第7章 案内標識 7−1 案内標識 (案内標識) 第33条 交差点、駅前広場その他の移動の方向を示す必要がある箇所には、高齢 者、身体障害者等が見やすい位置に、高齢者、身体障害者等が日常生活又は社会 生活において利用すると認められる官公庁施設、福祉施設その他の施設及びエレ ベーターその他の移動の円滑化のために必要な施設の案内標識を設けるものと する。 (1)概説 高齢者や身体障害者等が迷うことなく目的地に到達できるよう、「道路標識、区画 線及び道路標示に関する命令」(昭和35年総理府令、建設省令第3号)(以下「標 識令」という。)等に基づき、分岐点や交通結節点等の主要地点において道路標識を 設置し、目的地又は中継地となる旅客施設や官公庁施設、福祉施設等の位置や方向 等の情報提供を的確に行うこととする。また、エレベーター等の移動を支援する施 設や高齢者、身体障害者等の使用を配慮した便所、駐車場等の施設(以下「バリア フリー施設」という。)等の位置や方向等の案内もあわせて行うものとする。 また、「著名地点」を表示する案内標識には、必要がある場合に、現在位置、当該 案内標識に示す著名地点及び表示する必要のある立体横断歩道等のバリアフリー施 設の位置等を表示する地図を附置するものとする。 目的地まで迷うことなく円滑に到達するには、その途中が移動円滑化されているか 否か、又は、バリアフリー施設の位置等の情報を、事前の行動決定に役に立つよう分 岐点や交通結節点等適切な場所において、わかりやすく提供することが必要である。 道路空間におけるそれらの情報提供の手段として、道路案内標識や地図等による案内 標識の整備が行われているところである。移動円滑化を促進する案内標識の整備にお いては、一般的に、高齢者や視覚障害者、車いす使用者、聴覚障害者、外国人等さま ざまな利用情報のコミュニケーション制約を抱えている利用者に対しても、共通の情 報を得られるように工夫することが必要である。案内標識の見やすさと分かりやすさ を確保するためには、情報内容、掲出位置、表現様式(表示方法とデザイン)の三要 素をそれぞれ考慮することが不可欠である。 そのため、本基準、標識令及び関連する通達(道路標識設置基準(昭和61年都市 局長、道路局長通達))等に基づき、適切な案内標識を設置する必要がある。 7−2 道路案内標識 (1)情報内容 1)著名地点を表示する案内標識 著名地点を表示する案内標識の標示板には、必要がある場合は、日本字の左又は 右に車いすを使用している者その他の高齢者、身体障害者等の円滑な通行に適する 道路を経由する旨を表す記号を表示するものとする。 著名地点を表示する案内標識には、必要がある場合には、当該案内標識の位置、 当該案内標識が表示する著名地点の位置及び表示する必要のある立体横断施設その 他の施設の位置を表示する地図(その略図を含む。)を附置するものとする。 著名地点案内標識に身体障害者の円滑な通行に適する道路を経由する旨を表す国際 シンボルマークを表示するときは、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一 部改正に伴う道路標識の取扱いについて」(平成13年3月1日国道企第22号)によ るものとする。 以下に、身体障害者等の円滑な通行に適する道路を経由する旨を示す記号を表示し た例を示す。  図7-2-1 著名地点を表示する案内標識 また、駅前広場、地下鉄の出入口等の場所において、必要な著名地点の標識に地図 を付置することができるものとする。地図の設置、様式等については「7−3 地図」 によることとする。地図を附置する要件は、「道路標識、区画線及び道路標示に関する 命令の一部改正に伴う道路標識の取扱いについて」(平成13年3月1日国道企第2 2号)によるものとする。 2)歩行者用案内標識  歩行者用案内標識として、エレベーター、エスカレーター、傾斜路、乗合自動車停 留所、路面電車停留場及び便所を表示する案内標識を設置するものとする。 表7-2-1 歩行者用案内標識 種 類 設置場所 図  柄 エレベーター エレベーターが設置され ている場所を示す必要が ある地点 エスカレーター エスカレーターが設置さ れている場所を示す必要 がある地点 傾 斜 路 傾斜路が設置されている 場所を示す必要がある地 点 乗合自動車停留所 乗合自動車停留所が設置 されている場所を示す必 要がある地点 路面電車停留場 路面電車停留場が設置さ れている場所を示す必要 がある地点 便  所 便所が設置されている場 所を示す必要がある地点 シンボルマークの部分の大きさは、30cm×30cmを標準とする。寸法の詳細につ いては、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部改正に伴う道路標識の取扱い について」(平成13年3月1日国道企第22号)によるものとする。 エレベーター、エスカレーター、傾斜路及び便所を表示するものについては、記号を青色 の地に白色、矢印及び縁線を青色、縁及び地を白色とする。また、乗合自動車停留所及び 路面電車停留場を表示するものについては、文字、矢印及び縁線を青色、記号を青色の地 に白色、縁及び地を白色とする。 上記標識には、施設に応じて以下に示す内容を表示するものとする。 @エレベーター、エスカレーター、傾斜路、乗合自動車停留所、路面電車停留場及 び便所を表示する案内標識の標示板には、必要がある場合は、当該施設の設置場 所までの距離 Aエスカレーターを表示する案内標識の標示板には、必要がある場合は、昇降方向 を表す矢印 B乗合自動車停留所及び路面電車停車場を表示する案内標識の標示板には、必要が ある場合は、当該停車所の名称 C駐車場、エレベーター、傾斜路及び便所を表示する案内標識の標示板には、必要 がある場合は、車いす使用者その他の高齢者、身体障害者等の円滑な利用に適す る施設である旨を表す記号(国際シンボルマーク) @からCまでについて、それぞれに示す内容を表示した例を以下に示す。  エレベーター、エスカレーター、傾斜路、乗合自動車停留所、路面電車停留場及び 便所を表示する案内標識の標示板に必要があり、当該施設の設置場所までの距離を示 す場合には、その距離をできる限り正確に示すことが望ましい。 図7-2-2 エレベータの設置場所までの距離を表示した例 図7-2-3 エスカレーターを示す案内標識の標示板に昇降方向の矢印を表示した例 図7-2-4 乗合自動車停留所の案内標識の標示板に、停留所の名称を表示した例 バリアフリー施設等を表示する歩行者用案内施設に身体障害者を表す国際シンボル マークを表示するときは、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部改正に 伴う道路標識の取扱いについて」(平成13年3月1日国道企第22号)によるものと する。 図7-2-5 駐車場を表示する案内標識の標示板に身体障害者等の円滑な利用に適す る施設である旨を表す記号を表示した例 図7-2-6 便所を表示する案内標識の標示板に身体障害者等の円滑な利用に適する施 設である旨を表す記号を表示した例 参考 「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部改正に伴う道路標識の取扱いに ついて」(平成13年3月1日国道企第22号) U 標識の設置等について 2.「身体障害者マーク」を表示する標識の取扱いについて (1)車いすを使用している者その他の高齢者、身体障害者等の円滑な利用に適する施設で ある旨を表す記号(以下「身体障害者マーク」という。)を表示する「エレベーター(1 21−A〜C)」は、以下の全ての条件に適合するエレベーターに対するものであること。 @かごの床面積は1.83u以上、かごの奥行きは1.35m以上であること。 Aかご及び昇降路の出入口の有効幅は80cm以上であること。 Bかごの平面形状は、車いす使用者の回転に支障のない構造とすること。 C「重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」(平成 12年建設省令第40号。以下「バリアフリー基準」という。)第12条第8号から 第13号に規定する装置、操作盤等を有する構造とすること。 (2)「身体障害者マーク」を表示する「傾斜路(123−A〜C)」は、バリアフリー基準第13 条に規定する傾斜路に対するものであること。 (3)「身体障害者マーク」を表示する「便所(126−A〜C)」は、バリアフリー基準第30条 から第32条に規定する便所に対するものであること。ただし、第31条第2項第4 号の規定(水洗器具)は、当分の間、当該条件から除外することとし、当該水洗器具 を有する便所には、当該標示板にその旨を表す表示(別添3)を添付すること。 (4)「身体障害者マーク」を表示する「駐車場(117−A・B)」は、以下の全ての条件に適合 する駐車場に対するものであること。 @幅員が3.5m以上の身体障害者用駐車施設を設けることとし、身体障害者用である 旨を見やすい方法により表示すること。 A歩行者の出入口の有効幅は80cm以上とし、戸を設ける場合においては、当該戸は、 自動的に開閉する構造又は車いす使用者が円滑に開閉できる構造とすること。 B身体障害者用駐車施設へ通ずる歩行者の出入口から当該身体障害者用駐車施設に至る 通路のうち、1以上の通路の有効幅員が1.2m以上とし、通路の全体或いは適当な 部分で車いす使用者の回転に支障のない構造であること。 Cエレベーターを有する場合には、当該エレベーターの構造は2.(1)に掲げる条件 に適合するものであること。 D傾斜路又は階段を有する場合には、当該傾斜路又は階段の構造は、それぞれバリアフ リー基準第13条又は第16条に規定したものであること。 E便所を有する場合には、当該便所の構造は、2.(3)に掲げる条件に適合するもの であること。 (5)これまでに設置した便所を有する駐車場を表示する標識については、上記趣旨に照ら して必要な見直しを図ること。 3.「著名地点」を表示する案内標識の取扱いについて (1)「著名地点(114−B)」に、車いすを使用している者その他の高齢者、身体障害者等 の円滑な通行に適する道路を経由する旨を示す記号(2.(1)に示した「身体障害 者マーク」と同じマーク)を表示することができる場合は、以下の全ての条件に適 合する場合であること。 @当該著名地点で表される施設が高齢者、身体障害者等が利用する施設として対応され ている施設であること A当該著名地点と当該標識の設置地点間の矢印で示す経路が、以下の全ての条件に適合 する場合であること a)歩道等にあっては、バリアフリー基準第4条(附則第2項の要件を適用する場合を含 む。)、第5条第2項、第6条、第9条、第10条(附則第4項の要件を適用する場合 を含む。)に適合する構造を有すること b)立体横断施設にあっては、バリアフリー基準第11条、第13条、第14条、第15 条、第16条及び2.(1)に規定する基準に適合する構造を有すること (2)駅前広場、地下鉄の出入口等の場所において、次の何れかの要件に該当する場合 には、必要な著名地点の標識に地図(その略図を含む。)を付置することができるも のとすること。 @高齢者、身体障害者等が日常生活又は社会生活において利用すると認められる官公庁 施設、福祉施設その他の施設及びエレベーターその他の移動の円滑化のために必要な 施設を案内する必要がある場合。 A著名地点を表示する標識の標示板を複数設置しなければならず、かつ当該案内が輻輳 する場合。 (2)設置計画 標識の設置は、標識令によるもののほか、既に設置している道路標識等との整合を 図るとともに、この機会に既存標識の点検・見直しを行い、周辺の景観にも十分配慮 しつつ、必要に応じて標識板の共架、設置場所の統合・改善、新標識への切替え等を 積極的に行って、安全かつ円滑な道路交通を確保するものとする。 1)案内標識の掲示位置 案内標識の掲示形式は、車いす使用者その他高齢者を対象とすることを考慮し、路 側式を標準とするものとする。 案内標識の掲示位置については、道路標識設置基準に基づき、表7-2-2のとおりと する。 表7-2-2 案内標識の掲示位置 標示板の高さ 標示板の設置高さ(路面から標示板の下端までの高さ)は、1.8mを標準と する。なお、著名地点を表示する案内標識については、歩行者等の通行を妨げる おそれのない場合、必要に応じて標示板の設置高さを1.0mまで低くすること ができる。 支柱の設置位置 歩道を有する道路において歩道等に標識を設置する場合は、原則で歩車道境界 と標識間を25cm以上離すものとする。 2)著名地点案内標識の設置位置 歩行者のための著名地点案内標識は、歩行動線の起点,歩行動線の分岐点に設置し 方面・方向の案内を行うものとする。このため、設置計画は、既設の標識や案内板等 を勘案し次の3つの項目に留意してたてる事が必要である。 (a)歩行動線の起点の案内 駅を降りた人や、駅周辺に集まる人に、歩行動線の起点で目的地の方面・方向の 見当をつけやすく、また、著名施設の案内をするために駅前等に設置する。 (b)歩行動線の分岐点の案内 分岐の方面・方向を案内するために、歩行動線が分岐する箇所、歩行動線上の主 要な交差点に設置する。また、駅等からの著名施設の案内を受けて、著名施設への 分岐点に設置する。 (c)著名施設の案内 著名施設の近くの交差点,入り口に設置する。 3)バリアフリー施設等を表示する歩行者用案内標識の設置位置 バリアフリー施設等を表示する歩行者用案内標識は、原則として、表7−2−3に示 す場所の何れかに該当する場所に設けるものとする。また、これら以外の場所につい ても、歩行者等の行動特性等を考慮して、必要に応じ設けるものとする。 当該案内標識は、設置する壁面、場所等を勘案してその種類を選定するとともに、 当該設置場所の建築限界を勘案して、歩道等を通行する歩行者より見えやすい位置及 び向きに設置するものとする。 道路施設以外の施設を当該案内標識により案内する場合には、あらかじめ当該施設 の管理者との調整を図ることが必要である。 表7-2-3 バリアフリー施設等を表示する歩行者用案内標識の設置位置 種類 設置場所 エレベーター、エスカレーター、及び傾斜路 @立体横断施設に設けるエレベーター、エスカレーター又は傾斜路の 昇降口近傍(概ね10m程度)において、これら施設が確認しにくい 地点から視認できる場所 A上記@に示す施設の昇降口で、これら施設の昇降口である旨を表す 必要のある場所(道路施設である壁面を含む) B道路施設以外のエレベーター、エスカレーター又は傾斜路のうち、 一般の歩行者等が利用することが見込まれるこれら施設の昇降口近 傍において、当該施設が確認しにくい地点から視認できる場所 C上記Bに示す施設の昇降口において、これら施設の昇降口である旨 を表す必要のある場所(当該施設の利用時間が限られている場合に は、その時間帯も併せて明示すること) 乗合自動車停留所 @鉄道駅、旅客船ターミナル等の出入口付近において、当該乗合自動 車停留所が確認しにくい地点から視認できる場所 A乗合自動車停留所である旨を表す必要のある場所(道路施設である 上屋を含む) 路面電車停留場 @鉄道駅、旅客船ターミナルなどの出入り口付近において、当該路面 電車停留場が確認しにくい地点から視認できる場所 A路面電車停留場近傍の歩道等において、当該路面電車停留場が確認 しにくい地点から視認できる場所 B路面電車停留場である旨を表す必要のある場所(道路施設である上 屋を含む) 便所 道路に接して設けられた便所の出入口付近、又は道路の沿道に設けら れた一般の歩行者が利用することが見込まれる便所の出入口近傍にお いて、当該便所が確認しにくい地点から視認できる場所 7−3 地図 (1)地図情報提供の基本的な考え方 地図の表示は、より見やすく、わかりやすくするため、シンプルで、道路網が把 握しやすいものとすることが必要であり、下記の考え方に配慮したものとする。 1.よく見えること(コントラストが明確)   表示された情報が、誰にでも見やすいよう配慮する。 2.理解しやすいこと   必要な情報が探しやすいよう配慮する。 3.役に立つこと 必要としている情報が表示されており、目的施設や目標地点への経路が把握 できるよう配慮する。     地図の表示は、より多くの人にとって、より見やすく、分かりやすいものとするた めに、シンプルで、道路網の中で現状位置、目的施設や目標地点のバリアフリー施設 の位置等を把握しやすくする必要がある。また、地図が表示される場所によって必要 とされる情報が異なるため、地図の表示位置に応じた適切な情報を表示する必要があ る。そのため、理解のしやすい情報提供や不要な情報の排除といった情報内容や、設 置高さ、設置方向等の道路空間における設置位置、誰にも見やすいような様式・デザ インに配慮することが必要である。 (2)情報内容 情報内容については、道路、歩道、交差点名等の一般的情報だけでなく、エレベ ーター等のバリアフリー施設や移動円滑化された経路情報も提供するものとする。 1)一般的情報 ○地図に記載する情報は、地形・地盤、道路、歩道、立体横断施設並びに歩行経路の目標 となる信号機、交差点名、番地の情報等を記載することが望ましい。 ○また、地図に記載する施設は、国土地理院の地形図の基準をもとに、見やすさを考慮し 選択することが望ましい。 ○地図を設置する114−B標識で案内されている施設は、地図に表示するもの とする。当該施設が、地図の表示範囲外の場合は、至「→」表記を行うこと が望ましい。 2)バリアフリー施設・経路情報 ○エレベーター、エスカレーター等の移動円滑化施設、バリアフリー経路を表 示する。 ○バリアフリー経路は朱赤系の点線で表示する。 ○バリアフリー経路は、以下の経路とすることが望ましい。 多様な障害を持った人々が概ね移動できるルートのうち、現在地から 1.相当数の人が訪れる主要施設へのルート 2.高齢者や障害者が比較的多く利用する施設へのルート ○バリアフリー経路で案内する施設が地図の表示範囲外の場合は、至「→」表 記を行うことが望ましい。 ○階段等のバリア情報もあわせて表示することが望ましい。 1)一般的情報 一般的情報については、以下のとおり表示することが望ましい。 ※ベースマップ………線および面で構成される情報で基本的な情報として表示するもの  建物シルエット……建物の外形を面的に表示するもの ピクトグラム………施設を意味する記号(標識令・標準案内用図記号等)を表示するもの  名  称  ………市町村名,施設名称等の各名称を文字情報として表示するもの  表7-3-1 施設等を表示する際の注意事項 道路 車道と歩道等の区別が認識できることが望ましい。 踏切 車いす使用者に危険を及ぼす可能性があるため、ピクトグラムを表 示することが望ましい。 歩道橋等 経路情報として重要であるため、構造物に枠線を付けて表示すると 共に名称を表示することが望ましい。また、昇降箇所の階段部は「  」 で表示する等車いす使用者にとってバリアである旨を表示すること が望ましい。 信号交差点 経路情報として重要であるため、信号機が設置してある交差点をピ クトグラムで表示すると共に交差点名称を表記することが望ましい 横断歩道 歩行者・車いす使用者にとって重要な情報であることから表示する ことが望ましい。 階段部 道路が階段で連結されている場合や地下鉄駅の出口部分が階段であ る場合は、階段部を「  」で表示することが望ましい。 現在地 利用者が見ている方向をわかりやすい表示として現在位置を示すこ とが必要である。主地図および広域図にそれぞれ現在地を表記する ことが望ましい。 2)バリアフリー施設・経路 ○バリアフリー施設 エレベーター、傾斜路等の移動円滑化されたバリアフリー施設が設置されている箇 所全てにピクトグラムを表示することが望ましい。なお、民間施設のエレベーター のうち、ペデストリアンデッキ等により鉄軌道駅や道路と連結されたもので24時 間利用可能なものについてはピクトグラムを表示することが望ましい。 ○公衆便所 ピクトグラムを表示することが望ましい。また、バリアフリー対応便所についは、 便所と身障者用設備のピクトグラムを組合わせて表示することとする。なお、バリ アフリー対応便所で使用時間制限がある場合には、ピクトグラムの下部に「使用時 間制限有」を表記することが望ましい。 ○バリアフリー経路 複雑な経路になっても表示対応できるよう、朱赤系の点線で表示することが望まし い。 なお、地図に表示するバリアフリー経路は、以下の経路とすることが望ましい。 多様な障害を持った人々が概ね移動できるルートのうち、現在地から 1.相当数の人が訪れる主要施設へのルート 2.高齢者や障害者が比較的多く利用する施設へのルート ○バリア情報 車いす使用者にとって重要な情報であるため、踏切は「踏切あり」の警戒標識を表 示することが望ましい。また、車いす使用者が利用できない歩道橋,ペデストリア ンデッキ,地下鉄出口などの階段部は、階段のあることが判別できるよう「  」で 表示することが望ましい。 ○表示する情報                        ○:表示情報 地図に表示するバリアフリー施設・経路に関わる情報 ベースマップ ピクトグラム 備 考 バリアフリー施設(エレベーター,エスカレーター,傾斜路) 道路上 ○ バリアフリー施設を表示する。 使用時間に制 限がある場合 「使用時間制 限有」と表記 する。 公共機関出口 ○ エレベーターピクトのみを表示 し、エスカレーターは表示しない。 車いす対応公衆便所 ○ 便所 + 身障者用設備のピクト を表示する。 バリアフリー経路 ○ ※ベースマップ………線および面で構成される情報で基本的な情報として表示するもの  ピクトグラム………施設を意味する記号(標識令・標準案内用図記号等)を表示するもの  名  称  ………市町村名,施設名称等の各名称を文字情報として表示するもの  ○ピクトグラムとアイキャッチャー 地図に用いるピクトグラムは、標識令、標準案内用図記号のデザインに準ずるこ とを基本とし、ピクトグラムのない施設については、アイキャッチャーを使用する ことが望ましい。 情報拠点、公衆便所及びバリアフリー情報に関するピクトグラムについては、青 地に白図として視認性、判読性を高めたものとすることが望ましい。 その他、認知度の低いピクトグラムの施設や、ピクトグラムが設定されていない 施設については、アイキャッチャー「■」を表示することが望ましい。 表7-3-2 ピクトグラム等の例 (3)設置計画 @掲示高さ ○掲示高さは、歩行者及び車いす使用者が共通して見やすい高さとする。  アンケート調査結果等から車いす使用者の地図上部の見やすさに配慮し、125cm に板中心を設置する。   上から見た図 図7-3-1 案内標識の掲出高さの例  地図の大きさは、視距離50cmとして地図全体を見渡せることを考慮して、1m四 方程度とする。  【参考】  近くから視認するサインの掲出高さの考え方 ・立位の利用者と車いす使用者の視点の中間の高さ は約135cm(「建築設計資料集成」)である。 ↓ ・しかし1m四方の地図の中心の高さを135cm とした場合、車いす使用者は地図上部の判読が 困難であった。 ・また、立位と車いすの通常視野の中心の中間の高 さは、視点の中間点よりもやや低い位置にある。 ↓ 日本建築学会編「建築設計資料集成」1980 ・ したがって、地図の中心の高さは125cm程度 が望ましいと考えられる。    また、案内標識板を支える支柱は、視覚障害者の地図への衝突を防止するため、下 図のように地図や標識版の両端に設置することが望ましい。 図7-3-2 案内標識の支柱について        A設置位置 地図は歩行者動線線の起点となるターミナル機能を持つ鉄道駅等及び歩行者動線線 の分岐点となる主要交差点に設置し目標地までの経路の案内を行う。このため、設置 計画は、既設の標識や案内板等を勘案し次の2つの項目に留意して設置することが必 要。 (a)歩行動線の起点の案内 駅を降りた人や、駅周辺に集まる人に、歩行動線の起点で目的地の方面・方向、 経路を案内するために駅前に設置する。 (b)歩行動線の分岐点の案内 目的地の方面・方向、経路を案内するために、歩行動線が分岐する箇所に設置す る。 (4)様式・デザイン 1)デザイン 地図は、シンプルなデザインとし、複数設置する場合は、統一的なデザインとする ことが望ましい。 2)文字の書体・サイズ   ○文字の大きさは、視力の低下した高齢者等に配慮して視距離に応じた大きさを選択 するものとする。 ○書体は、視認性の優れた角ゴシック体とすることがなお望ましい。 文字の大きさは、視距離50cm程度を想定し、和文文字高:5mm以上、英文文字 高:4mm以上とすることが望ましい。また、表示内容の見やすさに配慮し、表示施設 により文字サイズを変えて表示することが望ましい。 3)ローマ字・英語表記 ○主要な名称には、ローマ字又は英語を併記するものとする。 ○ローマ字を併記する場合、固有名詞はヘボン式ローマ字を、普通名詞は英語を表記 するものとする。 ○ローマ字のサイズは、和文文字と同程度に判読できるサイズとするものとする。 @ローマ字表記 道路標識設置基準・同解説((社)日本道路協会)に準拠し、ヘボン式により表記を するものとする。 A英語以外の外国語の表記 道路の利用者に応じ、英語以外の外国語の表記を追加することも可能とする。ただ し、英語以外の外国語の使用により、地図の視認性を損なわれることのないように注 意しなければいけない。そのため、凡例のみに英語以外の外国語を表記する等の工夫 が必要である。 4)色彩 ○バリアフリー施設・経路に関わる表示は、見やすく容易に識別できるものとする。 ○地図の図色と地色の明度の差を十分大きくすること等により容易に識別できるも のとすることが望ましい。 ○白内障患者にとって極めて識別が困難である「青と黒」「黄と白」等の組み合わせ は用いない。 ○地図に用いる色は、色数が増えると煩雑になるため多くの色を用いないことが望 ましい。また、色により墨文字が見にくくなる色は使用しないことがなお望まし い。 ○地図に用いる色は、退色を考慮した色とすることが望ましい。 5)凡例 @ 凡例部 ○現在地の住所表示を行うことが望ましい。 ○主地図の表示区域と表示区域外の関係が把握しにくい場合は、必要に応じ表示区 域を含む広域図を作成することが望ましい。 ○地図に表示したピクトグラム等を表示することが望ましい。 A 地図の表示方角 ○地図の向きは、掲出する空間上の左右方向と、図上の左右方向を合わせて表示し、 必ずしも北を上にする必要はない。 ○現在地の表示は、利用者が見ている方向をわかるようにすることが望ましい。 B その他 ○主地図および広域図内の四角のいずれかの位置にスケール、方位を配置するもの とする。 ○地図の整備年月を明記することが望ましい。 (例) 2001.10 (5)その他 ○地図では、見やすさ、わかりやすさの観点から提供する情報は限られるため、他 の歩行者用案内図等と十分連携し、より充実した案内が行われることが望ましい。 ○地図の表示面は歩行者等の円滑な移動を妨げないよう配慮しつつ、動線と対面す る向きに掲出することが望ましい。 ○地図は、表示内容が見やすい材質とすることが望ましい。さらに、まぶしさを感 じにくい材質とすることがなお望ましい。 東京都道304号(銀座晴海通り)[東京都中央区] 東京都道405号(外堀通り)[東京都中央区] 写真7-3-1 著名地点案内標識に地図を附した例 著名地点案内標識および地図は、歩行動線の分岐点付近の歩道上で、自動車運転者 の視界を遮らない位置で、歩行者の通行を妨げず、ゆっくり見ることのできる場所に 設置した。 また、標識が見つけやすいように歩行動線に対し対面視できるサイン(iマーク) を設置した。さらに、反対の歩道からも標識が見つけやすいように裏面にも著名地点 案内標識、iマーク等を表示した。また、地図の表示面は、表示内容が見やすく落書 き、張り紙が難しい材質とした。 【参考 地図の表示例】 1.地図の表示範囲 モデル地図は概ね1m四方の板に概ね1km四方を表示するものとした。 2.文字の大きさ 和文文字高:5mm以上、英文文字高:4mm以上とした。 英文文字高は、和文文字高の3/4程度とした。 ピクトグラムの大きさは、英字の3倍とし た。また、ピクトグラムを組合わせて表示する 場合は、ピクトグラムの大きさの2/16を重 ね合わせて併記した。 3. 文字フォント  日本語表記は、視認性、判読性を考慮し、「新 ゴシックM」とした。ローマ字・英語表記は、 日本語表記に比べ字数が多いため、横幅が狭く、 判読性の高い「Helvetica Narrow」とした。 なお、凡例部の英語表記は、「Helvetica」とした。 4.文字揃え 施設名称は、「左揃え」を基本とした。ただ し、隣接する施設名称等と重なる場合、地図か らはみ出す場合等は、「右揃え」を採用した。 交差点、橋梁名称は、「中央揃え」とした。 5.現在地の表示 現在地の住所を表示した。また、英語表記は 「Address」とした。 6.広域図の表示 主地図は1km四方程度の区域を表示してい るが、表示区域外の地域との関係が把握しにく い場合を想定し、主地図の表示区域を含む広域 図を凡例部内に表示した。 モデル地図の広域図の仕様は以下のとおりである。 ●表示サイズ :縦24cm×横24cm ●表示範囲  :約2km×2km (縮尺: 1/8000) ●表示情報 :地図の基本的な座標軸が分か る程度の 施設とし、具体的には以下のような 施設とした。 ・鉄軌道駅などの交通拠点 ・役所(ピクトグラムと名称を表記) ・大規模公園 ・広域避難場所(ピクトグラムのみ表示)   各地域ごとに街の広がり、密度、交通機関 の有無等異なっていることから、地図の表示 範囲や情報内容もそれらにあわせて検討す る必要がある。 7−4 視覚障害者のための案内 (案内標識) 第33条  2 前項の案内標識には、点字、音声その他の方法により視覚障害者を案内する設 備を設けるものとする。 視覚障害者に対しては、単なる表示だけでは情報を伝達することができないため、 案内標識の表示内容を点字又は音声その他の方法により知らせる必要があることか ら、前項の道路標識に、点字又は音声等による情報提供施設を併設することとした。 ただし、現在のところ、点字及び音声案内その他の方法による視覚障害者を案内す る設備の情報内容、設置位置、様式については、統一されたものがなく、今後事例の 蓄積と検討が必要である。 なお、視覚障害者に対する点字又は音声等による案内設備の設置については、視覚 障害者等の利用者の意見が反映されるようにすることが望ましい。   道路の移動円滑化整備ガイドライン 2-7-1