秋葉原電気街地区における物流効率化実証実験
国土交通省では、物流の効率化、環境負荷の低減を図ると伴に、来街者が安全で利用しやすい街づくりを促進することを目的に、秋葉原電気街地区をモデルとして物流効率化等の実証実験を平成16年度に実施しました(この実証実験は、警察庁及び国土交通省において「TDM(交通需要マネジメント)実証実験」として平成15年度に認定しています。)。その結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
1.
実証実験の目的
1)
物流効率化
共同配送、電子タグを活用した検品システムによる物流効率化についての検証
2)
環境負荷低減
共同配送による環境負荷削減効果の検証
3)
来街者の安全性・利便性の向上
歩行者優先空間の創出等による来街者の安全性・利便性の向上についての検証
2.
実証実験の概要
上記の3つの目的を検証するため以下の7つの実証実験を実施
[実験@
共同配送]
地区近接型と郊外立地型の2つの共同物流センターを設置。メーカや卸からの納品を同センターへ集約し、各店舗へ一括納品。また、お客様用にJR駅前に共同の商品受け取りセンターも設置。
[実験A
ITによる物流効率化]
家電などの箱に電子タグを取り付け、それを読み取るアンテナを共同物流センター、店舗に設置。同仕組みにより、共同物流センターからの出荷、店舗での入荷検品業務を実施。
[実験B
共同荷捌きスペースの確保と運用]
路外、路上に合計46台分の荷捌き専用、優先スペースを設置し、利用を促進。
[実験C
貨物配送者の時間帯別運用]
交通混雑が発生する午後の時間帯での貨物配送を、比較的に混雑が少ない午前中にシフト。
[実験D
歩行者優先空間の創出]。
中央通りの歩行者天国時間帯に合わせて、周辺路地の一部に対して、自動車・二輪車の進入自粛を要請し、歩行者優先の区域を創出。
[実験E
地区内循環型公共交通]
秋葉原地区と丸の内地区とを結ぶ無料のシャトルバスを運行させ、秋葉原地区への車両削減と丸の内地区の駐車場利用を促進。
[実験F
駐車場マネジメント]
Webサイト(携帯サイト)やたて看板などにより、駐車場の満空情報・位置情報を提供し、秋葉原地区の駐車場有効活用を促進
3.
実験結果 <詳細は添付資料を参照>
1)
物流効率化
○
IT活用により、物流センターでの作業の効率が向上
・共同物流センターでの入庫検品、仕分け業務に電子タグを活用することにより、従来の作業と比較して作業時間が41.5%短縮。また、検品を一括で実施した場合には、作業時間が82.0%短縮。
2)
環境負荷低減
○
共同配送、CNGトラックの活用により、CO2の排出量を抑制
・共同配送により、配送トラックの台数を79.7%削減、その結果 [Nox] 68.8%、[CO2] 68.7%の削減を達成し、環境負荷を低減。
3)
来街者の安全性・利便性の向上
○
共同荷捌きスペースの設置により、違法駐車が削減し、安全性、利便性が向上
・地区内のパーキング・メータや中央通沿いの停車可能スペースを荷捌きスペースとして設置することにより、路上駐停車車両が最大で14.6%減少。
・貨物車両のドライバーへのアンケートでは、90%以上が共同荷捌きのスペースの継続を希望。さらに、継続する場合にはコスト負担も受け入れる可能性があることも確認。
○
歩行者優先空間の創出により、来街者の安全性が向上
・中央通西側地区への車両進入の自粛を要請することにより、同地区周辺への自動車類の流入量が31.1%削減。
・来街者のアンケートでも安全性・快適性の向上を感じる評価を得ることができ、90%近くが継続を希望。
4.
実現に向けた課題と今後の取り組み
・物流効率化に関しては、初期費用の負担方法やメリットの享受方法、参加店舗の拡大などの課題を解決する必要があり、引き続き導入に向けた検討を継続。
・来街者の評価の高かった歩行者優先空間の創出について、地元関係者が中心となり継続実施に向けた調整を開始。
・駐車場マネジメントについて、地元行政機関及び駐車場事業者等が中心となり平成17年度より実現に向けて具体的に検討中。
以上