第24回国土審議会中部圏開発整備特別委員会

 

 

 

             日 時  平成11年8月31日(火)

                   午後1時00分〜2時18分

            場 所  ホテルナゴヤキャッスル2階 「青雲の間」

 

 

 

                  午後1時00分 開会

 

○事務局

   お待たせを申し上げました。定刻となりましたので、ただいまから第24回国土審議会中部圏開発整備特

   別委員会を開催させていただきます。

 

                    新任委員紹介

 

○事務局

   まず、議事に先立ちまして、前回の特別委員会以降、新たに就任された委員の方々につきまして御報告を

   申し上げます。

   お手元に資料1の委員会名簿をお配りしてございますので、ご覧いただきたいと存じます。

   初めに、関係地方公共団体の長である委員の方につきましては、愛知県知事神田真秋委員が新たに就任を

   されました。

 

○神田愛知県知事 

   よろしくお願いします。

 

○事務局

   また、静岡県市長会会長小嶋善吉委員、富山県町村会会長中斉忠雄委員が新たに就任をされております。

   それから、学識経験者の委員の方でございますが、木村 洋委員が新たに就任をされました。

   ただいま御紹介を申し上げました方々以外につきましては、引き続き委員をお願いいたしております。

   それでは、委員長、よろしくお願い申し上げます。

 

○委員長 

   委員長の安部でございます。

   ただいまから第24回国土審議会中部圏開発整備特別委員会を開催いたします。

 

                  国土政務次官あいさつ

 

○委員長

   本日は、谷川国土政務次官に御出席をいただいておりますので、最初に、ごあいさつをお願いしたいと思

   います。

 

○谷川国土政務次官

   どうも皆さん、お暑い中を御苦労さまでございます。私、ただいま御紹介をいただきましたように、大阪

   から参議院議員に選出をいただきまして、現在国土政務次官を仰せつかっております谷川秀善でございま

   す。第24回国土審議会中部圏開発整備特別委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し述べさ

   せていただきます。

   本日は、安部委員長を初め委員の方々におかれましては、御多忙のところ御出席をいただきまして、まこ

   とにありがとうございます。また、皆様方には、平素より中部圏の開発整備につきまして格段の御指導御

   鞭撻を賜り、厚く御礼を申し上げる次第であります。

   なお、本特別委員会におきましては委員の異動が行われましたが、御多忙にもかかわらず、新たに委員を

   快くお引き受けいただきました方々、並びに引き続き委員をお願いいたしました方々に対し、厚く御礼を

   申し上げる次第でございます。

   御案内のとおり、中部圏は、我が国の中央に位置し、産業技術の中枢圏域として我が国経済の発展に大き

   く貢献する地域でございます。また、大都市地域としての魅力とともに、豊かな自然環境を併せ持つ21

   世紀の新たなライフスタイルを実現する上でのフロンティアとしての無限の可能性を有する地域でありま

   す。

   最近の中部圏につきましては、地元の皆様を初めとした熱心な誘致活動の結果、2005年の日本国際博覧会

   が愛知県の瀬戸市での開催が決定し、中部圏のみならず、我が国全体にとりまして非常に喜ばしい限りで

   ございます。しかしながら、中部圏内における南北方向の連携や、各都市圏相互のネットワークも十分と

   は言えず、また、国際交流機能につきましても、首都圏や近畿圏に相当程度依存している状況が見られる

   ことから、今後多様で特色のある地域資源を生かした連携、交流の促進や、万博の開催、新たに整備され

   る中部国際空港の開港を契機として、中部圏全体で総合力を発揮し、国際的にも自立した圏域となること

   が重要であると考えております。

   さて、本日は、内閣総理大臣より諮問が行われました平成11年度事業計画についての御審議をいただく

   とともに、現在、新しい中部圏基本開発整備計画の策定に向けて御審議をいただいている本特別委員会計

   画部会における調査検討状況を、計画部会の方から御報告をいただくこととなっております。国土庁とい

   たしましては、本日の御審議を踏まえ、今後の施策の推進及び新しい中部圏基本開発整備計画の策定作業

   を進めてまいりたいと考えておりますので、活発な御審議をよろしくお願い申し上げます。

   終わりに、今後とも中部圏の整備に一層の御支援、御協力をいただきますようお願い申し上げまして、私

   のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

 

○委員長

   ありがとうございました。

 

               愛知県知事あいさつ

 

○委員長

   それでは、引き続きまして、中部圏を代表いたしまして、愛知県知事のごあいさつをお願いいたします。

   よろしくお願いします。

 

○神田愛知県知事

   愛知県知事の神田でございます。中部圏開発整備地方協議会の会長を仰せつかることになりました。皆様

   方には、大変御厄介、御指導をいただくことが多いかと思いますけれども、どうかよろしくお願いを申し

   上げます。

   それでは、地元を代表して、一言お礼と、そしてお願いを申し上げたいと存じます。

   中部圏の開発整備につきましては、日ごろ、国土庁を初め関係の皆様方に大変な御支援をいただいており

   まして、これまで幾多の事業が円滑に、着実に推進することができました。この機会をおかりして、謹ん

   でお礼を申し上げたいと存じます。

   とはいえ、この中部圏の地域づくり、整備はまだまだその途上にございまして、お手元にお配りをいたし

   ておりますように、要望書にしたためてあるこの中部圏の重点事業、諸施策はまだまだたくさん残ってい

   るところでございます。とりわけ中部圏の一層の発展のためには、空港あるいは新幹線、高速自動車道の

   交通体系あるいは産業都市基盤、情報通信基盤などの各種基盤整備が不可欠であります。それに加えまし

   て、2005年には日本国際博覧会の開催なども予定されているところでございまして、まだまだ実現に向け

   て推進しなければならない重点事業が山積いたしているところでございます。

   加えて、首都機能移転の問題につきましても、この秋ごろ、移転先候補地の答申がなされる見込みと承っ

   ておりますけれども、私どものこの中央地域の移転実現を目指して、今、中部圏の各県市あるいは財界の

   皆様方と力を合わせて、精力的にこの取り組みを進めているところでもございます。

   私ども協議会におきましては、中部圏の一体的な発展を図るため、これらの諸事業の実現に向けて全力で

   取り組んでまいりたいと考えておりますので、国土庁を初め関係の皆様方のなお一層の御支援と御理解を

   心からお願い申し上げる次第でございます。

   なお、本日は、この特別委員会の計画部会で御検討いただいた調査結果などについて御報告をちょうだい

   できると承っております。これまで委員の先生方には大変熱心にお取り組みをいただきましたこと、深く

   感謝申し上げますとともに、国土庁の皆様方の御努力にも敬意を表したいと考えております。

   この報告を踏まえ、今後最終的な計画づくりが進められると存じますけれども、中部の新しい時代を切り

   開く指針として大いに期待を申し上げておりますとともに、委員の皆様方を初め関係の皆様方の、この地

   元に対する御理解をまた進めていただきまして、こうした事業の推進、整備にお力添えを賜りたいと心か

   らお願いを申し上げる次第でございます。

   以上、言葉を尽くしておりませんが、地元を代表して、一言ごあいさつにかえさせていただきます。まこ

   とにありがとうございました。

 

○委員長

    どうもありがとうございました。

 

○委員長

   それでは、議事に入らせていただく前に、今後の特別委員会の運営につきまして、1点、私からお諮りし

   たいと存じます。

   これまでの本特別委員会の情報公開については、会議の議事要旨を公開するという対応を図ってまいった

   ところでございます。しかしながら、審議会等の透明化、見直しについての閣議決定等では、議事録の公

   開等を行うことにより審議会運営の透明性の確保に努めることとされております。また、これを受けて、

   本年1月11日に開かれました国土審議会では、原則議事録を公開する取り決めを行っております。そこ

   で、本特別委員会におきましても、今後はこういった流れを踏まえまして、議事録を原則公開することと

   してはどうかと考えております。具体的には、事務当局から説明していただきます。

 

○事務局

   お手元に参考資料として配付いたしました資料3、1枚紙がございますので、お目通しをいただきたいと

   存じます。

   ここにお示ししてございますように、1でございますが、原則として議事録を公開することといたします

   が、2にございますように、委員の方々の自由かつ公平なお立場での審議の確保のために、会議自体は引

   き続き非公開とし、公開する議事録においては、発言者のお名前は伏せさせていただいたらいかがかとい

   うことでございます。

   また、会議の円滑な運営を図る必要がある場合には、この会議に諮った上で、議事録にかえて議事の要旨

   を公開することにしたいと存じます。

   さらに、会議終了後、必要と判断された場合には記者会見を行い、議事の概要について紹介させていただ

   きまして、議事録または議事要旨につきましては、国土庁の文書閲覧窓口等に備えさせていただきたいと

   存じます。

   以上でございます。

 

○委員長

   以上のような提案でございますが、いかがでございましょうか。

  

                   [「異議なし」の声あり]

 

○委員長

   よろしゅうございますか。

   それでは、議事録を原則として公開するものとしてよろしゅうございますでしょうか。

 

                   [「異議なし」の声あり]

 

○委員長

   それでは、特段の御異論がございませんようですので、さように決定させていただきます。

 

                       議  事

 

○委員長

   それでは、議事の平成11年度中部圏事業計画(案)について審議に入りたいと存じます。

   内閣総理大臣から資料4−1及び資料4−2のとおり諮問を求められております平成11年度中部圏事業

   画(案)について説明を受け、引き続いて御審議をお願いいたしたいと存じます。

   早速事務局から、内容について説明をお願いします。

 

○事務局

   それでは、御説明をさせていただきます。

   委員長から話がございましたように、資料の4−1が諮問文でございます。4−2が11年度の中部圏事

   業計画(案)、そして4−3がこれに関連する参考図でございます。

   御説明に先立ちまして、この事業計画の性格、位置づけにつきまして一言申し上げておきます。

   中部圏の開発整備につきましては、先ほど来、私どもの次官あるいは神田知事からもお話がございました

   が、中部圏基本開発整備計画がございます。現行の計画は昭和63年度に策定をされました。現在、その

   新しい計画策定に向けての準備が進められているわけでございますが、この基本計画の実施のために必要

   な毎年度の事業を取りまとめたものがこの事業計画ということになるわけでございます。

   それでは、内容でございます。

   資料4−2の表紙をおめくりいただきますと、目次があるわけでございますが、T平成11年度事業実施

   の方針等、そして、Uということで平成11年度に行おうとする事業という構成になっております。この

   Tのところで今年度の主要事業の実施方針が記載され、Uにおきましては、それをより具体的に細部にわ

   たりまして記述をしてございます。Uにつきましては、第1交通、通信から第11防災に至るまで各種の

   施策を並べているわけでございます。

   それから、資料4−3は、そういった主要プロジェクトの位置図を示したものでございます。

   それでは、時間の関係もございますので、私の方から、このTの事業実施の方針を中心に御説明をさせて

   いただきたいと存じます。

   本文の1ページをおめくりいただきたいと思います。目次の次でございます。

   まず、1番目の道路の関係でございます。道路につきましては、首都圏、近畿圏を結ぶ東西の交流あるい

   は北陸、東海地域を結ぶ南北の交流を緊密にして、中部圏の均衡ある発展を図るため主要な事業の展開を

   行ってまいるわけでございますが、特に高規格幹線道路のうち、高速自動車国道といたしまして東海北陸

   自動車道の白鳥インターチェンジから荘川インターチェンジまで、これが21.9キロございます。それから、

   近畿自動車道の名古屋神戸線、いわゆる第二名神の飛島インターチェンジから湾岸弥富インターチェンジ

   5.1キロ、この両区間の供用が行われます。

   来年度(12年度)へ向けましては、さらに東海北陸自動車道の荘川インターチェンジから清見あるいは上

   平から福光、これは記載ございませんが、それぞれ19キロ、16キロ、それから北陸自動車道の4車線化

   の進展、こういった事業が進められてまいります。

   また、能越自動車道につきましては、高岡砺波道路7キロも供用の予定ということ、今年度からさらに来

   年度へ向けて、鋭意、事業の進捗が図られます。

   2番目の、鉄道でございますが、首都圏、近畿圏等他の圏域との連携を強化し、中部圏内の地域相互間の

   交流を促進するため、まず、北陸新幹線でございます。糸魚川−魚津間、石動−金沢間、そして長野−上

   越間の建設を引き続き推進いたします。また、それ以外の区間につきましては、所要の調査を引き続き進

   めます。

   中央新幹線につきましては、東京−大阪間の地形、地質等の調査を引き続き行います。

   また、名古屋圏の鉄道といたしましては、御案内と存じますが、名古屋市4号線、大曽根から砂田橋の新

   線建設の完成、また、ここには記載ございませんけれども、中部国際空港連絡鉄道につきましても、こと

   しの6月に事業主体が設立され、また、西名古屋港線につきましても、今年から事業に着手ということに

   なっております。

   3番目の港湾の関係でございます。港湾につきましては、国際化の進展に対応し、高度な物流体系、多様

   な産業活動及び地域の豊かな生活を支えるといった観点からの整備を推進いたします。

   外貿貨物量の増大に対応するため、国際海上コンテナターミナルを新たに清水港におきまして、これは15

   メートルバースでございますが、この整備を推進するとともに、名古屋港鍋田ふ頭地区でございますが、

   14メートルバースの整備を推進いたします。

   また、4番目、空港でございます。空港につきましては、航空需要の増大に対処し、国際・国内航空ネッ

   トワークの健全な発展を確保するため整備を推進するわけでございますが、中部国際空港につきまして空

   港建設を推進いたします。

   また、能登空港及び静岡空港につきましては、新空港建設のための用地造成等の整備を推進いたします。

   5番目の、住宅、住宅用地及び業務市街地でございます。居住水準の向上、住環境の整備改善等に対応し

   た住宅の供給ということでございまして、新たに長野市の中御所第一における優良建築物等整備事業など

   に着手をいたします。

   また、既成市街地におきましては、都市再開発の推進ということで、新たに金沢駅周辺地区における街並

   み・まちづくり総合支援事業等に着手をいたします。

   新市街地の関係では、安城桜井駅周辺地区における土地区画整理事業等に新たに着手をいたします。

   6番目の、水資源開発及び利用の関係でございますが、近年の渇水状況にかんがみ、渇水対策事業を推進

   いたします。また、水資源開発施設につきましては、新たに豊川用水二期において建設事業に着手をいた

   します。この豊川用水二期は、平成20年度完成を目途に、現在の水路の大幅改築を行う事業でございま

   す。

   また、ここに記載ございませんが、12年度におきましては、富山県の宇奈月ダム、これは黒部川でござい

   ますが、これの完成予定となっております。

   7番目の、河川でございますが、流域の開発及び都市化の進展に伴う水害防止あるいは健全な水循環の確

   保等々のため、河川改修等を行います。直轄河川につきましては、新たに九頭竜川等におきまして河川災

   害復旧等関連緊急事業に着手いたします。補助事業においては、新たに滋賀県の大川における広域河川改

   修事業あるいは九頭竜川水系でございますが、福井県の浅水川も河川災害復旧等関連緊急事業に着手いた

   します。

   この河川災害復旧等関連緊急事業と申しますのは、従来でございますと、河川で災害により破堤等をいた

   しますと、基本的にはそこの災害復旧あるいはその周辺の改良復旧ということでございましたが、上流部

   だけを復旧いたしましても、下流部の河道が確保されていないと問題がございますので、新たに災害復旧

   に合わせまして、下流部の河川改修も行えるようにしたという新規事業がございます。これで九頭竜川等

   の適用を行うわけでございます。

   また、8番目の、海岸保全施設でございますが、補助事業として愛知県の大野漁港海岸の環境整備事業等

   に着手をしてまいります。

   9番目の、砂防、地すべり関係では、補助事業として新たに三重県伊勢市にございます神薗地区等におけ

   る地すべり対策等に着手をいたします。

   10番目の、森林の保安施設でございますが、山地災害の防止、水源かん養等に資するため各種保安林の適

   正配備を推進するとともに、新たな治山事業といたしまして、岐阜県の高富町大桑地区等において治山事

   業に着手をいたします。

   11番目の、廃棄物関係は、新たに愛知県の春日井市におけるごみ処理施設、愛知県瀬戸市における最終処

   分場等の整備に着手するとともに、愛知県の豊川市におけるし尿処理施設あるいは三重県の亀山市におけ

   るごみ処理施設等の完成を図ります。

   12番目の、病院、社会福祉施設等につきましては、岐阜県の養護老人ホーム大和園が本年度竣工予定と承

   っておりますが、等の社会福祉施設の整備を推進するとともに、病院、老人保健施設等の整備を進めてま

   いります。

   13番目でございますが、教育文化関係では、石川県立看護大学(仮称)、岐阜県立看護大学(仮称)、さ

   らに浜松の静岡文化芸術大学は平成12年4月に開学予定と承っております。それから岐阜県の国際情報

   科学芸術大学院大学(仮称)は13年の4月開学と承っております。

   14番目の、農林業生産施設等でございますが、効率的、安定的な農業の実現に資するため、国営かんがい

   排水事業新矢作川用水地区などの基幹かんがい排水施設等の整備を推進いたします。等でございます。

   最後に、15番目の防災でございます。防災上の観点から、各施設等における耐震性の向上、電線類の地中

   化、災害に強いライフライン共同収容施設の整備、それからダムの整備、海岸、土砂災害防止のための事

   業、国営総合農地防災事業、都市防災構造化推進事業、防災公園等、個々の箇所名は省略しておりますが、

   これらの整備を鋭意進めてまいります。

   以上でございます。

 

○委員長

   ただいま説明のありました平成11年度中部圏事業計画(案)につきまして審議することといたします。

   御質問、御意見ございましたら、御発言をお願いいたします。どなたかございませんでしょうか。

   御発言がないようでございますが、平成11年度中部圏事業計画(案)は、原案どおりで御異議ございま

   せんでしょうか。

 

                   [「異議なし」の声あり]

 

○委員長

   御異議がないようでございますので、平成11年度中部圏事業計画(案)について、異議ない旨の答申を

   行うことといたします。

 

       中部圏開発整備特別委員会計画部会「調査検討報告」について(報告)

 

○委員長

   次に、議題2の計画部会「調査検討報告」の報告に移りたいと思います。

   今後の中部圏開発整備の基本方針について、平成7年5月に内閣総理大臣から諮問を受け、本委員会に計

   画部会が設置されました。同部会においては、新しい中部圏基本計画の策定に向けて平成8年5月から調

   査、審議が進められております。昨年9月には、調査検討報告の中間報告が本特別委員会に報告されたと

   ころでありますが、今回の調査検討報告は、さらに計画部会において検討が行われ、取りまとめたもので

   あります。

   本日は、これについて計画部会長より報告していただきたいと思います。それでは、計画部会長、どうぞ

   よろしくお願いいたします。

 

○計画部会長

   ただいま委員長からお話がございましたように、計画部会におきましては、22回の計画部会を開催いたし

   ました。そして、新しい中部圏基本開発整備計画の基本方針について検討作業を進めてまいりました。ま

   た、昨年の9月には、調査検討報告、これは中間報告でありますが、報告をいたしました。私は所用で欠

   席をさせていただきましたけれども、○○委員を中心にまとめていただきましたので、御報告をさせてい

   ただいた次第であります。

   その後、各界各層からの御意見をいただき、また、引き続き計画部会で調査検討を行いまして、その成果

   を加えまして、本日、調査検討報告として別冊のようにまとめましたので、御報告をいたします。

   現行の第3次中部圏基本開発整備計画は昭和63年に策定されておりますが、その後、我が国及び中部圏

   をとり巻く諸状況はまさに大きな変革の時期を迎えております。住民の暮らしぶりあるいは経済活動に至

   るまで、あらゆる面でこれまでとは異なる大きな動きが出ております。

   また、平成10年3月には新しい全国総合開発計画である「21世紀の国土のグランドデザイン」が閣議決

   定をされて、国土構造のあり方や基本的な課題、戦略が示されているところであります。さらに、中部地

   域におきましては、2005年に日本国際博覧会の開催及び中部国際空港の開港等新たな動きが出ております。

   したがって、21世紀において中部圏が世界に向けて大きく飛躍することが予感されるものであります。

   本報告では、このような諸状況の変化を踏まえて、21世紀に向けて中部圏開発整備の新しい理念のもとに

   中部圏の目指すべき将来像を描くとともに、圏域構造の基本方向を示したものであります。

   中間報告から主な変更点について申し上げれば、まず、中部圏の目指すべき圏域構造についてであります

   が、中間報告では、現行計画を踏襲し、多極連携型圏域構造ということを提示したところでありますが、

   国土計画でも新しい理念が出てまいりまして、国土軸の概念が出てまいりました。それを踏まえまして、

   国土軸の形成の促進や、国土軸をつなげる新たな軸の形成により、内外にわたるネットワークの要として

   の機能を最大限発揮するということを考え、これまでの産業面の中枢性に加えて、さらに国際文化機能の

   集積を図って、創造的な圏域に発展する必要があるかと考えられます。したがって、それに基づいて「世

   界に開かれた多軸連結構造」というキャッチコピーといいますか、キーワードを考えております。

   また、新たに整備されてきます中部国際空港を中部圏全体で最大限活用して、中部圏の各都市圏がそれぞ

   れの特質を生かした多様な国際交流を促進し、グローバルネットワークの一翼を担う特色のある自立圏域

   として役割を果たすことが重要な課題であると考えております。したがって、その記述を拡充してまとめ

   ております。

   さらに、名古屋の大都市圏でありますが、名古屋大都市地域の整備に関する記述を追加補強をいたしてお

   ります。

   報告の具体的な内容につきましては、事務局から説明をいただこうと思いますので、御了解をお願いいた

   します。

   それでは、事務局、恐縮ですが、御説明をお願いいたします。

 

○事務局

   それでは、お手元の資料5−1、それから5−2によりまして御説明をさせていただきます。5−1は調

   査検討報告の本文でございます。5−2が概要でございます。概要に沿いまして御説明をさせていただき

   ます。

   概要の前文のところでございますけれども、その第3段落のところ、本報告は、22回にわたる計画部会の

   調査審議の成果を取りまとめたものであり、おおむね21世紀最初の15年間の中部圏整備に係る基本目標

   を掲げるとともに、これらの基本目標を達成するための圏域整備の方向性を示すものである。

   1 新たな基本計画策定に向けての理念

   一つ目、単なる経済的発展を目的とする「開発」から国土の質的向上を含めた発展を図るため、国土の適

   切な利用・管理へと重点を移していくことが求められる。

   二つ目、豊かな自然環境をより美しい状態で次世代に継承されるよう保全するとともに、活力創出に向け

   て自然と共生しつつ積極的に活用することが重要となる。

   三つ目といたしまして、人々の価値観に応じた多様な暮らしを選択できるよう、生活者の視点を大切にし

   た圏域整備を進めるべきである。

   四つ目、2005年日本国際博覧会の開催及び中部国際空港の開港を契機とし、国際交流活動を一層活発化さ

   せ、アジア・太平洋地域を初めとする世界の人々にもサービスを提供できる、世界に開かれた圏域を実現

   するべきである。

   2 中部圏の課題と21世紀における役割

   @ 諸情勢の変化と課題

   日本海側の各都市圏と名古屋大都市地域との連携がいまだ弱く、また、分散的に配置されている各都市圏

   相互のネットワークも十分でない等、中部圏はいわば二軸構造となっており、圏域全体としての潜在力の

   発揮が不十分である。

   これにつきまして、資料5−1の本文の終わりの方にAという形で参考資料がついております。それで、

   A−8ページをごらんいただきたいと思います。

   これは中部圏のランドサット画像でございます。中部圏は、海岸線、それから河川に沿った盆地沿い等に

   平地がある。真ん中に大きな山があるという形でございます。その結果といたしまして、次のA−9ペー

   ジをお開きいただきたいと存じます。これは人口集積だけを見ているわけでございますけれども、いわゆ

   る太平洋ベルト地帯に沿ったところ、それから富山から金沢、福井にかけての北陸の日本海側、このとこ

   ろに人口の集積、産業活動もあわせまして活発に行われているわけであります。この太平洋ベルト地帯の

   ところ、それから北陸地域の日本海側、この辺のところの二つを。

   続きまして、2点目でございます。国際交流の現状は、首都圏や近畿圏に相当程度依存している状況にあ

   り、自立的な国際交流を進める必要がある。

   3、世界的規模での大競争が進展する中、産業・技術の一層の高度化や、環境、エネルギー、情報通信及

   び観光関連産業等の新産業への進出が課題である。

   四つ目の丸、少子化、高齢化や国民ニーズの多様化等成熟社会の到来への対応が必要である。

   次の2ページの、一番上でございますけれども、近年の環境問題に対する認識の高まり等に鑑み、環境負

   荷の低減を目指す持続可能な環境共生型社会への移行が重要である。

   A 我が国における中部圏の役割

   国土の新しい流れを創出する役割。四つの国土軸の形成を先導するとともに、四つの国土軸を有機的につ

   なぎ合わせることにより、我が国全体を自立と相互補完に基づく水平的ネットワーク構造へ改編し、多軸

   型国土形成に向けての新しい流れを先駆ける役割を担う。

   産業・技術の創造圏域としての役割。今後も我が国経済を牽引していくとともに、アジア更には世界の産

   業・技術の創造圏域としての役割を果たす。

   美しい国土を創出する役割。豊かな自然環境、特色ある歴史・文化、伝統等を生かし、美しく質の高い環

   境を形成し、高度で創造的な諸活動を展開する場を提供する圏域としての役割を果たす。

   3 中部圏整備の基本目標と主要施策の展開方向

   この部分は、本文では基本目標と主要施策の展開方向の部分が別の章立てになっておりますけれども、こ

   の概要におきましては、その二つを統合して説明するような形で編集しております。

   世界に開かれた多軸連結構造の形成につきましては、文章を説明させていただきますけれども、図といた

   しましては、この資料の中では最後の1枚のコピーがそれになっております。なお、あわせてご覧いただ

   きやすいように、先ほどの本文につきましては、後ろの資料編のA−2ページに同じ内容がございますの

   で、A−2ページをお開きいただきながらお聞きいただきたいと存じます。

   @ 世界に開かれた多軸連結構造の形成

   圏域内に分散的に展開する多様で特色ある各都市圏が多様な連携、交流を活発化させ、四つの国土軸と国

   土軸を連結する六つの圏域軸を形成し、さらに、これらの軸がアジア、太平洋諸国と連携することで、圏

   域全体で総合力を発揮し、四つの国土軸の要として、また、国際的にもグローバルネットワークの一翼を

   担う世界に開かれた多軸連結構造の形成を目指す。

   続きまして次のステップで、中部圏が世界に開かれた多軸連結構造を実現する上での基本的な考え方を示

   すものでございます。

   まず、それぞれの都市圏が豊かな自然、文化、歴史や先進的技術等の資質を生かし、内外の訪問者に選択

   されるよう、その個性や魅力を高める。

   二つ目、多様な資源を生かした新たな文化、産業等を創出するため、都市圏と都市圏をつなぐ多様な軸状

   連携の育成・強化を図る。

   軸状連携のイメージですけれども、この図面の方でいきますと、凡例がございますように、やや黒目の細

   い線、矢印がついている、このような都市圏間をつなげるつながりというものでございます。地理的条件、

   歴史的経緯等により形成された軸状連携の強化、それから、豊かな自然等多様な資源や中部国際空港を活

   用するため、新たな軸状連携の育成ということで、既存のつながりが非常に強いところをさらに強化して

   いくものと、それから、中部国際空港から各地でございますとか、あるいは今まで連携の弱かったところ

   につきまして新たな軸状連携の育成をするんだという内容でございます。

   三つ目の丸、国土軸方向の軸状連携の育成・強化により、「21世紀の国土のグランドデザイン」に掲げる

   四つの国土軸の形成を促進する。これにつきましては、図の北側の方から、環日本海交流の拠点間の連携、

   自然資源を生かした連携等により日本海国土軸の形成促進、図面では青い色の国土軸でございます。二つ

   目、伝統的モノづくりや生態系等の保全活動を通じた連携により北東国土軸の形成促進。北東国土軸につ

   きましては、北海道、東北からこの中部の山岳地帯を通って、岐阜県の北側の方までつながるものでござ

   います。三つ目が産業・技術の高度化の推進及び高次都市機能の相互活用等により西日本国土軸の強化。

   四つ目の国土軸でございます太平洋新国土軸ですけれども、海洋・森林資源を生かし、近畿圏も交えた集

   客交流等により太平洋新国土軸の形成促進でございます。

   続きまして、国土軸をつなぐ方向の軸状連携を空間的広がりを持って育成・強化し、国土軸を連結する六

   つの圏域軸を形成するというものでございます。図面といたしましては、軸状連携をさらに広がりを持た

   せて、ハッチが入っているというイメージで圏域軸を表現しているものでございます。

   まず、南北方向でありますけれども、一番真ん中にある軸であります。能登半島から岐阜、名古屋、津を

   経て紀伊半島までに至る中央横断軸を形成し、能登、飛騨、紀伊の多彩な資源の活用や、環日本海の拠点

   と環太平洋の拠点交流による連携等を促進する。

   二つ目として、これは起点が二つというんですか、名古屋から飯田の方、それから豊橋・浜松から飯田と

   いう二つのパターンのところを通りまして、そこから長野を経て新潟に至る東海・信越連携軸を形成し、

   名古屋、三遠南信及び信越地域の異業種交流、森林の保全等を目的とした流域間交流等を促進する。

   三つ目といたしまして、福井から大津を経て松阪・伊勢に至る福井・滋賀・三重連携軸を形成し、三つの

   「うみ」の活用等を通じた連携や、近畿圏とも重なる広域観光連携等を促進する。

   四つ目といたしまして、上越から長野、甲府、清水を経て伊豆半島に至る中部横断軸を形成し、首都圏と

   も連携を図り、新産業の創出や余暇活動、マルチハビテーション等に係る連携等を促進する。

   五つ目として、これは東西方向の軸であります。福井から高山、松本を経て甲府・東京に至る中部縦貫軸

   を形成し、観光・伝統・文化等のすぐれた地域資源を生かした連携、貴重な生態系の保全活動を通じた連

   携等を促進する。

   六つ目といたしまして、伊勢湾沿岸地域の諸都市、それから名古屋大都市地域外縁部の諸都市を環状につ

   なぐ伊勢湾・東海環状軸を形成し、高次の国際交流機能、国際物流の拠点性等の強化を図る。

   以上の六つの圏域軸でございます。

   五つ目の丸として、さらに、環日本海交流と環太平洋交流を一体化させ、中部国際空港を最大限活用する

   ことで、広域国際交流圏を形成する。豊かな自然や先進的技術等の資質や特質を生かした多様な国際交流

   活動の推進、地理的優位性や多面的な交流の蓄積を生かした環日本海交流の推進、中部国際空港を中部圏

   のグローバルゲートとして機能させるための圏域内のアクセス性を高める交通体系の整備及び空港と連携

   した物流機能等を高めるための地域整備の推進。

   A 国際的産業・技術の創造圏域の形成でございます。

   既存産業の一層の高度化と新産業の創出により、国際的産業・技術の創造圏域の形成を図る。東海リサー

   チリンケージ、北陸スーパーテクノゾーン等研究開発機能のネットワーク化の推進やリエゾン機能等の強

   化による産学官の連携。このリエゾン機能というのは、大学の持ちますいろんな研究の集積などを民間企

   業に広めていくための、いわゆる連携機能、仲介機能でございます。情報・資金・人材等における産業支

   援体制の強化による新事業の創出。

   二つ目の丸、高度な産業・研究開発機能を生かし、新規成長産業への積極的な進出を図る。輸送用機械産

   業の技術の集積を生かし、環境、エネルギー関連、また、ITSの推進に伴う情報通信関連分野への積極

   的な進出であります。ここにありますITSは、高度道路交通情報システムの略でありまして、車に対す

   る情報提供でありますとか、料金収受の自動システムなど多彩な内容を含むものでございます。二つ目の

   ぽつとして、豊かな自然環境や文化資源等を生かした観光ネットワークの形成。

   B 豊かな自然環境を活用した新たな生活様式と持続可能な社会の構築

   美しい中部圏を創造する。山岳等の景観の保全及び高山地帯等の貴重な生物種の保護、合掌造り、散居村、

   棚田や伝統工芸等特色ある文化財・歴史文化活動の保存・伝承と活用、地域の自然・歴史性・文化性・風

   土等を生かした魅力ある街並み、農村づくり、緑地の保全・創出、水環境・水循環の保全・回復、上下流

   連携のもとでの森林整備。

   創造的な活動を行う新たな生活様式が実現できる場を創出する。

   自然との触れ合いを通じて、創造力、感性を磨き、新たな創造的活動を可能とする居住環境、交通体系、

   情報通信体等系の整備を図る。生活体験や文化体験等を通じた都市・農山漁村間の交流、グリーン・ツー

   リズム等の推進から、さらに出身地に戻るUターンあるいは途中まで戻るJターン、都会から地方に行く

   というIターン、あるいはマルチハビテーションの展開を図る。

   4ページであります。

   環境負荷の低減を重視した持続可能な社会を実現する地域整備と、それにふさわしい生活様式の創造を図

   る。廃棄物の発生抑制、リサイクル等による循環型社会の実現、TDMやITS等の環境負荷の少ない交

   通体系の形成。TDMの方は交通需要を管理するということで、交通需要そのものを減らしていこうとい

   うことで、相乗りの促進でございますとか、物流の効率化、時差出勤というソフト的な面での対策を含む

   ものでございます。ITSは、先ほどの道路情報の高度化していくというものであります。

   C 誰もが暮らしやすい圏域づくりの推進

   多様な生活様式や人生の段階に合わせて自由に選択できる居住環境の整備や、安心して暮らせる圏域づく

   り等を推進する。街の顔である中心市街地の再生・再構築、自然との近接性や暮らしの質の高さを生かし

   たゆとりある居住環境の整備、地域における子育て相談等の支援体制の整備・充実、先進的技術を生かし

   た多様かつ高品質な農産物の生産や、流域管理システムによる森林整備、リダンダンシーの確保、都市部

   における密集市街地の防災性の強化。リダンダンシーは、ある機能が災害とかそういうものによって破壊

   される。だめになってしまったときにも、ほかに代替する機能があって、それで機能が確保されるという

   ものでございます。

   D 多彩な活動を可能とする交通体系と情報通信体系の形成

   中部圏が世界に開かれた多軸連結構造を実現するため、多様な連携、交流を支える交通、情報通信体系の

   形成を図る。

   E 名古屋大都市地域の整備

   国際化の進展に対応し、大都市圏として一体的に発展するため、中部圏における名古屋大都市地域の拠点

   性の向上に資するよう、教育・文化、国際交流等の高次都市機能の強化、中部国際空港等を生かした国際

   物流拠点及び先端的な産業技術、デザインに関する研究開発拠点等の整備を図る。

   4 新たな計画の着実な推進

   個人、NPO等多様な主体の積極的参画による中部圏づくりの推進、積極的情報提供による計画内容の周

   知、中部圏開発整備地方協議会の積極的な活用、客観的な事業評価、既存ストックの有効活用、コスト縮

   減等による良質な社会資本の効率的な形成の推進。

   5 中部圏の人口の見通し

   中部圏の人口は、1995年の 2,116万人から2008年に約 2,182万人に達した後、減少に転じ、2015年に

   は1995年と比べて約46万人増の、 2,162万人となる見込みである。

   以上でございます。

 

○計画部会長

   ありがとうございました。今事務局からこの資料5に基づいた概要で御説明をいただきました。また、こ

   の資料5−1をお読みいただきますと、内容がさらに詳しく記述されております。

   今後、計画部会におきましてはこの調査検討報告をもとにしまして、また各層多様な方々の御意見を伺い

   ながら、中部圏開発整備の基本方針案を取りまとめて、本特別委員会に御報告をいたしたいと考えており

   ます。

   以上、計画部会からの報告をさせていただきました。ありがとうございました。

 

○委員長

   どうもありがとうございました。

   今、お話がございましたように、この調査検討報告につきましては、計画部会において答申案をまとめて

   いく基本となるものでありますので、本日は報告ということではございますが、せっかくの機会ですから、

   何か御意見、御質問があれば、よろしくお願いをいたします。

   ○○委員、何か。どうぞ。

 

○委員

   ちょっと予定していないことだったんですけれども、今、委員長、それから、計画部会長から説明があり

   まして、事務局から内容の御説明がございました。計画部会としても、最後に計画部会長からございまし

   たように、取りまとめをこれからしていくわけで、ぜひ、今日はいろいろ御意見を承れれば幸いと、こう

   思っております。

   先ほど事務局から、この検討報告について、おそよどんなことが書いてあるのかという説明がございまし

   た。私の方からは、それでは、ちょっと議論をしていただくのに、この検討報告は従来の中部圏計画に比

   べて、一体どこが違うのかということを、あえて議論の材料として申し上げたいと思います。

   今、お手元の資料5−2というところで説明がございました。この中部圏計画というのは、もしこれがで

   きますと第4次ということになるんですが、先ほど政務次官からもお話がございましたように、昨年、い

   わゆる全総ができました。全国総合開発計画は本来第5次ですが、「第5次」という言葉を使っておりま

   せん。新しい21世紀の国土を創造するということになっております。我々も、この計画部会で第4次の

   計画をつくるのか、それとも新しい中部圏計画をつくるのかという議論もいたしましたが、できれば、や

   っぱり中部圏というのは、21世紀へ向かって今までの延長線ではない、新しい地域像というのを打ち出せ

   ないかというような、そんな議論も実はしてまいりました。

   この計画部会は、この報告の最後にもございますように、全部で22回の議論をいたしました。たしか最

   初は平成8年の5月で、最終回は平成11年の6月でしたから、約3年間、22回の議論をしてまいりまし

   て、メンバーは、現在ここにいる者としては○○委員と私の2名でございますが、各界から集まっていた

   だいた全部で24名ほどの、計画部会の専門部会の若い先生方に御議論をいただいています。

   私の方からごく簡単に申しますと、この検討報告では三つの新しいことが提案されていると申し上げてみ

   たいと思います。

   その一つは、先ほど報告にありました資料5−1のA−2という図面をごらんいただきたいと思いますが、

   色刷りの図面がございます。この右下のところに国土軸という凡例と、それから圏域軸という凡例と軸状

   連携という凡例がございます。実は、この「圏域軸」という言葉は計画部会で新しくつくった言葉でござ

   います。「国土軸」というのは全総の用語でございまして、この図の中では、四つの国土軸が全部合わさ

   っているのは中部である。これは今までも議論されてまいりました。この四つの国土軸がこの中部という

   ところですべて交わるというか、ここに起点を置いているならば、これをやっぱり生かしていくことがこ

   れからの中部圏計画の基本の一つであろうという議論でございます。

   しからばどうするのか。全総の方も交流・連携ということを新しい理念といたしておりますので、それを

   具現化するのに、この中部圏では、ここにありますように、実は6本の圏域軸がございます。先ほど事務

   局から、内容の説明がございましたように、この圏域軸というものをこれから育てていくことが、実は第

   3次までの中部圏計画にはなかった思想でございます。それに「軸状連携」という言葉で太いというか、

   軸が描かれてございますが、こういうものを強化しながら、黄色い丸で描かれております主要都市が連携

   していく土台をつくるこの圏域軸という考えを提起したのが、従来にはなかった中部圏計画の思想の一つ

   でございます。

   それから、二つ目の新しいといいますか、この計画の中で強調されていることは、中部国際空港がつくら

   れるということでございます。これは、実は中部国際空港については特に章節を設けて書いてございませ

   ん。しかし、全編を通しで、いたるところにそれが盛り込まれているとお読みいただければ幸いでござい

   ます。

   御存じのように、この中部国際空港というのは第1種空港でございます。従来の名古屋空港は第2種空港

   でございまして、いわば地方主要空港の位置づけで、今まで中部圏にはなかったわけですが、これが第1

   種空港でつくられるということに大きな意義を認めております。そのために、本文の中では、従来は例え

   ばこの地域は産業・技術の中枢圏域だというのは十分書かれてきたことでございますし、それから、中部

   というところは、水あるいは緑の極めて豊かなところであるということも言われてまいりました。それら

   は、どうも世界に向かってという思想をあまり大きく言い出せませんでした。しかし、第1種空港として

   の中部国際空港を持つことができるということは、世界に向かってさらにこの中部のよさを売り出すべき

   であろうという議論を踏まえて、そのことがいろいろ書かれております。

   中部といいますと、従来の日本の中心、日本の産業・技術の中枢というような思想どおり、これからは世

   界の産業・技術の中枢ということが、これは文字としても何カ所か出てまいります。これが2点目でござ

   います。

   3点目は、これもたくさんは書かれておりませんけれども、名古屋大都市圏をより強化すべきだというこ

   とが書かれております。先ほどの概要でいいますと、最後のページのところになろうかと思いますが、名

   古屋大都市圏の整備ということを、先ほど国際化の進展、あるいはこれからの教育、文化あるいは国際交

   流、都市機能の強化ということから言いますと、やっぱりここを育てていく。

   中部圏には北陸3県も含まれております。北陸の扱いということも、毎回の計画部会で議論されてまいり

   まして、この東海と北陸というところをいかに結んでいくかという議論もございましたけれども、それを

   踏まえつつ、名古屋大都市圏の整備をこれから行っていく。これは、東京あるいは関西と並ぶ第3の大都

   市圏としての名古屋を整備するという問題提起をいたしております。

   以上、あえてどこが新しいのかと言われると、その三つぐらいはぜひ主張したい。ほかにもたくさんござ

   いますけれとも、細かいところはまた御検討いただきたいと思っております。

   私から、計画部会での議論と、まとめに向かっての基本的な考え方を少し説明させていただきました。

 

○委員長

   どうもありがとうございました。

   ほかにどなたか、御意見ございますでしょうか。

   どうぞ、○○委員、お願いします。

 

○委員

   それでは、失礼します。

   先ほどから、大変行き届いた御説明を受け、それから、資料も大変細かく書いていただいたのを見せてい

   ただいておりまして、さらに○○委員の三つの新しい柱に関する御説明を受けて、大変感銘を受けたんで

   すけれども、むしろその完璧さといいますか、この計画の徹底ぶりが私にすぐ考えさせるのは、実現の順

   番といいますか、プライオリティーといいますか、そちらだったんですね。

   理念は非常に大きく、しっかり打ち立てられておるように見えますし、総合性という点でも、非常に行き

   届いた計画のように思いますけれども、先ほど事務局から伺いました当面の計画というのがございますね。

   実務をなさる方々からされますと、今までの引き継ぎというか、予算の制限もありますでしょうし、計画

   上の理由もいろいろあると思います。

   それで、これは私の意見というよりも、むしろ疑問ですけれども、将来、こういう総合性の非常に高い理

   念に基づいた計画を実施していかれる計画といいますか枠組みと、それから、いろんな制約があります。

   前からの引き継ぎ、予算の制約、その他、そういうものとがどうつながるのかなということ。つながらな

   かった場合の順番といいますか、プライオリティーの順番というものも考えておいていただかないと、や

   はり総花的になったまま終わってしまうといいますか、力が分散してしまうような心配もちょっと持った

   んですけれども、その辺、いかがでしょうか。

 

○計画部会長

   私の方から、先ほどの予算絡みでどう実現していくかというのは事務局に答弁をちょっと補足していただ

   こうと思います。その前に、今、○○委員からお話のありましたことと、我々がやってきましたところの、

   ちょっと直接的な答弁にはならないんですけれども、どうしてこういうふうにまとめてきたかということ

   を補足させていただこうと思います。

   今までの20世紀の計画というのは、どちらかというと、日本は先進の欧米諸国をキャップアップしよう

   ということで、産業、経済というところに重点がありました。したがって、その社会資本をどうしていく

   かということも重要でありました。しかし、21世紀の国土計画はどうあるべきか。実は22回も議論をし

   ております前半のかなりの部分は、そういう理念の論争がありました。21世紀の地域計画、国土計画とい

   うのは一体どういうふうに見ていったらいいか。これは非常に多様な御議論がありました。

   それで、そこの中で現実問題として、この中部というところに反映させなければなりませんので、中部の

   中の特色を見ながら、21世紀の国土計画はどうすべきか。それは、国土計画全体にしても、本来ならば、

   全国総合開発計画が1、2、3、4とあって、新しい国土計画は第5次と言うべきところを、「新しい国

   土総合開発計画」とおっしゃっておられるわけで、新しい視点で行こうというふうに見ておられる。

   我々の方も一緒であります。ただ、中部という地域の特色が北陸地域と東海地域。北陸地域は、国の計画

   の中でまだ「開発計画」という名前がついております。それから、東海地域は、特に東海地域だけの計画

   はありませんので、中部圏計画でありますが、中部圏計画の中では、開発整備というふうに使われており

   ます。首都圏と近畿圏は整備計画になっております。要するに、大都市圏の中の今後の地域計画にどうい

   う整備をしていくか、ここに重点があるかと思います。

   ですから、北陸と東海とは若干ニュアンスが違っております。ここの議論の中では、丁々発止とまではい

   かないにしても、いろんな御議論があったところであります。両方をあわせて、国が出しております国土

   軸が中部の中で交わっていく。それを軸の連携という形でとっていこうという形にしたわけであります。

   しかし、ここに来るまでには幾つかありました。幾つかありまして、たたき台として出したものの中に、

   太平洋地域の平地部を中心とした、ちょっと誤解があるかもしれませんが、先進経済地域と北陸地域の農

   業基盤のしっかりした平野地域と、それから中部山岳のちょっと標高の高いところとは、地域の背景が違

   います。そういうことで圏域構造の特色づけをしたらどうであろうかという議論もやりました。ところが、

   これにつきましてはかなり強い反発がありまして、一度はそういう議論をやったんでありますが、もう一

   回最初から見直して、A−2のような中部圏が目指す圏域構造という形で国土軸を、中部の中でそれぞれ

   交わっておる縦の線があるので、そういうこととあわせて縦横に圏域構造を見ていったらどうであろうか、

   こういうことになりました。

   ただ、日本列島の中で、中部というのは首都圏と近畿圏に挟まれております。ですから、首都圏と近畿圏

   と合わせていくべきだと、こういう御議論もありました。したがって、例えば左の方へは近畿圏の方へ矢

   印が入っております。それから、首都圏の方へも右の方へ矢印が入っております。こういうような形で中

   部圏の圏域構造をまとめていこうという議論がありました。

   かつては「中部は一つ」という標語がありました。これは理念でありまして、中部は一つというのは具体

   的にどういうふうにということはあまり書かれていなかった。中部は一つの圏域だという形で地域計画が

   まとめられたのでありますが、ここまでいろいろなことが進んでまいりますと、「中部は一つ」という標

   語だけではなかなか進まない。したがって、具体的にどう考えていくかということで、今、○○委員から

   御説明いただきましたように、国土軸と圏域軸、それから連携、軸状の連携という形で結びつけたわけで

   あります。

   「それではわかりにくいな」とおっしゃられるとちょっとつらいんでありますが、そういうことでありま

   す。

   それから、もう一つ大きな問題がありまして、中部地域では首都機能移転の話がしばしば出てくるわけで

   あります。しかし、これは、国土庁の中で別途の審議会で御議論をなさっておられますので、あえてここ

   の中ではあまり触れておりません。重要でないという認識ではないのであります。あえて触れないで、こ

   れはそちらの方の審議会の結論が出、また、行政的ないろんな手続が終わってきた段階で、中部圏にかな

   り大きな影響を与える変更があるならば、そのときに改めて検討しようということで、我々の計画部会の

   中では原則的な了解を得ております。したがって、あえてこの問題には触れないで書いております。

   それから、○○委員からの計画の実現性、プライオリティーはどうするかという問題があります。これは

   行政計画にもつながってまいります。片方で理念計画があって、それを実際に移していくときは行政計画

   であります。行政は、現実問題としていろんなものが整備されていって、それをさらに次の段階に持って

   いくわけです。だから、先の見えている新しいものは、はっきり書き込んでいこう。先の見えていないも

   のは、若干調査を続けていくような形で書いていこうということであります。

   先の見えているという点で一番はっきりしておるのは中部国際空港であります。ですから、中部国際空港

   については、報告書(5−1)を読んでいただきますと、アクセスなんかについても書いてありますので、

   かなり書いてあるなという感じがあるかと思います。しかし、中部国際空港というのは太平洋岸でござい

   ますので、北陸の方からいえば、あっちばっかりという感じもなきにしもあらずだろうと思っております。

   しかし、これは法律的に認められた計画でございますので、認められたものは実現して、そのインパクト

   を背後圏に及ぼしていく。こういうふうに見ていけばいいだろうということで、認められているものにつ

   いてははっきり書いていくという方向で出しております。したがって、A−2のこのグレーの線でかいて

   ありますのが、具体的な社会資本にどうやって結びつくのかということになりますと、ちょっと結びつい

   ているものと、結びついていないものとあります。しかし、これは、そのときの状況と熟度と、予算等を

   含めて、財政等を含めて経済状態とあわせて検討をしていくべきものだろうと、私どもは考えております。

   ここから後の方は事務局の方で御答弁をお願いいたします。

 

○委員長

   御答弁、何かございますか。

 

○事務局

   本日の調査検討報告でございますけれども、今、計画部会長からお話がありましたように、22回の計画部

   会における成果を取りまとめていただいているわけでありますけれども、主として、中身が圏域整備の方

   向性というものに重点が置かれているところでございます。それで、この後、この方向性に沿いまして具

   体的にどんな事業、プロジェクトが入っていくのかということにつきましては、事業を実施いたします関

   係省庁等と調整を図りつつ、大きなプロジェクトにつきましては基本方針の中に盛り込み、さらに、計画

   自身は施設計画という具体的な施設の計画を持っておりますので、計画の段階は施設計画が入る形になり

   ます。したがいまして、事業実施の可能性等含めまして、関係省庁とそこら辺は十分調整いたしまして盛

   り込んで、具現化できるような計画にまとめていくという形でございます。

   したがいまして、本日の調査検討報告については、その方向性というところに非常に重点が置かれている

   というものであるといたしているところでございます。

 

○委員長

   それでは、ほかに何かまだございますでしょうか。

   どうぞ。

 

○委員

   ちょっと教えてほしいんですけれども、これは地区別の計画というのはつくられないのか。前回、たしか

   何か地区別に少しつくられたような気がしたんですが、これで終わりですか。あと、例えば三河地区とか

   いろんな地域別というんですか、そういうのはつくられるんですか。

 

○計画部会長

   僕が答えるべきかどうかわかりませんが、事務局に。

 

○委員長

   それでは、事務局の方からどうぞ。

 

○事務局

   計画部会におきましても、地域別の場合に地域をどう設定するかについて、従前は日本海側でありますと

   か、太平洋、それも計画によりまして切り方がそれぞれ違ったりするということがございまして、いろい

   ろ議論がなされております。また、関係する公共団体さんの方からも、いろんな意見が出されているとこ

   ろでございます。

   目下のところ、基本方針の段階でいわゆる地域計画、中部圏の中をいろいろ細かに区切って整備方向を出

   す方向で行くのか、あるいは今ありましたように、国土軸あるいは圏域軸に沿った形でどんな方向で整備

   をしていくような形でまとめていくべきなのかについては、まだちょっと意見がこれだということに決ま

   っているわけではございませんけれども、さらに具体的にどうしていくかというのは次のステップでござ

   いますので、それを考えていく際に、どんな形で具体のいろんな地域あるいはプロジェクトをはめていく

   かという枠組みをつくっていく必要があるところでございます。それはあるのでありますけれども、いわ

   ゆる地域でしっかり分けるのか、あるいは軸の概念の中でくみ上げていくのかということについては、さ

   らに計画部会で御議論をいただくことになっているところでございます。

 

○委員長

   ○○委員、よろしゅうございますか。

 

○計画部会長

   補足をさせていただきます。

   ○○委員も前に計画部会に御参加いただいて、十分御承知の上でおっしゃっておられると理解をいたして

   おります。私どもは、やっぱり地域計画の理念をつくっていくことが第一。中部圏という中部9県にわた

   って国土計画、地域計画のあるべき姿はどういうふうかということで、しかし、空論だけでは、抽象論だ

   けではどうしようもありませんので、具体的にそこの中には都市があり、農村があり、山村がある。です

   から、具体的な固有名詞も出てまいります。議論としては固有名詞も出てまいりました。

   しかし、理念があって、それを日本全体の国土計画の中に当てはめていく。そこの中の、中部という守備

   範囲の中の地域計画の軸になるものは何か。それから、インパクトとしてどういう影響を与えるか。それ

   から、その地域の望ましい姿はどういうふうになっていくかという議論をしまして、そこの中で事務局を

   通して、具体性の問題とかいろんなことは各省庁と情報交換を一応していただいております。したがって、

   事務局からは、ある程度のまとめのスケルトンは出てまいりました。そういう議論をいたしまして、ここ

   にまとまったものでございます。

   具体的に、いつの段階でどういう事業をやるかという話になりますと、これは、今日お話のありました事

   業計画が毎年計画案として出てまいりますので、その前の段階のところはもやもやっとするんであります

   が、そういう段階で仕事をさせていただいた。こういうことでございます。

 

○委員長

   よろしゅうございますでしょうか。

   ほかには何かございませんか。よろしゅうございますか。

   本日のこの会議では、計画部会の方から委員会の方への報告ということで、今、お話を聞いているわけで

   ございます。計画部会長からもいろいろと御説明がありましたように、何回も審議をされてまいっておら

   れるわけでございますけれども、若干、まだ、議論も少しございましたようですので、今後の計画部会に

   おけるさらなる調査検討の中で、さらにまた十分考慮していただくように部会長にお願いを申し上げたい

   と思います。よろしゅうございますでしょうか。

   それで、あと、今後のスケジュールについては事務局より報告していただきたいと思います。

 

○事務局

   今後計画部会におきまして、この調査検討報告をもとに、本日の皆様の御意見を踏まえつつ、本特別委員

   会が平成7年5月に内閣総理大臣から受けました中部圏開発整備の基本方針に関する諮問に対する答申案

   を取りまとめていただきたいと考えております。そして、本年度末には特別委員会を開催させていただき、

   計画部会から答申案の報告を受けた上、本特別委員会として答申を取りまとめていただくとともに、あわ

   せて、次期中部圏基本開発整備計画の御審議及び答申をいただきたいと考えております。どうぞよろしく

   お願い申し上げます。

 

○委員長

   はい、ありがとうございました。

   それでは、ほかに御質問、御意見等ございませんでしょうか。この辺でよろしゅうございますでしょうか。

   事務局の方、何か。よろしゅうございますか。

 

○委員長

   それでは、御質問もないようでございますので、本日の特別委員会は、以上をもちまして閉会させていた

   だきます。

   御多忙のところ長時間にわたり御熱心に御審議をいただきまして、どうもありがとうございました。

 

                  午後2時18分 閉 会