1.高速自動車国道整備の経緯
(1)昭和32年 高速自動車国道建設開始(有料道路制度の活用)
- ・高速自動車国道は本来建設大臣がその建設・管理を実施
- ・整備に多額の費用を要し、その利用によって受けるサービスも高度であることから、有料道路制度を活用
(2)昭和41年 国幹道7,600kmの予定路線を指定
(3)昭和47年 高速自動車国道に全国料金プール制を導入
- ・全路線が一体となって全国的な自動車交通網の枢要部分を構成
- ・各路線の利用者に同質の高速交通サービスを提供
- ・整備時期の違いによる料金の格差を回避
- 等の理由により、全国料金プール制を採用
(4)昭和62年 14,000kmの高規格幹線道路網計画を閣議決定
- ・このうち11,520kmについては、高速自動車国道のネットワーク(A路線)として、全国料金プール制により整備
- ・残る路線2,480kmについては一般国道の自動車専用道路(B路線)として整備
- ・A路線に並行して混雑解消などのため整備が急務となっている一般国道がある場合、当該一般国道を自動車専用道路として建設することにより、高速ネットワークの一部として活用する方式(A’方式)を暫定的に活用
2.高速自動車国道整備の課題
(1)21世紀初頭までにネットワークを概成するという整備目標達成の必要性
- ・高速自動車国道は、21世紀の我が国の経済社会活動を支える大動脈であり、又あらゆる地域計画、まちづくりの基本となる基盤施設
- ・車社会と一体不可分である最低限の社会資本として、国民が等しくそのサービスを享受できるよう早期整備が必要
(2)現行整備計画9,342kmの採算見通し
- ・現行整備計画9,342kmについては、未償還残高がピーク時に34兆円となるものの、平均的耐用年数である約50年で償還
- ・将来の収入見込みが下方修正されれば、その程度如何によっては、年間の工事費の縮小、国の負担の拡充などさらなる対策が必要
(3)A’方式により整備する区間(A’区間)の課題
- ・A’区間は、地域内交通にも利用されやすく、また、二重投資を避けることが可能となるなどのメリットが存在
- ・道路交通法の適用が異なるため規制速度が低い場合があることなど、高速サービスの提供が困難となる恐れ
- ・高速ネットワークにおけるその位置付けが不明確なまま一般国道として整備を進めることは、透明性確保の観点から課題
3.今後の高速自動車国道の整備・管理のあり方
<新たな整備手法の提案>
(1)未事業化区間約1,200kmは、交通量が少ない区間が多いなど、採算性確保が厳しい状況
(2)社会情勢が大きく変化しない限り、料金改定は厳しい状況
(3)従来の整備手法のみにより未事業化区間の整備を行うことは、全国料金プールの借入金が大幅に増大するなど、リスクが大きいと予想
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高速自動車国道整備においても一般道路事業を導入し、原則として一般道路事業と有料道路事業による合併施行方式を活用して整備する手法を追加
・この新たな整備手法によりA’区間の課題に対処
・新たな整備手法と従来の整備手法を組み合わせて効率的に整備を促進
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<個々の区間の整備手法決定の考え方>
- ・各区間の整備計画策定時に、交通量の推移、金利の動向など社会情勢の変化を踏まえ、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経るなど、より一層透明性を確保しつつ決定する必要
<高速自動車国道の管理の一元化>
(1)高速自動車国道の管理の一元化の必要性
- ・高速サービスの提供、利用者サービスの拡充、緊急時の迅速な対応が可能となるよう、高速自動車国道の一元的な管理が不可欠
- ・新たな整備手法を適用する区間については、合併施行方式を活用して有料道路とすることなどにより、一体的に管理する必要
(2)A’区間の法的位置付けの明確化
- A’区間のうち、必要に応じ改築又は安全施設等の追加的な整備を行うことにより、その法的な位置付けを明確化
4.今後の検討課題
今後、以下の課題等について社会資本整備審議会において継続して検討
(1)料金のあり方
(2)地方負担のあり方
(3)高規格幹線道路を含む全国的な幹線道路網の整備・管理のあり方 等
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