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 交通政策審議会交通体系分科会第3回地域公共交通部会議事概要
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  1. 日時
     平成18年11月14日(火) 13:30〜16:00 

  2. 場所
     国土交通省特別会議室(中央合同庁舎3号館4階)

  3. 出席者
    【委員】(敬称略)
    森地茂、井口雅一、廻洋子、山内弘隆、市川嘉一、伊東誠、喜多秀行、鈴木 文彦、藤井聡、藤原章正

    【オブザーバー】(敬称略)
    武村昇治(金沢市都市政策局長)

    【国土交通省】
    宿利総合政策局長ほか

  4. 主な議題
    (1)交通事業者からの意見聴取
    1四国旅客鉄道株式会社 常務取締役 半井真司氏
    2社団法人日本民営鉄道協会 地方交通委員会 副委員長
    (富山地方鉄道株式会社 代表取締役社長)桑名博勝氏
    3社団法人日本バス協会 副会長
    (北陸鉄道株式会社相談役、石川県バス協会会長)コ舛周斌氏
    (2)公共交通に関する政策課題と対応等について
    1公共交通に関する政策課題と対応について
    2中間とりまとめの方向性(案)について

  5. 議事概要
    • まず、交通事業者から地方公共交通の現状について説明がなされ、続いて質疑応答を行った。質疑応答の概要は次の通り。
    • 続いて、資料3に基づき、事務局より中間とりまとめの方向性について案が説明された。
    • 事務局の説明に対して委員より意見が述べられ、これに対して国土交通省より回答がなされた。委員の意見の概要は次の通り。
    • 第4回は12月5日(火)14時からの予定。

    【質疑応答概要】

    • 本体の人件費を1とした場合、分社化でどの程度の水準となるか。
       ⇒北陸鉄道の例では、給与は3割程度低い。本体は年功序列で賃金水準が高止まりとなっているが、分社は職種別賃金に近い形に持っていっている。(日本バス協会)
    • 分社化によって、地元のニーズにあったダイヤ、きめ細かなサービスにより利用客増等の効果は現れているか。
       ⇒北陸鉄道グループでは、地域のイベント時等の輸送を行ったりしているが、タクシー会社が生き残りをかけ貸切バス事業に相次いで新規参入し(石川県で約70事業者、以前は主要事業者は4・5社)、価格競争が発生し厳しい状況である。(日本バス協会)
    • 民間事業者としての鉄道事業者が考える地域に必要なサービスと、地方公共団体・住民が考える地域に必要なサービスには相違があると思うが、どのように役割分担をしたら良いかと事業者は考えているか。
       ⇒従来は、地域のニーズと事業者のニーズは違っていた面があるかもしれない。やりたいことが地域の行政と議論できなかったのは事実。民営化当初は、国鉄時代と比較した本数増やスピードアップがニーズと考え、独自で色々やってきた。そのため、単独で出来ることがほぼ限界に達している。1kmあたり、1分短縮するのに2〜3億円、電化なら1億円、複線化には20〜30億円かかる。そういうことで今、行政の協力が得られないかと思う。最近は、高齢化や環境問題により、地域の行政とのニーズと我々のニーズは合って来ているのかなと感じる。鉄道だけではなく、バス業者も含め、公共交通の必要性という目で行政も見て、いろいろな施策にも話がある。なおかつ、新駅設置により新しいまちづくりを行い、駅を新しいコミュニティセンターにする。地方では、駅前商店街が無いのが現状。四国の場合、長い目で見れば、人口減少、高齢化、税収減は必然。そのため、コンパクトシティの道を選んでいかざるを得ない。交通インフラが整備されたところを中心にコンパクト化していくという面もあり、その意味では、事業者と行政が相反する部分は無いのではないかと考える。(JR四国)
    • ダイヤ設定や緩急連絡等、利用する側にとってどのような人がどれだけ便利になっているか、どのように評価しているか。
       ⇒ダイヤ設定の評価は難しいが、お客様の声が現場から常に上がってくるので、それを受けて修正している。(JR四国)
    • 駅とは、鉄道にとっては利用者を迎える玄関口であり、地域にとっては核、交通の結節点、人が集まってくる場所であり、よそから来た人にとってはランドマークになる場所であり、非常に大切な場所と思うが、案外駅が軽視されているのではと感じる。地域との連携で駅をどう考えているか。
       ⇒鉄道復権の旗印の下、駅は店舗という考え方に基づきリフレッシュを実施。地方では、県都の駅を除き、駅での店舗は成立しない。そのため、公民館等公共のコミュニティの場として地域の人が集まる場所として使用してもらい、交換条件として駅清掃をお願いするといった施策を実施している。また、駅舎に温泉を設置したり、例えば日和佐駅(牟岐線)では道の駅と連携するということも行っている。(JR四国)
        例えば、富山地方鉄道の越中舟橋駅では、鉄道会社と村が一緒に駅と公民館と図書館、軽食の食べられる店舗の複合施設を建てた。また、村が駐車場を無料で提供することでP&Rを実施していた。P&Rの実施により、遠方からの利用客がこの駅を利用するようになったが、遠方からの減収分を乗降客増によりカバーしている。乗降客増により普通列車のみが停車する駅から急行列車も停車する駅とし、従来は30分に1本程度だったが、ラッシュ時は8〜10分毎、日中は15〜20分間隔となった。(日本民営鉄道協会)
    • JRは明らかに持っていると思われるデータを公開していないように見受けられるが、地域と一緒に何かやろうかと言う時に、この態度を変えるということはあり得ないか。米国では航空会社の競争が激しいが、路線別、便別の乗降客数をインターネットで全部公開している。
       ⇒通勤・通学輸送は先程も述べたように利用客からのダイレクトな反応や、県等からの要望が多い。その際の説明資料としてデータを用いており、個別の公開には対応している。(JR四国)

    【主な意見】

    • 地域とはどれくらいの範囲を想定しているか。  ⇒日常の生活移動を中心に考えている。生活交通圏という単位で議論していただきたい。
    • 例の(国土計画で言われている)二層の生活圏みたいなイメージか。  ⇒はい。休暇のときの旅行や、東阪間といった幹線的なものではなく、地域の人々の日々の移動、通勤・通学・通院・買物等といった動きを想定している。
    • 技術的な観点で言うと、国鉄分割民営化時に日本全国北海道から鹿児島まで同じ基準ではなく、地域に対応した色々な基準にしたほうが良いという議論が以前あった。今問題になっているのは輸送密度の高いところと低いところ同じ基準で良いかということ。輸送密度の低いところも、昔ながらの鉄道のイメージを引きずっている。例えば、JR東日本の車両を、他社も使うようになってきている。その場合、他社は開発費が要らないから安くなる。そういうことをローカルな車両についてやったらどうか。輸送密度の低いところは、別の発想で違った基準で標準化するのはどうか。これは行政で面倒見ないと動かない。
    • データの公開についてもっと踏み込むことが出来ないか。ここに書かれている方向性は全くその通りと思う。データ共有、情報公開が求められていると思うが、一次データではもうどうしようもない時代。マーケティングを行うにはデータとデータの組み合わせが必要になってきている。旅客数、経年変化、駅舎数といったデータも勿論だが、圏域に住んでいる高齢者数とか、地域のセンターの分布といった情報収集、データ集約が必要ではないか。特に地方部に行けば行くほどそういう点が欠けている。通常のデータ、プラス付加データが必要と思うが、データのインフラ整備をやってもらいたい。個別でゲリラ的に収集する時代も終わった。ある程度信頼性のおける機関で、データの安全性を確保することができるという前提で、データの収集を行ってはどうか。例えば、国勢調査の項目にもう少し踏み込んだ公共交通に関する、あるいは関連するデータを収集する仕組みを追加するとか。
    • パーソントリップでは、今われわれが考えている地域は対象外。ここで議論しているような話に必要な基本的データ、パーソナルなデータを収集するのには費用がかかり、財政的に厳しい自治体や事業者も取ろうとせず、データ無しのまま色々な議論をする状況。調査方法に関しても都市圏とは違った簡易的な、あるいは別の情報収集方法もあるのでは。安く、広く、必要限度をカバーするような調査法を、国や地方公共団体である程度整備しておくという内容を踏み込んで書けないか。
    • 市町村が一義的に重要な役割を果たすのは分かるが、少し圏域を広げてやっていくということになると都道府県の役割も加えてほしい。
    • 国の役割をきちんと書かれていることが、これからうまくやっていく上で重要では。市町村がプロデューサーになるのは、人事異動の関係等でなかなかうまくいかないと思われる。技術的助言が適切に提供されることが有効とあるが、だれがするのか等というところももう少し具体的に書いたほうがいい。
    • 地域公共交通が公共財的側面を色濃く持つのは自明。だからこそ、税投入や市民・住民の関与、地方公共団体の参加が必要という形で論拠の部分を加えたほうが良いのでは。NPO以外にも、中心となり得る都道府県、運輸局等も加えてほしい。住民等は、意思決定よりもマネジメント側で働くことが多い。マネジメントという、日々の維持管理のことも加えてほしい。
    • 市町村がこの案を受け取った場合、NPO等がクローズアップされ、NPOに任せればいいとならないか。実際、NPOでやるべきという道筋を作って住民に提示するというところが出てきている。誤解を生まないような表現を考慮する必要。NPOはあくまでも選択肢であり、作れといって作るようなものではない。新たな輸送サービスに関して、適性のあるところに適切に導入されているかというチェックの重要性を加える必要性がある。地方公共団体、特に市町村が公共交通を導入する際、ニーズ調査を時間・費用の問題で省略して計画が失敗してしまうこともあり、きちんとニーズ調査をするという部分に支援する方法はないか。
    • 地方の公共交通は独自でやっていけない。設備だけでなく運営においても財源の公的負担を入れてほしい。本来の広域行政の役務として都道府県の役割が、交通圏の話や、運輸連合的な取り組みを考えるときにも一つの束ねる役割としては大きいと思われる。何でもかんでもNPO、地域住民任せのムードになってはいけない。マネジメントにおいては、NPO・地域住民というのは中心に入っていくべきと思うが、財源や財政制度においてはNPO・地域住民を前面に出すのはいかがなものか。
    • 特に地方部、需要の低いところにとってどの程度のサービスを保証するのかということは、基本的に地方公共団体の考えることと思う。しかしながら、国土計画というものもあり、国としてはどうであるのか、国土計画と関連付けて、少なくとも日本のどこにいても、あるいは地域を限定する形で、ナショナルミニマムとして確保するということについても何らかの言及があっても良いのでは。
    • 地域公共交通それだけでは、経済学者が昔から指摘しているように、公共財ではない。地域公共交通の公共財的な性格を持つとすれば何かという点は、アベイラビリティーで説明するのが一般的で、普段使わなくても使えるような公共交通の供給があるということ。そこから出発すれば議論が出来るのでは。どこまで基礎的な公共交通を提供するかという時は、みんなが欲しがっている水準があって、それがアベイラビリティーを提供するコストを上回っていないと社会的には無駄。どこまで人々がほしがっているかという地域のニーズ・真のニーズ、支払い意思の合計額とコストの比較が必要。地域住民参加型の意思決定は複雑になるので、地域住民の参加は運用面に限ったほうが良い。ボトムアップ型の情報もあるが、最後の決定はトップダウン。情報の非対称性があって、それが重要だから参加型がいいということは正しいが、それを具体的に制度や組織にどう上げていくかで大きな問題がある。だが、この案の方向性は正しいので、もう少し具体的に何が必要かケアする必要。参加型の地域交通でないと今後何ら実効性を持った政策はなかなか出来ないと思う。
    • 「新たな公」は、地域公共交通の場合で言うとNPOが何らかの地域公共交通を支えるという意味合いと、個人個人の中に公の心を持ち協働して何とかやっていこうというのが、1つのコンセプトに入っている。過疎地でクラブ制のバスを走らせるといったことに、どういうインセンティブを与えればうまく出来るか。観光地でいうと、ロードレスエリア、カーレスエリア(例:乗鞍)等を、観光地を良くするためにみんながもうちょっと努力すればうまく行くと思われるということが結構ある。LRT、都心活性化、環境問題、都市の公共交通といったことへの対応策のキーはトランジットモール。日本は失敗したが。駐車場整備、環状道路の整備、歩行者空間の確保、車両への補助等、何らか特段のセットメニューがあれば、もしかするとインセンティブになるかも。あるいは、日本で数箇所のみ選んでやるやり方も。最初は非常にほわっとした形で、その中から絞り込み、最後にすごく出来るという調査研究の支援の仕方もあるのではないか。情報に関して、地域と一緒にやっていくような時に、肝心の情報を鉄道会社が出さない。みんなでやっていこうというときに、特に公がやっていて地域独占があるような場合に、普通のメーカーの発想と同様にやることが良いのか。もっと公開の状況下での競争が必要。地方鉄道の施設老朽化、技術力をどう考えるかが非常に気になる。橋梁、トンネルの老朽化に対する技術、資金が不足。それらの問題が災害で露見するが、災害の結果か、老朽化への未対応の結果と認識するかで全く違ってくる。安全の話が、災害のときは大問題ではないが、災害以外のときは大問題という雰囲気を我々としてどう認識するか。
    • あらゆる住民の移動手段の確保の点は、ニーズ・価値との兼ね合い。ある水準があって国・地域がそれを確保するということを明らかに。財源の確保において、税金での負担とすれば制度設計が必要となり、利用者負担とすれば利用促進策が必要になる。モビリティーをきちんと確保していくには、制度設計と利用推進が必要であるという話があると分かりやすい。公共交通は私有財でもある。マーケット原理だけでいうと、公共交通マーケットは斜陽産業。公共交通は、公共財と私有財の両方の側面を持つ。P5あたりに、事業者の経営努力の必要性を追加することが必要では。
    • 交通計画は手段であり、まちづくり・地域づくりのためであるということが、P5にまちづくりとの連携ということで記載されていて良い。ニーズは人によってずいぶん違う。われわれが必要としているのは人々が社会生活を営んでいく上で必要な様々な機会を確保するということ。
    • 駐車・駐輪をどう捉えるか。自動車との折り合いを新しい制度にどう入れられるか。
    • 自転車移動をどう位置づけるか。駐輪場が制度改正で道路占有できるようになった。自転車は道路交通法上の定義が曖昧であり、きちんとする必要がある。
    • 鉄道は、レベルの高い技術によってメンテナンスが実施され、安全が確保される。メンテナンスは3Kの仕事であり、一向に変わっていない。人材の確保が難しい。一括のメンテナンス会社を作るような仕組みは出来ないか。
    • 車両自体が観光資源になっていることもあるので、その視点を加えてほしい。


交通政策審議会交通体系分科会 第3回地域公共交通部会 資料 

配席図 ・・・ PDF形式
委員名簿 ・・・ PDF形式
議事次第 ・・・ PDF形式
交通政策審議会第2回地域公共交通部会における主な意見・・・ 資料1  PDF形式
公共交通に関する政策課題と対応について(改訂版)・・・ 資料2 PDF形式
中間とりまとめの方向性(案)・・・ 資料3 PDF形式
四国旅客鉄道株式会社作成資料・・・ 参考資料 PDF形式
社団法人日本民営鉄道協会作成資料・・・ 参考資料 PDF形式
社団法人日本バス協会作成資料・・・ 参考資料 PDF形式

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