国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会技術・安全小委員会議事概要(第1回)

 

 

 

 


 交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会
 技術・安全小委員会議事概要(第1回)

ライン

 

  1. 日時
     平成19年4月27日(金)17:00〜19:00

  2. 場所
     中央合同庁舎3号館 11F 特別会議室

  3. 出席者

    • <委員>(敬称略)
       森地茂、家田仁、井口雅一、古関隆章、須田義大、永井正夫、石井信邦、垂水尚志、松本陽、橋口誠之、中川彰、西田寛、古澤和秋、大橋忠晴、伊藤克人
    • <国土交通省>
       平田鉄道局長ほか
       
  4. 主な議題
    (1)技術・安全面での現状と課題について
    (2)先行して議論すべき課題について
     
  5. 議事概要
    (1)技術・安全面での現状と課題について
      【安全・安定輸送】
    • 性能規定化検討の際の事業者の意向として、事業者の20%は自社の技術力に自信を持ち、80%は従来とおりの事前規制とそのための財政支援を望んでいた。鉄道業界は2重構造になっていると思う。
    • 輸送人キロで見ると、おそらく90%以上を認定事業者が運んでいるが、残る10%の非認定事業者とは全く別の状況であり、それぞれ別枠での議論が必要。
    • 最近、ホーム上や踏切での事故が増加傾向にあるが、どうやってホームから落ちたのか、踏切でどのように事故にあったかなどの現場の実態をしっかり調べているか。
    • 自動車に導入されているドライブレコーダー(運転席からの映像を記録する装置)は事故の解析に便利。事故にあった当事者から、なかなか正しい情報を聞くことができない中、客観的データとして、再発防止に有効な手段である。映像を含めたモニタリングが必要ではないか。
    • ホームドアを全ての駅に付けるのではなく、見通しの悪い駅からつけるなど、重点的に配置という案もあるのではないか。
    • 事故や輸送障害の現況については、提示されたデータ(事故は減っているが下げ止まり状態etc)と同様の認識。
    • 輸送障害があってダイヤが乱れると安全上問題が生じる、というケースもあるし、輸送障害がなく運行していれば安全が保たれる、こともあり、そういう意味では、輸送障害の件数と安全性(事故等の危険性)は比例状態にある。
    • 一方、最近は、列車を止めるなどの事故防止のための措置による輸送障害も増加傾向にある。例えば、踏切で障害物検知装置をたくさん設置したことにより、事故は減ったが、逆に輸送障害は増えた。そういう反比例するものもあり、事業者としても悩ましい。それらをきちんと分析すべき。双方を減らしていくことが望ましい。
    • 輸送障害と言っても内容は様々で、踏切事故のように対策をすればするほど、逆に増えるものもある。山間部では、自然災害やシカ・クマ・イノシシなどの動物によるものも増えている。都市部と山間部等で分類して議論すべき。
    • 上毛電鉄の輸送量は、昭和40年のピークの2割まで減っているが、資料にあるように、30年後には、石油の減少により環境の観点がより重要視されるので、自動車利用が何らかの形で制約を受け、地方中小鉄道は環境面から今以上に必要性が高まる。
    • 輸送障害は原因の分析が大事。現在は30分以上の遅延の場合を国への報告義務としているが、30分未満も報告対象とする際は、中小事業者の負担とならないような配慮が必要。
    • 輸送障害の原因に車両故障があるが、従来は機械の磨耗が原因だったが、近年の電子部品はいきなり倒れるため、保守現場の技術者はその前に知らせてるシステムが欲しいと考えている。研究しようにも、設備の更新が早く、有効なデータがないことも多い。
    • 1980代にインバーター等の導入でメンテナンスフリーの車両が登場したが、バスタブ曲線から考えて、今年の夏あたりに気温が高くなるとそろそろ壊れるのではないか。鉄道総研は、電子化時代の保守や故障分析を検討しているか。
    • 人身障害を減らすのは良いことではあるが、外部要因も多い。外部要因についても情報を発信すべき。
    • 10年前、自分も交通事故の情報を集め分析したが、公表されている統計からは分からないことが分かった。国土交通省にも、全国3,000ヶ所の道路の死傷事故多発地点を公表してもらい、詳細な分析を行った。これは事故全体の2%に過ぎないが、何が原因かが分かった。これらのデータをフィードバックして全体の交通安全につなげることができた。
    • 同様に、鉄道についても、定型的な報告では詳しいことが分からないため、現場に即した様式が必要。単年度ではなく何年もデータを蓄積することが必要。情報の出し方をもっとオープンにすべき。また、1社の知見を他者に周知すべき。
    • 自殺手段として、運行速度の高い鉄道は利用しやすい。ホームドアの充実はひとつの対策になる。

      【技術・安全高度化】

    • 一番の基本は現状の把握と将来の予測。土木構造物では、多くの場合、検査情報が蓄積されている。また、診断法も整ってきており、診断結果に基づき、必要により補修や補強を行うことになる。電子や信号でも同様だが、まだ十分ではなく、電子回路等は新しいものがどんどん出回る中、残存寿命をどう検討するかが問題。
    • 近い将来で言うと、電子機器に対する雷害があり、勉強を始めたところ。
    • 鉄道技術推進センターでは、インシデントを含めたデータが集まる仕組みはできあがっているが、まだ十分な数とは言えない状況。現在は、インシデントの発生した背後関係(会社の雰囲気等)等に着目して検討を始めた段階。
    • 国鉄時代、総研は国のためのものだったが、民営化後はJR総研となった。目が国内に向いており、国際的な視野が欠けているのではないか。
    • 車両メーカーは、3,000億円規模の市場を8社で分け合っている状態。鉄道会社の軒下を借りてやっているようなもの。技術開発力を持っているのか。
    • 信頼性やアベイラビリティーといったものは自動車では既に実施している。鉄道でも車両メーカーに、オペレーション以外のすべてを任せられないか。メンテナンスでの問題が分からないと、良い設計はできない。
    • しきりに「ヒューマンエラー」と言うが、ヒューマンファクターが置き去りにされているのではないか。尼崎の事故後、急カーブへATSを設置することになったが、カーブに速度超過で進入することは通常の状態ではない。ATS−P等があるが、異常な状態に対しては速度を落とすのではなく、列車を止めるべきではないか。
    • ATS−Pで事故は起こらなくなるが、乗務員は何があったか分からないことになっている。最終的に、「機械を使うのは“人”である」という認識の下、(作業者のプライドを損なわないような)技術開発を行うことが必要。
    • 3,000億円規模の市場を8社で分け合っているが、当社の場合7割は海外での売り上げ。しかし収益に占める開発費は大きく、日本での開発費は1件10億を超えることもある。
    • 国際化していく中では、安全の観点からテロの問題を考えることが必要。米国では監視カメラが義務付けられている。
    • 開発を行う上で問題となるのは、試験線が国内にないこと。8社が共同で使える試験線の整備を国にお願いしたい。
    • 日本のシステムを売るだけの視点ではダメ。海外ではオペレーションを含めて売っている。日本人だけや、マニュファクチャリングだけで売るというのは限界にあり、もっとオープンにやらないといけない。
    • 毎日輸送障害にならない遅延が発生しているというのは異常。事業者は「混雑によって遅れている」と言うが、一方で「乗客は減っている」と言う。輸送障害にならない慢性的な遅延についてもきちんと議論すべき。
    • アウトソーシングが原因とも言われるが検証が必要。総論として、技術力が年々低下していると言われるが、何のどのような技能がダメなのか、どの部分をどのように継承していくのか、ミクロに検証すべき。
    • 作業は委託しても、判断業務は委託しない。保有すべき技能の区分を明確にすべき。
    • 車両メーカーが、検査・保守まですることも考えられるのではないか。
    • 車両の標準化がコストダウンに効果的なのは確か。一方、同じ部品、同じ設計の車両が大量に出回った結果、何かのきっかけで一斉にダウンすることにならないか。適正なロットを考えるべき。
    • また、元々少ない車両技術者であるが、標準化によってさらに出番が減らないか心配。
    • ヨーロッパでの車両メーカーと鉄道会社の関係は日本とかなり違う。海外戦略で欠けているのは実験線や設備。競争も重要だが協調していくべき。
    • 自動車技術の応用、民生技術の応用が必要。鉄道は保守的で、柔軟に世の中の技術を受け入れることが必要。
    • アウトソーシングでは工程や仕事量を考えないで発注した結果、1月あたり100時間以上の超勤が発生する過重労働者も増えている。そういった問題があることも踏まえた検討が必要。
    • 日本の鉄道技術は素晴らしいが海外では売れない。外国人はどう評価しているのか。日本の新しい技術を国内でいち早く採用して海外にアピールしないと、海外に日本の技術の素晴らしさが伝わらない状況。
    • シニアエンジニアの使い方に問題はないか。新しい技術の導入を、役所のエンジニアが安全を楯にディスターブしていないか。

    (2)先行して議論すべき課題について

    • 事故の半分以上がホームからの自殺だが、ホームドア等を付けてもホーム以外で自殺するだけで、結局減らないのではないか。
    • 老朽化に関しては、中小事業者がかつて輸送人員が多い時に作った施設を使用しているため負担になっているケースもあり、設備を単純化するための支援が必要。
    • 施設の老朽化は廃線に直結している。当社では、橋梁のほか、創業時の電柱が残っているものもある。制度面、技術面の支援が必要。地方交通の衰退に際して、国民的コンセンサスによる税金投入支援の検討も必要ではないか。
    • ホームドアの研究は、数年前「難しい」として終わった。ホームドア等の設置ができない理由に車両の扉位置の不一致があるが、車両扉の位置に合わせてホームドアを開けるようなシステム(「どこでもドア」みたいなもの)もあるはず。
    • うつ病患者に対しては、医師と患者との間で「自殺をしないように」と約束するが、それすら、自殺の抑止に効果がある。ホームドアがあれば自殺を思いとどまる可能性は十分ある。
    • 高千穂鉄道のような例はどこでもありえる。災害に対して、国がすべてサポートするのは難しく、事業者が加入する保険制度は考えられないか。


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