国土交通省
 国土審議会調査改革部会
 第9回地域の自立・安定小委員会・議事概要

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  1. 日時
     平成16年2月3日(火)10:00〜12:00

  2. 場所
     経済産業省別館825号会議室

  3. 出席委員(50音順)
     荒井委員、池上委員、江崎委員、大西委員長、岡部委員、菅沼委員、古川委員、柳川委員、山岸委員

  4. 議事
     (1)開会
     (2) 地域の自立・安定小委員会最終報告(案)
         事務局より説明後、議論。
     (3)その他
     (4)閉会

  5. 主な発言内容(順不同)
    (1)報告書案について
    • 二層の広域圏のうち、地域ブロックの中で、経済・産業の活性化を強調したことを次の国土計画に反映させてもらいたい。
    • 二層の広域圏が国土計画に反映され、実現されることにより、我が国全体が欧米並びに発展しつつあるアジア経済圏に対して十分に国際的に対抗できる可能性があることを結びの言葉として書いてほしい。
    • ボランティア団体やNPOが住民主体の中の核をなす記述はあるが、図50に挿入するなど、もう少し踏み込んでNPOに対する期待としてポジションを明確においてほしい。
    • 産業においてもNPOはいろいろな活動を行っている。
       →図50については、NPOはコーディネート機能を主に果たしたり、人と人の場の提供をしていると考えている。
    • 官だけではなく、純粋な民間でもなく、公益的な立場としてNPOがあり、産業の活性化も包み込みながら、地域の整備・発展を目標にしている。
    • これからの社会は高齢化社会であるが、都会では病院等の設備が整っており、便利が良すぎて、逆にこれが良いのか悪いのかわからない。地方では逆に不便さにより、自主自立して生活していく意識が高い。
    • 地域ブロックがわかりやすくなった反面、生活圏域、ほどよいまちがわかりにくくなった。図42についての趣旨はわかるが、実際には具体的なイメージができないし、P51の「人間の生活の場の再生」についても具体的なイメージがわかなく、抽象度の高い議論が多いため、ある程度の補足説明がいる。また、生活圏域と3全総の定住圏の違いがわかりにくく、説明をする必要がある。定住圏は具体的な政策イメージがあってつくられたものだが、生活圏域は国全体で決めるものではなく、地域が決めるものであるため、その辺りをもう少し丁寧に理解してもらうための工夫が必要である。
    • 図表42について、2層の広域圏と地域づくりについて、わかりやすくなった。地域の概念は幅広い地域をいろいろなレベルで考えられているが、この図により視覚的にイメージが捉えられるようになった。
    • P47の地域ブロック内の健全な競争とは、どのような競争なのかわかりにくい。
    • 全体としては、これまでの議論したことが入っており、まとまりがあり、バランスが取れていると思う。
    • 人口減少社会のインパクトに対する評価が甘いと思われる。今後、地域には、人口の自然減のファクターである出生率の低さと死亡率の高さの2つのファクターがダブルで重くのしかかってくる。農村は人口が減っても大規模農業への転換など維持できる可能性はあるが、都市においての魅力は絶えず新しいものが生まれることが必要であり、人口流入などのフローが絶えずあることなど流動性が重要であるため、人口が減っている中小都市はそれだけで魅力が失われる。そのため、少しでも中小都市を救うための人口誘導策があるが、これは実現が難しいため、別の考え方が必要である。
    • P41 4)にあるように自分が住んでいる地域に対しては、「愛着と誇り」より帰属意識が重要である。
    • 生活圏域について過去の定住圏との類似点、相違点を書くべきであり、相違点については、地域の創意工夫を活かした方向で、地域が多様な選択をしていることを入れる。
    • P41の「生活圏域は地域ブロックの拠点からの波及を受けとめること」については、ブロック内の稼ぎ頭からのおこぼれを受け止めることなのか、プラスとマイナスの波及を受け止めることなのかはっきりさせるべきである。また、生活圏域の書き方は受け身の体制になっている。人口が減少していく局面でも、生活圏域がしっかりしていれば、地域ブロックの競争力を下支えしていくのであり、そのため、積極的な意味を込め、生活圏域で自然環境が保全されていれば、良好な環境が保たれ、ひいては地域ブロックの競争力につながっていくことを入れるべきである。P57上2行の「地域資源の価値が損なわれないよう」といったマイナス面をなくす表現ではなく、こうしたことが守られることがよりプラスの意味がある表現にしてバランスをとれば、もう少し全体がまとまるのではないかと思われる。
       →生活圏域と定住圏との違いについては報告書に明記をしたい。委員指摘の自然環境の保全を生活圏域の中で機能分担、相互補完することはどのように位置づけたらいいのか。
       →生活圏域の中でしっかり守りの姿勢を固めておけば、地域ブロックの足を引っ張らないばかりか、他の地域ブロックに対する競争力となる。限られた資源をバランスよく使っている生活圏域に支えられることは地域ブロックの強みとなってくる。また、生活圏域と地域ブロックの関係としてほどよい概念を当てはめるべきであるが、生活圏域の中でもりこんであるため、上記の関係がしっかり定義されていない。
    • 地域のどういう姿が自立と安定になることは示したが、それをどうすればそこに到達できるのかといった具体的方法が十分には書き切れていない。新全総以来の圏域論と今日のものとでは国と地方の関係が変わってきている。合併された自治体などの地域が自主的に政策や条例を立案をし、政策を実施したり、その裏付けとなる財源を確保して活動していくが、それを具体的に可能にする条件は国の補助金を当てにするものなのか、地域の自主的な政策展開によるものなのかをはっきりさせるべきである。よって、次の課題として、分権化が進んで、国はほとんど政策的な関与をせず地域に委ねるタイプやまだ国の役割として全国的なバランスをとるタイプなど、いくつかの国と地方の関係のパターンを整理して、自立と安定の社会にいたる道筋を考える必要がある。それがないと、将来像を描いただけで終わってしまい、実現するための具体性に欠けてしまう。
    • 人口については、人為的に変わりうるものであり、それを安定の指標とするならば、ローカルな社会システムや政策展開の中でローカルに人口問題を解決する手段もあり得るため、国と地方の関係の中で地域の役割をもっと鮮明に出し、国の権限委譲などその関係をいくつかのパターンにわけて提示してみることなど、三位一体の改革を受動的に受け止めるのでなく積極的な働きかけをしてみても良い。
    • ほどよいまちは伝統的なコミュニティをイメージしてしまい、それが排他的なイメージに繋がっていく。よって、地域づくりを考える上で、地域のオープンさを確保することを書き加えてもいい。
    • 地域づくりの地域には地域ブロックも含んでいるため、P552最後のパラに「地域ブロックの魅力を高めることに貢献する」といったことを書き加えれば、現場から地域をつくっていくことにつながっていく。
       →ほどよいまちがもつ地域ブロックのコンセプトを整理する。
    • 三位一体の改革は人によって考えていることが違うため、積極的な地方分権にならない可能性もある。
    • 最終的には具体的な政策がどのようにとられるかが重要である。
    • ほどよいまちづくりを具体的に行うことは難しい課題である。
    • 理想論としてきれいな絵を描くことと、現実論として過疎化や集積のコアが見つけられない地域についてはどうしたらいいのかを考えさせられた。実際問題として、住み心地のよい町で、経済的なリターンもある町は理想であるが、そうでない町は、環境や産業などのバランスをどのようにとり、それに対し政策がどのように関わっていくかの書きぶりは難しい。
    • 産業の活性化のためには産業の集積が必要であるが、そのこととほどよいまちとは完全には一致していない。そのため、1つの解決策として知的資本を蓄積することによって、環境や住み心地とのバランスがとれた集積がつくれるが、一方で、それで雇用の確保ができるかどうかが課題であり、施策として具体化してい過程で考えて欲しい。
    • 三位一体は地方切り捨てになるおそれがある。国土の均衡ある発展のため、山村や過疎地域は環境や水資源に配慮し、国が保全するべきである。
    • 今後、全体としてパイが小さくなる中で、従来の均衡ある発展との言葉では誤解を生む。しかし、国土計画の意義は国土全体の発展やそれぞれの役割を活かすということをどうするかが大きなテーマであり、大きな意味での環境の変化を基調として書くことも良い。

(速報のため事後修正の可能性あり)


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