1.はじめに
2.有料道路料金をめぐる課題
(1)有料道路の料金の考え方
●料金決定原則
- 償 還 主 義・・・・・・・・・・・・全ての有料道路に適用
- 公正妥当主義・・・・・・・・・・・・高速自動車国道・都市高速道路に適用
- 便 益 主 義・・・・・・・・・・・・本州四国連絡道路・一般有料道路に適用
具体の料金設定は、以上の考え方に基づき、各有料道路について、それぞれの道路の機能・役割や利用者間の負担の公平、交通処理上の制約要因等を踏まえた上で各有料道路ごとに異なった料金体系が採用
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(2)料金体系のあり方の検討の必要性
●物価水準の安定化等の中で料金に対する国民・利用者の関心の高まり
→国民・利用者の視点に立った料金体系の適切な見直し
●ETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)導入による現行料金制へのインパクト
→ETC普及促進の必要性
●料金による交通需要の調整
→有料道路ストックの有効活用
ETCの導入を契機として、
・特にETCによる新たな料金施策の実施可能性が大きく、渋滞解消や沿道環境
改善等が緊急の課題となっている都市高速道路(首都高速道路・阪神高速道路)の目指すべき料金体系を中心に検討
・ETC普及促進策の検討
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3.ETCの普及促進策について
(1)ETCの意義・効果
(2)普及促進策を進めるに当たっての基本的考え方
●利用率50%の早期達成が必要
●都市高速道路(首都高速道路・阪神高速道路)については、概ね5年後を目途にETCに限定した利用とすることを目指すことが重要
→ETC限定化を実現するためには、普及促進策の展開による普及率の向上、ETCの利便性の向上を図る等により、国民や利用者のコンセンサスが得られるような条件整備に努めることが重要
具体的な限定手法とその実効性の確保方策等の技術的課題やETC非対応車の通行を制限することの制度的課題についても検討が必要
(3)普及促進策の展開方策
●ETCの全国展開がほぼ完了するまでの導入段階、その後の普及段階において、各施策について早急に具体化を図り、効果的に展開
●ETC普及促進の緊急性に鑑み、可能なものはできる限り前倒して実施
1)導入段階における施策
・期間限定の特例割引
・ETCにおける前納システムの導入及び前納型割引の実施
・ETCを活用した料金施策の実施
・ETC専用レーンの拡大
・ETCの愛称を設ける等、国民・利用者に対するETCの周知
・民間におけるETCの認知度を高めるような取組みや、自動車への車載器のビルトイン化 等
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2)普及段階における施策
・現行割引制度の見直し
・スマートインターチェンジの積極的展開
・民間におけるETC技術の多目的利用 等
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4.都市高速道路の料金体系のあり方について
(1)基本的考え方
1)背景
●近年、都市高速道路の料金に関して以下のような課題が生じている
(走行距離のばらつきの拡大)
・ネットワークの拡大等に伴い、走行距離のばらつきが拡大傾向
(依然として残る慢性的な渋滞)
・ピーク時に比べ減少したものの、依然として慢性的な渋滞が発生
(沿道環境問題の深刻化)
・従来から各般の沿道環境対策を実施してきたものの、一般道路の交通も相まって、依然として沿道環境が改善されていない地域が存在
(事業費の増大)
・現在建設中の路線は既存路線の利用者からの転換が多いことから、大幅な収入増には結びつきにくい一方で、用地補償費の増大、地下構造の採用等 による事業費の増大
→引き続き所要の公的助成の確保に努めるとともに、一定の利用者負担の増加が必要な状況
(料金改定に向けての国民・利用者の理解を求めていくことの重要性)
・物価水準の安定化等の中、料金改定に向けて国民・利用者の理解を求めていくことの重要性の高まり
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2)目指すべき料金体系
●新たな料金体系については、基本的にETCにより実施
●利用の程度に応じた負担という公平負担の考え方に一層配慮するとともに、全体としての利用者便益を高めていく
●料金の需要調整機能を活用し、渋滞緩和、沿道環境改善等都市高速道路に対する社会的要請や多様な利用者ニーズに的確に対応
●今後、現在の有料道路制度の考え方にとどまらず、幅広い議論・検討も必要
(2)新たな料金体系の検討の方向性
●今後の都市高速道路の料金体系について、採算に与える影響やETCの普及状況を見極めつつ、以下に示す方向で検討
1.料金圏別均一料金制の見直し
・現行の均一料金制を見直し、利用距離の要素を勘案した料金体系への移行を検討
・今後の都市高速道路の役割を踏まえ、都市高速道路が他の有料道路、一般道路と相まって大都市圏の交通を効率的に分担できるよう料金設定の工夫が必要
2.車種区分・車種間料金比率の細分化
・負担の公平の観点から、占用者負担の考え方、原因者負担の考え方、受益者負担の考え方を総合的に勘案し、細分化する方向で検討
3.多様な料金施策の実施
1)乗継ぎ制の拡充
・ネットワーク補完のため乗継ぎ制の一層積極的な活用
・渋滞箇所を迂回するような乗継ぎ制の実施
2)渋滞対策を目的とした料金制の導入
・渋滞時間帯は割増、閑散時間帯は割引とする等のピークロードプライシングの導入
・ETCを活用して料金を段階的に引き上げ又は引き下げていく工夫が必要
3)沿道環境対策を目的とした料金制の導入
・総合的な沿道環境改善対策の一環として、料金設定を工夫し、ネットワーク内の交通量をより望ましい方向となるよう調整・交通量を抑制すべき路線は割増、交通量の転換を促進すべき路線は割引を基本
・実施に係るコストは利用者全体による負担を基本とするが、国・地方公共団体による支援も検討
4)特定区間料金の拡充
・ETCを活用して現在特定区間料金が設定されていない区間について積極的に設定
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(3)段階的導入の検討
(4)都市高速道路に関する手続きの改善
5.おわりに
●我が国経済社会が大きな変革期を迎えている中で、今後、料金収入の大幅な増加は見込めず、現行の制度・運用の下では実施可能な有料道路事業には限界が生じている
→制度の抜本的な見直しも含め、我が国経済社会の長期的展望も視野に入れた今後の有料道路制度のあり方について、幅広い議論を期待 |