平成19年6月26日 |
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土地・水資源局土地政策課 |
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TEL:03-5253-8111(代表)
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6月26日14:00より国土交通省(2号館)11階土地・水資源局会議室において、第19回国土審議会土地政策分科会企画部会が開催された。議事の概要は以下の通り。
- 「土地政策の再構築」(平成17年10月 国土審議会土地政策分科会企画部会報告)のフォローアップとして、「土地政策への再構築」への対応状況、長期宅地需給推計手法、土地利用を巡る課題について事務局より説明が行われ、これをもとに議論が行われた。
各委員から出された主な意見は以下のとおり。
≪(1)「土地政策の再構築」への対応状況について≫
- エリアマネジメントについて、マニュアルの成果に期待しているが、マニュアル作成後の取組はどのようなものになるのか。今後、エリアマネジメントの制度的基盤の整備について取り組むことが想定されるが、地権者等の団体のあり方等に関する重厚な制度のみならず、ガイドラインの提示や、マネジメント業務を担う専門業者の業務の規制のあり方といった柔らかい制度についても検討すべきではないか。
- 例えば、昨今、別荘地において、定年退職した地権者が日々住まう街区を形成しつつあるが、分譲時に業者と交わした契約が現実に即しておらず、サービスの内容や解約に係るトラブルが発生している。エリアマネジメントに関し、このように現実に生起しつつある問題は、土地政策上の喫緊の課題ではないか。
- エリアマネジメントのニーズは多様である。アメリカでは資産価値の維持・向上であるが、日本の郊外住宅地においては、空き地が発生するなど、マネジメントしないとどうしようもないという所もあり、柔らかい制度だけでは対応しきれない場合もある。どのような場所にどのような施策が必要かの仕分けが必要ではないか。
- 経済主体が抱く将来に対する期待は、人間の欲望(需要)に左右されるというマクロ経済動学が近年進展しているが、資料を見るに、こうした分野の知見が、踏まえられていない。土地政策が常に後手に回ってきたのは、こうした大きな展望を欠いているためではないか。今後は、新古典派の考え方だけではなく、こうした経済学上の知見も活用し、科学的な政策を打ち出すための議論をしていくべきではないか。
- 現時点では、取引された不動産の場所を特定できない形で取引価格情報が提供されている。今後、データを公開し、研究者等による分析に活用してもらい、研究者等と連携していくべきではないか。
- 取引価格情報に関して、アンケートの回答内容については土地関係部局においてのみ使用するとアンケート対象者に対して事前に断っている。アンケートの回収が必ずしも進んでいない現状において、データの公開に踏み切ることについては、誤解を生じさせ、サンプル数に影響を与える可能性がある。例えば、まずは、都道府県における地価調査関係部局等に対して情報を提供するなど、段階を踏む必要があるのではないか。
- DCF法の使われ方を心配している。不動産鑑定評価の実施に当たり、将来に対する期待がどのように形成されるかを研究していく価値はあるのではないか。
- 価格変動期は、取引当事者の目付けが変わる時期であり、取引価格にもバラつきが発生する。こうした状況においては、国の政策が市場に対する介入になりかねず、かえって取引を阻害するという側面があり得ることに注意が必要であるのではないか。
- 現在の日本政府は、市場を扱うことを得意としていないのではないか。
- エリアマネジメントに取り組んだ場合の、地価上昇との関係についてヘドニック分析を行ってみてはどうか。
- REITやファンドが、まちづくりなどの長期的な視点も踏まえた不動産運用をするようにしていくべきではないか。
- 土地政策の再構築を2年前に取りまとめてから、政策が枝葉の議論に入り込んでしまっている。そもそも、我が国にとってどのような土地政策が必要かを、安定的な成長という観点から今一度議論する必要があるのではないか。
- 「質の高い国民生活と持続的な経済成長の基盤となる土地ストックへの円滑な再編・再生」という土地政策の目的と、個別施策を推進する目的の間に溝があり、両者の関係が分かりにくくなっている。特に、土地市場の条件整備については、何のために個別の施策を実施しているのかを明確にする必要があるのではないか。
≪(2)長期宅地需給推計手法について≫
- シナリオを複数たてて、相互に関連なく個々に可能性を追うのは、いかがなものか。むしろ、ありうべききちんとしたシナリオを立てて、それを踏まえた政策のあり方を検討すべきではないか。
- 現状のデータを元に20年後を予測するといった積み上げ型の推計ではなく、どういった将来像であれば、何が問題になるかを分析するといったアプローチで整理した方がよい。そもそも、「推計」という言葉はやめたらどうか。
≪(3)土地利用を巡る課題について≫
- データを把握する際には、個別の地域で丁寧に調査をすべきではないか。例えば、「空き地・空き家が増えて困ること」というアンケートデータについても、地域の特徴によって回答が変わることが考えられ、きめ細かくデータを積み上げていくべきである。

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