国土交通省
 国土審議会調査改革部会
 第4回持続可能な国土の創造小委員会・議事概要

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  1. 日時
     平成15年10月6日(月) 10:00〜12:00

  2. 場所
     中央合同庁舎3号館 11階共用会議室

  3. 出席委員(敬称略)
     武内委員長、小田切委員、小池委員、志賀委員、中井委員、林委員、鷲谷委員

  4. 議事概要
    (1)開会
    (2)「続可能な国土の創造小委員会意見聴取会(9月18日開催)」に関する委員からの意見について
     (事務局より委員提出意見紹介後、質疑応答)
    (3)環境負荷の少ない国土・地域構造への転換
     (事務局より資料説明後、質疑応答)
    (4)国土利用の再編、美しい国土づくりのあり方(その1)
     (事務局より資料説明後、質疑応答)
    (5)その他
     (事務局より第2回企画運営委員会の概要説明)
    (6)閉会

  5. 主な発言内容
    (1)「持続可能な国土の創造小委員会意見聴取会(9月18日開催)」に関する委員からの意見について
    • 地域を担う主体の議論が国土計画としても必要。旧村単位等、小さな自治組織の役割が大きくなっていることから、自らの地域を粗放的に運用するか、部分的に集約化して運用するか、地域にまかせるという考え方もある。
    • 自然環境の観点からは、粗放化か撤退かということではなく、場所に応じた管理が望ましい。地域の選択はいいことであるが、それに関して、放置すれば50年後どうなるのか、どういったことをすればどうなるのか、情報提供を行うことが重要。
    • 国土の均衡ある発展にも関連する話であるが、地域それぞれが目指す方向が違うことに意味がある。ただ、地域の選択には相当の幅があり、それだけでいいのかという部分もある。
    • 中山間地域においても、その他地域においても、コミュニティレベルの小さな地域づくりからのボトムアップの重要性が増してきている。一方、環境問題等、広域的に対応すべき課題もある。都市と農山村の関係としては、これまで、交付税による財源配分と、都市農村交流の面が主流であったが、これからは、河川の上下流の関係のように、自然環境の観点からどのように役割分担すべきか考える必要がある。
    • 計画策定において、50年後の姿を考えるとき、食料自給率、木材自給率も重要なのではないか。
    • 木材自給率を直接的に出せるかどうか分からないが、例えばヨーロッパにおいては日本より木材自給率は高いが、それによる環境面での問題は発生していない。森林経営から公的管理への流れについても、国段階と都道府県段階では意味合いが少し違う。
    • イギリスでは、古くから人の手が入った自然をきちんと保護しており、農業面の政策が充実している。国土の15%がEnvironmentally Sensitive Area(環境保全特別地域)に指定されており、石垣、生垣等の保護に関して、補助金はもちろんのこと、情報面でもサポートしており、それにより、地域が観光面で活性化している。
    • 2050年には、人口が現在の半分だった昭和5年ころの居住空間の広がりに戻っていくべきだと考えており、そのためにも、生活の最小単位としての集落の力が必要。また、暮らし方のイメージが必要。まとまって居住することに経済的インセンティブを与える必要があり、郊外部で撤退することにより生じる、集中による利益を、撤退エリアに還元することが必要。

    (2)環境負荷の少ない国土・地域構造への転換

    • 環境負荷を少なくするには、交通体系に加えて、建築物の建設・維持・廃棄の影響が大きく、検討すべき。
    • 現在の施策目標は、短期的なものが多いが、長期的なものが出せるかどうか、各省庁と議論を始めるべき時期。超長期的に国土がどのような姿になるのかを定めて、そこから短期的な目標を定めるべき。オランダでは、国土の何%を自然再生するのか決まっている。
    • 生物多様性は、環境負荷にも大きく関連する事項である。富栄養化が進むことにより、貧栄養環境を必要とする動植物の減少が著しい。
    • 環境負荷の概念に生物多様性を含めるか、あるいは持続可能性という上位概念の中に入れることが必要。
    • 環境負荷という言葉には、フローの感じが強く、国土資産の形成に関する概念など、ストックの要素を入れる必要がある。
    • 50年後を考えた時、人口が減少する中、財政制約の問題について記述する必要がある。また、環境負荷のしりぬぐいをするという感じではなく、新たな活力を生むということを書き込む必要がある。コンパクト化すると環境負荷が減るという前提に立っているが、本当にそうなのか。過去、高密度化した都市において、低密度で居住していた時代には無かった問題が生じた。一方、近くで物ごとを処理すると負荷が小さいのは確かであり、両面を定量的に評価する必要があるのではないか。また、窒素、リン等が水系に出たら終わりではなく、その後どうなっているのかを示す必要がある。

    (3)国土利用の再編、美しい国土づくりのあり方(その1)

    • Wetland(湿地)や、斜面林が開発された地域など、防災上居住に好ましくない地域こそ、自然再生をする必要があるのではないか。
    • アメリカでは、そのようなエリアで都市の自然再生を実施している。
    • 美しい国土づくりには、社会的、文化的な多様性が重要なのではないか。
    • 持続可能性には、生物多様性、物質循環、文化や地域の多様性の3つの面があり、これは美しい国土にとっても重要である。イタリアのガラッソ法は、点としてしか位置付けられていなかった文化財を、地域の中でのランドスケープとして位置付けるために制定したと聞いた。ランドスケープ計画を国土計画に位置付けて担保して欲しい。
    • 文化には、歴史的なものも含んで見るべき。国土利用に関して、安心はどこに位置付けるべきか。美しい国土が必ずしも安全な国土とは限らない。土地を1つの目的だけではなく、相互に利用することは、とくに防災の観点から重要。また、NPOに期待しているがどう育てていくのかが重要。
    • 人口減少に関する認識は、中山間地域、10万人以下の都市等では記述の通りであるが、大都市の郊外においては、非常に緩やかなプロセスをたどる見込みであり、ここ10〜15年くらいは、依然世帯数の増加が続くこととなり、大量の低未利用地は出てこない。低未利用地に対処するというよりは、積極的な集約化を図るという視点が必要になるのではないか。その際、制度については急には変えられない中で、経済合理性では動かない部分について非営利部門にある程度の期待が持てないか。
    • 多自然居住地域での課題と同じように、国土利用についても、ライフスタイルがどうなるかが重要なのではないか。
    • 循環型社会形成推進基本計画で出されていたものを参考に、個々人に着目したライフスタイルを検討してみてはどうか。
    • 問題は、社会の目標をどこに置くのかということである。自然・社会からの制約条件、例えば循環型社会、財政制約等は大きくは変えられない。その中で、経済的メリット、快適性、自然、安全・安心等のクオリティ・オブ・ライフをどう高めていくかということである。

(速報のため、事後修正の可能性があります。)


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