事例 No20

自然環境保護のための乗り入れ規制 (北海道上川町:高原温泉)

 

ポイント

・自然環境と交通渋滞緩和を目的に、マイカー乗り入れ規制を実施。

・規制区間内ではシャトルバスを運行。観光客の意識を高めるためバス車内で自然保護の必要性に関する講義を実施。

渋滞の状況と対策のねらい

・上川町の高原温泉は大雪国立公園に位置する高原沼探勝地であり、紅葉が美しい9月中旬の土日には道内各地から1,500人以上/日の観光客が訪れる。

・車両台数は500台以上となり、200台収容の駐車場は満杯となる。狭隘で危険箇所が多い温泉までの町道は渋滞となり、排気ガス等による自然環境の悪化が懸念された。

・1987年に「ひぐま対策会議」が発足。ひぐま対策から自然環境保全に対する意識が高まった。

・自然環境の保全と交通渋滞の緩和を図るために、1997年からマイカーの乗り入れを規制。臨時駐車場を設置し、そこからシャトルバスを利用するパーク&バスライド(P&BR)を実施。

実施内容(試行内容)

・交通規制の実施

・国道273号線沿いの緑地公園に臨時駐車場を設置し、シャトルバスを運行。高原温泉駐車場(200台)は、営業車(観光バス含む)、温泉宿泊者が利用する。

・シャトルバス、高原温泉利用の自動車はひぐま対策の為、午後7時〜午前6時半までは交通規制を実施している。

・P&BRの実施

実施期間

9月13・15・19・20・23日 前日午後7時〜当日午後2時

〃 主体

上川町、上川支庁、環境庁、上川営林署、警察、観光協会

〃 体制

臨時駐車場:10名(案内、指導員等)

高原温泉駐車場:20名(ひぐま情報センター・沼コース内の案内、パークボランティア、等)

バス営業主体

民間企業(道北バス)

〃 運行時間

上り:AM6:30〜PM12:30 下り:AM9:00〜PM5:00

〃 運行頻度

約30分間隔(早朝は一度に発車)

〃 運行台数

5台

駐車場規模

500台(700台収容可能)

〃 確保

緑地公園(道有地)を無償で借り上げ

P&BR利用料金

バス料金:片道300円 駐車場:無料

費用

交通指導員の人件費他

費用負担

上川町

  

工夫した点・苦労した点

(1)交通規制は必須条件

・高原沼周辺はひぐまが出現するため、毎朝パトロールを実施している。確認が終了する6時半までは乗り入れ規制をとらざるを得ない。

・道路が狭隘であることから、運行の安全性確保のために乗り入れ規制を実施している。

・バス運行は乗務員・駐車場担当者間で無線による状況確認と運行指示を行い、道路狭隘部でのバス擦れ違いをスムーズにしている。

(2)目的は自然環境保護

・シャトルバス内で、大雪山パークボランティアによる自然環境保全に関するレクチャーを実施している。

・高原沼のゲートにある「ひぐま情報センター」においても、入場者全員に対して自然環境保全に関するレクチャーを実施している。

(3)駐車場をマイカーと観光バスに区別

・狭隘な道路での渋滞緩和、自然環境保護を目的に、高原温泉駐車場は温泉宿泊客や観光バス等の営業車関係のみとする。マイカー等の一般車両は臨時駐車場(大雪レイクサイト)を利用する。

 

 

関係機関

北海道上川町商工観光課(01658-2-1211)

http://town.kamikawa.hokkaido.jp