有料道路政策研究会中間とりまとめ
「当面の有料道路政策のあり方について」概要

  1. 有料道路制度の果たしてきた役割
    • 戦後、社会的要請に対応して道路の早期整備が至上命題であったが、厳しい財政状況の下、道路整備財源が十分確保できないことから、借入金を活用し、利用者からの料金収入によって建設費、管理費等の費用を償還するという有料道路制度を導入した。
    • 有料道路制度を活用して道路整備を行ってきたことにより、約9,900kmの有料道路が供用中であるなど、公共事業のみで整備するよりも整備延長が飛躍的に伸び、有料道路制度が道路の早期整備に多大な貢献をしてきた。また、現在、走行台キロで有料道路が約16%を分担しており、我が国の経済社会や国民生活上大きな役割を果たしている。

  2. 有料道路をとりまく現状
    • 昨今の社会経済情勢の変化により有料道路をとりまく環境も大きく変化し、将来における自動車交通需要の減少、料金の割高感、既存の有料道路の有効利用が図られないケースの増加、採算の悪化等の課題が発生している。

  3. 当面の有料道路政策を検討する上での留意点
    上記のような有料道路に関する課題に対応した当面の有料道路政策の検討を進めるに当たっては、以下の3点について留意すべきである。
    1. 特殊法人等整理合理化計画を前提とすべきであること
    2. 道路関係四公団民営化推進委員会の議論に留意すべきであること
    3. 民営化までの間の当面の有料道路政策を検討すべきであること

  4. 当面の有料道路政策の方向性
    • 有料道路制度の適用範囲の考え方
      有料道路制度を適用する路線は、適正水準の料金に基づく収入で費用を賄うことが可能で、有料道路として整備することが早期整備という目的にも十分に合致し、かつ、有料道路として整備することに利用者の理解も得られる路線とすべきである。なお、高速自動車国道については、道路関係四公団民営化推進委員会の議論の推移を見守ることとする。
    • 既存の有料道路の有効活用
      料金の設定方法を工夫することにより有料道路の一層の有効活用を図るべきである。
    • 多様で弾力的な料金設定の導入
      利用者ニーズや利用実態、地域の事情等にきめ細かく対応するとともに、環境問題や渋滞などの一般道路の課題の解決や利用が低迷している有料道路の有効活用等の政策的要請に対応するため、時間帯や曜日、路線等の利用実態に応じて多様で弾力的な料金設定を本格的に導入すべきである。なお、導入に際しては、採算に与える影響や利用状況の変化等その効果を測定するために一定期間社会実験を行うなど試行的な実施も含め検討する必要がある。
      その際、政策的要請に基づく料金設定の実施により減収が発生する場合、国又は地方公共団体が合理的範囲内で減収分を負担することが必要である。
    • 現行の維持管理有料制の運用の弾力化
      現行法において本州四国連絡道路を含め一般有料道路で適用が認められている維持管理有料制について、一般有料道路のサービス水準を一般道路に比べて高水準に保つために多額の維持管理費用が必要となる場合においては、現行法制の枠組みの範囲内でその適用について地域の実状等も踏まえてより弾力的な運用をすべきである。
    • ETCの普及促進
      多様で弾力的な料金設定を簡易に実施するためにはETCの活用が不可欠である。
      そのため、ETCの普及促進が重要な課題であり、新たな料金施策や割引についてETC利用車のみを対象とすることや、ETC利用車に対する割引制度の充実、さらにはハイウェイカードや回数券の機能をETCに集約化することなどを早期に実施すべきである。

    参考

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