第2回国土審議会地方産業開発特別委員会小委員会 議事録
 
日時:平成11年12月7日(火) 14:00〜16:00
場所:通商産業省 別館821会議室
 
1.開  会
○田巻地方産業振興室長
 ただいまから第2回国土審議会地方産業開発特別委員会の小委員会を開催いたしたいと存じます。
 皆様方におかれましては、年末のお忙しいところ御出席いただきまして大変ありがとうございました。
 それでは、この後の議事進行は委員長にお願いしたいと存じます。成田委員長、よろしくお願いします。
○成田委員長
 それでは、ただいまから議事に入りますが、きょうは局長さん、それから上野審議官も途中で御退席になるということで、いろいろ国会の日程が立て込んでいるようでございまして、こういう小さい部屋になったわけです。
 本日予定しています議題は、「新産・工特制度の評価及び今日的意義」ということでございます。前回の小委員会の議論がございましたけれども、この小委員会の検討の第1段階としては、現行制度の評価に関してこの小委員会として共通認識を持ちたいというふうに思っているわけでございまして、この共通認識の形成に向けて、きょうはひとつ慎重な御審議をお願いしたいと存じます。
 なお、その第2段階以降になりますと、制度のあり方とか、それから、結論としては廃止するにしても残すにしてもどういう形にするかというより具体的な問題になるわけです。第2段階以降は次回以降ということになります。
 
2.議  事
(1)新産・工特制度の評価及び今日的意義について
○成田委員長
 それでは、本日の議題に関しまして事務局の方で幾つかの資料を準備してくださっておりますので、まず初めに事務局の方から資料の御説明をお願いしたいと思います。では、どうぞよろしく。
○田巻地方産業振興室長
 それでは、私の方から資料の御説明をさせていただきたいと思います。
 その前に、配付資料の確認を念のためにさせていただきたいと思いますが、配付資料一覧に沿って、まず初めに委員名簿でございます。資料1が1枚紙でフローチャートでございます。資料2が3枚ほどの紙で論点の紙でこざいます。資料3が主要指標の推移でございます。資料の4が最近の環境変化をめぐる動向でございます。資料の5が現地調査の中間報告でございます。資料の6が道府県に対するアンケート調査でございます。参考資料といたまして、別途もう一つ加えてございます。以上でございます。
 それでは、まず初めに資料1に関しまして御説明させていただきます。資料1は「新産・工特制度の見直しに関する審議フローチャート」ということでございます。前回、口頭でも少し申し上げて御議論いただいたところでございますけれども、それを少しわかりやすくするために整理したものでございます。
 まず一番上の四角が「法目的」でございます。新産法、工特法の第1条の法目的を引用しております。念のため新産法のみ読み上げさせていただきます。「大都市における人口及び産業の過度の集中を防止し、並びに地域格差の是正を図るとともに、雇用の安定を図るため、産業の立地条件及び都市施設を整備することにより、その地方の開発発展の中核となるべき新産業都市の建設を促進し、もって国土の均衡ある開発発展及び国民経済の発達に資すること」、このように目的が定義されているわけでございます。こういった目的に向けての制度でございますが、制度制定後35年近くたっているわけでございますが、この間の状況につきまして、後ほどまた別途御説明しますけれども、客観的指標に基づいて制度の御評価をいただきたいというふうに思っています。後ほど資料3の方で御説明したいと思います。
 「評価」としては、理屈だけで申し上げますれば、「達成した」という評価、あるいは「未達成」という評価、あるいはその真ん中として「ばらつきあり」という三つの評価があり得るかと思います。それはまた後ほど資料3で御議論いただければと思っています。それで、達成にしろ、ばらつきありにしろ、未達成にしろ、いずれにしろ制度制定後35年近くたっております。その間いろいろな環境が変化しております。そういった環境の変化を踏まえて制度の見直しの必要性の有無というものを御議論いただく必要もあろうかと思います。これは後ほどまた資料4で御説明したいと思いますけれども、例えば三大都市圏への人口集中傾向の緩和ですとか、経済の成熟化とグローバル化の進展ですとか等々、幾つかの環境の変化があるわけでございます。こういったものを踏まえて、どうこの制度を今日的意義を見出していくかということでございます。
 こういった点につきまして、いろいろな議論の論点があろうかと思います。それにつきましてはまた後ほど資料2で御説明していきたいというふうに思っております。
 こういった資料3、あるいは資料4のファクトのデータ、これがきょうの議論の中心になるかと思いますけれども、そのほかに前回も少し御紹介申し上げましたけれども、またきょうも後で御報告しますけれども、対象の道県に対しまして今アンケート調査をお願いしております。こういったアンケート調査の結果、あるいは現在進行中で委員の先生方に大変御苦労いただいております現地調査、こういったものもまた後ほど審議の材料として加えさせていただきたいと思っております。
 そういった材料を踏まえまして、これは今委員長のお話にもございましたが、次回以降ということになろうかと思いますけれども、「制度のあり方」、前回の言葉で言えば着地点でございますか、着地点につきまして御議論いただきたいと思っております。理屈だけで申し上げますれば、延長と廃止と両方あろうかと思います。達成していれば達成したから廃止ということになろうかと思いますし、仮にばらつきがあるということになりますと、ばらつきはあるけれども、環境の変化を考えると廃止ということも理屈としてはありましょうし、ばらつきがあるので未達成のところに関しましては延長をしていくと、引き続き支援する必要があるであろうということも理屈上はあり得ましょうし、未達成の場合につきましては、未達成であるものの、この30数年間の環境の変化を踏まえると廃止すべきであるということもありましょうし、未達成であるから当然延長すべきであるということも、理屈の上ではそういった五つのパターンがあり得るのかなというふうに私どもは考えているところでございます。
 それで、延長ということでありますれば、もちろん大まかな方針はそれで決まるわけでございますけれども、仮に廃止というような着地点の方向性が出てきた場合には、もちろん廃止で終わりと、単純廃止ということも理屈の上ではありましょうし、あるいは、その下の矢印でございますけれども、廃止の方向に向けて対応するものの、いきなりというわけにはいかないので経過措置を講ずるということもございましょうし、あるいは、廃止するものの、それにかわる新たな施策の方向性を提示するということも理屈の上ではあろうかと思います。こういうことで、全く理屈の世界だけでございますけれども、延長、単純廃止、経過措置、新たな施策の方向性の提示といったような四つぐらいの最終的な方向性があり得るのかなという気がしております。こういったところにつきましては、また本日の御議論、あるいは、繰り返しになりますが、アンケート調査、現地調査という材料がそろった段階でまた皆様方の御審議をいただきたいというふうに思っているところでございます。
 後ほどのファクトのデータに入ります前に、審議の方向性につきましてこのように事務局としては考えているところでございますけれども、一度この辺で、これでよろしいかどうか御議論いただければと思っております。
○成田委員長
 以上、審議のフローチャートの御説明があったわけですけれども、これに対しての御意見、御質問がございますでしょうか。これは中身というより技術的な問題がかなり多いと思うのですけれども。
 これは、廃止と延長の間に何か財特だけ廃止するという選択肢もあるのかもしれませんね。
○田巻地方産業振興室長
 そうですね。私どもの整理で、それは経過措置の一つかなと思ったのですが。
○成田委員長
 むしろ経過措置は財特の問題についての経過措置ということになるのかもしれないし……。
○田巻地方産業振興室長
 はい。バリエーションとしてはそのようなことも……。
○成田委員長
 達成、未達成というのは、しかし、これはなかなか、あれは評価基準がガラッと変わってきたから、何を達成したと見るのか、そこのところがちょっと微妙な問題がありますね。
○田巻地方産業振興室長
 そうですね。そういった評価基準そのものもあわせて御議論いただければ、私どもとしては大変幸いでございます。
○成田委員長
 一たん達成したけれど、そのまままた下を向いてしまって、もとのもくあみになったというところもあるかもしれませんしね。
 何かこのフローチャートで御意見はございますでしょうか。
 それでは、時間の関係もあるので、実質の審議を充実したものにするために次の資料2に関する説明をお願いしたいと思います。
○田巻地方産業振興室長
 それでは、お手元の資料2でございますけれども、これは最初の全体会議、特別委員会のときに御報告いたしました地方産業振興に関する研究会、この報告書をもとに、ないしその研究会の場での議論をもとに、私ども事務局の方で「新産・工特制度の評価及び今日的意義をめぐる論点」について整理させていただいたものでございます。もちろんこれ以外にも論点はあり得るかと思いますが、そういった点につきましてもまた後ほど御指摘をちょうだいできればと思っております。
 まず1番目に「制度の客観的評価」でございますけれども、先ほどの達成、未達成というところに対応するところかと思いますが、四つほど議論の論点があったかというふうに私どもは認識しております。
 まず最初に「制度全体としての評価」でございますけれども、「制度創設後30年余りを経て、ばらつきはあるものの指定地区全体としては一応の工業集積ができ上がり、人口・所得格差もある程度是正されるなど、新産・工特制度は一定の役割を果したのではないか」という御意見がございました。これに対しまして、「工業集積の度合いについては、指定地区によって大きなばらつきがあり、依然として制度の目的である『国土の均衡ある開発発展及び国民経済の発達』が実現されているとは言いがたいことから、新産・工特制度の役割は終わっていないのではないか」という御意見もございました。
 二つ目は「インフラ整備の進捗の観点」でございますけれども、「財政特別措置を初めとする支援の結果、各指定地区では生産基盤、生活基盤ともおおむね整備が進んできていることから、新産・工特制度は一定の役割を果たしてきたのではないか」という御意見がございました。これに対しまして、「高速交通体系を初めとするインフラの整備が遅れた地域においては、これから産業基盤整備の必要性が高まること、また、工業集積が進捗した地域においても経済社会環境の変化に対応した整備が依然必要であることから、新産・工特制度は今後も必要ではないか」という御意見もございました。
 3番目に「生産・生活関連投資割合の変化」でございます。「各指定地区における投資のウエイトが、道路、港湾などの生産関連施設から、下水道、都市公園などの生活関連施設へとシフトしており、制度の目的から外れてきているのではないか」という御意見がございました。これに対しまして、「制度の目的としては、産業基盤の整備のほかに都市施設の整備が掲げられており、また、快適な生活環境へのニーズの高まりを反映して都市基盤整備の重要性は以前にも増して高まっていることから、生活関連基盤の整備を進めていくことは今後も必要ではないか」という御意見もございました。
 4番目に「制度の実質的有効性」でございます。「かさ上げ率など財政支援措置が制度の延長のたびに薄くなってきており、実質的な制度の有効性は制度創設当初に比べ希薄になっていることから、制度の存在意義はもはや余りないのではないか」という御意見がございました。これに対しまして、「制度創設当初に比べ財政支援措置の実績額は小さくなっているものの、下水道整備などを中心に依然として一定の役割を果していることから、現在でも有意義な制度ではないか」という御意見もちょうだいしております。
 1枚おめくりいただきまして2ページでございますが、これは先ほどの資料の1のフローチャートの中の環境の変化というものに対応するところでございます。環境の変化に対応して制度の見直しの必要性があるかないかという御議論もちょうだいしたところでございます。
 1番目に「三大都市圏への人口集中傾向の緩和」でございます。「地方から三大都市圏への人口移動については、新産・工特制度発足当初は地方圏における大幅な転出超過であったが、現在では転出人口は大きく縮小しており、新産・工特制度のような大都市における人口及び産業の過度の集中を防止することを目的とした政策の必要性は大きく薄れているのではないか」という御意見をちょうだいしております。これに対しまして、「確かに地方圏における転出人口は減少したものの、地方圏と三大都市圏の人口格差は依然縮小していないことから、新産・工特制度の役割は終わっていないのではないか」という御意見もあわせてちょうだいしております。
 (2)「経済の成熟化とグローバル化の進展」でございます。「経済のグローバル化が進み、国境を越えた経済活動が飛躍的に増大する中では、新産・工特制度のようないわば企業誘致型の施策により指定地区内への企業誘致を図っても効果がないのではないか」という御意見をちょうだいいたしました。これに対しましては、「経済のグローバル化が進展しているからこそ、国際的なヒトやモノの流れを円滑にするため、港湾、空港、道路などの交通基盤整備や、下水道整備などの国際的水準の都市基盤整備など、国際化に対応するためのインフラ整備を重点的に進めていく必要があるのではないか」という御意見もちょうだいしております。
 (3)でございますが、「産業構造の変化に伴う指定地区の位置づけの変化」でございます。「地区指定の際には、いわゆる重厚長大型産業の誘致・育成の観点からポテンシャルの高い地区が選ばれているが、その後、産業構造が大きく変化しており、現在では国がそのような地区に対して支援を行う必要性がもはや失われているのではないか」という御意見をちょうだいしましたが、これに対しまして、「各指定地区においては、依然重厚長大型産業が地域経済の中核を担っており、地域経済の活性化及び産業空洞化の回避という観点から、引き続き国が支援を行っていく必要性があるのではないか」という御意見もちょうだいしたところでございます。
 (4)「製造業の雇用創出力の低下」でございます。「製造業の雇用創出力が低下しつつあることから、重厚長大型産業を中心とした製造業を地方に誘致することを念頭に置いた新産・工特制度は時代に合わなくなっているのではないか」という御意見がございました。これに対しまして、「工場誘致は依然として地方産業振興策の柱であり、港湾、道路など工場誘致のためのインフラ整備に対する支援を中心とした現行制度のスキームは今後とも有効ではないか」という御意見もございました。
 (5)「産業構造の変化と地方圏の就業構造の変化」でございます。「製造業従業者数については、地方圏は着実にそのシェアを増してきたが、全産業ベースで見るとむしろ三大都市圏のシェアが増しつつあることから、重厚長大型産業などの製造業を地方に誘致することを念頭に置いて設計されている新産・工特制度の考え方は古くなっているのではないか」と。これに対しまして、「製造業は依然として地方産業の中心であり、港湾、道路など産業基盤の整備に対する支援を中心とした現行制度のスキームにより、地方において製造業の円滑な立地を促進することは今後とも重要ではないか」という御意見もちょうだいしております。
 3ページでございますけれども、これも環境の変化の一つでございますが、この新産・工特制度はもともと拠点開発方式という、第1次の全総の基本理念に基づく施策でございますが、その拠点開発方式というものを中心といたしまして「従来の地方産業振興策をめぐる環境の変化」に関する議論を整理させていただきました。
 (1)「地方自治体の国への依存」。「高度成長期においては、国の財政支援を通じて限られた資源を集中的に地方の産業拠点の整備に対して投下することについて、一定の政策的意義が認められた。しかしながら、現在では経済の成熟化に伴い産業振興において地方自治体の主体性が求められるようになっており、新産・工特制度による財政支援措置は地方自治体の国への依存を助長し、地方の自主的な政策立案への意欲を減殺しているのではないか」、こういう御意見をちょうだいしました。これに対しまして、「新産・工特制度の財政特別措置は、国が定めた必要最小限の基本方針に沿って地方自治体が自主的に策定する基本計画に基づく基盤整備について講じられるものであって、地域の実情に合わせた各地区の創意工夫に基づく主体的な取り組みをむしろ奨励するものではないか」という御意見もちょうだいしたところでございます。
 二つ目が「産業政策の手法の変化」でございます。「これからの産業政策は、企業活動の高度化・複雑化に対応した情報、研究など各種機能の総合的な整備を通じて実現すべきであり、主に重厚長大型産業の誘致・育成を念頭に置いている新産・工特制度は時代遅れではないか」という御意見がございましたが、これに対しましては、「企業誘致は依然として地方産業振興策の柱であり、港湾、道路など企業誘致のためのインフラ整備に対する支援を中心とした現行制度のスキームは今後とも重要ではないか」という御意見をちょうだいしております。
 3番目に「不公平論」でございます。「新産・工特制度のような一部指定地区を支援する制度は、地方自治体間の自由競争が求められる時代にあっては、一部地域を優遇する不公平な制度ではないか」という御意見をちょうだいしまして、これに対しましては、「指定地区は各地方における産業拠点であり、今後とも国策として支援を続けていく必要があるのではないか」という御意見もちょうだいしております。
 4番目に「国土の均衡ある発展の実現手法」でございます。「国土の均衡ある発展は、そもそも新産・工特制度のみによって実現すべきものではなく、その他の制度により時代に変化に対応しつつ総合的に対処すべきものではないか」という御意見がございました。これに対しましては、「新産・工特制度のような非常に手厚い財政支援措置を有する制度は、国土の均衡ある発展の実現のために極めて有効ではないか」という御意見もちょうだいしています。
 こういった環境変化をめぐる御意見があるわけでございます。
 あと、「その他」といたしまして、今までの議論とは論点が少し違っておりますが、厳しい地方の経済情勢に留意すべきではないかと、いや、その必要はないという御意見もございました。「地方経済をめぐる現下の厳しい環境は、新産・工特地区に固有のものではないことから、新産・工特制度を維持する理由には当たらないのではないか」という御意見がございました。これに対しましては、「近年、新産・工特地区の経済の中核を担っている鉄鋼、石油化学など重厚長大型産業の生産が低迷し、指定地区の経済が不況にある状況のもと、新産・工特制度を廃止するのは適当ではないのではないか」という御意見もございました。
 以上、繰り返しになりますけれども、ことし3月の地方産業振興に関する研究会の報告書及びその研究会での議論の過程でちょうだいした御意見を私どもが整理させていただいたものでございます。こういった論点を中心にこれから御議論いただければと思っていますが、その御議論いただくための材料といたしましてファクトデータを幾つか準備してございます。続けて御紹介させていただきたいと思います。
 資料の3でございますが、「新産・工特地区における主要指標の推移」でございます。これは、お手元にある資料の参考資料と基本的には同じでございます。参考資料は数字を整理したものでございます。この参考資料のうち主要なものをグラフ化したものがこの資料の3でございます。そういう意味で、参考資料の方がデータの範囲が広うございますので、こちらでデータの性格を少し御紹介いたしますと、この参考資料の資料集は、基本といたしましては市町村事業、財特のかさ上げ対象事業でございますか、これを中心にデータを整理したものでございます。そうはいっても、法目的の達成、未達成の議論も必要かと思いますので、それに関連する資料もあわせて取りそろえてございます。
 具体的に申しますと、T.の「新産・工特全21地区ごとのデータ」で、「(1)人口」から(5)の「地区内の重要港湾における取り扱い貨物量」とございます。これは基本データといたしまして整理させていただいたものでございます。財特法のかさ上げ対象とは必ずしも関係ございません。(6)から(25)、これが市町村のかさ上げ対象事業を中心として整理したものでございます。正確に申しますと、(13)の「上水道等普及率」、これはかさ上げ対象にはなっておりません。これ以外がかさ上げ対象事業でございます。なお正確に申し上げますと、これ以外にもかさ上げ対象事業はございますが、例えば卸売り市場とか、データがちょっと入手できないものもございました。データを入手できる範囲で整理させていただいたというものでございます。
 あと、「U.その他のデータ」とございますが、前回の小委員会のとき、  委員の方から道路とか港湾といったインフラについて進捗状況を整理しておくべきではないかと、それもあわせて判断材料とすべきではないかという御意見がございました。そういったデータを、財特事業とは直接関係ないところもございますけれども、28ページ以降に一応整理させていただきました。これが参考資料のデータの性格でございます。
 それで、先ほど申し上げましたように資料の3に戻りますけれども、この参考資料のうち主だったものを見やすくするために、議論しやすくするためにグラフ化したものが資料の3でございます。
 まず、「全体」データを1枚添付してございます。「総人口の推移」、これは住民基本台帳の数字を基本としておりますが、昭和43年の値だけは昭和45年の国勢調査をもってかえております。ちょっとデータの制約でそのような取り扱いにさせていただいております。あと、基本的にデータの期間は全部、新産・工特制度制定前で昭和40年からとりたかったのでございますが、それから、直近の平成9年までという範囲としたかったのでございますが、きれいに横並びそろえてとれるデータが昭和43年からしかなかったものですから、昭和43年からを中心に整理させていただいています。その点、御了解いただければと思っております。
 例えば総人口でいきますと、×、×、×、×と一番上にあります、これが全国のデータでございます。以下、ほかのグラフでもこの×、×、×が全国のデータでございます。その下に△がずっとございます。これが地方圏のデータでございます。地方圏とは、全国から三大都市圏を除いたものでございます。三大都市圏は東京圏、名古屋圏、関西圏でございますけれども。三大都市圏が■でございます。それから、一番下の◆、これが新産・工特地区でございます。総人口の推移はいずれにおいても増加しているということでございます。ただ、増加の度合いに若干差がございます。また後ほど御説明申し上げます。
 二つ目の四角が「1人当たりの所得の推移」でございます。これは対全国平均ということで、全国平均は1でございますので、先ほどの人口の×、×、×に相当するものが1.0の横軸になります。ですから、×、×、×はございません。ほかは同様の記号を使っております。新産・工特地区は、地方圏をいずれの時点においても上回っているということが、全国平均は下回っているものの他の地方圏より上回っているということが言えるかと思います。
 それから、次が「工業出荷額シェアの推移」でございます。工業出荷額シェアでございますので、全国は100%になりますので、これも×、×、×はございません。これでごらんいただきますと、工業出荷額のシェアの一番上の■、三大都市圏は減少傾向でございます。これと、100−三大都市圏=地方圏でございますから、△は当然上昇傾向にあるわけでございます。こういうふうに地方圏全般としては工業出荷額増加傾向にあるわけですが、その地方圏のうち新産・工特地区だけに着目しますと横ばいということになっています。ですから、相対的には地方圏において工業出荷額のシェアは低下しているということが言えるかと思います。
 それから、左下に参りまして公共施設の整備状況になりますけれども、「市町村道舗装率の推移」でございます。当然のことながら年々舗装率は向上しているということでございます。新産・工特地区は、地方圏全体はもちろんのこと全国平均をも上回っているという状況が読み取れるかと思います。
 それから、次は「公共下水道普及率の推移」でございます。公共下水道普及率で見ますと、全国平均×、×、×を新産・工特地区は若干下回っておりますが、地方圏平均よりははるかに全国平均に近いと、ほぼ全国平均に匹敵しているということが言えるかと思います。
 それから、次に「重要港湾における港湾貨物取扱量の推移」でございます。三大都市圏+地方圏=全国ですから、当然全国が一番上に来ているわけでございますが、人口と同様でございますが、増加傾向を見ますと、地方圏と三大都市圏、これに関してはほぼ同じような傾向かなという感じがしております。
 それから、一番右側の四角が「新産・工特地区における工業集積度の推移」でございます。これは研究会の報告でもございましたし、1回目の全体委員会でも御紹介申し上げたところでございますが、昭和38年の○、●が平成9年、この二つの時点で工業集積度、定義は下にありますように付加価値額、あるいは工業出荷額を人口、あるいは面積当たりで、こういった定義で計算したものでございます。これでいきますと、全国21地区いずれも昭和38年を平成9年は上回っているということで、全地区一定の効果があったというふうに言えるかと。厳密にいいますと道央地区を除いて上回ったということで、それなりの効果があったというふうに言えるかと思います。
 以上が、新産・工特地区における主要指標の推移でございます。
 次に「地区別」でございます。地区別は21地区全部整理してございますけれども、時間の制約もございますので、道央地区を例にデータの御紹介ということにさせていただきたいと思います。
 まず「総人口の推移」でございますけれども、これは若干先ほどと、すみません、記号の使い方が違っておりますので、その点御留意いただければと思います。全国が太い×、×、×になっています。地方圏が細い×、×、×になっています。それから、三大都市圏が△、新産・工特地区が■ということで、記号は違いますが、ここまでは項目は先ほどと一緒でございます。これに、地区別ということで◆を、今度は道央地区、地区別のものを◆で示しております。これはいずれも、下に人口1,000人ということで地区別の人口生データがございますけれども、これは昭和43年を100といたしまして指数化しております。比較しやすいように、動きを比較しやすくするために、全国、地方圏、三大都市圏、新産・工特地区、道央地区、いずれも指数化しています。ほかのグラフも同様に指数化しております。そういった性格のグラフでございます。ですから、これでいきますと、人口の伸び率、道央地区は全国平均、三大都市圏、地方圏等々、いずれも大きく上回った伸びを示しているということが言えるかと思います。
 次に「1人当たりの所得の推移」でございます。1人当たり所得の推移につきましては、市町村別のデータがございませんで、都道府県別のデータしかございません。ですから、ここは都道府県単位の集計になっております。その点、ほかのデータと若干性格が異なっておりますことをあらかじめお断りしておきます。あと、ほかの点につきましては、指数化しているという点、記号の使い方、先ほどの人口と同様でございます。これで見ますと、道央地区、少し見にくくて恐縮なのでございますけれども、ちょうど平成8年の真ん中辺でございますか、上から3番目、下から3番目ということで真ん中辺にございまして、まあまあ全国と同じような動きを示しているというふうに言えるかと思います。
 それから、その隣が「工業出荷額の推移」でございます。工業出荷額でございますが、道央地区の◆は年により若干上下がありますけれど、大体一番下の方に来ております。そういう意味では道央地区の工業出荷額の推移はやや全国に比べて伸び率が低いというふうに言えるかと思います。
 左下に参りまして「市町村道舗装率の推移」でございます。これは、市町村道舗装率と隣の公共下水道の普及率につきましては指数化しておりません。舗装率、普及率という数字でございますので、文字通り舗装しておる道路の比率、下水道普及の率でございますので、0%から100%の数字でございます。そういう普及率等で見ますと、道央地区は43年を除きますと一番下に来ておりますので、全国に比べてやや市町村道の舗装率は低いのかなという感じが見て取れます。
 それからその隣、右隣が「公共下水道普及率の推移」でございます。これで見ますと、道央地区の◆でございますけれども、いずれの年においても全国の指標等々を上回っております。そういう意味では公共下水道の普及率は道央地区においては比較的高いということが言えるかと思います。
 それから右下でございますが、「重要港湾における港湾貨物取扱量の推移」でございます。これは指数化したグラフでございます。指数化に戻ります。これで見ますと、道央地区の◆でございますけれども、特に平成に入りましてから他の4本のデータを、グラフを上回っております。そういう意味では道央地区の港湾貨物取扱量は最近伸びが高いのかなということが見て取れるかと思います。
 以下、同様に地区別に21地区のデータを整理してございますが、時間の制約もございますので、また後ほど、議論の必要に応じてごらんいただくという形にさせていただければと思います。
 続きまして資料の4でございます。資料の4でございますが、これは、先ほどの資料1で環境の変化に応じても御議論いただけたらありがたいということを申し上げました、その環境の変化の関係するデータでございます。
 まず1ページでございますけれども、「三大都市圏への人口集中傾向の緩和」という、これに関係するデータでございます。図の2は「大都市圏の地方圏の人口の推移」でございまして、先ほど資料3で申し上げました総人口の推移と基本的には同じものでございます。先ほど資料3のときに詳しくはまた後ほど申し上げますと申しましたが、それが図の1でございます。図の1をごらんいただきますと、大都市圏と地方圏の出入り、人口流出入の状況を整理してございます。細い×、×、×が地方圏の数字でございますが、1965年、70年はマイナス40万ということですから、40万人近くは地方圏から大都市圏へ移っていったということをあらわしているわけでございますが、これが75年からはかなりゼロに張りついて、ほとんど人口流出入がなくなったと。85年、90年、バブル前後に若干また拡大傾向にありますが、95年に至りますと地方圏の方がプラスの方に行っております。横軸の上に行っております。すなわち95年時点で見ると、大都市圏から地方圏にまた人口が戻ってきているということが言えるかと思います。こういったことから傾向として総じて言えば、三大都市圏の人口集中傾向は制度制定当初に比べると緩和しているのではないかというふうに言えるかと思います。
 2ページに参りまして、「経済の成熟化とグローバル化の進展」でございます。図3は「工場立地動向調査」のデータでございます。◆が三大都市圏の工場立地件数でございます。淡い■が地方圏の数字でございます。最近、三大都市圏を地方圏が上回っているのかなという感じがしておりますけれども、いずれにしても絶対値としては大変低い水準に低迷しております。統計をとり始めたのが67年からですけれども、67年からずっと見ますと、オイルショックのころと大体同じぐらい、あるいは、下手をするとそれを下回るぐらいの水準ということで、大変工場立地が低迷しているということが読み取れるかと思います。この理由はもちろん景気の動向等々いろいろ考えられるのだろうと思いますけれども、一つの仮説といたしましては、図4にございます経済成長率が停滞してきて、右肩上がりの成長が期待できなくなっているということ、それから、3ページの図5でございますけれども、海外生産比率が高まって、あるいは製品輸入比率が高まるというグローバル化の進展に伴って工場立地が国内から海外に漏れているというようなことも考えられるわけでございます。いずれにいたしましても、事実としては工場立地件数は近年極めて低迷しているということでございます。
 それから4ページに参りまして、「産業構造の変化に伴う指定地区の位置づけの変化」でございます。図の6は「産業別のGDPの変遷」でございます。制度制定直後の1965年から直近の97年まで10年置きに見たものでございます。左から、素材型製造業、その他製造業、農林水産業、建設業等々と、脚注にあるような順番で並べております。このデータでごらんいただきますように、私が今さら申し上げるまでもないですが、製造業のウエイトが下がってきていると。特に素材型製造業を中心として製造業のウエイトが下がっていると。これに対しまして、サービス業、あるいはその他3次産業というもののウエイトが高まってきているということでございます。
 この結果、直接これと因果関係があるかどうかを御議論いただきたいのでございますが、5ページの図7でございます。「工業出荷額の推移」でございます。これは、先ほど資料3で全国データでお出ししたものと同じデータでございます。再掲でございますけれども、一番上が三大都市圏の工業出荷額のシェアでございます。年々減少しております。その次は地方圏の工業出荷額のデータでございます。これは年々増加しております。こういうふうに地方圏全般としては工業出荷額は増加しております。そういう意味では大都市圏から地方圏に工業出荷額のシェアは移っているわけでございますが、その地方圏全体でふえている中で新産・工特地区、一番下のグラフでございますが、これは横ばいであるということです。相対的に地方における新産・工特地区のウエイトは下がっているということが、工業出荷額だけで見るとでございますが、下がっているということが言えるかと思います。これは、先ほどの産業構造の変化を反映したものかなというふうに考えられるところでございます。
 6ページは「製造業の雇用創出力の低下」でございます。図の8はそれぞれの年、65年から97年まで各年の製造業の従業者数を、製造業の出荷額、出荷額実質値で割ったものでございます。ですから、100万円なら100万円の売り上げを達成するのに従業員の方が何人要るかという数字を計算したものでございます。それを見やすくするために、90年を100として指数化しております。ですから、要約すれば30年前に比べますと現在は、同じ実質の出荷額を、売り上げを上げるのに従業者数が3分の1になっていると。製造業の雇用創出力は3分の1に減ったと、少し乱暴でございますけれども、そういうことが言えるかと思います。
 7ページは「産業構造の変化と地方圏の就業構造の変化」でございます。図の9、10ともにブロック別に過去30年間の従業者数の変化を見たものでございます。図の9は製造業について見たものでございます。図の10は全産業について見たものでございます。見やすくするために一番右側に三大都市圏と地方圏ということで対比させてございますが、これでごらんいただきますと、製造業は過去30年間従業者数がだんだんふえてきております。100%−三大都市圏=地方圏でございますけれども、地方圏は年々ふえてきております。これに伴って逆に三大都市圏は当然減ってきているわけでございます。先ほどの、これは図の7と同じことを言っていることかもしれませんが、こういうふうに地方圏の製造業のシェアは高まっております。これに対しまして、これを全産業の従業者数ということで産業の対象を変えてみますと、図の10でございますけれども、地方圏のシェア、これは傾向がわかりにくいのですが、やや減少と、30年間でやや減少ということが言えるかと思います。全産業−製造業=サービス業であるというふうに乱暴に考えれば、製造業の地方圏のシェアは高まっているものの、サービス業のシェアはむしろ三大都市圏で高まっているということが言えるかと思います。そういった意味では今後、サービス業というものを意識した地方産業振興策が求められているのかなという感じが私どもはしておるところでございます。
 それから8ページに参りまして、「地方産業振興策をめぐる環境の変化」、政策をめぐる環境の変化という項に移りたいと思います。
 まず(1)といたしまして「産業政策の手法の変化」でございます。図の11は、私どもが平成11年の調査レポートをまとめるに当たって実施いたしましたアンケート調査の結果でございます。全都道府県、それから人口10万人以上の都市の市役所、あるいは県庁にアンケート調査をした結果でございます。地方公共団体が特に重視する産業振興策について複数回答で伺ったものでございます。これでいきますと、一番多いのは「既存企業の技術の高度化」ということで、それから二つ目が「産学連携の促進」ということで、こういったところが一番多いということはソフト面の施策をかなり重視されてきているなという感じがいたします。三つ目は「雇用吸収力のある企業の誘致」、四つ目は「工業団地等良好な操業環境の整備」、五つ目が「高成長が期待される分野の企業誘致」ということで、この辺は、そうは言いつつもやはり依然企業誘致が重要であると。先ほどの論点でございましたけれども、そうは言っても企業誘致も重要だという議論がございましたが、やはりそういうところがこの辺にあらわれているのかなという感じがしております。6番目以降を見ますと、また「研究開発活動の強化」、「新規開業の支援」、「異業種交流の促進」等々、またソフト面が重要であるという回答に戻ってきております。そういう意味では最近、地方自治体の意識としてはソフト面がかなり意識されるようになってきたのかなという感じがしております。
 次に9ページの図の12は、これも私ども国土庁の委託調査の報告書の抜粋でございますけれども、外資系企業に立地要因をインタビューしたものでございます。外資系企業ですと、純粋に立地要因を評価して立地を決めているかなという感じがしますので、国内企業に比べてしがらみがない分、純粋に立地要因を評価しているのかなという感じがしまして、ちょっとそれを掲げさせていただきました。これで見ますと、宮城県に立地いたしましたアメリカの電気機器メーカーは、立地要因といたしましては東北大学の存在と優秀な人材というソフト面を重視したというのが言われております。二つ目としては高速道路等の交通アクセスということで、そういう面も重視されておるのかなと。三つ目は水、電力といったインフラということで、インフラもあわせて重視しているということがうかがえるかと思います。
 それから二つ目は、三重県に立地いたしましたスイスの一般機械メーカーの例でございます。この場合は、高速道路等の交通アクセスのよさというものを一番重視しておるということでございます。あと、地価の安さとか市場への近接性というものも重要視されているようでございます。
 3番目の例は、宮崎県に立地したアメリカの医薬品メーカーの例でございます。この場合は行政の熱意ある対応という、これもソフト面の一つなのだろうと思いますけれども、こういったものが重要視されているということです。あとは地価の安さ等々でございます。 前後いたしますが、こういった図12のような企業のニーズを踏まえて、図の11のように地方公共団体もソフト面に施策のウエイトを重要視しているということかというふうに私どもは理解しております。
 当然国としましても、こういった動きを反映して検討を進めているわけでございますが、例えば図の13、これは第1回の全体委員会、地産特委で御紹介申し上げました新事業創出促進法、ことしの2月に施行された法律でございます。それで打ち出された地域プラットホームという施策でございますけれども、こういったものを、右の四角に「プラットホームが有する支援機能は以下のものが考えられる」とございますけれども、技術開発支援機能ですとか、技術移転機能、インキュベート機能といったようなソフト面を中心とした機能を中心にプラットホームを構成して、こういったプラットホームの形成を国が支援するというようなことで、国としてもそういったソフト面を重視した施策を打ち出しているところでございます。
 それから、1枚おめくりいただきまして、すみませんが、ちょっと資料の不手際がございまして、10ページと書いてございますが、12ページに訂正していただけますか。10ページを12ページにいたしまして、11ページを10ページ、12ページを11ページにしていただければと思っております。
 それから、あわせましてもう1点、9、11ページ、新しい10ページでございますけれども、この下に「第2次地方分権推進計画」とございますが、これは裸の地方分権推進計画でございます。強いて言えば第2次が出た後は第1次と言えるかもしれませんけれども、正式タイトルは裸の「地方分権推進計画」でございます。この2点、訂正していただきたいと思います。
 それでは新10ページでいきますと、「(2)新しい国と地方自治体との関係」でございます。ここでは最近の主な国の主要レポート等々を四つほど御紹介しております。
 昨年3月の「21世紀の国土のグランドデザイン」、これは5番目の全総でございます。国土庁の方が事務方を務めてまとめたものでございますが、この中では、読み上げさせていただきますと、「キャッチアップを効率的に進める中で形成され定着したきた、画一的、横並び志向の制度や慣行にも、暮らしの選択可能性を狭めたり、新しい産業の展開を妨げるなど、時代の変化に対応できなくなっている面が見られる。自己責任のもとでの消費者や事業者による選択の幅を広げる方向で規制緩和が推進され、地方公共団体の自主性及び自立性を高める方向で地方分権に向けた制度の見直しが進められている」ということで、新しい国と地方自治体との関係について触れられているところでございます。
 二つ目が、昨年5月29日に閣議決定されました「地方分権推進計画」でございます。これは正面から地方分権を取り上げておりますので、ある意味では当たり前なのでございますが、読み上げさせていただきます。「地方分権の推進は、国と地方公共団体とが共通の目的である国民福祉の増進に向かって相互に協力する関係であることを踏まえつつ、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るため、各般の行政を展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、住民に身近な行政をできる限り身近な地方公共団体において処理することを基本として行わなければならない」というふうにうたっております。
 11ページに参りまして、ことしの2月の「経済戦略会議の答申」でございます。抜粋でございます。「中央政府への依存体質が強く、経済的にも文化的にも閉塞感の強い地方の自律性を回復し、地方がみずからの創意工夫と努力によって活力を取り戻すことができる仕組みを構築することが極めて重要である。そのためには、地方がおのおのの独自性をいかんなく発揮できるよう地方主権の確立を目指して、地方の自主財源を強化する税制改革、地方交付税の縮小、補助金の見直し等、各種の改革が不可欠である」、こういった答申をいただいております。
 最後に、ことしの7月の「経済審議会の答申」でございます。抜粋でございます。「国及び地方公共団体の役割の分担については、可能な限り国から地方へと権限が委譲され、地方分権が進む。これによって、生活に直結した行政サービスの提供が、地域住民のニーズにより適合したものとなる。また、自由で活力があり多様性のある地域社会の形成が促される」ということで、昨年、ことしと、国の関係の主立ったレポートを四つ御紹介したわけでございますが、それぞれ別々の立場で別々の視点から御議論いただいたものと思いますが、いずれにおいても結果としては今後の地方の自主性の発揮が大変重要でありと、そういった文脈のもとで地方分権の必要性と、国と地方自治体との関係を見直すようにということがうたわれているわけでございます。
 以上が資料4の御説明でございまして、新産・工特制度をめぐる環境の変化、資料1の環境の変化に対応するところのファクトデータでございます。少し時間が長くなりましたけれども、以上で資料2、3、4の御説明を終わらせていただきます。
○成田委員長
 どうもありがとうございました。
 大変よく論点などの整理された資料が提供されましたけれども、これから大体4時をめどとして約1時間程度、皆様の御自由な御意見を賜りたいと存じます。
 なお、冒頭に申し上げましたが、今後どうあるべきかというのは次回に本格的に協議をするという、もちろん及ぶことは構いませんけれども、きょうは現状認識と評価が中心になるということでございます。どうぞどなたからでも結構でございます。
○  委員
 新産・工特法ができたのが昭和43年ですか。
○田巻地方産業振興室長
 昭和37年が新産法、昭和39年が工特法です。
○  委員
 データが43年からと。
○田巻地方産業振興室長
 データの制約上43年になっているのです。すみません。
○  委員
 それで、全体的に、これは経済の方の話だと思いますのでお伺いしたいのですけれども、素材型の製造業から転換してきた時期というのが大体、全国的に考えると、それはすぐはなりませんけれども、流れが出たのがいつぐらいということですか。
○田巻地方産業振興室長
 資料の4の4ページが全国データでございますが、これでごらんいただけると思いますが、65年以降一貫して製造業、とりわけ素材型産業の比率は低まっております。65年は昭和40年でございます。
○  委員
 40年、だから割とすぐですよね、向きが変わってきているのは。
○成田委員長
 そういう傾向に向かいつつあったのは、恐らく池田内閣の所得倍増計画なのですけれどね。ただ、その前に、私の記憶では昭和31年ごろにかなり地方財政が悪化して、これは、やはり自分で財源を造成する以外にないというので、あちこちに実際上の新産・工特の芽になるような埋立地などの仕事を始めているのです。だから、高度成長の口火を地方で切ったのは、そういう事業がかなりあったからだというふうに思うのですけれどもね。
○  委員
 私はこの間、視察というのが富山、新潟だったのですが、ほかのところでも多分視察場所が結構下水道とかそういった、都市公園とかそういうところも入っているところもあるのだと思うのですけれども、要するに富山あたりですとまだインフラが、特に交通網が不十分だという、非常にそういう認識があって、もっとそれは進めたいと。新潟の方は少し違いまして、交通網はもうかなり十分であって、あとは何をしたいかというと、下水道であるとか公園であるとか。それは、新産の中で補助率のかさ上げで使えるものの施設の中に、要するに下水道とか公園とか都市の発達ということでプラスしていったわけですよね。それは国土庁さんの方でしていったという理解でよろしいのですか。それは変化させていったのですか、やはり。
○田巻地方産業振興室長
 対象事業は、たしか制度制定当初から一緒だったと思います。その中で各自治体がみずから考えて比率を変えていったというのが現実だと思います。
○  委員
 では、追加したわけではなくて、対象事業自身は前から決まっていて、ただ、選択できるから、それが下水道とか公園とかになっていったと、そういう理解ですね。
○田巻地方産業振興室長
 はい。一言言いますれば、制度としては、指定された公共工事をやると自動的に後追いでかさ上げのお金が行くと、翌年行くという制度になっています。ですから、地方公共団体は、従来は港湾とか道路などを中心にしておったのが、それが下水道に、地方公共団体の全体の中でその仕事に移ってきたと。結果として私どもも、新産・工特制度のかさ上げの金額もそちらに移ってきたということかと思います。
○成田委員長
 やはり下水道が進んだのは公害問題からなのですよね。河川が汚れてきて、これは水質浄化の公害問題等が起こって、これは下水道だというので急速に進み始めた。最近は、だから、新産・工特だから進んだという要素もありますけれども、やはり環境がだんだん、公害から環境へどんどんエスカレートしてきたと。それがやはり公共事業としての下水道の普及率を高めていったという事実もあるわけです。だから、これなんかも難しいので、新産・工特に指定されたからこうなったのか、ほかのいろいろな要因が重なって結果、たまたまそういう結果になったのか、その判定はなかなか読みづらいところがあるわけです。
○  委員
 新産・工特の目的として何を思うかですけれども、まさに産業とか工業とかそういうふうなことだけから考えますと、もうかなりほかの部分、いわゆる都市の発達という部分を、下水道とか公園とかそういうふうな転換がもうなされていますよね、実際には。それで、新産・工特は産業が中心であるけれども、地方都市、拠点都市を整備するのが目的であるという、そちらの方に重点を置くと、都市としての発達とか整備となってくると、別に産業にこだわらないという話になるのですが、何か当初のやはり立法目的からは大分外れるような感じがするのです。というのは、例えば下水道はどこの都市も別に産業が豊かでなくてもみんな欲しくて、みんなやっているわけで、ただ、新産・工特に指定されていると、その補助のかさ上げがあるから、そこがプラスなのだと、そういう話なのですね。では、補助率のかさ上げをやめたら下水道事業をやらなくなるかといったら、恐らくそういうことはないのだろうと。ほかもみんなやっている話ですし。だから、ただプラスとしてあるのだと。その方が若干ほかよりは早く進む可能性もあるかもしれないですね、都市の整備は。だから、そういう引っ張り方をさらにする必要があるかということですよね。目的との関連でね。だから、狭く目的をとらえるか、広く目的を……。でも、都市の整備といったら、もうほとんどいつまでも進むというか延長できますよね。それで行ってしまったらね。
○田巻地方産業振興室長
 今の目的に関しましては、資料1のフローチャートのところの法律とその引用した部分がございますけれども、新産法では、2行目にございますけれども、「産業の立地条件及び都市施設を整備することにより」ということで、産業インフラ、都市インフラ両方をはっきり法目的にうたっております。ただ、工特法は若干書き方が違っておりまして、工特の2行目ですけれども、「工業の基盤となる施設、その他の施設を一層整備することにより」ということで、少し新産法とはニュアンスが違っております。法律上はこうなっております。
○  委員
 工特の方が工業に特化している感じですね。ただ、この文章だけだとね。
○田巻地方産業振興室長
 そうですね。
○成田委員長
 これは、新産の都市が出てきたころは、別の目的が一つあったのです。当時はやはり工業と住民の生活とがマッチするような、そういう100万都市を地方につくっていこうという話があって、それで、新産・工特の地域を合併させて一つの都市にしようと、そういう構想があったのです。それが実現したのは恐らく平市ですね。旧平市の、今のいわき市、そこは実現したのですけれども、水島、岡山はそれで大失敗してしまったわけです。だから、合併で一つの都市を、行政的にも都市をつくろうという構想は立ち消えになったわけです。そういう構想の一環で、当時やはり工業立地のための工業用水、その確保の問題、それから、工場に勤める人の住宅の整備の問題。富山でもたしかタイコヤマという団地がありましたでしょう。あれはもともとそういうことでできたわけですよね。それから、当時は公害問題がいずれ起こるからというので、例えばバッファゾーンの緑地などをつくるという構想もなかったわけではなくて、これはなかなか通らなかったのです、当時は。そんなところに緑のバッファゾーンをつくっても意味がないではないかと、煙は全部飛び越えていくではないかというので、今の認識とはかなり違ったあれがあって、それで、岡山なんかでかなりそういうことを、自治体に私たちも言ったことがあるのですけれどね。それは受け入れられなくて、せいぜい広い道路をつくりましょうというような話になってしまったという。
○  委員
 今の議論で出てきた都市施設の整備というのも一応法律の目的に入っているということですけれど、ただ、それは全体として新産業都市の建設というものに収斂されていくというか、それが大きな目的ですよね。そのときに都市施設というとかなり範囲が広いですけれど、何でもいいという解釈なのですか。それとも、要するに工業都市の建設、新産業都市の建設にかかわる都市施設というのはある程度限定されているというふうに運用上解釈されてきたのですか。
○田巻地方産業振興室長
 運用と申しますか、法律上一応規定がございまして、例えば新産法ですと、第11条に建設基本計画の内容ということで施設の整備を第4号で規定しておりまして、例えば工場用地、住宅及び住宅用地、工業用水道、道路・鉄道・港湾などの輸送施設、水道及び下水道、教育施設及び厚生施設、職業訓練施設、その他政令で定める主要な施設というようなことで定めております。工特法も若干差はございますけれども、大体同じような考え方で一応特定しております。それで、支援措置を決めている財特法でも10なり11の大きな事業を決めております。ですから、何でもいいということはございません。
○  委員
 ただ、その範囲はどこでもいいわけですね。つまり港湾の近くとは限らない。どこに住んでいるかわからないから、勤務者が。
○田巻地方産業振興室長
 それは指定地区のエリア内ということになります。
○  委員
 例えば道央なんかは札幌市なんかが入っていますから、札幌市の一般の下水道整備なんかに使われても、それは別に構わないと。
○田巻地方産業振興室長
 制度上はおっしゃるとおりです。
○  委員
 その政令で決めているというのは、でも、広いですよね。卸売り市場とかスポーツ施設とかすごく広いですよね。
○成田委員長
 当時はそういうようなものは考えていなかったのです。福祉施設とかね。だから、厚生施設という言葉を使っているでしょう。
○  委員
 だから、それが何となくいろいろ使われているるのかなという感じは持っていますね。
○  委員
 製造拠点を除けば、すべてそろっているのでしょうね。すごい変な言い方ですけれど、私は、延岡で一番ユニークだったのが、その職業訓練所も工業団地も、あとは工業が来て、背後地もあり、港もあり、次にできたらホテルにしたいなとおっしゃっていて、それは、だけど、つまり旭化成を含めた工業というか製造業の拠点はもうこれ以上は拡大しないと言っているわけだから、それはないのです。でも、下水道はある。それで、水質は浄化されたし、それから、都市基盤と言われるものは一通り全部きちんとそろっていて、あと、ここに何が入ったらいいかというと、あと考えられるのは、基幹になるのがホテルとか観光用のものになった途端にガラッと変わってしまうのです。工業港であるけれど、違う用途になる可能性があるとか、教育施設のために外国の大学を誘致するとか、そういうものは全部一連のものとしてきちんとね。肝心な目的のものだけがないのです。それがすごい不思議な感じはしますけれど、やるべきことはすべてきちんと、もう整備されたという感じですね。それで、肝心なものだけがないという感じのところを見に行ってしまったというので、すごい不思議な感じでした。
○田巻地方産業振興室長
 法律上、対象事業はきちんと決まっておりまして、財政特別支援に関する法律の施行令の第2条で、都道府県への支援する事業は例えば公営住宅法に基づく住宅建設とか、道路緊急整備緊急措置法に基づく道路とか、市町村に対するものですと、スポーツ振興法に基づく何とか施設とか、一応明確に定義はございます。ただ、かなりたくさんのものが入っていますので、印象としては何でもという印象を持たれるかもしれませんが、定義はきちんとございます。
○  委員
 その投資実績は前に1回つくられた資料があったと思うのですが、きょうのものにはないですね。
○田巻地方産業振興室長
 すみません。きょうは準備しておりません。
○  委員
 下水道がかなり多かったですよね、平均的には。
○田巻地方産業振興室長
 さようでございます。
○成田委員長
 港湾なんかもかなり投資をしているのですか。
○田巻地方産業振興室長
 港湾も多うございますが、港湾というのは県の数字に出てきますので、ちょっと私どもの集計の中には出てきにくいのでございます。
○  委員
 これは国への依存ということが問題にはされていますけれども、比較的新産・工特の場合のかさ上げというのは、要するに地方がその中で、都市施設の広範なものから自分でやりたいといったらかさ上げになるシステムですから、要するに普通の、逆に言うとひもつきの個別の国の補助金よりは自主性はそんなには阻害していなくて、ただ、都市として発達していくのに財政的に少し、全体的にね。どうしろというのではなくて、そこはただ、まさにお金だけ少し上乗せしてあげているというイメージなのです。ですから、依存は結局するのだけれど、通常の補助金の議論のような形での難点はないのですよね。そこがおもしろいところで、逆に不公平論は、だから、すごくあると思うけれど、ほかの自治体だって下水道をやっているよということでね。
○  委員
 逆に言うと、財政支援措置としては非常にすぐれた制度ですよね。だから、一生懸命やったところにはその分手当てしましょうという話ですから。だから、これができて以来、次に、随分時代が変わっていって、テクノポリス法とか幾つかいろいろな法律をつくるのだけれど、全部この前例があるがばかりに、ほかの法律では財政支援措置を盛り込めなかったという。それをつくると新産・工特と同じになってしまうという、何かそういう、通産省でたしかテクノ法をつくるときにそういう議論がありました。だから、私がこの前の前の見直しのときに、いい加減にやめた方がいいのではないかと。それで、一番の根拠は、新しい財政支援措置を盛り込んだ新規地域振興立法をつくるときに、どうもこのまま新産法があると、どうもこれを意識して新しい財特法的なものができないからやめた方がいいという、何かすごいねじ曲がった議論をしていたのですが。
○成田委員長
 同じ仕組みは、しかし、首都圏にも、近畿圏にもあるのですよね。
○  委員
 その後の、すごい最近のものにはもう全くないですね。
○  委員
 制度の経緯からすると、これは例えば港湾をつくるというのがメインですよね。港湾と工業団地というのがいわば新産のメインですよね。それの投資に対する言ってみれば後方支援のような感じで財特法は位置づけられていたのですが、額的にも港湾をつくる投資に比べると1件当たりは少ないですよね。肝心の港湾はできてしまったところもあるし、もうある程度のところで終わっていくわけでしょうから、後方支援だけが残ってひとり歩きしているという、そういうふうにとらえると何か問題がありますか。
○田巻地方産業振興室長
 正確に言いますと、制度上港湾に対する支援は財特法の外でやっているというふうに御理解いただければ、細かいところは一部ありますけれども。と申しますのは、港湾に対する支援は港湾法で一般則としては受益者負担の原則ということで、港湾が立地している市町村が実際の負担分の、これは県の自主性で決まるので一概に言えないですが、平均15%程度を当該市町村が負担することとなっているのです、港湾法の一般則で。ところが、地方財政法の施行令で特例措置を設けていまして、新産・工特の指定地区にある港湾については、港のメリットは立地している1市町村だけではなくて、その広範な地域、周辺地域、背後地域に及ぶということから、1市町村に負わせるのはかわいそうだろうと。もっと広く効果が及んでいくから。だから、国が肩がわりしてあげなさいということで、本来港湾法でその市町村が負担すべき分を県が肩がわりするという制度になっています。港湾に対してはそういう支援の仕組みになっておりまして、財特法とはちょっと別の制度になっております。
○  委員
 だから、港をつくって、その近くに工業団地をつくって、道路も整備するという、それがいわば工業地区の開発のメインのプロジェクト事業ですよね。その必要額に比べると、実施された額に比べると、多分財特法で1件当たりに補助された額というのは少ないのではないかと思うのですよね、金額的に。ただ、肝心のメインの方はある程度のところでもう終わってしまっているでしょうから、その後、引き続き財特法の部分だけが残ってきたので、今はそちらが目立つわけですよね。というふうに見えるわけです。
○  委員
 港湾は、でも、いつまでも終わらないのですよ。
○  委員
 ただ、余り新規投資していないのではないですか。
○  委員
 いやいや、しています。延々に続いているみたいですよ。
○  委員
 いや、新産のところについてですよ。バースなんかもつくってしまっているのではないですか。
○田巻地方産業振興室長
 それは、終わったところでも、10mのところを12mにするとか14mにするとか、今でもやっているわけです。
○  委員
 そういう、何かデータは整理されていますか。
○田巻地方産業振興室長
 ちょっとなかなか港湾のことですと難しいのでございますが、進捗状況ということで……。
○  委員
 だから、まさに今も港もつくって、工場も張りついて、財特で都市基盤も整備しているということであれば、まだ生きているということですよね。そういうふうにとらえるべきなのか。もう死んでいるのに、財特だけが続いているというふうにとらえるべきなのか。
○成田委員長
 それは、物流の様子も変わってきているから、やはり今までみたいなクレーンのある埠頭はもうだめなのです。恐らくコンテナの船が入るような深さのものと、それから、そこにやはりコンテナの処理ができるような、ストラッドルキャリアみたいなものをつくったり、そういう形になっているのではないですか、今は。
○  委員
 港湾の関係で、今恐らく港湾形態の変化が非常に著しくて、基本的にはコンテナ化になっているのです。それで、コンテナ化に対しては、かなり大型船が出てきているので、バックヤードも含めて、要するに輸入貨物から含めて全部形態が変わってきている。だから、いわゆる新産・工特で考えたバルブキャリアみたいな問題というのはある程度一定になります。
 私はこの間、三河、東駿河を見学させていただきました。ここでいくと優等生から1番、2番をやってきたようなもので、それで、やはり三河港についての、これはそのときのお話でございますけれど、やはり工特の看板が、例の重要港湾と指定され、港湾を先行してやることに非常に役に立ったと。それが実際には素材産業として計画したのが失敗したおかげで、自動車がうまくいったので今日の展開があったということで、それなりの新産・工特の塞翁が馬的なうまくいった例ということで非常に高い評価があり、それから、同じように東駿河は富士港なので、やや素材型の紙パの部分は少し停滞しているのですけれど、その隣の御殿場を見学させていただいて、これも、実は御殿場は首都圏の東名の近くということで、それなりの発展があると。そういう意味でこの工特制度というのはそれなりの地域として、特に静岡県もそうおっしゃっていたのですけれども、やはり看板効果というのですか、それが地域の振興策としての効果は非常にあったと。それが一つ。だから、多分あったのです。それで、非常にたまたま恵まれたところに行ったので、では、という話をしたときには、非常に大らかに、余り今あれはないですねと。
 ところが、一方で、私は今青森のお手伝いなんかをしていますと、やはり八戸なんかは非常に疲弊しているのです。そういうところだと、かなりこういうものに対するやはり地元の思いは大分熱いようなものがあると感じています。
 それから、先ほどもう一つ議論になった中で下水道の話は、日本の社会資本整備を調べてみますと、50何パーセントの普及率というのは下水道だけなのです。あとはみんな9割ぐらい行っていますから、都市のインフラというと大体下水道になってしまうのです。ただ、下水道についてはいろいろな問題、ナカニシ先生の話でいろいろむだ遣いとかいろいろあるけれども、多分日本のインフラで遅れているのは下水道だから、当たり前にみんな下水道に特化するということではないかと思っております。
○成田委員長
 下水道で環境庁でやっているとか農水省がやっているとかありましたね。それを全部合わせたらどういうことになるのか、ちょっとわからないですか、そこは。
○  委員
 港湾を今、県がベースにして港湾をというので、それが全体としてというか、港湾は立地条件の差がありますから、例えば延岡はうまくいかないけれど、大分はそこそこにうまくキープできたりとか、それから、鹿島はとてもうまく使えたり、豊橋も上手に使えたけれども、秋田はうまく使えないとか、これは単純に制度の問題を言うよりは、置かれている比較優位性というのがありますね。それで、そのことに関する配慮ができた政策があればよかったかもしれないけれど、これはやはり使う側がマーケット・オリエントで一番有利なところを使おうということになっていったら、その制度の仕方ではないから、結局一生懸命整備したけれど、そこにお客がつかないという状態になっていて、つかない側からしたら、ここまで来たのだから、もう少し質のいい港湾サービスを提供したら来るかもしれないという未練が断ち切れない世界に行っていますね。多分、だから、新潟も富山もそういうことで言えばまだまだと思っているし、高知もそうかもしれないけれど、それから境港もそうかもしれない。でも、何かそばから見ていると、ほかだってあんなに苦労しているのに、みんな大成功しているとは、大分だってまだまだ余裕があるとか、鹿島だってそう思いますし、大成功しているとは思えないところでそこは努力しているときに、別のところに、今なおかつ追加的な努力をすることに関する問題とか、それは地域が幾ら頑張っても、全体としてはこういう状況だという判断をやはりできるような材料が提供されるべきだという感じはしますね。
○  委員
   委員のおっしゃったように港湾かもう終わっているはずだというのは、多分素材型の産業を考えたときの港湾はもう多分終わっているのだと思うのですけれども、今やっているのはコンテナ輸送の輸送の拠点として、私は富山と新潟に行きましたけれど、あんな並んでいるところが両方特定重要港湾になっていて、うんと離れていると彼らは言うのですが、日本地図を見ると、どうやってもすぐ隣ではあると。それはともかくとして、富山の方は中京の名古屋方面に引っ張ろうと考えているのですが、いずれにしても、でも、その港湾を今どんどんどんどん改定して、もっとバースを深くとか、いろいろ計画はまだまだ、それで投資もしているのですよ、現に。それは、でも、やはり輸送なのですね。別にそこに立地した素材型の工場のためではなくて、輸送のための港湾としての整備はまだまだ港湾で投資されていると。だから、それはもう初めのいわゆるそこに立地するという工業からは本当は離れてしまっているなという感じはするのですが、ただ、特定重要港湾になっていますと、ああいう港湾法の方で運輸省さんがどういうふうに後を考えるのかなというのがあるものですから、特定重要港湾になっていれば、もちろんそれに新産がつけばもっといいのだと思いますけれども、一応は特定重要港湾であれば、普通の重要港湾よりは国がやるわけですからね。
○成田委員長
 港湾は私もあちこち見て、関係者と話しているのだけれど、日本は本当にポートセーリングという市場拡大の活動を余りやらないのです。それで、とにかく立派な施設をつくっておけば船が来るだろうという、殿様商売的なところが多いのです。だから、例えば瀬戸内海を全部、危ないから船の航行制限をして、そのかわり高知とかの外港を整備するとか、東京湾に入れさせないで鹿島に入れるとかいうふうな政策を導入していけば、それはもう全体として変わってくると思うのですけれどもね。
○  委員
 実際のところ、新潟に行かれて、港湾の背後地にできている新しい工場や誘致された工場とかは、富山も見られると、全然港湾とは関係なくて、その都市基盤でできたから電力供給が安定しているとかということでIC産業の拠点になっていたり。
○  委員
 でも、富山はやはり一応効果があったところなのですよ。新潟ははっきり言いますと、それは新潟も自分でわかっていらっしゃるみたいだけれど、現にゴルフ場になっていたりしまして。だけど、新潟の場合は交通インフラが非常に整備されましたから、それなりの、非常にいろいろな形の雑多なというか、非常に多様な工場が新潟という土地を求めてきている。それは港湾には関係ないのです、まさに。だから、富山の方が、だから、忠実に、新産に忠実にやっていて、ある程度の確かに工場集積を得たというところなのだろうと思いますが。
○成田委員長
 住友アルミですね。ボーキサイトをたしか持ってきて、それで、安い水力電気を使って精製しようとしたのです。それはもうだめになってしまったでしょう。
○  委員
 アルミ産業は、だから、エネルギー問題で一気に即死状態になってしまいましたから、これは、だから想定できなかった。酒田も同じですね。それから新居浜もそうですね。こういう一連のところというのは、だから、別の用途で、つまり条件で厳しくなってしまったと。実際にもう都市基盤され、いろいろな基盤が整備されて、水もいいし、それからエネルギー供給もいいし、交通とアクセスもすごくいいわけだから、つまり工業団地としては悪くないわけです。そこに働きに来る人たちのアクセスも悪くないですから、そういう意味での育ち方はするけれど、港湾とは関係ないですね。それで、港湾地域にはゴルフ場があると、そこで働いている人は便利だということになってしまうので、全然どんどんウォーターフロントは別の意味を持ち始めているというふうに思ってもいいぐらいですね。だから、次に欲しいのはヨットハーバーだということになってきますね。
○成田委員長
 だから、悪口を言う人は、巨大な釣り堀ばかりをつくっていると言うわけですね。
○  委員
 資料1に戻りたいのですけれど、資料1で御説明を最初のところを聞けなかったのですけれども、この廃止と延長というのが着地点として書いてありますけれども、これは部分的に廃止と延長に分けるということもあり得るというお考えなのですか。集団で全部どちらかに行くということですか。
○田巻地方産業振興室長
 そこは、廃止の下に経過措置とございますけれども、経過措置のバリエーションが、非常にここは多様になろうかと思うのですけれども、部分的にということは、私どもがこの紙をつくった時点ではそこに入り込むのかなというふうな感じがして、成田委員長なんかも財特の廃止というようなこともあり得るのではないかというようなお話があったのですけれども。
○  委員
 地区別に分けて、卒業組と落第組と在校生とに分けて、在校生は延長と。
○上野審議官
 理論的にはあり得ると、選択肢ではあり得ますけれども。
○  委員
 在校生を残すということは、制度が残るということでしょう。
○成田委員長
 そうです。
○  委員
 だから、このロジックで来ると、だから、制度は残らないか残すかという話になっていて、成功したところは外して、制度は残るというロジックもあると。
○  委員
 だから、制度の実態が、その必要性があるかどうかということだから、在校生がいるということは制度は生きるということですよね。在校生がいなくなれば、制度があっても仕方がないわけですよ。
○  委員
 この間、私は学科をなくすために、この春、満期退学させたのです。だから、そういうこともあるから、できは悪いけれど、とにかく満期で退学という、そういう……。1人残っていると、その学科を維持しなければいけないから、理工学研究科というのを発展的解消するために、もう満期退学という、教授会で満場一致で決めたという、そういう例もありますから、だから、あとはどうみなすかではないですかね。
○  委員
 ただ、この資料2を見ると、意義ありというのは、こんな意見が会議で出たのかなという気もするのだけれど、うまく書いてありますよね。ためにする議論があるところもあると、意義ありというところで。
○成田委員長
 これは、だから前に、全く同じバランスで両方の議論が出たということでは必ずしもないのですよね。それで、意義ありという議論はもう大いに、やはり指定されている地方公共団体の人が入っていましたから、そういう方々の意見がかなり強く出ているということです。
○  委員
 ただ、これだけ意義ありと書いてあると、それをだめだと、意義はないのだと証明するのは、結構大変な作業になりますよね。
○成田委員長
 まずこれも私は論駁できるのではないかと思うのですけれども、それは別として、ただ、これで、先ほどの達成、未達成で少し気になっているのは、国土の均衡ある開発発展と国民経済の発達、これが究極目的になっているのですね。でも、国民経済の発達はいいのだけれど、国土の均衡ある開発発展という旗印は今は既におろしたのではないかと思うのですが、これはどうですか。
○  委員
 まだおろしていないです。
○成田委員長
 おろしていませんか。
○  委員
 議論中です。議論中ですけれども、それは、ただ、均衡ある開発発展の手段として適当かどうかということもあると思うのです、新産・工特が。
○成田委員長
 私も実現不可能な目的を旗印で上げるのはおかしいのではないかという気がするのですけれどね。
○  委員
 先ほどの、仮に廃止とか延長の話で、例の産炭地域のあれが同じようなことをやっていまして、これは法執行後も一応財政特例の経過措置というので認めて軟着陸しようということでやっていますので、だから、いろいろ、アウトになっても何とか財政特例というのがあるのかなと。
○成田委員長
 そちらの方は第3段階の話ですよね。
○  委員
 はい。
○  委員
 それは、こういうふうに素材型で頑張ってつくってくださいと初めに国が言って始まって、それで支援しますよといって、それが素材型がだめになって、富山なんかは、だから、確かにアルミがだめですから、なかなか、忠実にやってきただけに……。新潟なんかはいいのですけれど、だから、そこを切り離し方として多少考えなければいけないなというので、多少経過措置というのはあるのかなという感じはしますけれどもね。かなり、でも、引っ張ってしまったから、もう少し早く切り離してもよかったのでしょうけれどね。
○成田委員長
 切り離すべくやったのですよね、今までも何遍も。
○  委員
 先ほどの成田委員長の、これは国土の均衡ある開発発展という、この旗印を否定していいかどうかというのは難しいですね。今日の普通のビジネスのキーワードは選択と集中ですから、そういう話から考えると、今どき国土の均衡ある発展という考えは、そういう国土政策自体がやはり時代にそぐわない。それが結局国力全体を分散させて摩耗させてしまっているのではないかという議論はあり得ると思うのですよ。
 ただし、やはり国土のあり方を考えるときは、建前としてはこの言葉は私は残しておかざるを得ないのかなと。その上で、この新産・工特制度がこういう均衡ある発展に果たして役立つ手段なのかどうなのかという、そちらの議論にとどめておいた方が……。ちょっとここから否定してしまうと、何か地方の政治家と全面対決しなければいけないような感じになって、ちょっとしんどいかなという……。
○  委員
 今の議論は、均衡あるという場合に、みんなが同じ状態になるということではないのではないかと。それぞれポテンシャルは違うわけですよね、地域の。
○成田委員長
 いや、そういう認識ではなかったと思うのですよ。やはり全国どこに住んでも同じような生活を享受できるという話だったのですよ。
○  委員
 いや、今の議論です、今見直している。
○成田委員長
 今はよく知りませんけれどもね。
○  委員
 今、均衡ある発展を見直しているのですけれども、その議論は、だから、均衡ある発展の意味が同じ状態にするという、全部、つまりリトル東京をつくるということではなくて、それぞれ持っているポテンシャルを生かすという、そういう条件をうまく生かすということが均衡ある発展につながるのではないかと。
○成田委員長
 そこは新しく読みかえただけのことなので……。
○  委員
 いや、だから、そういうふうに考えると、つまり均衡ある発展を完全に否定すると、市場でやれということであれば、別に国は地域政策とか何かをやる必要はなくなるわけですよね。だから、国土庁も要らなくなるということになるわけですが、やはり格差があって、それは問題だと。余り一極集中するとやはり問題が起こるわけですね。だから、そういうふうになると地域政策をやるわけで、その地域政策の目的というのはリトル東京をつくることでは、しかし、ないだろうと。それぞれの地域の可能性を引き出してあげることだという、それが均衡ある発展の意味だと。
○成田委員長
 新全総を読んでみますと、やはりそういう個性なり特性を持った地域がおのおのやはり自分たちで考えて、お互いにその場によって提携して、地方できちんとやりなさいと。それで、国は一歩引きますよと、こういう姿勢でしょう。
○  委員
 言葉自体としても、つまり新産業都市とか工業特別地域というコンセプトで均衡ある発展を考えようとしたこと自体は、何かもうそういうコンセプト自体が成り立ちにくいということは、だれもがわかっていることですよね。だから、とりあえず何かをするとしても、みんなが納得のいく言葉遣いにならないと、それは無理ですよね。
 それから、21の地域の中では同じ条件で競争して、それぞれ頑張って、うまくいったところといかなかったことというのは、私たちが評価しなければいけないのは、その地域の人が努力したからかしなかったからだとか、だめだったという話とは違うのですよね。ある部分、やはり他の連携している公共投資のあり方とか社会資本の整備のあり方とか道路とか、そういうものとのかかわりで有利に働いたところと働かなかったことがあるとか、そういう分析をしていって、それで、しかも、なおかつこれ以上に工業地域というのをつくることというのは、もう我が国の産業の中で意味があるかどうかという議論をしていきながら、やはり整理整頓をする議論をしなければいけないと思うのですよね。
 それからもう一つ、今の国土の均衡ある発展という言葉遣いと、このきょうの資料の4の後ろの方についていた、例えば新しい国と地方自治体との関係という幾つかの政策的な手法が変わってきましたと。どちらかというと、地域自体がいろいろ努力をしてくることに関して、それを外側から見ていて、何か指定をするのではなくて、こちらからここの地域をというふうにするのではなくて、頑張っているところに対してうまくバックアップしていくようなシステムというのが今つくられてきましたということだとすると、それは、だから、これまで21の指定したところに関していえば、ほかのところも十分何か出てこられる環境にしておいて、しかも、今まであったところはもちろん再トライすることも可能にしておいて、政策のあり方というのですか、どこかを初めから、つまり地域をギブンにしておいて議論することからは方向は変わるということはあり得るのではないか。そういう意味では、こういうたくさんの前半の、何かデータをチェックすることと、それから、政策の指針というかやり方が変わるということは少し違うことですね。
 しかも、もっと強烈に違うと思うのは、つまり工業とか新産業都市と言われている内容というのが、つまり、考えられていた産業構造とはもう今は全く違う状態になっているわけだし、それで、しかも、雇用をふやそうと思ったのでしょうね。雇用というのは、ほとんど今は工業というのは雇用をつくり出さないわけですから、ほとんどコンピューターがつくるわけで、そういう意味では、だから、工業を持ってきたからとか、自動車産業を持ってきたからといっても、みんなロボットがつくるだけで、それが雇用を生み出すということには全くならないですよね。そうすると、雇用の問題を考えるのだとしたら、産業でも全く違うもの、それがまた新産業と読めるのかもしれませんけれども、違う内容のものを考えなければいけなくなっていますよね。
○成田委員長
 こういうことは今さら言っても仕方がないけれど、これはもともと15も指定するのはおかしいのですよ、これは。初めは何か幾つかに限定しようということでやったのですね。そうしたら、猛烈な陳情合戦が当時ありました。よく当時の状況を知っていますけれども、かなり政治的に動いた。初めは13だったのが、あと二つふえたのですよ、あれは。
○  委員
 今の  委員と  委員の話を両方含めて言うと、この制度ができたときの、  委員はリトル東京と言ったけれど、東京ではなくてリトル京浜臨海とかリトル阪神臨海とか、今はもうとにかく首都圏で京浜臨海をみんな持て余して、どうしようかというようなところをつくろうと、それを全国につくろうという話ですから、やはり大本がどんどんどんどん雇用どころか土地も余ってしまっているこの時代に、今のそれに準ずるものを地方につくろうという制度そのものの役割がはっきり終わったというふうに明快に言い切ってしまっていいのではないかなと私は思います。
○  委員
 私の持論は、既に死に体だというのは、15年ぐらい前に廃止するべきだったというふうに思っている。だから、経過措置も要らないと、もう経過措置は15年間やってきたということなのですけれどね。ただ、何か議論をもう一回し直すというふうになっているから、きょうの1時間は少し結論を出さないで議論しなければいけないのかなと思っているわけですけれども。
 先ほど、全部論駁できると成田委員長がおっしゃったので、そうであれば議論する必要はないのですけれど、この右側のところの意義ありというところで何かきちんと答えるべき論点があるかどうかということですね。
○  委員
 でも、この意義ありというのは、意義なしに対して何か言おうとするとこういうことがあるよという感じですよね。
○  委員
 かなりそういう部分が多いのだけれど、ただ、本質的なものがあるかどうかですよね。余りそうともおもえない。全部やり出すと、しかし大変ですね。
○成田委員長
 少し古い観念なり考え方に立っている面がかなり多いのではないですかね、先ほど  委員がおっしゃったように。
○  委員
 現状でメリットが出ているわけですから、続けてほしいというのが人情ですよね。
○  委員
 ただ、私は一番最後のその他のところの、要するにもう産業構造が変わってしまったと。それで、既に、もっと前に切り離しているべきだったと思いますけれども、もう制度が何か続いてしまった以上、何かその中では頑張ってきたところを最終的にどういうふうな形で……。だから、経過措置が要らないとまで言ってしまっていいかどうかというあたりだろうなと、ここの最後のところの留意事項。
○成田委員長
 だから、例えば苫東みたいなところを新しい新産業都市に指定して、そこで10年間法人税も全部免税にすると。それで、本当のFAZみたいなものをつくって、そこに今のリストラされて一緒になったようなところを持っていくというのなら、それは一つのやり方でしょうけれども、とてもそんな思い切ったことは日本ではできないでしょう、今の。そういう新産都市なら私は賛成ですけれどね。
○  委員
 ただ、現状、指定地域のところの臨海のエリアというのは、ものすごく大きな空地を持っていたりして、これを外してあげて、もう少し自由にいろいろなことをやっていいといったら、突然動き出す可能性があるのではないかと思うところもいっぱいあるのですよね。それなのに、今工業特別地域とか新産だというからできない、やりにくいというふうになっているところもあるので、プツンと外した途端に、だから、例えば北九州市が平気でテーマパークにできるとか、でも、堺はなかなか動かないとか、同じ新日鉄がやっていて何の違いかというと、堺市長と北九州市長の能力の差なのか、同じような土地の利用の仕方でも片方ではなかなか動かないで、今どうしたらいいかという議論をしている。これも、だから、ウォーターフロントをアーバンリゾートだと思い切って変えてしまって、その展開ができるようなことというのが全国のところでも可能になれば、すごくおもしろい試みができそうなところ、もっとバブルをつくって最悪になるかもしれませんけれど、可能性のあるところがたくさんあるというふうに思いますね。
○  委員
 それは都市計画を変えればいいのですよね。でも、イメージが多分新産・工特だからできない、実際上はね。
○成田委員長
 それは、だけど、国土庁が悪いのではないのです。国土庁はそういう細かいことは指示したりしないのですけれどもね。それを受けて、上位計画として都市計画に指定するでしょう。それをやられると、やはりそこで土地利用はもう決まってしまって、新産を外さない限りは土地利用の自由な転換はできませんよと。
○  委員
 でも、私は新潟に行って、かえってこんな工業とかいうふうにイメージがつけられていて嫌なところはないかと聞いて、少し嫌だと言ってくれるかなと思ったら、全だめだったのだけれど、今回は。
○  委員
 今は何に使われていますかと聞いたら、若者たちがオートバイに乗って困りますと。では、サーキット場にしましょうと言ったら、怒られてしまいました。一番使われている方法に持っていけばいいのに。
○  委員
 新産で規制が変わるというのはありますか。用途地域の……。
○成田委員長
 新産で直接制約は……。都市計画法であれば上位計画ですよね。
○  委員
 確定するのは、だからイメージの問題で、幾ら何でも工業なのだから、ここはというふうにしてしまっているのですよ。
○  委員
 では、例えば首都圏のものは変わりますよね、都市開発区域は。あれは県が出てくるので。今のゾーニングなんはどうせ県がやるわけですよね。
○田巻地方産業振興室長
 新産はインセンティブを与えるだけで、規制のあれは一切、手法はとっていませんから、そういう意味ではこれで直接どうこうとなることはありません。
○  委員
 ただ、この制度がなくなりましたということになったら、過去のいきさつはなしになるのですか。そうすると、ゾーニングを変えていいと。
○成田委員長
 それはそうでしょう。
○  委員
 いやいや、それは、だから、別の問題でしょう、変えるかどうかは。
○  委員
 別の計画でつくられると。
○成田委員長
 それは、しかし、今の都市計画法では上位計画の中に入っていますからね。入っている以上、やはりそれは尊重しなければいけないしね。
○  委員
 京浜臨海が変わらないのは新産だからではないと。
○  委員
 そうですね。
○成田委員長
 埋め立てができたところが、やはりそういう制約でできていますから。
○  委員
 それは、だから、要するに都市基盤上の問題ですね、ゾーニングとか。もう都市基盤を整備したときには、そこの上に何が建つかということを意識しているわけで、その中に可能なものだったら何でもいいわけですね。
○  委員
 工専が大抵指定されているでしょう。工専が指定されて、港湾地区か何かに指定されているから、住宅ができないとかいろいろな問題がありますね。それは、新産だからということよりもむしろ一般的な規制でしょう。
○成田委員長
 新産であることでそういうゾーニングをやはりやるわけですよね。
○  委員
 今それは中を制約していないのですか。
○田巻地方産業振興室長
 直接しておりません。ただ、地方自治体の方が都市計画の線を引くときに、新産というのは頭にあって、ついそれが手が触れるかどうかはわかりませんけれども、直接は全くリンクしておりません。
○成田委員長
 それは、建設省がそういう問題について今までいろいろ指導してきましたからね。
○  委員
 むしろ  委員の先輩たちが、それに合うようにいっぱい絵を書いたわけですよ。東三河なら東三河のようにね。
○  委員
 だから、実際に工業団地か何かつくってあるわけですから、それは工専になっているのですね。
○  委員
 ただ、たしか備後には福山まで入っているけれど、尾道は入っていませんよね。
○成田委員長
 多分ね。尾道は造船が多かったのです。
○  委員
 もともと造船の町で、造船の町だけれど、同時に港町でもあったのです。それで、最近尾道の市長と話したのだけれど、県も福山港は一生懸命整備しようとするのだけれど、尾道には全然、何だよと。それで、また尾道の市長というのは船主なのですよ。オーナーなのです。それで、何で尾道でなくて福山にこんなにやるのだと。やはり、だから、地方の中でも指定されている地域と外れたところと、やはりそういう、福山はやはりこの延長線上でずっと港湾整備が進んでいるのに、尾道は取り残されているという、何かそういう地域内格差みたいな、それはやはり逆に発生してしまっているから、だから、そういうことも含めて、やはり国土の均衡ある発展という言葉はそのまま残しながら、この手法そのものがやや弊害も幾つか出てきたという、そちらの面というのは余り議論しないではないですか。県の人に聞いても、絶対にそうだとは言わないしね。それで、我々が行くときも対象地域しか見ませんから、そこの話でね。そうでない外れたところから見ると、やはりちょっとどうも不公平かなという、地域内での指定地域とそうでないところが、同じ県の中でも不公平感というのは生じているというような、そういう側面の声というのは多少拾っておいた方がいいような気がしますね。
○  委員
 富山県なんて、あのように県の面積が小さいでしょう。それで、指定地域はすごく広いのですよ。ほとんど……。
○成田委員長
 県の油ドックもみんなあそこに入っているのですよ、あれは。
○  委員
 あれは、いろいろな指定地域があって、富山みたいに全部が同じところにどんどんかけてしまっているところと、例えば静岡だったら、こちら側で新産でやったら、こちらはテクノでやるとか、そういうかけ方をしているところが結構あるのです。これを認める必要はないのですけれども。
○成田委員長
 あります。宮崎もそうです。
○  委員
 意外とそこが県にとっては、先ほどの私が看板と聞いてきたのと同じで、看板が取れてしまって何もなくなってしまったということに対する心理、いろいろな意味でのあれは、多分県の方から出てくるのですよね。
○成田委員長
 県政のバランスですよ。
○  委員
 先ほどの先生のお話、逆に言えば。ただ、もう一方で、一つだけ、これから次回の話になるのですけれども、逆に言うと産業をどうつくったらいいか、まさに地方分権で地方が自分でつくるということに対する危機意識というのですか、今はまさに公共事業でこれだけ潤っているのだけれど、これがいつまでも続かない中で、こういうものに対して産業というものの中でいろいろなものを考えようという動きは、私は地方は強いと思うのですね。特に産業立地がこんなに悪くなってしまっているので、その影響はかなりあるので、こういうつくるものに対する何かこういう要望は大きいと。
○成田委員長
 もちろん税制措置とかそういうものはやはり場合によったらそれはあると思いますけれどね。
○  委員
 でも、煙モクモクというような昔の工業地帯のみたいなイメージが逆にあると困るというようなところがあるといいなと思ったのですけれど、ありますか、ヒアリングをして。だけど、新産・工特のイメージというのはやはりちょっと、もうかなり古いですから、欲しいのは本当はイメージのほかなのでしょうけれどもね。
○  委員
 いや、イメージだけでなくて、やはり例えば小倉と福岡を比べると、やはりメーカーのまち、メーカー本位のまちというのは、そこにいる住民のいろいろなものを考える意識までやはり工業生産型の発想でしか考えないですね。だから、福岡みたいにもう全く製造業を持っていないまちというのは、どちらかというと消費主体でものを考える気質が育ってきた。だから、どうも従来型の工業都市というのが今の日本人のニーズとかけ離れているというか、特に、だから、北九州が幾らいろいろなものをつくっても、客も集まらないし、フェイス何とかは悪いとか、やはりメーカー的発想で集客産業をやるからですね。やはりこれは小倉の皆様方が言っている話で、本当にやはり男町だというわけですよ、小倉とか北九州市は。そこいくと、福岡はどちらかというと女町というか、私たちも楽しめるという、やはり従来型の男町がもうはやらなくなってしまったのと同じように、やはりこういう工業都市をつくるというのももう国家の政策としてやる時代ではないのではないかなと思いますね。
○  委員
 それは役割分担で……。
 
(2)その他
○成田委員長
 いろいろ議論が出ましたが、ちょっともう時間がお約束の時間に近づいていますので……。最後に「(2)その他」とございますが、これは次回の予定その他かと思いますけれど、事務局の方でどうぞ。
○田巻地方産業振興室長
 その他でございますが、本日準備した資料で、資料の5と6の二つを御説明しておりませんので、まずこちらから参りたいと思いますが、資料の5は先ほど来ときどき話題になっております現地調査の中間報告でございます。これまで既に七つの調査団の方々にごらんのとおりの日程で現地調査を実施していただいております。これから、また12月、1月であと7回、残りは予定されております。またこれから皆様方に大変お世話になりますけれども、改めてお願いしたいと思っております。申し遅れましたけれども、これまでの現地調査の御苦労いただいた件につきまして、この場をかりまして厚く御礼申し上げる次第でございます。
 本来ならば先生方に調査報告をお願いしていますので、それを御紹介すべきなのかもしれませんけれども、まだ七つ、未実施の地がございますので、そこにバイヤスを与えるといけませんので、今回は事実のみを整理させていただいたということで御了解いただければと思います。次回には委員の方々からいただいた報告を整理した形で御報告させていただきたいというふうに思っております。以上が資料5でございます。
 それから資料の6でございますけれども、前回、第1回の小委員会で道府県に対するアンケート調査ということで、項目について御議論いただきまして御承認いただいたわけでございますが、それを具体的にこのような形で現在実施しておるということでございます。今月の20日を締め切りに各道府県にアンケート調査をお願いしています。そういった御報告でございます。
 以上2件が御報告でございます。
 それから、今委員長からお話のありました次回の委員会の日程でございます。いつも大分早めに調整させていただいておりまして大変申しわけございません。おかげさまで、本日のように全員出席いただきまして大変助かっております。そこで、第3回ももう既に調整させていただいているわけでございますが、来年1月の27日午前10時から12時、まだ場所は決まっておりませんけれども、1月27日の午前ということでお願いしたいと思っております。
 私の方は、その他として準備しております材料は以上でございます。
○成田委員長
 どうもありがとうございました。
 きょうもいろいろな意見がばらばらに出ましたけれども、ひとつきょうの意見の大要をまた整理してください。
○田巻地方産業振興室長
 はい。
○成田委員長
 今度は1月27日だそうですけれども、もしどうしてもお出になれない方は、簡単なメモか何かで御意見を出してくださっても結構です。
 それでは、長時間非常に熱心に、時間足りないぐらいになってしまいましたけれども、本当にありがとうございました。