国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
交通政策審議会海事分科会第3回国際海上輸送部会議事概要

 

 

 

 



 交通政策審議会海事分科会
 第3回国際海上輸送部会議事概要

ラインBack to Home

  1. 日時
      平成19年5月18日(金)10:00〜12:10

  2. 場所
      国土交通省 11階特別会議室
     
  3. 出席者
    <委員、臨時委員>(敬称略)
      杉山武彦、浅野正一郎、馬田一、赤塚宏一、秋山昌廣、太田和博、河野真理子、鈴木邦雄、南部鶴彦、藤澤洋二、山口公生、渡文明

    <オブザーバー>
      (社)日本物流団体連合会中田理事長、(社)日本造船工業会寺門企画部部長

    <国土交通省>
       冨士原康一海事局長ほか

  4. 主な議題
    議題1.日本経済・国民生活に対する外航海運の役割・重要性
    議題2.政策目的の整理
    議題3.日本籍船・日本人船員の必要規模
    議題4.政策目的を実現するための施策内容について
    議題5.今後のスケジュールについて

  5. 議事概要
    •   事務局から「日本経済・国民生活に対する外航海運の役割・重要性」「政策目的の整理」「日本籍船・日本人船員の必要規模」「政策目的を実現するための施策内容について」の説明がなされた。

    これに対する委員からの主な意見、要望は次のとおり。

    •  トン数標準税制の導入は、中国・台湾を除くと、日本だけが取り残されている。売上高税引前利益率については、邦船社も健闘しているが、売上高当期利益率を比較してみると、外船社とは大きな差が生じている。邦船社は、現在、好景気であるため、外船社と遜色ない売上高を上げているように見えており、その影に外船社より納税額が多いことが隠れており、邦船社と外船社の格差は確実に広がっている。邦船社に有利な条件を求めているわけではなく、資源・エネルギー等安定的な国際海上輸送の確保のために、諸外国と同じような条件で競争させて欲しい。
       また、船舶金融については、銀行による貸し渋り等非常事態も想定されるため、現状維持をお願いしたい。

    •  日本船社が、国際市場で外国船社と競争して来た結果が現在の姿であることに鑑みると、自助努力は既に限界に来ており、安全保障と国際競争力の両者をバランスさせるには、他国で既に行われている海運支援策を、イコールフィッテイングの観点から我が国にも導入することも止むを得ないと考える。但し、それをどこでバランスするかについては、国の支援策の内容を踏まえた上で、現実的で持続可能なものにする必要が国際競争の上からも求められる。

    •  3点程質問したい。
      1 売上高税引前利益率と売上高当期利益率を比較すると、トン数標準税制による差が出ているとのことだが、実際どの程度の影響が出ているのか。また、欧州では、海運業が不景気の時からトン数標準税制に基づいた納税額を納めていたわけであり、長期的なスパンで見た諸外国との比較も必要ではないか。
      2 船舶融資に関して、最近は、民間金融機関においても金利が低いが、実際、政策金融との差はどうなっているのか。
      3 日本籍船及び日本人船員の計画的増加を課そうとしているが、想定される減税規模が高くない中、国際競争力の強化にも対応できるように配慮すべき。

    •  欧州では、海運業が赤字のころからトン数標準税制が導入されていたことは事実だが、少額。現在、海運業は世界的に好景気で、格差が着実に広がっており、むしろ、現在及び将来のことを考えるべき。

    •  3点程質問及びコメントを述べたい。
      1 なぜ生活保護水準を必要規模の試算の基準として用いたのか。生活レベルではなく、平時と非常時の経済活動のレベルを比較した水準を用いるべきではないか。
      2 今後も引き続き長期・低利・固定の安定的な融資が必要というのはわかるが、「故に日本政策投資銀行の融資が必要となる」という論理は理解しがたい。これまでも日本政策投資銀行の船舶融資はあったが、日本籍船が減少し続けていることに鑑みると、同行の融資が日本籍船の増加に寄与するとは思えない。
      3 安定的」という言葉には、経済学的には「平均的に見て満たしている」と「最低限必要な絶対値は満たしている」という2つの意味があり、不明確。安全保障の価値基準を前面に出してはどうか。

    •  日本政策投資銀行の融資は、日本籍船のみならずFOC船も含めた日本商船隊の整備を支えていくための融資であり、本来的に日本籍船の増加に寄与するためのものではない。政策金融改革により、融資のための資金調達が従来よりも厳しくなることが予想されるため、長期・安定融資が必要ならば、国家としてその資金調達のための支援制度が必要となる。

    •  外資系企業が邦船社を買収した場合、日本籍船は消滅してしまうのか。

    •  平時におけるコスト面ではFOC船の方が有利。非常時に日本籍船・日本人船員は必要だが、その確保のために国際競争力をダウンさせてしまう程の過度な増加義務は課すべきではない。
       また、必要規模の試算に当たっては、半年分の石油の備蓄があることは考慮すべき。

    •  必要規模は非常時を念頭に置いているが、生活保護世帯の生活水準が唐突に出てくるのは違和感があるし、厳しすぎるのでは。非常時係数は、弾力的な幅を持たせた係数にしておくのがよいのではないか。
       また、欧州でトン数標準税制の導入が認められたのは、「海運の安定的な確保」が国家戦略であり、その手段として「海運会社の国際競争力の強化」が選択されたから。よって、海運業の特別扱いではない。

    •  「安定的な国際海上輸送の確保」と言った場合の「安定的」には、「輸送の確実性」と「(低廉な)運賃の安定」という2つの意味がある。この2つを満たすのは、荷主との長期契約であり、その契約を締結するのは邦船社である。経済産業省が「資源エネルギーの安定的供給の確保」を標榜しているが、この輸送は海運、邦船社の長期輸送契約が担っている。

    •  数点述べたい。
      1 鉄鉱石は、それ自体の価格よりも輸送費の方が高い。それを低廉な運賃で輸送してくれるのは邦船社であり、それ故、邦船社の国際競争力の強化は重要。非常時に必要な日本籍船・日本人船員の規模が過大になると、逆に国際競争力を弱めてしまう結果となる。
      2 トン数標準税制の対象を日本籍船のみとすれば、これは邦船社にとって日本籍船を増加させるインセンティブとなる。
      3 日本籍船でなくても、邦船社が保有するFOC船であれば海難事故は少ないのではないか。
      4 非常時というのは、海事分科会の中のみで議論するだけでなく、日本全体としてのリスク管理が必要なのではないか。 また、日本人船員の必要規模である約5500人を確保するのに30年かかるとのことだが、その間に危機的状況が発生した場合には、その対策はどうするのか。もっと短期間での到達を考えないと厳しいのではないか。

    •  トン数標準税制を導入して、どの程度外航海運業の国際競争力が高まるのか。

    •  日本籍船・日本人船員の確保スキームを厳しくし過ぎると、国際競争力を逆に低下させてしまう。一方で、そのスキームをソフトにし過ぎると、税務当局や国民に説明がつかない。そのバランスをとることが大事。

    •  日本籍船・日本人船員の増加と国際競争力の強化はトレードオフの関係にある。
       日本籍船・日本人船員の必要規模を確保するための手段の一つがトン数標準税制であるのであれば、そのトン数標準税制の効果が日本籍船・日本人船員の確保とどう結びつくのかを提示する必要がある。すなわち、トン数標準税制の導入により厚くなったキャッシュ・フローをどう使うかを明確にすべき。

    •  今般のトン数標準税制は、本来は国際競争力の確保のためのものであるが、国民各層の理解を得るため、安全保障という観点を前に出す必要があることも事実。一般には、日本籍船には日本人船員が乗るものと想像しているであろうから、船機長要件の撤廃をしても差し支えないということについての説明ぶりについては磨き上げが必要。

    •  国際海上輸送部会の今後のスケジュールが決定された。

      ※「委員からの主な意見、要望」は、現時点において事務局の責任においてとりまとめたものであり、今後発表される議事録等と異なる可能性があります。



    交通政策審議会海事分科会第2回国際海上輸送部会 資料 【PDF形式】

    資料1 第3回国際海上輸送部会説明資料
    資料2 国際海上輸送部会の今後のスケジュール

     PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。右のアイコンをクリックしてAcrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。
     Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合はこちらをご参照下さい。

    アクロバットリーダーホームページへ
    (ダウンロード)


     戻る
    ライン
    All Rights Reserved, Copyright (C) 2007, Ministry of Land, Infrastructure and Transport