政の基本方針として、「人・物の輸送効率を高めるという目的に対して、経済効果の高い事業を重点的、選択的に行う」ことを主張しています。
また、そのための重要課題として、以下の2項目を提示しています。

(1) 評価基準となる指標の設定
・ 投入コストの算定
・ アウトカム指標の設定
(2) 決定・実施プロセスの見直し
・ 企画・決定・実施それぞれの主体者/責任者の見直し
・ 企画・決定・実施に関する手続き・関係法整備
・ 評価・監督機能のビルトインのしくみ作り

最大のポイントとして
1.B/Cによって、判断/決定すると謳うこと
2.そのためのトゥールとして、アウトカム指標を正式に導入すること
を提案しています。
クー委員が「クー委員が「今なぜ公共事業なのか、今なぜ道路整備なのか」を発表。

続いて、クー委員(竃村総合研究所主席研究員)より「今なぜ公共事業なのか、今なぜ道路整備なのか」と題して発表が行われました。クー委員発表では、日本経済の低迷に対する正しい処方箋として政府の支出拡大が必要と主張し、今の日本は公共事業を実施する歴史的チャンスであるにもかかわらず、国民からの拒否反応があるのは政策担当者側が大いに反省すべきだと指摘しています。
日本がおこなうべき公共事業については、住宅と道路事情という二点に改善の余地が有り余るほどあり、特に道路については渋滞解消と高コスト・高料金の是正が急務であるとし、巨額の血税をかけて造った道路が機能せず、ユーザーコストの削減と渋滞の抑制という点で国民の期待を下回っており、既存の道路の有効利用を徹底的に追及した上で新しい道路の話をした方がよい、と分析しています。また、具体的な方策として、以下のような提案をしています。
  • (歩道や花壇を少し狭めて車線を確保するなど)少しの調整や工夫で有効に道路を使えるよう行政がフレキシビリティを持つべき。
  • 駐車だけでなく停車を禁止するレッドゾーンを公平かつ最小限に設定し、違法駐車を徹底的に排除。
  • 首都高速で料金を支払った後は一定時間出入り自由に――下の道も有効に活用。
  • 建設工事のスピードアップと効率化。
  • 民間感情を逆なでするような行動(生産性の低い公共事業)は禁止。

部会では、委員を中心に活発な議論を展開。
  • 今の公共事業に対するアレルギーは地方優先に原因があるのではないか。今の地方は結構いい暮らしをしていると思う。他の先進国と比較して遅れているのは、都市部の住居と道路である。
  • 公共投資の効果は確かにある。ただし財政の枠を考えるべきであり、どこかにオプティマムポイントがあると思う。このオプティマムポイントを探すためのツールとしてB/Cを使うべき。
  • B(便益)の範囲を、自専道、幹線道路、生活道路という道路の種類によって変えるという考え方はよい。例えば、自専道、幹線道路については、物流や移動性の観点を重視するなど。
  • 道路事業は、最もB/Cを一生懸命やってきたが、非市場的な価値をどうやって計測するかが課題。また、結果が開示されていないことが問題。
  • 道路の種類によって、それぞれのパフォーマンスを考えるのは重要。重みを変えてB(便益)を算定することを検討中。
  • アクアライン、本四道路については、交通量予測に失敗したが、その(失敗した)結果に基づいて作っているのでは。これを止めるのがB/Cの徹底。
  • 大規模な事業は何年も前から計画するので、社会状況の変化等により外れることがあり、シナリオをいくつか設定するしかない。なるべく早くやること、決めたことについて柔軟に見直しを行うことも重要。
  • 公共事業が変わったというシンボリックなものがあれば、気運が変わると思う。PRも含めて考えてもらうことが必要。
次回の部会の進め方について合意。

次回の部会については、以下のように進めることが合意されました。
  • 横島部会長代理、家田委員より、テーマ:「地域の魅力を育てる」に関する提案が行われる予定。
 
 
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