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国土審議会計画部会第9回自立地域社会専門委員会議事概要

 

 

 

 



 国土審議会計画部会第9回自立地域社会専門委員会議事概要
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  1. 日時:  平成19年1月24日(水)10:00〜12:00

  2. 場所:  合同庁舎2 号館低層棟共用会議室3AB

  3. 出席委員(敬称略)
     奥野委員長、森野委員長代理、秋岡、梅川、岡島、小田切、清水(哲)、関根、松田

  4. 議事
    (1)計画部会中間とりまとめについて
    (2)集落の実態調査について
    (3)検討中の事項1(計画の基本的考え方・分野別施策の基本的方向関係)について
    (4)検討中の事項2(広域ブロックの形成関係)について

  5. 主な発言内容
    ○「(1)計画部会中間とりまとめについて」関係
    • 当委員会で検討してきたことは横串のものとして収まりがよい位置付けになったと思う。広域地方計画にうまくつなげてほしい。「新たな公」という言葉はなじみにくいが、議論していた昨年は公共
      の概念を整理する時期だったように思う。
    • 日本風景街道をめぐる動きや社会実験をみると、新たな担い手の台頭を感じるし、二地域居住も実践する人が増えている。前回の委員会からの間に議論から実践へと移っており、現実の変化を計画にも反映させるべき。
    • 広域地方計画の単位で考えていくと、辺境の支援が抜け落ちかねない。全国計画で支援の必要性を書いておくべき。
    • 地域への人の誘致を「促進」と書くことには抵抗感を感じる。都市からは人を奪うことになるし、移動によってCO2 増加にもつながる。集落問題の先延ばしにもなりかねない。団塊の世代は地域志向があるが、その下の世代はそうでもないことも考慮し、「活用」とすべきではないか。

    ○「(2)集落の実態調査について」関係

    • 中山間地域直接支払制度により、地方自治体の担当者が集落に足を運ぶようになり、情報量が多くなった結果、データの精度が高くなったのではないか。
    • この調査結果からは、集落の強靭性と限界性の両面が見えてきたと思う。山間地・中間地など地形別にデータを書き分けると、人口や高齢者率などがある程度までは強靭性をみせるが、それを過ぎると急速に崩れだす可能性など、限界性がかなり見えてくるのではないか。
    • このデータを踏まえて、集落ではどうしたらよいかについても踏み込めると良い。
    • 医者がいなくなると集落が弱くなるということが言えるのではないか。
    • 集落の地域特性には、歴史も大きく関係している。中国では、平家の落人や京を追われた人が奥地に住むようになった。
    • ビジョンを示した上で具体策にどう結びつけていくかが重要。ブロックごとの違いをどう対策に結びつけていくか、限界集落をどうしていくかについてモデルを示すべき。奥にも人が住んでいた中国がこれから北海道や東北のようになっていくのなら、そこに学べることもあるのではないか。
    • 維持困難な集落では、うまく消滅を進めていくことも考えられるのではないか。

    ○「(3)検討中の事項@(計画の基本的考え方・分野別施策の基本的方向関係)について」関係

    • 「新たな公」により、行政と民間の領域が重なってきている以上、税金の扱い、その線引きのあり方を考えるべき。
    • 人材育成を促進する社会システムの整備が必要。自分は自然学校をやっているが、都市農村交流にしても、都市と農村の両方のことを知っている人がいないとなかなか進まない。
    • 人づくりの観点を持つことが重要。「新たな公」を担う人材にしても、外部の人材を活用するとあるが、地元にどれだけやる気がある人がいるかが大事。観光カリスマなどをやってはいるが、もっとシステマティックに人材育成を図るべき。大分の「豊の国づくり塾」では、卒業生3,000 人のネットワークを作っている。国土交通大学校の活用も検討されるべき。
    • 「新たな公」については、何がどう変わっていくのかをよく説明しないと、民間への押しつけだと誤解される。
    • 中間とりまとめでグローバル化とあるが、日本人が外に出て行く話ばかり。日本で働いている外国人にとって、日本はシームレスではない。内なるグローバル化の視点も計画に少し入れてほしい。日本に外国人を受け入れてゆく必要がある。
    • 人材育成については、島根県の中山間地域研究センターが盛んにやっており、大きな役割を果たしている。
    • 中間とりまとめは大学の講義にも使用したが、メッセージは学生にもよく伝わるものだった。ただ、違和感を持つところがいくつかある。@都市と農山漁村を分けたために中間領域が弱くなっている。郊外問題が注目されているにもかかわらず、4行しか記述がない。地方中小都市が、両者の間で支えている立場であるにもかかわらず、ここの問題が抜け落ちている。A団塊の世代に注目しているが、後期高齢者や青年世代のことも考えるべき。「新たな公」は、青年世代が一番ピンと来る概念ではないか。B多自然居住地域の概念が落ちている。地方中小都市と農山漁村を一体として考えることは重要。再考すべき。
    • 「新たな公」のような考え方については、これまでにもさまざまな議論があったが、「新たな公」はこれまでの流れの決定版と位置づけられるだろう。ただ、資料4−2の2頁の絵には違和感がある。各主体の人がみな同じ大きさだが、住民の役割が第一であり、また行政の役割も大きいだろう。同じ大きさだと、「みんなでやろう」程度の認識になってしまうのではないか。
    • 中間とりまとめの5頁にある価値観の変化については、五全総から国土形成計画に変わった背景なのだから、もっと詳しく書くことができないか。
    • 委員会では大学や地域の公共機関の役割についても議論されたと思うが、「新たな公」の絵からは抜け落ちている。どこかに位置づけてもいいのではないか。
    • 国や地方の財政が厳しいから「新たな公」だといっているようにみえる。むしろ、行政による福祉施設のサービスの気が利かない、といったことが問題ではないか。こういう行政の限界についてもっと書いてよいのではないか。
    • 指定管理者はいい制度のようにみえるが、委託を受けた業者が形式的で取り付くしまもない対応をするようになっている。行政の担当部局のチェックがもっと必要であり、このあたりを丁寧に書いてみてはどうか。
    • これまでの価値観の変化があったのは確かだが、国土形成計画が今後30年から50年の間の施策礎になることを思えば、いまの価値観はこれから変わるので、あまり踊らされてはいけないのではないか。
    • 政府自体のあり方も考えるべき。支援メニューが相互にオーバーラップして無駄が出ることもありうる。小さな予算で可能な限り効果を大きくする仕組みを考えるべき。
    • 多様な主体の特性に応じた役割分担というのが重要。資金についても、地域内で動くこともあるが、外の資金を導入するとか、全国的な金融機関を使う場合もある。地域だけでできないことついては他の地域の資源を使うといったことがあってよい。多様な主体の連携も大切。資源の有効活用にもつながる。

    ○「(4)検討中の事項A(広域ブロックの形成関係)について」関係

    • 広域的な幹線交通網の開通により、地域間の人の交流が活発になり、従来と違う人の流れ、風向きの変化が起きているところがある一方で、変わらない地域もある。このような変化をどのように作り出していくかを動態的に議論できるとよい。
    • 東海北陸自動車道の効果も大きい。長野や岐阜の限界集落の動向も変わっていく可能性がある。
    • 限界集落を個々まで国土政策でケアするのは日本くらいだと思う。集落の数字を分析する一方で、個々の集落ごとに住民や歴史、問題点などを丁寧にみていくべき。人口が何人以下なら切り捨てる、といったことにならないようにする必要がある。
    • 交流人口を増やしても、それが地域経済の自立につながるためには、地域が付加価値を高めることが必要。土産物も、外で作ったものを売っていてはお金が東京大阪に行ってしまう。地域内にお金が落ちる仕組みを考えていくことが重要。
    • 地域の高齢者・女性の参画とあるが、いま地域づくりを主にやっているのはまさに彼らではないか。
    • 国土計画は産業の匂いが強いが、医療など一般の生活者の視点をもっと出してほしい。
    • 地域ごとの特性を示す指標については、距離的な要素が重要。山陽の集落は都市近郊の中山間地域にあるので、気軽に他出できる。東北の集落は都市から遠いところにあるので、出て行くのが大変であり、勇気がいる。
    • 広域ブロック単位のひとつの指標で全体を貫くことができるか疑問。かえって広域地方計画の画一化につながらないか。広域地方計画では圏内の各地域区分ごとに考えていくべきことをメッセージにすべきではないか。
    • 全国計画と広域地方計画の役割分担を考える必要がある。地域づくりへの参画などは全国計画の理念として書くべきことで、東北でこうだ、といったことは考えられない。広域地方計画では道路整備による効果などを書いていくのではないか。この委員会で検討されている項目は、ブロック別に特色があるような分野ではないのではないか。
    • 産業についても、具体策は広域地方計画ベースで決めていくことになるのだろう。ブランド力の構築といったことを、広域地方計画に入れていけばよいのではないか。

    (速報のため、事後修正の可能性があります。)


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