用運送事業者の法令違反について、貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号。以下「法」
という。)第16条及び第42条の規定に基づく登録の取消し等並びに第33条及び第49条の2の規定に
基づく許可の取消し等の行政処分等を行う際の基準を次のように定めましたので、お知らせいたしま
す。


〔貨物利用運送事業者に対する行政処分等の基準について〕

1.通則

(1) 行政処分の種類は、軽微なものから順に、事業の全部又は一部の停止及び登録又は許可
の取消しとします。
なお、これに至らないものは行政指導とし、その種類は、軽微なものから順に、口頭注意、文書
勧告及び文書警告とします。

(2) この通達に基づく行政処分及び行政指導(以下「行政処分等」という。)は、法若しくは法に基
づく命令若しくはこれらに基づく処分又は登録若しくは許可若しくは認可に付した条件に違反した
場合に、以下本通達に定める基準により行うものとします。
なお、行政処分は、原則として行政指導を前置きして行うものとし、また、悪質な場合等違反の
態様によっては、直ちに行政処分を行うものとします。

(3) 上記 (2)の違反及び同一違反事項の再違反(行政処分等を受けたものが、当該行政処分等
を受けた日から3年以内に更に同一の事項に違反した場合をいう。以下同じ。)に対しては、原
則として、別途定める貨物利用運送事業者に対する行政処分等の基準(以下「処分等の基準」
という。)に基づき行政処分等を行うものとする。
 ただし、当該処分等の基準について、他の法令及び通達に特別の定めがある場合は、その定
めるところにより行政処分等を行うものとします。

(4) 上記(2)及び(3)の規定にかかわらず、処分等の基準の適用に当たっては、次のとおり、当該
違反の内容によって加重又は軽減することができるものとします。
 @ 悪質な場合
 当該違反の内容が、次に掲げる事項に該当する場合は、処分等の基準の「再違反」欄を適用
するものとします。
 (A) 当該違反事実若しくはこれを証するものを隠滅し、又は隠滅したと疑うに足りる相当の理由
が認められる場合
 (B) 当該違反事実が原因となって社会的影響のある事件を引き起こした場合又は当該違反事
実が社会的影響のある事件に重大な関係があると認められる場合

 A 軽微な場合
 当該違反の内容が、次に掲げる事項に該当する場合は、処分等の基準の「反復、計画的なも
のと認められるもの」の場合であっても「臨時、偶発的なものと認められるもの」欄を、又は「再違
反」の場合であっても「初犯」欄を適用するものとします。
 (A) 当該違法行為を防止するために相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があった場

 (B) 当該違法状態を是正するために直ちに相当の改善措置を執ったことの証明があった場合

(5) 同一違反事項の累違反(行政処分等を受けたものが、当該行政処分等を受けた日から3年
以内に2度以上、同一の事項に違反した場合をいう。)については、当該違反の態様により、再
違反の場合における行政処分等よりも重い行政処分等を行うことができるものとします。

(6) 法第32条及び第49条の規定により適用する貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83
号)第37条第3項の規定に従い、特定第二種貨物利用運送事業者が行う第二種貨物利用運
送事業の貨物の集配に係る輸送の安全の確保等に関する事項については、「貨物自動車運送
事業者に対する行政処分等の基準について」 (平成15年2月14日国自総第459号、国自貨
第94号、国自整第182号)に基づき行政処分等を行うものとします。

(7) 地方運輸局等に「貨物利用運送事業関係行政処分等審査委員会」を設け、処分等の基準に
該当する違反事項がない場合及び違反に対する行政処分等を加重又は軽減する場合等本通達
の基準の適用に当たって必要がある場合は、同審査会に付し、当該審査結果を踏まえた上で
行政処分等を行うものとします。

2.行政指導

(1) 行政指導は、原則として、事業の種別及び利用運送機関の種類別(以下「事業種別・モー
ド」という。)ごとに、当該違反が認められた利用運送の区域又は区間若しくは業務の範囲に直
接関係する営業所を対象として行うものとします。
 なお、複数の事業種別・モード又は営業所が当該違反に関係する場合は、原則として、当該
関係の事業種別・モード又は営業所の全部を対象とするものとし、また、対象数が多い場合又
は違反内容の軽重等当該違反の態様によっては、一括して主要営業所を対象とすることができ
るものとします。

(2) 行政指導を行うときは、再違反が行われた場合に更に重い処分が行われることがあることを
処分対象者に教示するものとします。また、文書警告を行う場合は、原則1か月以内に、当該違
法行為の防止又は違法状態の是正のために執った改善措置を明らかにした事業改善報告書を
提出させるものとし、 当該事業の改善が認められない場合又は当該期限内に同報告書の提出
がない場合は、文書警告の再違反として取扱うものとします。

(3) 口頭注意に該当する違反事項が同時に3以上確認される場合は、これらを合わせて文書勧
告とするものとします。
 また、文書勧告に該当する違反事項が同時に3以上確認される場合は、これらを合わせて文
書警告とするものとします。

3.事業の全部又は一部の停止処分

(1) 事業の停止処分は、原則として、事業種別・モードごとに、当該違反の原因となった利用運
送の区域又は区間若しくは業務の範囲に直接関係する営業所を対象として行うものとします。
 なお、複数の事業種別・モード又は営業所が当該違反に関係する場合は、原則として、当該
関係の事業種別・モード又は営業所の全部を対象とするものとし、また、対象数が多い場合又
は違反内容の軽重等当該違反の態様によっては、一括して主要営業所を対象とすることができ
るものとします。

(2) 事業の全部又は一部の停止は、当該違反が認められた利用運送の区域又は区間若しくは
業務の範囲に係る新たな利用運送契約の締結の停止を処分内容とし、3月以内(下記3の(5)に
該当する場合にあっては、6月以内)において期間を定めて処分を行うものとします。

(3) 事業の停止期間は、原則として、処分等の基準に定められた事業停止日数とし、同時に複
数の違反事項が確認された場合は、事業種別・モードごと・営業所ごと(複数又は全部の事業
種別・モード又は営業所が対象である場合は、その対象事例ごと)に処分等の基準に定められ
た各事項の事業停止日数を合算し、それぞれ処分を行うものとします。
 ただし、当該合算事業停止日数が10日未満のものは、文書警告処分とするものとし、また、
下記4の(2)Aに該当する場合は、登録又は許可の取消し処分とするものとします。

(4) 事業停止処分を行うときは、再違反が行われた場合に更に重い処分が行われることがある
ことを処分対象者に教示するものとします。また、期限を定めて、当該利用運送契約の停止結果
状況並びに当該違法行為の防止又は違法状態の是正のために執った改善措置を明らかにした
事業停止結果及び事業改善報告書を提出させるものとし、当該事業の停止が行われなかった
場合、 当該事業の改善が認められない場合又は当該期限内に同報告書の提出がない場合
は、事業の停止命令の違反として取扱うものとします。

(5) 特定第二種貨物利用運送事業の貨物の集配に係る輸送の安全の確保等に関する事項の
違反により、貨物自動車運送事業法第37条第3項で準用する同法第33条第1号の規定に基
づき、自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止を命じられた場合であって、当
該トラックによる運送を集配事業計画の内容としている第二種貨物利用運送事業の遂行が不可
能となるときは、 法第33条第3号の規定に基づき、当該輸送施設の停止期間において、直接
関係する当該貨物利用運送事業の区域又は区間に関する事業停止処分を行うものとします。

4.登録又は許可の取消し

(1) 登録又は許可の取消し処分は、原則として当該違反が認められた事業種別ごとに行うもの
とします。
 なお、複数の事業種別が当該違反に関係する場合は、当該関係の事業種別の全部を対象と
して処分を行うものとします。

(2) 上記4の(1)の処分は、原則として、次に掲げる場合のいずれかに該当することとなったとき
に行うものとします。
 @不正の手段により、法第3条第1項又は第35条第1項の登録を受けたとき。
 A上記3の(3)の規定により、事業種別・モードごとに、処分等の基準に基づく各違反事項の合
算事業停止日数が、第一種貨物利用運送事業にあっては30日、第二種貨物利用運送事業に
あっては60日を超える場合
 B処分等の基準で、許可の取消し事項と定める法第34条第1項の名義貸し違反又は事業の
貸渡し違反等の再違反(反復、計画的なものに限る。)の場合
 C処分等の基準で、登録の取消し事項と定める法第13条第1項の名義貸し違反又は同条第
2項の事業の貸渡し違反等の再違反(反復、計画的なものに限る。)の場合
 D処分等の基準で、登録又は許可の取消し事項と定める法第12条の事業改善命令違反の
再違反、法第16条の事業の停止命令違反の再違反、法第24条第2項の事業計画及び集配事
業計画の遵守命令違反の再違反、法第28条の事業改善命令違反の再違反、法第33条の事
業の停止命令違反の再違反、法第40条の運賃・料金変更命令違反の再違反、 法第42条の
事業の停止命令違反の再違反、法第46条第5項の事業計画の変更命令違反の再違反、法第
47条の運賃・料金変更命令違反の再違反及び法第49条の2の事業の停止命令違反の再違
反の場合
 E特定第二種貨物利用運送事業の貨物の集配に係る輸送の安全の確保等に関する事項の
違反により、貨物自動車運送事業法第37条第3項で準用する同法第33条第1号の規定に基
づく自動車その他の輸送施設の使用停止命令及び当該事業用自動車の自動車検査証の返納
命令又は自動車登録番号標の領置命令に違反した場合

(3) 登録又は許可の取消しを行うときは、法第6条第2号若しくは同条第4号、法第22条第1号
又は法第38条第2号若しくは同条第4号の規定に基づき、
 @第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しの処分を
受け、その取消しの日から2年を経過しない場合、若しくは、
 A法人であって、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配
力を有する者を含む。)のうちに上記@に該当する者のある場合は、当該取消しを受けた第一種
貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可を受けることができないことを
処分対象者に教示するものとします。

5.処分等の公表

 この基準に基づく処分等については、処分等を受けた事業者の名称及び処分内容等を公表す
ることにより、業界への警鐘とともに利用者による事業者の選択を可能とし、ひいては事業の健
全な発達及び輸送の安全確保に資するため、次に定める公表基準により公表するものとしま
す。

(1) 処分等の公表は、地方運輸局等単位で実施するものとします。

(2) 処分等の範囲は、次のとおりとします。
  事業の全部又は一部停止処分を受けた貨物利用運送事業者
  登録又は許可の取消し処分を受けた貨物利用運送事業者

(3) 処分等の公表内容は、次のとおりとします。
  処分等の年月日
  事業者の氏名又は名称及び当該処分等に係る営業所の名称
  貨物利用運送事業の種別及び利用運送機関の種類
  事業者及び当該処分等に係る営業所の所在地(市区町村まで)
  処分等の内容
  主な違反条項
  違反行為の概要

(4) 処分等の公表時期及び方法は、次のとおりとします。
  上記(2)に該当することとなった貨物利用運送事業者については、当該事業者が受けた処
分等について、その都度、報道機関へ上記(3)の内容を記載した資料を提供するとともに、各地
方運輸局等の局報及びホームページに掲載するものとします。なお、ホームページへの掲載
は、処分等が行われた日の属する月の翌月から1年間継続して行うものとします。
  文書による警告を行った場合についても、各地方運輸局等の判断で公表しても差し支えな
いものとします。

*1この行政処分基準は、平成15年4月1日から適用します。
*2この行政処分基準に基づく行政処分等の実施は、平成15年4月1日以降に違反事実を確
認したものから適用することとします。