資料2-3 ETC普及促進策について(案) 参考資料 |
(1) ITSにおけるETCの位置付け
- ITSとは
ITS(高速道路交通システム)は、最先端の情報通信技術などを用いて、人と道路と車両とを一体のシステムとして構築する、21世紀の社会システムである。これにより、交通事故の大幅な削減、高齢者等の自由な移動の実現、渋滞の緩和、環境調和型の交通システムの実現等に資するものである。
ITSは、関係5省庁で策定した「高速道路システム(ITS)推進に関する全体構想」において、ナビゲーションシステムの高度化、自動料金収受システム、安全運転の支援、交通管理の最適化、道理管理の効率化、公共交通の支援、商用車の効率化、歩行者などの支援、緊急車両の運行支援の9つの開発分野に体系化されている。
※ITS : IntelligentTransportSystems- 9つの開発分野
1996年7月に5省庁が協力して、日本のITSに関するマスタープランである「高速道路システム(ITS)推進に関する全体構造」を策定した。
この中で、ITSは多用な分野を包含することから9分野に分けて開発を進めることとしており、「自動料金収受システム」もその1分野に位置付けされている。
(2) ETCとは
ETCとは、車に装着した車載器(ETCカードを挿入)と有料道路の料金所に設置する路側アンテナとの間の無線通信により、料金所で車両を停車することなく通行料金の支払いが可能なシステムである。
日本のETCは、異なる料金体系が混在している複数の有料道路ネットワークに一つの車載器で対応可能な全国統一システムであること、路側アンテナと車載器の交信は国際的に認められている5.8GHz帯を用いた双方向通信により確実で安定した通信が可能であること、及び高度な暗号技術により不正利用に対する高いセキュリティーやプライバシーを確保していること等の優れた特長を有している。
ETCにおける料金の支払方法は、ETCに対応したクレジットカード(ETCカード)による後払い方式(後納方式)が基本であるが、今後ソフトの変更によりプリペイド方式(前納方式)も含めて様々な方式に対応可能である。
今後、ETCの新たな活動方策としては、ガソリンスタンドや駐車場等での支払いがキャッシュレス、自動で可能になる他、カーナビ等他のITS機器と融合させれば普及が進みETC普及効果も大きくなるだけでなく、VICS,AHS等各方面へ経済波及効果も期待できる。
(3) ETCに必要なシステム機器
- ETCの利用方法
ETCの利用に当たっては、車載器とETCカードが必要である。車載器は、自動車のダッシュボードの上などに取り付ける。
有料道路を利用する際には、事前にETCカードを車載器に挿入する。料金所において、車載器と料金所に設置した路側アンテナの間で無線通信を行うことで、料金徴収に必要な情報をやりとりする。
利用者は課金にかかわる通信が終わったことをETC車線に設置された路側表示器で確認し、通過することとなる。なお、通行料金は、後日ETCカードを発行したクレジットカード会社から請求される。- ETC車載器について
入手方法 ETC車載器は、料金所に設置した路側アンテナと無線通信を行う装置で、カー用品店、カーディーラー等で入手可能。 装着方法 車載器の大きさは、文庫本程度であり、現在はダッシュボード上等に機械的(たとえばネジ式)に取り付ける方式と粘着テープで取り付ける方法とがあるが、今後は車両へのビルトイン化やカーナビとの一体化が進むと考えられる。
電源は自動車のバッテリーから取るため、配線作業が必要になることから、基本的に、取り付けは販売店で行う。また、車載器の載せ換えを防ぐため、容易に取り外しできないように固定される。使用方法 予め必要な車両番号等の車両情報をインプットし、ETCの通信が行える状態にする(セットアップと呼ぶ)。
使用する場合には、必ずETCカードを挿入した状態で使用する。通行料金の表示方法 通行料金については、ディスプレイに表示するタイプと音声で知らせるタイプがある。 車載器に求められる仕様 一般利用者については、4公団の「ETC車載器仕様書」、民間規格であるARIB(アライブ)において定められている通信方式等を準用しているが、利用履歴の表示方法等は民間事業者の判断に委ねられている。
- ETCカード
- 概要
キャッシュカードなどと同じ大きさのICカードで、クレジットカード会社等が発行する。高いセキュリティを確保するために、CPU等を内蔵したICチップを搭載していることから、外部端末機器との相互認証や暗号処理が可能なものとなっており、ETCによる通行料金の支払いに必要な情報が記録されている。
- ETCカードの機能
ETCカードには、予め個人情報(ETCカード番号、有効期限等)が格納されており、これらの情報を車載器を通して路側機器で読みとる。
ETCカードには、入口料金所を通行した際に入口情報(入口料金所番号、利用年月日、車種等)が記録される。また、出口料金所では、料金課金後の情報(出口料金所番号、年月日、利用金額等)が利用履歴として格納される。
- 前納方式への対応
現在のETCカードは、通常のクレジットカード等の方式を活用しているため、後納方式にのみ対応している。今後は、ETCの利便性を一層高めるため、前納方式にも対応したシステムとしていくことが必要である。