国土審議会中部圏開発整備特別委員会
計画部会(第3回)
議事概要
- 9月27日(金)、午後1時30分より、名鉄ニューグランドホテル7階扇の間(名古屋市中村区椿町6−9)において、国土審議会中部圏開発整備特別委員会の第3回計画部会(部会長 加藤 晃 岐阜大学名誉教授)が開催された。
- 今回は、4名の計画部会委員から基調報告を受け、討議が行われた。
- まず、名古屋大学大学院教授 江崎光男委員から「国際開発から国土計画を考える」について基調報告が行われた。その概要は次のとおりである。
- 90年代の長期の停滞を脱し新たな飛躍に転じるためには、グローバリゼーションという時代の流れをなお一層追求することが必要である。そうした中で、市場経済における計画と政府の役割、グローバリゼーションにおける計画といった計画の哲学を明確にする必要がある。
- 90年代の国際社会における中心課題は社会開発と男女平等である。社会開発については日本でいえば高齢化社会の福祉問題がこれにあたる。男女平等については現在の日本での最大の未利用資源は女性という人的資源であり、中部圏においても女性の積極的な社会参画が期待される。そのためには社会文化的な伝統的な性差(ジェンダー)をあらゆる視点から男女ともに見直していく努力が必要である。
- 続いて、日本福祉大学社会福祉学部助教授 後藤澄江委員より「人口減少・高齢化時代と女性のライフスタイル」について基調報告が行われた。その概要は次のとおりである。
- 女性問題は従来の女性の側からの権利主張から男女が協力して進めていくことが基本という中で取り扱われる課題へ変化している。
- 名古屋の女性は結婚するとすぐに退職するというM字型就業形態は、名古屋という地域性と現業中心の産業構造に起因しているのではないか。
- 人口減少・高齢化時代に対応するには女性が実力や能力を高め、社会的・文化的性差を問い直す視点が必要であり、そのためには女性の能力や持味が十分発揮されるとともに女性のライフスタイルの自由度や多様性が拡大される必要がある。
- 福祉サービス供給システムの改善は介護から女性を開放し、女性の実力、能力向上を可能とし、更に福祉サービス供給システムの充実につながり、新しい生活産業の創出も可能とする。
- 中部圏は女性にとり優れている点は、ゆとりある住宅を取得し易いこと、首都圏に比して交通渋滞が少なく、職住近接であることではないか。
- 次に、東京大学大学院教授 生源寺真一委員より「21世紀にけるわが国農業・農村の役割」について基調報告が行われた。その概要は次のとおりである。
- 我が国の食料自給率が低下したのは食生活の急激な変化が原因であり、自給率を回復させることは不可能であり、現在あるミニマムの食料自給力を確保すべきである。
- 農業の体質を強化するには、多様な企業形態や新規参入者への門戸開放を実現すべきであり、また、何が売れるか考えた経営が必要である。
- 「均衡ある国土の発展」とは都市と農村をミックスすることではなく、活力と賑わいを満載した都市部と安息と思索のための緑豊かな農村部が固有の空間として形成される国土を目指すことである。さまざまな組織の機能を横断的に備えた農村計画委員会を組織化する必要がある。
- 中山間地域に関しては、タイプの異なる農業が立地しているためそれぞれの特性と問題点に対応した施策を目指すべきである。また、中山間地は長期的視野に立った土地利用のモデルとなり得る。
- 最後に南山大学文学部教授 安田文吉委員より「からくり山車と文楽と地芝居」について基調報告が行われた。その概要は次のとおりである。
- 開発整備を考えるにあたっては地元の人でないとわからないような文化についても知ることが重要である。
- 中部圏は、からくり山車、文楽、地芝居といった古典民族芸能の宝庫であり、これらを単に存在するのではなく、今あるものを活かして、使っていくことが将来への継承を可能とし、地域の活性化にもつながる。
問合せ先:国土庁大都市圏整備局 課長:高津、課長補佐:田中
(電話)03-5510-8042 (FAX)03-3501-6534