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 国土審議会第3回調査改革部会議事概要
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  1. 日時
     平成15年11月20日(木)14:00〜16:00

  2. 場所
     三田共用会議所

  3. 出席委員(敬称略)
     中村(英)部会長、池谷、太田、清原、小早川、齋藤、佐和、柴田、島田、杉岡、須田、高木、高橋、田中、中井、中村(徹)、西垣、星野、森、森地、八島、矢田、山田、亘理

  4. 議事(概要)
     (1)開会
     (2)議事(1)「国土計画制度の改革」の検討状況について
      事務局より資料説明後、質疑応答。
     (3)議事(2)「国土の総合的点検」の検討状況について
      事務局より資料説明後、質疑応答。
     (4)閉会

  5. 主な発言内容(順不同)
    (1)議事(1)「国土計画制度の改革」の検討状況について
    • 1年前の基本政策部会報告で、利用・開発・保全の一体化、4層の計画段階を整合的にまとめる、国土利用計画との統合といった方向が打ち出された。こういう改革を行って、すっきりした、実効性の高い国土計画を作っていこうという考えで一致してきた。しかし、作業を進めていく段階で今まで考えてきたようなことをすぐに実現することは極めて困難ということがハッキリしてきた。ただ、今までの考えをやめてしまうということには全くならない。この部会としては、今まで考えてきたなかで、できること、特に具体的なものを先行させてやる、そして、国土利用計画との統合や4段階の計画といったところについては少し時間をかけて検討しながら最も良い方向を出していくしかないということ。
    • 都道府県、市町村の国土計画体系については今後とも検討すべき事柄だと思う。
    • たとえば、中部の「日本まんなかビジョン」、北陸信越の交通ビジョンなど、いろいろなブロックごとの計画について勉強が始まった。すぐにでもブロック計画に使えるようなものができる気がするので、地方の計画と連携してもらって、活かしてほしい。
    • 地方については、三位一体の改革や市町村合併等いろいろな動きがでて激動期であるが、地方自治体は発言するスタンスをどこに置いたらよいのかまだよくわからない。各方面からの意見をこれからも積極的に聴いてもらって、慎重な検討を進め、より良いものにしてほしい。
    • 都道府県だけではなく、市町村の取り組み方についても、ぜひこの機会に前向きにかつ慎重にという取り組みの中からの提案だと思うので、この方向で検討をさらに続けてほしい。
    • 五全総の中で、戦後の国土計画を抜本的に変えるという方向がでており、それに基づいて部会で審議されている。特に全総と国土利用計画の一体化をして分かりやすくする、そしていろいろな層の国土計画体系と統一性をとるということで流れてきた。五全総でハッキリと出されたことであるので、国土交通省全体として本気で取り組んでほしい。
    • 全国計画からブロック計画へと整合的な計画体系が必要と思っているが、それがすべて国が高権をもって地域ごと、部門ごとの計画に携わるというわけでは決してなく、対流原理で、全国計画、地域ごとの計画、部門間の計画は、お互いに対話しながら全体をまとめていくというような計画体系ではないかと思っている。
    • 昭和25年の国総法制定当時は、モノがなく、雇用もないという状況で、しかも24年は大変な不況で占領下でもあったなかで、電力と米がちゃんと作れ、産業も復活できるよう、日本のTVAをやろうということで、あの法律は大変な期待をもって作られた。ああいう熱気を持った法律の策定時とは状況が違い、現在は熱気がない。我々がやっていることがどれくらい国民にアピールするのか。「安全」や「美しい」で国民は奮い立つのかというと、奮い立たないだろう。
    • 今、我々がどういう時代にいるかと考え直すと、まさに、世界と日本との関係は、国際化、グローバル化が大変進んでいる。しかし、世界の状況をみると、ナショナリズムが進んでおり、それぞれの国家がナショナル・アイデンティティを求める事態になってきている。片一方でグローバル化がどんどん発展し、他方で、だからこそナショナル・アイデンティティを求めたいという時期になっている。
    • ナショナル・アイデンティティをどこに求めるかというと国土ではないか。日本列島は島国で世界の文化の果てであるが、だからこそ日本的なのだろう。日本人はグローバル化しているが、どちらかというと日本回帰型の癖がついている。そういう意味では、日本人が一つにまとまって同じ価値を共有できる。我々はここ10年くらい多様性と言い過ぎてすべてがわからなくなってきたが、自分たちのナショナル・アイデンティティは何かということで、意外と今度の国土総合開発法自体に我々のナショナル・アイデンティティを求める思想がかぶさっていれば、法律を作る際にも賛同してもらえるのではないか。具体的には何がそういうものか浮かんでいないが、それだけに今回の「慎重な検討」のなかで、この法律が21世紀のこれからの10年なり20年に、日本国民がナショナル・アイデンティティをもてると思えるような、シンボリックなものが浮かび出てくるよう、検討してほしい。
    • 40年前のあの貧しいときに、欧米に負けない豊かな国を作ろうとなると皆が奮い立つ。しかし、今、奮い立つものをどこに求めるのか、それを見つけようとして皆でここで苦慮してきている。私たちは、よい国づくり、新しい国のかたちをここで探して描いていくんだということで皆に奮い立ってもらおうと考えていた。したがって、前の続きの6全総をやるつもりは毛頭ない。新しい形でぜひともやりたい。
    • 開発中心でインフラで引っ張っていくということだときわめてクリアーなメッセージが出せ、実効性があったのだが、そうではなく、利用・開発・保全ということで、しかも政策手段として土地利用を誘導していくということだと、どうやってできるのかが命題。バラバラでそれぞれの「個性の発揮」という一面と、あるところについては塊でまとまって「同じベクトルを向いてほしい」という間での調整に悩みがあったはず。そこで指針性、4層の体系ということで、実効性のあるものにしようと模索した。4層の体系のある部分に非常な矛盾、問題がでてきて上手くいかないとすると、4層を超えて実効性を高めるものは何かこれから議論していこうということが一番重要なポイントではないか。
    • かつては金がボトルネックで、金がほしいということで議論があって、したがって補助金が意味をもっていたが、補助金については公平性という別のベクトルが働いて必ずしも集中投資がしにくかったり、効率性の悪い使い方があったりということで、そこから世の中では補助金はやめようという議論があるが、もう一つ大変重要なことは、そこにどうやって誘導性を持たせた格好の体系に組み替えるかということ。

    (2)議事(2)「国土の総合的点検」の検討状況について

    • 「均衡ある発展」という言葉は悪くはないし、これはこれとして意義があった。しかし、「均衡」という言葉から前進して、有意義な差はあってもいいのではないか。むしろ、「整合性のある計画」などと言って、「均衡」を否定しないけれども、悪平等的なものでなくて、メリハリのついた国土計画として、何か新しい表現を付け加えたらどうか。
    • 新しい全総ができる際に、国際的感覚、視点が必要。これからは、アジアの都市圏と日本の都市圏は国を超えたネットワークを組まなければいけない。極端にいえば、欧米諸国の都市圏と日本の都市圏とがネットワークを組む。時間距離でいえば、昔の日本国内と一緒であるので、そういうことに踏み込んで、国際的視点の特集をやるくらいのつもりで取り組んでほしい。国際競争力の強化という観点からみての国土計画のあり方、交通手段のあり方、インフラのあり方を重点をおいて詰めておく必要がある。地方で始まっている勉強を有効に使うよう配慮してほしい。
    • 国土の問題を地方自治体の観点から考えると、最近特に防災・防犯の観点がまちづくりで重要懸案となってきている。今年は特に地震が各地で多発し、集中豪雨で水害もでている。日本という国土の特徴からいうと、国土の総合的なあり方を考えていく際に、リスクマネジメント、セキュリティの観点が大変重要。したがって、「国土の総合的点検」というときに、耐用年数の問題や国土保全へ向けての社会資本の更新について重要課題であるという指摘もあったが、単に時間軸での耐用年数という考え方だけではなく、災害に強い国土という観点からの点検は非常に重要。
    • 観光が地域社会でもつ役割が増加していると常々感じる。雇用機会という面でも観光の役割が増加している。観光を発展させていくには、地域の人が市民参加型でその地域を観光客に快適なように変えていくということはそのとおりだが、やはり行政の手助けも必要である。広域的なブロック計画のなかで観光を取り上げて手助けしていく。特に、交通、情報面は地域の力でもどうにもならない点がある。全国計画や広域ブロック計画のなかで、地域づくりをしていく上で必要なインフラ整備は見捨てられてはいけない。
    • 人口減少との相関関係でインフラをどうしていくのか、更新投資をどうしていくのか。人口そのものを政策的にこれからどうするのか、外国人をどう入れていくのか。その点をどうきちっと議論して、このくらいの人口規模だと現在のインフラの維持ができる、あるいは更新投資が可能になる、人口減少だとインフラの維持ができなくなる可能性があるなど、人口規模との相関関係についてきちんと議論して、それを国民の前に提示する努力が必要。
    • 「拠点都市圏」「産業集積拠点」という観点で、大学がブロック計画において中心的な役割をするだろうと認識される。法人化が来年4月に行われるが、特に地方戦略にとっては、国立大学は依然として大きな役割を果たす。4月発足に向けて大学が規則づくりを行っているが、こういうベクトルとはだいぶかけ離れた議論が行われている。兼業についても企業との連携についても、地域活性化の視点は大学の事務的サイドにはほとんどない。地域ブロック振興における大学の役割、人材育成の役割、産学連携の役割はうまくいくと爆発的にうまくいくと思うが、そういう視点がないまま動くとせっかくの機会がまずくなるので、関係官庁も地域財界も関心を強めてほしい。
    • 私はもともと国立大学は都道府県に移管するべきと主張してきた。移管された各都道府県間の大学で競争させるべきである。各都道府県の創意工夫に委ねるのが一番望ましい改革だと思っていた。しかし、このままいくと、10年〜20年たつと、まったく国立大学のない県がでてくる可能性があるが、それはその県にとって大変な損失である。地域開発にとって大学は重要である。
    • 大学の話はもう一度しっかり書いたほうがいい。アメリカでも住み良い都市のランキングだと、ボストン、サンフランシスコ、シアトルといった、大学が大きなウェイトをもっているところがあがってくる。ドイツでもチュービンゲンやミュンスターなど大学都市と言われているところが常に1番、2番を占めるということなので、住みよさでも、地域の安定的な発展という意味でも大学のもつ意味は当然大きいので、それはどこかにハッキリ書いたほうがいい。
    • 法人化しても国立大学は国立大学だが、それぞれの地域の私学との関係ももっと有機的に連携をとっていくべきである。大学だけでなく、それぞれの地域の知的生産のネットワークをしっかりつくっていくことがそれぞれの地域の発展にとって重要である。大学と地域との関わりをしっかりつくっていく視点を入れてほしい。
    • 「社会資本」は英語ではsocial capitalだが、道路や橋などだけでなく、教育などいろいろなイメージでとらえて、社会資本とは一体何か検討してもらって、新たな認識としてほしい。
    • ブロードバンドの爆発的進展などがあり、ドット・ネットワークの崩壊というが、実態的には、携帯電話を使ったインターネットなど、生活の中に普及してきている。ユビキタス・ネットワーク時代になるということで、そういうことが地域の問題を考えるときに重要である。特にこれから5年で大普及ということを織り込んでおく必要がある。
    • IT革命の影の部分もいろいろある。そういう意味では、「ブロック内拠点空港・港湾の利便性向上」については、アジアを中心とした国際的な視点で見なければいけないということを含めて非常に重要な問題だと思うが、アメリカの9.11事件などもあり、安全性、セキュリティについての総点検をほとんどの国がしている。「利便性の向上及び安全性の確保」をこれから考えていくべき。
    • 生活圏域という発想でいくと、中心的な都市の規模を維持することが困難な地域の対応や人口減少により困難になる地域への対応をどうするかというところは非常に重要。現在30万未満のところももちろんだが、そういうところはどうやって生きていけばいいのか、考えることが重要。「地域が主体となった個性ある地域づくり」という発想をもってやらないとできないことだと思うので、その辺を関連付けるといい。「人口減少下の国土利用の再編」では、「積極的に緑地化や自然再生の考え方を取り入れられないか」とあるが、いかにも切り捨ててしまって、原野になるところが出てくるのではないかということで変な心配、無用の混乱がでるのではないか。そういうところでも人は生活しているので、なんとか努力すれば人の生活する道は残るという感じを持たせるべき。それにはやはり個性ある地域づくりは地域が主体となって自ら考えるという発想が大事ではなかろうか。
    • 観光地で思うのは、日本人の観光が団体(観光バス、修学旅行)から個人ベースになっている。団体は中国、韓国のみ。しかし、交通手段、中国語・韓国語の観光案内がないなど時代に対応していない。時代の変化に適応した地域づくりを、生活している人たちが自らの手で真剣に考える仕組みを考えていかなければならない。
    • 中山間地あたりにいくと、地方都市にでてくるのに道路が十分でないことも含めて、お年寄りばかりで生活機能を維持できないという状況にある。どういうふうに地域を構築すれば、ほどよい生活が創出できるのか。
    • まだまだ公共事業、特に道路整備は必要な地域もある。地元の市町村の意見を十分聴いて国土計画に位置付けてほしい。
    • 瀬戸内海における中国人集団密入国といった問題もあり、公安、防犯上の問題にも配慮しながら取り組んでほしい。
    • 開発系と保全系との調和が必要とは前から言われているが、しかし、バランスがとれていなかったことが、結果として環境問題を起こしてきた。野生生物の絶滅などの環境問題をどう解決していくか非常に重要。今後、国土レベル、広域ブロックレベルでエコロジカル・ネットワーク、生態系のネットワークということをやっていく必要がある。その場合の指標開発、数値目標をきちっと出していく必要がある。
    • これから日本の社会構造のなかで重要なのはNGO、NPO。議会、行政、国民、NGOという4極構造が重要な社会構成になっていくだろう。今はNPO法があるが、制度的問題がある。今後、行政とタイアップしたり、議会と協同して法案作成となると、専門的な知識が必要となる。従来のものでは対応できない。欧米のNGO・NPOは専門家集団であり、日本もそういう時代を迎えている。NGO、NPOが活動できる社会システムを構築する必要がある。
    • 「東アジアをはじめとする海外との国際連携」については、「就労における受入環境の整備」「外国人向けの生活環境の整備」といったことで、外国人労働者を入れようということもなんとなく書かれている。しかし、未熟練の労働力を日本に入れるということ以上に重要なことは、プロフェッショナル分野での外国人の受け入れ。外国人の大学教官、エンジニア、医者といった専門職の分野で外国人をどんどん入れる。長期停滞の最大の原因は人的資本の劣化だと思っており、盛り返すためにもレベルの高い外国人の受け入れが必要。

(速報のため、事後修正の可能性があります。)


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