第25回国土審議会近畿圏整備特別委員会

日時:平成11年9月8日(水)

   午後2時00分〜3時46分

          場所:ホテル阪急インターナショナル6階 「瑞鳥」


午後2時00分

○事務局

それでは、定刻となりましたので、始めさせていただきたいと思います。
開会に先立ちまして、あらかじめ一点ご報告を申し上げなければなりません。
宇野委員長がやむを得ない事情のため、今回の委員会に出席できなくなりました。したがって、国土審議会令に基づきまして、宇野委員長より、委員の中から大西委員を委員長代理にご指名いただきましたので、本日の委員会運営を大西委員にお願いしたいと思います。大西委員にはよろしくお願い申し上げます。

新任委員紹介

○事務局

それでは、議事に先立ちまして、前回の特別委員会以降の委員の異動状況につきましてご報告申し上げます。お手元に委員会名簿をお配りしてございますので、ご覧いただきたいと存じます。
初めに、関係地方公共団体の長である委員につきましては、近畿市長会会長山田豊三郎委員、近畿府県町村会会長野中一二三委員が新たに就任されております。関係地方公共団体議会の長である委員につきましては、福井県議会議長山本文雄委員、三重県議会議長西場信行委員、滋賀県議会議長滝一郎委員、京都府議会議長小牧誠一郎委員、大阪府議会議長杉本光伸委員、兵庫県議会議長武田丈蔵委員、奈良県議会議長松井正剛委員、大阪市会議長公原賢司委員、京都市会議長二之湯智委員、神戸市会議長大西希l二委員、近畿市議会議長会会長津川有功委員、近畿府県町村議会議長会会長森義信委員が新たに就任されております。
ただいまご紹介いたしました方々以外につきましては、引き続き委員をお願いいたしております。
それでは、委員長代理、開会をお願いいたします。

○委員長代理

大西でございます。先ほどお話がございましたような理由によりまして、私が委員長代理に指名いただきましたので、よろしくお願いいたします。
ただいまから第25回国土審議会近畿圏整備特別委員会を開催いたします。

国土政務次官あいさつ

○委員長代理

本日は、谷川国土政務次官にご出席いただいておりますので、最初にごあいさつをお願いいたします。

○谷川国土政務次官

どうも皆さん、本日は大変お暑い中ご苦労さまでございます。
私、ただいまご紹介いただきましたように、大阪から参議院議員に選出いただき、現在、国土政務次官を仰せつかっております谷川秀善でございます。
第25回の国土審議会近畿圏整備特別委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し述べます。
本日は、委員長をはじめ委員の方々におかれましては、ご多忙のところご出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
また、皆様方には平素より近畿圏の整備につきまして格段のご指導、ご鞭撻を賜り、厚く御礼申し上げます。
なお、本特別委員会におきましては、委員の異動が行われておりますが、ご多忙にもかかわりませず、新たに委員を快くお引き受けいただきました方々並びに引き続き委員をお願いいたしました方々に対し、厚く御礼を申し上げる次第でございます。
さて、申し上げるまでもなく、近畿圏は我が国の政治、経済、文化の中心であり、現在でも我が国の中枢の1つとしての役割を果たしており、京阪神を中心に、高次の都市集積を有しております。その一方で、日本海、瀬戸内海、太平洋に三方が囲まれているうえに、我が国唯一の琵琶湖や紀伊山系など豊かな森林を擁しており、多彩な自然環境に恵まれた地域でもあります。
さらに昨今、関西国際空港の開港、関西文化学術研究都市の建設、明石海峡大橋の開通など、大規模プロジェクトの進捗がみられ、今後ますます近畿圏が飛躍する可能性を秘めております。
しかしながら、現在、経済構造の変化、グローバル化、高度情報化、少子高齢化が進展する中で、近畿は産業の空洞化、中枢性の低下、都市構造の歪み、南北近畿の活力の低下など諸課題が生じ、喫緊にこれらの課題を解決することが必要となっております。このため、近畿圏は各都市・地域の個性を伸ばしつつも、圏域が一体となってこれらの課題に取り組み、世界に開かれた、経済的にも文化的にも活力に満ちた圏域を形成することが必要であると考えております。
現在、国土審議会近畿圏整備特別委員会計画部会におかれましては、来る21世紀の近畿圏の将来像についてご審議をいただいており、本日これまでの調査検討状況についてご報告いただくこととお聞きいたしております。
また、内閣総理大臣より諮問のありました「平成11年度近畿圏事業計画 (案) 」についてご審議いただくとともに、21世紀の成熟社会に向けての近畿圏の将来像について、長期的視点・広域的視点に立ったご意見を皆様方から頂戴し、今後の施策の推進並びに計画の策定等に反映していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
終わりに、今後とも近畿圏の整備に一層のご支援、ご協力をいただきますようお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

○委員長代理

大変ありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただく前に、今後の特別委員会の運営につきまして、一点私のほうからお諮りをいたしたいと存じます。
これまでの本特別委員会の情報公開につきましては、会議の議事要旨を公開するという対応を図ってまいったところでございます。しかしながら、「審議会等の透明化、見直しについて」の閣議決定等におきましては、「議事録の公開等を行うことにより、審議会運営の透明性の確保に努めること」とされております。また、これを受けまして、本年1月11日に開かれました国土審議会におきましては、原則議事録を公開するという取り決めを行っております。
そこで、本特別委員会におきましても、今後は、こういった流れを踏まえまして、議事録を原則公開することとしてはいかがかと考えております。具体的には、事務当局のほうからご説明をお願いいたします。

○事務局

お手元に資料3として情報公開についての1枚紙を入れさせていただいておりますので、ご覧いただきたいと存じます。
ここにお示し申し上げましたように、原則として議事録を公開することといたしますが、委員の方々の自由かつ公平な立場での審議の確保のため、会議自体は引き続き非公開とさせていただき、公開する議事録については、発言者の名前は伏せるものといたします。
また、会議の円滑な運営を図る必要がある場合には、会議に諮ったうえで、議事録に代えて議事の要旨を公開することにしたいと思います。
さらに、会議終了後、必要と判断された場合には、記者会見を行い、議事の概要について紹介させていただき、議事録または議事要旨を国土庁の文書閲覧窓口等に備えることといたします。
以上でございます。

○委員長代理

以上のような提案でございますが、皆様方いかがでございましょうか。特にご質問等はございませんでしょうか。

〔「なし」の声あり〕

○委員長代理

それでは、ご質問等がないようでございますので、議事録を原則として公開するものとしてよろしゅうございますか。

〔「異議なし」の声あり〕

○委員長代理

ありがとうございます。
それでは、特段のご異論がございませんようですので、さように決定させていただきます。
それでは、議事の「平成11年度近畿圏事業計画 (案) 」について審議に入りたいと存じます。

内閣総理大臣から資料4−1及び資料4−2のとおり諮問されております「平成11年度近畿圏事業計画 (案) 」について説明をいただき、引き続きましてご審議をお願いいたしたいと存じます。
それでは、事務局のほうから内容についてご説明をお願いいたします。

○事務局

それでは、引き続いて私のほうからご説明をさせていただきたいと思います。
資料としては、4−2と参考図としての4−3がお手元にあります。
まず、この事業計画の性格ですが、先ほど政務次官のごあいさつにもありましたが、近畿圏整備法に基づいて「近畿圏基本整備計画」という基本計画があります。現在、これの見直しということで、計画部会でずっとご検討を続けてきていただいているわけですが、ここでお諮りする事業計画は、この基本整備計画の実施のために必要な毎年度の各種事業をとりまとめたものです。
それでは、内容ですが、資料4−2の目次をお開きいただきたいと思います。
T 平成11年度事業実施の方針等
U 平成11年度に行おうとする事業
となっており、Uが「第1 道路」から「第30 防災」まで各種事業について具体的な事業名等の記載があります。ここでは、時間の関係もありますので、Tのところで主要な事業についてご紹介させていただきます。
なお、資料4−3は、それらの事業の位置図、大まかな場所を示したもので、適宜ご参照いただきながら聞いていただければと思います。
それでは、本文の1ページですが、頭書きがあり、具体的には「1 道路」です。参考図としては1〜2ページのところです。
今年度の主要の道路事業の進捗ですが、まず、高規格幹線道路のうち、一般国道の自動車専用道路として事業を行っている京奈和自動車道の京奈道路3kmの供用が図られます。これは現在、山田川インターチェンジまで延びている京奈道路が、木津インターチェンジで現在の国道24号にタッチするというもので、本年末頃の供用予定ということです。
また、阪神高速道路については、参考図2ページの右上のところにありますが、新たに京都高速道路(油小路線:延長 7.3km)の整備に着手します。京都高速道路については、既に事業が進められている新十条通 2.8kmから油小路線で南下し、第二京阪道路につながっていくというものです。
その他、地域高規格道路として、ここに記載されているような事業の進捗が図られます。
「2 鉄道」、参考図では3〜5ページです。北陸新幹線については、所要の調査を引き続き進める。中央新幹線についても継続で、京都〜大阪間の地形・地質等の調査を引き続き進める。また、本州・淡路島間の海底トンネル部に係る区間の地形・地質等も引き続き進めます。
大都市地域の鉄道については、まず大阪市8号線(井高野〜今里)、これは参考図4ページの右上のところにありますが、この新設建設、及びJR西日本の片町線(学研線)の松井山手〜京田辺間の高速化、これは具体的には行き違い施設等の整備ということだそうですが、これに着手されます。
その他の地域の鉄道としては、参考図の3ページに戻りますが、JR西日本舞鶴線の綾部〜東舞鶴間の電化・高速化がいよいよ完成し、10月2日にダイヤ改正の予定であると承っています。
また、ここには記載はありませんが、平成12年度においては、大阪の北港テクノポート線のコスモスクエア〜新桜島間の事業にも着手されるということです。
「3 港湾」ですが、参考図では6ページで、空港等と一緒に記載されています。国際化の進展に対応し、外貿機能の強化が重要な課題です。そのため、大阪港北港南地区、堺泉北港助松地区において国際海上コンテナターミナルの整備が推進されます。前者は15mバース、後者は14mバースと伺っています。
また、ここに記載はありませんが、平成12年度になると、大阪港北港南地区へアクセスするための夢洲と舞洲を連絡する橋梁が供用開始の予定となっています。
「4 空港」については、関西国際空港第2期事業が着手されているわけですが、その推進。それから、既存施設の能力増強ということで貨物取扱施設やエプロンの拡張などが行われます。また、神戸空港については、空港島の用地造成に現地着工します。
「5 河川」、参考図では7ページです。やや細かなもので、見づらいかと思いますが、河川の中で特徴的なものは、まず直轄河川について、福井県の九頭竜川で河川災害復旧等関連緊急事業に着手されます。河川災害復旧等関連緊急事業は昭和10年度から新規制度として始まったもので、上流部の災害復旧箇所の復旧を行っても、下流部で河川の流量増に対応できていないと、その効果が十分発揮できないということで、関連する下流部の拡幅等を同時に行えるような事業の仕組みが認められています。これを直轄で九頭竜川。それから、その支川の浅水川では補助事業ということで同種の事業が行われます。
また、補助河川については、新たに大川(琵琶湖の北端、西浅井町)での河川改修事業、あるいは大和高田の高田川の河川環境整備事業、具体的には河道整備ですが、これらの事業に今年度着手ということになっています。
「6 水資源の開発」、参考図では8ページですが、具体的な施設としては、淡路島の三原川水系の成相ダム、北富士ダム、これは治水等々を併せて淡路広域水道企業団向けの上水道の供給機能も持つダムですが、これが完成ということです。
「7 海岸保全施設」については、同じく淡路島です。参考図では7ページですが、五色町の鳥飼海岸で浸食対策事業、具体的には離岸堤の築造で、これの事業に着手します。
「8 砂防設備、地すべり防止施設等」、これも同じ7ページで、真ん中から下のところになりますが、三重県の宮川水系の神園地区(伊勢市)での地すべり対策事業、それから一番下の和歌山県串本町の安指本川地区での急傾斜地崩壊対策事業に着手します。
「9 森林の保安施設」についても、同じ7ページの安指本川地区のやや上、龍神村の龍神地区において治山事業に着手ということです。民有林 430haを対象として山腹工、砂防ダムの建設等が行われるものです。
「10 住宅、住宅用地及び業務市街地」の関係ですが、参考図では11ページからになります。
まず、11ページは住宅です。これもたくさんプロジェクトが並んでいますが、ちょうど真ん中あたりの牧野東(枚方市)、ここは京阪電車の牧野駅から1kmほどの所と聞いていますが、昭和31〜35年頃に建設された公営住宅があり、施行区域 8.9ha、約 800戸の公営住宅の建て替え事業に着手ということで、今年度中には第1期として 200戸弱の事業が始まると承っています。
12ページは再開発の関係で、JR阪和線の和泉府中駅東第一地区の市街地再開発事業です。施行者は和泉市で、 2.3ha、再開発住宅を含めた住宅供給が 140戸、あるいは駅前広場の拡張等が行われるものです。
「11 廃棄物処理施設」、参考図では14ページです。図を見ていただくまでもないかと思いますが、新たに処理施設として着手されるものは、兵庫県の山崎町のし尿処理施設、加古川市のごみ処理施設、滋賀県の安土町の最終処分場の整備です。また、今年度完成というものでは、生駒市(奈良県)のし尿処理施設、亀山市(三重県)のごみ処理施設、そして京都市における最終処分場等です。
なお、大阪湾圏域の広域処理場、いわゆるフェニックス計画ですが、泉大津沖、尼崎沖に次ぐ埋立処分場として、神戸沖を平成13年度受け入れをめどに整備中と承っています。
「12 大学及び高等専門学校」については、京都大学、学研都市にある奈良先端科学技術大学院大学等の施設整備を推進します。
「13 その他」として、同じく関西文化学術研究都市ですが、平成14年度開館を目指して国立国会図書館関西館等の事業が引き続き推進されます。
最後に、「14 防災」です。防災については、防災上の観点から、橋梁等の耐震性の向上、電線地中化、ライフライン共同収容施設の整備等々が図られるわけですが、具体的な話題としては、一番最後のところにある「実大三次元振動破壊実験施設」、これは兵庫県三木市の三木震災公園 (仮称) 内に科学技術庁防災科学技術研究所が設置するもので、平成10年度着手、16年度に完成予想ということです。具体の建築物や土木構造物などの破壊現象を、実物大のものをつくって解明する施設と伺っています。
概略以上です。よろしくお願いします。

○委員長代理

ただいま説明のありました「平成11年度近畿圏事業計画 (案) 」につきましてご審議をいただきたいと思います。
皆様方のほうからご質問、ご意見がございましたら、どうぞご自由にご発言をお願いいたします。いかがでございましょうか。
せっかくの機会でございますから、ご自由にご発言をお願いしたいと思いますが……。
よろしゅうございますか。
ご発言もないようでございますので、皆様方にお諮り申し上げたいと思います。
「平成11年度近畿圏事業計画 (案) 」につきましては、原案どおりとさせていただくことにご異議ございませんでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

○委員長代理

ありがとうございます。
ご異議がないようでございますので、案件について異議ない旨の答申を行うことといたします。

近畿圏整備特別委員会計画部会「調査検討報告」について(報告)

○委員長代理

次に、議案第2の計画部会「調査検討報告」の報告に移りたいと思います。
今後の近畿圏整備の基本方針につきまして、平成7年5月に内閣総理大臣から諮問を受け、本委員会に計画部会が設置されました。同部会におきましては、新しい近畿圏基本整備計画の策定に向けまして、平成8年5月から調査審議が進められております。昨年8月には調査検討報告の「中間報告」が本特別委員会に報告されたところでございますが、今回の「調査検討報告」は、さらに計画部会におきまして検討が行われ、とりまとめられたものでございます。
本日は、これにつきまして、計画部会長から報告していただきたいと思います。
それでは、計画部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

○計画部会長

ただいま委員長代理から話がありましたように、計画部会においては、平成8年5月から3年以上にわたって23回の会合を重ねました。この間、新しい近畿圏基本整備計画策定に当たっての基本方針の検討作業を進めてきて、今回これまでの調査審議の成果を「調査検討報告」としてとりまとめましたので、これについて本日はご報告申し上げます。
「調査検討報告」の内容については、本日の資料の5−1が本文、5−2が本報告の概要で、この概要に沿ってご報告申し上げたいと思っています。
冒頭に申し上げましたように、長期にわたって検討してきたわけですが、その間、昨年8月にいったん「中間報告」を出させていただきました。今回の報告は、その「中間報告」を広く公開し、各方面からご意見を賜り、そのご意見も踏まえながら、部会として検討してきたものです。
「中間報告」以降の各方面からのご意見は、「基本的にはよかろう」ということに尽きるかと思っています。もちろん、幾つかの課題を頂戴したことも事実です。したがって、今回の「調査検討報告」の粗筋をまず最初にちょっとご覧いただき、その中で、構成として「中間報告」と今回のものとがどのように変わっているかを先に少しご説明申し上げておこうかと思っています。
資料5−2の「調査検討報告の概要」をご覧いただきたいのですが、まず冒頭の「概ね21世紀の最初の15年間」を見通すということについては変わっておりません。
それから、1の「新たな近畿圏整備の理念」についても、基本的には変わっておりません。内容は、前回ご報告申し上げていますので、時間のこともありますから、あまり詳しくはご報告を申し上げませんが、近畿圏の有する資源を最大限活用していこうではないかということが1つ、また、この活用に当たっては潜在的なものについても大いに掘り起こしを図ろう、ということもうたっています。
また、2の「近畿圏をめぐる状況と諸課題」についても、「中間報告」の段階とは変わっていませんが、大きくは産業における空洞化や中枢性の低下、大都市における都市構造の歪み、南北近畿における活力の低下、さらに防災性の向上等の課題を強く意識しながら、基本方針をまとめています。
さて、3の「21世紀の近畿圏整備の構想」です。まず、この構成ですが、(1)の「我が国における近畿圏の役割」は、前回の「中間報告」と変わっておりません。もちろん、記述の内容については、本文をご覧いただくとわかるかと思いますが、随所に手を入れていってはいるものの、大きくは変わっているわけではありません。つまり、@我が国の活力を牽引する役割、A文化・学術研究の中枢圏域としての役割、B人間と自然環境とのあるべき関係を示す役割―この3つの役割を近畿圏が背負うという方向でまとめています。
(2)の「新たな視点に立った近畿圏整備の推進」については、実は「中間報告」では最終章の第5章にありました。そのときには「新しい視点に立った計画推進」という形でこの節を起こしていましたが、検討部会でいろいろ議論した結果、「計画推進」ということよりも、むしろ前面に繰り上げて、「近畿圏整備の推進における新たな視点」という形ではっきりと出したほうがよかろうと考え、ここにとりまとめています。
とりまとめた内容については、実は変わっておりません。つまり、@個性的な都市・地域の育成、A多様な主体の参加と連携、B成熟の時代に対応した社会資本整備―この3つがそのときに書かれたものです。
さらに、次のページへ移っていただきますと、Cとして「世界への情報発信」というのが入っています。これも「中間報告」では「近畿圏整備の方向」というところに挙げていましたが、これも近畿圏としては非常に重要な「新たな視点」であるという観点で、ここへ入れています。
その辺の出し入れについては、今後またご覧いただけばよろしゅうございますが、いずれにしてもこういうことで、項目としては「中間報告」と変わっていませんが、この4つの「視点」というものを出させていただきました。
なお、この「視点」の順序は若干変わっています。例えば、「個性的な都市・地域の育成」が一番前に来たわけですが、これは「中間報告」では3番目に挙がっていました。そのように、若干順序を計画部会での議論で変えさせていただいています。
内容については、先ほど触れましたように、この4つの項目の中に盛り込んだことは、「中間報告」とはそれほど大きく変わっていませんが、記述は充実してきています。特に「世界への情報発信」については、かなり充実をしたつもりです。
続いて、2ページ目の上のほうですが、(3)として「格子型多核連携軸構造」を挙げさせていただいています。これも1つの新しい方向性を示すものとして出させていただいたわけですが、これは「中間報告」の段階では「近畿圏の圏域構造」として扱っていました。
しかし、今後の近畿圏のあり方を考えてくると、近畿圏の圏域構造として客観的にとらえるよりも、むしろ今後の目指すべき圏域の姿ということを考えながら、強く打ち出させていただくということがよかろうと考え、「格子型多核連携軸構造」という言葉―この言葉も実は新しいものですが―を入れさせていただきました。
「中間報告」のときには、圏域構造のあり方として「多核連携型圏域構造」という言葉を使っていました。よく似ているようですが、頭に「格子型」という言葉が入っており、「格子型多核連携軸構造」であるということで、“軸”という言葉も入れています。
この意味合いは、従来の近畿圏の姿が三極一軸、つまり3つの政令都市を中心とする三極と、従来から言われている第一国土軸というか、現在の西日本国土軸に当たる一軸に様々なものが集中して、その限界もあるし、あまりにも集中したがゆえに防災面でも問題が残ったわけですが、何よりも私どもの議論として、一軸に集中し過ぎることにより、むしろ近畿の他圏域の可能性が抑制されているのではないか、これからの近畿を考えると、三極の力が落ちてはいけないが、さらに近畿全体のそれぞれの個性や潜在力などが逐次強化されていき、それらが相互に、水平的というか、あまりヒエラルキーを持たない、力と力が並行した形で相互に影響し合うような姿に成長していくことを目指したほうがよいのではないかということで、「格子型多核連携軸構造」というものを出しました。そして、その中でも、相互に結びついていくうえで、強く情報の流れ、人の流れ、モノの流れが生まれる面があるので、それはそれとして打ち出す―こういうことで“軸”も入れさせていただいたわけです。要は、「格子型」ということの意味は、そういうことです。
その図が「概要」の最後のページに入れさせていただいています。ページ番号は打っていませんが、「将来の圏域構造のイメージ」という図です。
その図を拡大して前のほうに掲示してありますので、それをもとに若干時間をいただいてご説明申し上げておきますと、この軸がいわば従来の第一国土軸であったわけです。ご承知のように、京阪神三都がこの上にのっています。先ほど申し上げましたように、近畿は従来ここで大半の活動が集中的に行われてきたわけです。もちろん、その他に県庁所在都市の和歌山、津、大津、福井などがありますし、中核都市として、ここには堺は入れていませんが、「関空・泉州」として入れています。
なお、この拡大図はちょっと間違っていて、「関空・泉州」の丸はやや小さいですが、皆さんのお手元の図はもう少し大きくなっていますので、その辺はご確認いただければよいかと思います。この図は前のものになっています。
さらに、各地方都市において、それぞれ個性を持って活動を既に始めておられるような都市なども、これにあえて記載させていただいています。これは部会として、むしろ個性をとらえた形で大胆に出させていただいています。必ずしも都市名だけではなく、例えば「北大阪」なども、実はそのまま打ち出させていただいています。また、「けいはんな」もここに入れさせていただいています。
さらに、「関空・泉州」などもその1つで、都市名ではありません。あるいは「北神・三田」も都市名ではありませんが、こう書けば、兵庫県の内陸地域における諸活動の集積がわかるであろうと思っています。
このように、近畿全体にそれぞれ、これまで個性を持ちながら、本当にその力を発揮してきておられるかどうかという点で、むしろ今後の期待を込めて、そういったものも打ち出させていただく。そして、将来の近畿がこういった多数の都市群、もちろんここに書いていない都市もあるわけですが、それらも含めながら、全体として、まさに格子型の多核連携を目指していただきたい、ということです。
なお、大阪湾環状軸、関西内陸環状軸など従来言われている環状軸、さらにT−TAT連携軸、あるいは若狭自然軸、熊野歴史自然軸、それから福井・滋賀・三重連携軸といった新しい連携軸もここへ盛り込ませていただいた次第です。
言ってみれば、これは今回の基本方針の中心的なものであることをご理解いただければと思います。
その後ですが、もうあまり時間もありませんので、少し省略をしながら、あと若干の時間を頂戴しますが、3ページへ移らせていただき、そういったことを踏まえながら、4として「近畿圏における主要施策の展開の方向」を出させていただきました。ここでは全体として5つの項目に分けさせていただいており、このサブタイトルの表現は従来とは少し変わっています。
(1)の「強くてしなやかな社会の構築」については、「中間報告」では「活力ある地域の形成」でした。むしろイメージをはっきりとさせるというか、あるべき姿というものを少し言葉として盛り込みたいということもあって、こういった表現を使わせていただいています。
また(3)の「ふところの深い文化学術を創造する地域づくり」についても、もとは「文化・学術を継承・創造する地域づくり」というふうに、そのものずばりで書いてあったのを、あえて「ふところの深い」といった表現に変えさせていただいていますが、内容そのものは従来の方向を継承しています。
次の4ページに移らせていただき、(5)の「安全で快適な夢のある地域づくり」についても、もとは「安全で快適な地域づくり」となっていたのを、あえて「夢のある」という表現を入れさせていただいています。
こういうことで、今回の「主要施策の展開の方向」については、「中間報告」を踏まえながら、それらをイメージづけるような形で出させていただき、特に今言った(5)の「安全で快適な夢のある」といった表現でおわかりいただけるかと思いますが、違った価値観というものを、むしろ結びつけながら、より高い水準へ持っていくことを目指した方向で全体を記述していっています。
例えば、「安全・快適」と「夢」とは、簡単に考えると、実は「そんなものは関係ないんじゃないか」という議論もあると思います。しかし、私どもがいろいろ議論したうえで、むしろそれは大いに関係がある。やはり夢のある、活力のある地域ができていくと、それは結果的には安全・快適なものを生んでいく。むしろ両者を分けてしまうところに近畿圏としての力が抑制されるのではないかということも込めて、こういった表現にさせていただいています。
一番最後の5に「人口の見通し」ということを書いていますが、これは実は本文としては入れてありません。本文の次に「参考」というものを付け加えています。資料5−1の「計画部会調査検討報告」へ戻っていただくと、42ページまでが本文で、その後に「資料編」を入れてあり、44ページに「近畿圏の人口・住宅フレーム」を入れさせていただいています。そして、その後に諸資料が入っていますが、このような「資料」という形で近畿圏の将来人口及び住宅フレームを出させていただきましたので、ご検討いただければありがたいと思います。
最後に「まとめ」として、資料5−3に内容としての主な変更点を4つ挙げさせていただいていますので、これをちょっとご覧いただきたいと思います。
第1は、先ほど少し詳しくお話し申し上げました「多核連携型圏域構造」から「格子型多核連携軸構造」への変更ということです。これは、先ほどから申し上げていますように、単に言葉の変更ではなく、むしろ本基本方針の方向づけということでもあります。
その中で、これは新しい項目ですが、2つ目の段落の「圏域各地と関空とのアクセス性の向上による『東アジア1日圏』の実現」ということを入れさせていただきました。これは関西国際空港を中心にして、東アジアの人々、あるいはこちらから東アジアへ行く場合もそうですが、両者が一日で往復して、一定のビジネスも可能、こういう条件を近畿圏全体に広げるというのを今後の交通体系整備の目標にしてはどうか―こういうこともあって入れさせていただいたような次第です。
第2の「産業の振興」については、内容を充実させていただきました。
第3の「学術研究の推進」ですが、ここではCOE、すなわち卓越した学術研究拠点の形成をあえてやや強く出させていただいています。
第4の「情報通信体系の整備と活用について」、これは前回もご意見を賜っておりますが、情報通信体系についての記述は大幅に充実したつもりですので、ひとつご覧いただければありがたいと思います。
以上です。

○委員長代理

ありがとうございました。
計画部会長には、調査検討の中心になっていただきまして、魅力ある方向づけをしていただきましたことを感謝申し上げます。
この「調査検討報告」につきましては、計画部会において答申案をまとめていく基本となるものでございますので、本日は、報告ということではございますが、せっかくの機会でもございますし、何か皆様方からのご意見、ご質問等がございますれば、積極的にご発言をお願いいたしたいと思います。
本日の会議のメインテーマがこれでございますし、また、皆様方からいただきましたご意見を、今後の計画部会におけるご検討でご考慮いただくことになるわけでございますので、ぜひ皆様方からのご発言をお願い申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○○委員、○○委員、ぜひひとつ口火を切っていただきたいと思いますが……。

○委員

では、ご指名いただきましたので、若干のお尋ねをすると同時に、私の感想をちょっと述べさせていただき、ご考慮いただければ大変ありがたいと思います。
そのことと関連して、第1に、先ほど委員長代理のほうから、この報告は、報告ではあるが、今後さらに修正される余地のあるような言い回しで述べられたように感じたのですが、そう理解してよろしゅうございましょうか。

○委員長代理

その件につきましては、後ほど事務局のほうから今後のスケジュールをご説明申し上げますので、そういうふうに理解していただいて結構でございます。

○委員

昨年「中間報告」をいただきまして、そのときに私も若干の感想を申し上げておりましたので、今回こうして「報告」という形になると、それ以上申し上げるわけにいかないのかな、というように思っていたのですが、もしそういうことが許されるならば……

○委員長代理

もう一度確認しておきます。いかがでございましょうか。

○事務局

本日の「調査検討報告」でございますが、これにつきましては、これまでの部会での検討をとりまとめていただいているものであります。部会におきましては、今後、諮問は、基本方針について諮問させていただいているところでございまして、その諮問に答える内容である基本方針の案を部会でまとめていただくことになります。それが特別委員会に上がりまして、「基本方針」という形で内閣総理大臣あてに答申していただくということになります。
ただ、「基本方針」につきましては、この「調査検討報告」の内容をベースにいたしまして、従前のパターンでいきますと、「調査検討報告」のエッセンスに当たるようなものというような形がイメージとなっているところでございます。
したがって、「調査検討報告」がありまして、それをさらに集約したものとしての「基本方針」の案を、これからの計画部会におきましてまとめていただくという段取りにいたしたいと思っているところでございます。

○事務局

ですから、本日いろいろご意見をいただきますれば、それを踏まえてとりまとめるという「基本方針」でございますので、ぜひいろいろをご意見を賜りたいと思います。

○谷川政務次官

今の説明やったら、さっぱりわからへん、何の説明をしているのか。

○委員

それから、もう一度確認をさせていただきますと、「検討報告」自身を本日これから皆さん方のご意見をお聞きになって修正されるというようなことではなく、報告は報告で、それに基づいて、本日ご意見ございましたら、それをもとにしながら、今度「基本方針」をおまとめになるときに考慮させてもらいますと、こういうお話でございますね。

○事務局

さようでございます。

○谷川政務次官

参考にさせていただくということです。

○委員

ああ、そうですか。わかりました。
大変長い間にわたりまして、○○委員を中心にして多くの委員の方々が熱心にご議論して、ここまでとりまとめていただいたことに対して、まず最初に敬意を表しておきたいと思います。
第1に、読ませていただいて大変勉強になったのですが、第3章第1節の最初のところで「我が国の活力を牽引する役割」ということで書き出しが始まっております。これを読ませていただいておりまして、関西というのは、残念ながら、大きな潜在力を持っているが、現実にそういう具合になっていないという分析が後も出てくるのですが、潜在力はあるものの、それを活かせなかった原因について、本当をいえばもう少し突っ込んだご配慮をしていただいたうえでご提言いただけるようになると、より積極的な関西の力を活かす方途が見出されるのではないか、という気がいたしました。
と申しますのは、ここで「活力を牽引する役割」ということで、大きな潜在力はあるものの、近畿圏はこのような潜在力を活かして―「活かして」というのは、どういう具合に活かしていくかといえば、狭い読み方をいたしますと、「基礎研究の充実、産学官の連携による応用研究の産業化、ベンチャー企業の育成等を行う」と活性化できる、現実化できる、というような言い方になってしまうのですが、もう少しいろいろ挙げてご検討いただくことが必要なのではないかということを、まず第1に感じました。「基本方針」をお考えになるときには、ぜひご検討いただいたらと思います。
それから、本文のほうで申し上げますが、9ページの上のほうで(多様な主体の連携)というのが項目として挙がっております。この全体を通じまして、私が読ませていただいた1つは、関西では以前から、活性化できないということと関連いたしまして、いろいろな団体あるいは地域で大変な努力を積み重ねてきておられます。それにもかかわらず、まだうまくいかないというのがたくさんあるのでございますが、そういう努力をもう少し書き込んでいただいて、「にもかかわらず、いろいろな問題を抱えている」という状況をご説明していただくと、「基本方針」をお考えになるときに、より積極的な参考になるのではなかろうかと思います。
例えば、この辺のところで現に、本日はご欠席でございますが、○○委員が中心になられまして「関西広域連携協議会」をおつくりになりました。これは全国にない組織でございまして、関西の底上げを行う、活性化を図るのにどうしたらよいかという工夫をなさっております。そういう点についても、過去の努力についても書き出していただきながら、「にもかかわらず、それだけでは不十分なので、こういうことを『基本方針』として付け加えていただいたらありがたい」というような言い方にしていただくと、せっかくのご努力がより力強く表現されるようになるのではないか、という気がいたします。
例えば、そういうことは、この前も申し上げましたが、委員長は本日お休みですが、委員長が関経連の会長時代にPREX(太平洋人材交流センター)をおつくりになりました。ああいう努力も全国に他にない努力でございまして、今、東南アジア等々で関西が一番高く評価されている1つは、PREXの活動というようなことになっているのが実情でございます。
そういう努力を積み重ねて、他にない蓄積をやり始めているということについても、これからの「基本方針」と関連してぜひ言及しておいていただく、あるいは言及されなくてもご配慮いただくということが必要なのではないか。
同じことは、関西サイエンスフォーラムとか、地球環境関西フォーラムとか、いろいろな努力を関西の財界、学界、官界等々で積み重ねております。その種の努力をずうっと頭に置きながら、全体の基本方針について書き加えていただくと、ないものねだりを関西はしているのではないかということを皆さんに理解していただくためにもよいのではないか、という気がいたします。
そのような方向は他にもたくさんございますが、さしあたりは私のほうからはそういうことだけ申し上げておきたいと思います。

○委員

前回からいろいろ手を入れて大変良くなったと思いますが、特に「格子型多核連携軸構造」という圏域構造は、とてもすばらしい構想ではないかと思います。今までの非常に弱い軸の構造から大変強化されたものになって、もしこういう方向で全体的な整備が進めば、近畿圏全体がとてもすばらしいものになると思います。
それで、今度新たに第3章の位置づけが上にあがっているのですが、この中で、@ABはともかく、Cです。大いに力を入れていただいたということで、「世界への情報発信」となっているのですが、私はまだこれでも弱いのではないかと思います。現在、ヨーロッパを見てみましても、EUで動いていますし、それからアジアを見まして、これから人口が途上国を中心に増えていく。その中でアジアの比重が非常に大きい。しかも、そこが著しい発展を遂げつつある。まあいろいろ言われておりますが、現実には、私はこの十数年かなり中国に頻繁に行っておりますが、中国の発展も、日本で言われている以上に、沿岸部だけではなく内陸部の発展も著しい。
こうなりますと、日本がこれから生きていくためには、アジアの中で明確に日本のポジションを位置づけなければいけない。そういう意味ではもっと、「情報発信」ということではなく、アジアという中で日本、特にそこのつながりが強い関西をどのように結びつけていくか。まずは、モノの交流というよりは、人の交流ということが大変重要になるのではないか。「情報発信」では、もう明らかに弱いと私は思います。
個々には、例えば「東アジア1日圏」の交通体系とかいろいろ書かれているのですが、単に交通だけではなく、産業等あらゆるものを含めた中で、これからどのように我々の力を発揮していくのだ、と。幾ら中で産業開発、研究開発を行っても、日本のマーケットは、成熟社会ですので、多分そんなにこれから伸びることはできない。やはり発展が著しいアジアの中での―もちろん世界が視野ですが―日本の役割をこれから高めていかなければいけない。そういう視点で、「情報発信」ではなく、もっと強くこのところを位置づけしていただきたいと思います。
それから、これは余分なことですが、最後の5の「人口の見通し」のところで、「2015年には 2,344万人」とわざわざ断って、「14万人増」というのは、いかにも危機意識をふたをしているような感じで……。要するに、これから人口がピークに達し、それから減りだすということに対して、我々自身、相当な活力の低下とか高齢化とかいろいろなことが重なってきますので、ここはもう少し強く問題意識を持っていただく意味でも、「14万人増」というのは余分で、むしろその先ですね、「2050年には今のままいったらおよそどういうことになるのだ。そこらの抜本的な対策を考えなければいけない」というようなことも、ちょっと伏線として入れていただいたほうがよいのではないかと思います。

○委員長代理

他にございませんでしょうか。行政の皆さん方からはいかがでございましょうか。どなたかご発言いただけませんでしょうか。

○委員

まず最初に、阪神・淡路大震災の復旧につきましては、国土庁の皆様方をはじめ、本日お集まりいただいております諸先生方に大変ご指導とご協力をいただきまして、この場をおかりいたしまして厚く御礼申し上げる次第でございます。
また、本日の「計画部会調査検討報告」についてご説明いただきましたが、被災地の一員として一言ご意見を申し上げたいなと、こんな思いでございます。
まず、本報告につきましては、私ども、アジア・太平洋地域と我が国との交流センターとしての機能の強化とか、あるいは兵庫県が言っております「人間サイズのまちづくり」、「安全・安心な地域づくり」等々、本県が取り組んでいる方向と合致するものでありますので、高くかつ大きく評価するところでございます。
しかしながら、震災の緊急対策、あるいは復旧・復興を実施してきました被災地といたしましては、特に産業復興の起爆剤といたしまして、大阪湾ベイエリア等の広大な未利用地を対象といたしました外国企業等の対日進出のファースト・ステージを支援する優遇措置等を集中的に講ずるための新たな拠点の設置等の取り組みが、ぜひ必要と考えているところでございます。こうした取り組みを新しい近畿圏の基本整備計画の中に十分反映していただきたいなと、こんな要望をさせていただくわけでございます。
最後に、来年は震災から5周年の節目になりますが、現下の情勢は極めて厳しく、被災地の本格的な復興がいまだ道半ばの状態でございますので、引き続いてご指導、ご支援をいただきますようにお願い申し上げます。
以上でございます。

○委員長代理

他にいかがでございましょうか。―どうぞお願いいたします。

○委員

格子型の多核連携軸構造の構想をおつくりになった。これは、私のように地域科学を勉強している者として非常に高く評価できるところである、というふうに考えております。格子型の多核連携軸構造に基づく地域づくりを進めながら、交流と連携というものによって新しい時代を切り開いていこうという趣旨は、大いに賛成でございます。
そこで、○○委員もご指摘になりましたが、「世界への情報発信」というところだけが「情報発信力を強化することによって積極的に世界にアピールし『世界都市』を目指す」ということになっておりますが、ベイエリア法において、初めて法律の文言の中に「世界都市」という言葉が出てまいりましたように、近畿圏は21世紀型の創造性に富んで、この地域の文化というものを主張し、そして諸外国と交流し連携することによって発展していこう、というのが基本ではなかろうか。
そうしますと、「創造性を発揮して交流をしていく」ためには、人が動いていくということ、これも人が高度なフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションによって創造的なことを発揮できるような、そういう情報を運んでいるということで、情報のメディアだけによる交流ではなく、交通にとっても、そういう意味では「世界都市」というものをつくっていくための1つの交流があるわけでございますから、ここだけで「世界都市」ということを書くよりは、理念のところでもう少し高らかに「世界都市」というもの、そして創造性であるとか、人、モノ、情報、文化、マネー等々の交流によって「世界都市」をつくり、世界に貢献していく。それをつくる骨格としては、格子型の多核連携軸というものによって行っていく。そういうことで、理念のところに―今頃言っては遅いのかもしれませんが―もう少し書き込んでいって、それをもとにして交通や情報などの関係を書いたほうがよいのではないかな、というふうに思いまして発言させていただきました。遅過ぎたかもしれませんが……。

○委員

昨年の「中間報告」のときに、生活者の視点ということで、美しい地域づくりとか、安全性、NPOということを強化していただきたい、というふうにご意見を申し上げましたのを、本当に大きな視点で、パラダイムの転換の時期に当たって大きく変換していただいたことは、女性をはじめとした生活者としてはとても感謝申し上げております。ですから、夢とか、自己実現とか、そういう言葉の裏にあるこれからの新しい生活者の方向を、この報告書はとても示唆していると思っております。
ただ1つ、今の○○委員と○○委員のご意見に関してでございますが、国際化ということの「東アジア1日圏」、これだけではやはりすごく弱いと思います。近畿圏は、環太平洋ということの大きな方向がございますので、そういうことも含めて……。
それは、1つ例を申し上げますと、食糧の安全問題、食糧の自給性ということも、やはりこれからの大きな地球環境の……。日本あるいは近畿だけが食糧自立していなくて、50何億、60億近い人たちが自立して初めてこの大阪は成り立つのだという、そういう大きな理念が必要ではないかと思います。
そういう意味で、直接には食の遺伝子組み換えの安全性の問題とか、アメリカの牛肉とか、いろいろなものが入っておりますが、そこのところに、第4章第5節の「安全で快適な夢のある地域づくり」というところに少し、食糧問題とか、水とか、あるいは林業とか水産資源というのもありますが、もう少し全体に「生きていく」ということを基点に置いた飲料水供給体制の整備というふうに考えていただき、「それが世界とグローバルな発想でつながっているんだ。やはり近畿圏というのは世界を無視しては生きていけないんだ」という、そういう発想をもう少し色濃く出してくださったらとてもありがたいと思っております。
でも、基本的には、とても官がなさるという形ではなく、本当に私たちの生活に届くような表現でもって出してくださったことを大いに感謝申し上げます。
以上でございます。

○委員長代理

そうしますと、○○委員にちょっとお話をしていただかなければいけなくなりますが……。

○委員

本レポートを拝見いたしましても、非常にこまやかな目配りがなされていて、随所にこれからの変化する時代に対するきめ細かな視点が入っているということで、非常にすばらしい報告書を出していただいたと思って、感謝しております。
これからの展開の方向の中にわかりやすいお言葉で表現していただいているのですが、若干、2015年、高齢化のピークに達するという、もうほぼ近づいている中で、そういった時代環境をちょっと強調するような部分も必要なのではないかな、というふうに考えております。
バリアフリーという言葉もいろいろなところにもございますし、高齢者が活躍できる場とか、あるいは介護の問題も非常にはっきりと書いていただいているのですが、ちょっと本文を見ていきますと、少子化のほうがかなり切迫しているという認識が(あるのかなと思うのですが)ございまして、「働きながら子どもを産み育てることの可能な社会」ということですが、誰もが幾つになっても、どういう状況にあっても、「いきいきと生きられる社会」という一言も入れていただいて、高齢化・少子化の両方に光を当てていただければな、というふうに思っております。
それともう1点、私、かなりいろいろな要素として中に含み込まれているというのは理解しながら、あえて申し上げるのですが、○○委員のスタッフの方々と同時に、経済同友会でやはり「2015年の社会ビジョン」というのをつくらせていただきましたときに、経済人ですから、視点としては、「ワークスタイルが変化するよ。今までの日本の高度経済成長を支えた猛烈型の組織の中で働くことによって自己実現をしていくというワークスタイルがすごく変化していくよ」と。そのワークスタイルの変化を基軸にしながら、あのビジョンが強調されていたのですが、その生き方の器であるこの中に、ワークスタイルの変化という視点が少し入っていないのかな、という気がいたしました。
具体的には、各論には入っております。例えば、地域社会、NPOといっても、これは働く方々も自分の時間を割いてボランティアその他で地域社会をつくっていくということからきているのだと思いますが、これからの日本社会、ワークスタイルが変化していくというふうなあたりも、その器としての地域をどうつくっていくかという中に少し組み込んでいただいておくとよいのかな、というふうなことを感じております。
以上2点でございます。

○委員長代理

○○委員は最後にお話しいただくようにお願いしておりますので、ぜひ自治体のほうからお願いいたします。

○委員

大変ご努力いただいておりますことに感謝申し上げます。
それで、格子型の近畿圏の特徴を位置づけされております。その中で、それぞれの地域の特徴ある部分という形で○をお付けになっているのですが、その○自身をどういうふうに活かしていくのか。今まで特徴ある部分をさらに、例えば東大阪で刃物のまちなら刃物をどう振興させていくのか、あるいは泉州地域の織物なら織物をどう繁栄させていくのかというふうな、この部分を見えてこないといいますか、一般論として、読みますと、なるほど言葉として大変きれいですが、逆にいえば中身がない。極端に言わせていただきますと、工場等制限法とか、再配置法とか、ここらの部分とこれとを……。と申しますのは、旧の市街地というのは、もう今どんどん空洞化されて、海外のほうへ生産拠点が移っていっているのです。しかも、工場等制限法とか再配置法がかかったままで、どういう形で○のコアを振興していくのかとか、このコアをどんどん空洞化させ、その周辺へ新たな拠点をつくっていくのかとか、その辺の基本的な理念が、国の一番大きな産業政策の法律とこの部分とをどんな整合させるのかということが全然見えてこない。私はその辺だけが一番……。
昭和30年代以降ずうっと大都会に人口が集中してきた。これをもう一度戻す機会としたら、今、大都会が空洞化していますから、どんどん地方へ戻せるのです。そういうふうな形の中で、地方で生まれ育って、働く年齢になったときに、都会へ出てきて働かれた。それから後、生産に携わることからぼちぼちリタイアしていくというときに、生まれ故郷のほうへ帰っていく。その中で新しいコミュニティをつくっていくというふうな考え方をするのか。あるいは、都会へ入った人たちを、そのまま都会の中で今後養っていく。ある意味では、人間が住んでいくということすから、近畿で養っていくということなんですね。そこで、近畿としてどう養っていくのだという理念が全然……。今の法体系自身をぶち破らないと、現行の法律の中で全然前へ進んでいけないということがあるのですが、その辺、ちょっとだけ私……。
皆さん方がずうっと来ておられて、せっかくここまでおまとめになった中で、先ほどからちょっと疑問になっていましたのは、このコアをどう発展させるのか、あるいはこのコアは、コアの中へ空間をつくり、安らぎの木を植えて公園をつくり、周辺のほうへ発展させていくのかということで、その辺の部分だけがわかりませんので、その辺の背景をどう考えておられるのか、ちょっとだけお聞きしたいと思います。

○委員長代理

まだ少し質疑応答を続けさせていただきまして、後ほど事務局から思いつかれた点をお話しいただきたいと思っております。
私といたしましては、○○委員にご発言をいただきたいと思います。ひとつよろしくお願いいたします。

○委員

私は、本日初めてこの会に出席させていただきましたが、全国の中でも近畿だけは、各市が意見を交換し合い、「近畿はひとつ」という考え方で進むことについては、どこの地域よりもまとまっていると思います。
そういう中で、本日、私、非常に不勉強で申し訳ないのですが、1つは、先生方がここまで近畿の進め方をいろいろとまとめていただいたという中で、近畿市長会としても、皆さんが検討していただいた概要等について、さらに具体的にどうするかというようなことを検討していく必要がある、というふうに考えております。
もう1つは、歴史的に見まして、さっきから意見が出ておりますが、明治以後、日本の経済は近畿がリードしてきたというのが実態であるが、今日においては、近畿のレベルが少し下がり、近畿でどうしてもやろうとしてもできないこと、先ほど来も意見が出ておりますが、法律の問題とか、いろいろな規制とか、あるいは世の中の流れとかいうことからいって、近畿が、まあ悪い意味でいえば、軽んじられているといいますか、政治のうえでも。こういう点について、やはり昔のような活力を近畿が持たなければいけないというふうなことを考えますと、本日ここにいろいろとお出しいただいているご意見を、我々行政を担当している者がもっともっと積極的な対応と連携をすることにより、今の「格子型」というふうな形で結ばれる中で発展する方向を見出していかなければいけないのではないかな、というふうに私は思っております。
それで、いろいろと現実の問題といたしますと、今、○○委員がおっしゃったように、我々のところでも、滋賀県のところでも、工場は閉鎖して海外へ皆行ってしまった。行った後を穴埋めしようと思って、いろいろと募集し何をしても、来ないのです。一体これどうなるんや、と。つい20年前にはしゃにむになって工場が来て、それを誘致して―。ところが、それが東南アジアなどへ行った跡地をどういうふうにして補てんし、また、これを自分たちの活力になる産業を誘致しようと思っても、来ない。この現実をどうするかということが今、我々自治体の1つの悩みであります。
もう1つは、今、地方自治体では積極的にそういうことに取り組むというよりも、現実のいろいろな課題が全部自治体にしわ寄せされてくる。例えば、ダイオキシンの問題とか何とか、積極的に進もうと思えば、その頭を抑えられるいろいろな問題がある。そこをもっと自信をもって指導してもらわなければ、自治体だけではどうにもならないという悩みを皆持ちながら、自分たちの現在の窮状を自分たちで発表し、また、それに対する適切な指導をしてもらえるという、そういう方向をこの中で見出していただきたいな、というふうに私は思います。
そんなことをこの頃、まあ苦し紛れのようことを申しておりますが、現実は非常に難しいということで、悩んでいるということです。

○委員長代理

他に自治体のお方、いかがでございましょうか。どうぞお願いいたします。

○委員

兵庫県は関西の西の端に当たりますので、いつもこういうときに少し気になることがあります。「格子型多核連携軸」ということで、圏域内の構造ということは非常に良い形ができたのではないかと思いますが、今のお話とも関連するのですが、関西はもともと、例えば西日本の中心であったとか、環瀬戸内とか、東瀬戸内とか、そういった関係、あるいは三重のほうでは多分、中部とか、そういったところとの関係が非常に強いわけで、そういう意味での、どういう形であげていくかというのは非常に難しいのですが、そういった配慮がやはり必要ではないかな、というように思います。
兵庫県の西の端のほうをもう少し取り上げていただくという意味もあるのですが、全体としてもそういうふうな観点があることによって、関西全体の位置づけというのがもう少しはっきりしてくるのではないかな、というように思います。

○委員長代理

ありがとうございました。
それでは、○○委員、いかがでございますか。

○委員

私がちょっと感じましたのは、基本的にこれは近畿圏ということで、かなり大きい問題ですが、その中を構成している、最終的には人々の暮らしがどうなっていくかという、何かその辺からのスタートになっていますので、41ページに具体的な育児支援とか教育環境の充実とかいうことをいろいろ書いていただいているのですが、最終的には、最近、高齢者のことはすごく考えられるのですが、これから未来を担っていく子どもの問題といいますか、子どもがどのようにしてうまく育っていくかということが一番今後の問題ではないかなと常に思っていて、その辺をどういうふうにしていったら好い循環になっていくのかなという、そこがすごく気になっているわけです。
それで、少子化の問題も常に出ているのですが、その中で、少子化を逆転させるという方向をとるためには、どんなふうにすることがよいのか。もう1つは、家族の住み方の形態といいますか、今は核家族化中心ですが、そういう家族のあり方が少しずつ違ってきているような、まあこの15年ですぐになるというものではないと思いますが、コレクティブハウジングとか、そういう血縁家族ではない人が新しい家族をつくるような方向とか、あるいは女性などがシングルでかなり快適に過ごせるというふうなこととか、まあ女性に限らず男性もシングルのほうが気楽でいいとかいうことも、社会のいろいろなものの外部化や社会化によって随分起こっているように思います。
その辺の問題と子どもの問題というのは常に絡まっていまして、近畿圏整備という、どちらかといえばハードの問題からは何か遠いように思いますが、ベースはすごく家族、人間、その辺の問題なので、今までのような「保育所充実」だけではそういうことはうまくいきにくいのではないかな、というふうに感じられます。
その辺、私もどんなふうに解決のめどが立つのかというのは、非常に問題があると思うし、わからないところですが、子どもの問題というのをもう少し積極的に、まあ教育の問題も含めたような形になると思いますが、その辺、何か新しい方策を盛り込んでいただけたら、と思います。
希望だけなので、こんなふうに書いていただきたいというところまではなかなか……。常に考えているものの、そういううまい案はないのですが、単に「保育所充実」だけではうまくいかないのではないか。もう少し基本的な問題、家族の変化の問題というのは非常に大きいと思っております。

○委員長代理

他にございませんでしょうか。もしございませんでしたら、○○委員にお願いしたいと思います。

○委員

最後に発言するほどまとめてはきておりませんが、今回の「調査検討報告」というのは大変良くまとまっている、というのが第一印象です。ですから、あえて意見を申し上げるとすれば、@全体の構成の問題、A中身の問題、B結論の問題―の3つあるかと思います。
まず、全体の構成の問題では、「報告」の概要でいきますと、2の3行目、「近畿圏は……プロジェクトの進捗が見られたが、産業における」云々ということで、“が”に対する分析がやはりもう少しあったほうが、あとの説得力が出てくるかな、と。なぜ、こんなにたくさんの公共投資をやっているのに、関西の産業は空洞化しちゃって、都市は衰退しているのか、あるいは南北近畿の活力が低下しているのかという原因を究明して、それに対する対策として、「だから、3以下のこういう方策があるんだよ」というほうが説得力があるかな、と思います。
ですから、産業の空洞化というのを我々なりに分析してみますと、公共投資をある意味ではやり過ぎたため、関西の産業構造が官公需要依存型になっちゃったと、こういうであると産業界のほうも何か反省して、今後いろいろ出てくる公共投資をもっと前向きに、最後は生活向上にまで結びつけるような産業構造なり発想なりをとっていかないとだめなのではないかな、というふうな反省になってくると思います。
それから大都市の中でも、政令都市の中で、唯一とはいいませんが、1965年から現在までに人口が減っているのは、都市化が集中する中で大阪市ともう1つくらいです。そういった意味で、なぜ大阪市に人が住みたくないのかというふうなことの分析をしないと、幾ら公共投資をしてもなかなかそれが有効に結びついてこないという気がします。
南北近畿の問題につきましては、先ほど○○委員が「軸を中心にやり過ぎちゃったんで、その他が低下したんだよ」ということで、少し分析的なことをおっしゃっていただきましたが、そういうふうなものが前にあって、「だから、3とか4とかをやっていくんだ」というふうな構成があると、3とか4の説得力が非常に高くなってくるのではないかな、というふうに思います。
3において1つのあるべきビジョンを示して、具体的にはアクションプランとして何をするのか、先ほど○○委員がおっしゃったように、工場等制限法が非常に邪魔であるならば、それをどういうふうにするのか、あるいは学研都市とか空港、ベイエリアをばらばらにやっておられたので、もっと有機的な連携をとったら、相乗効果が出て機能が大きかったのではないかとか、いろいろ3のところの具体策が2の反省の上に立って出てくるのではないかな、というふうに思います。
それからもう1つ、中身で若干、○○委員もおっしゃいましたが、日本の中の関西、あるいはアジアの中の関西、世界の中の関西という観点がもう少しあれば、日本の中における格子型多核連携軸、それから世界における格子型多核連携軸の中にあって、近畿地方がどういう役割を果たすべきなのか、あるいは情報化とか空港ネットワーク化というものが非常に重要になってくる中で、産業なり文化なり学術のハブとして、関西地域がどういった機能を果たしていくべきなのか、そういう世界を1つの格子型多核連携軸としてみた場合に、関西がどういう役割を果たすかという観点もあってもいいかな、という気がいたします。まあこの中に書いてあるのかもしれませんが、もう少し、○○委員がおっしゃったように、世界というものを意識して、ただ「情報発信」ではなく、積極的に世界の中において役割を果たすため、あるいは果たしていくのだという決意があってもいいかな、という気がいたしました。
それから最後、結びのほうですが、当然のことですが、人が住みたくなるような地域をつくるにはどうすればよいのか、そのためには魅力ある都市が必要である、また、やはり職住接近で、都市型産業も文化も要るんだよというふうな形で、もちろん「先に道があれば人々が幸せになる」という発想ではないと思いますが、とかくこういう計画をつくっていくときには、どうしても「道路、空港、港湾等をつくれば皆が幸せになるんだよ」ということを前提にして書いてしまうものですから、でき上がったものがやや非人間的なものになってくるのではないかということで、もう一度、人々が住みたくなるような地域をつくるためには、先ほどおっしゃったような教育をどうすればよいかとか、文化をどうすればよいかとか、そういうものがある。そのためには魅力ある都市が要る。その魅力ある都市の中には、やはり産業と文化が融合していかなければいけない。そのためには道路や港湾などをこういうふうに整備していかなければいけないのだ、というふうな発想を常に忘れずに―これは当然のことだと思いますが―そういったものを織り込みながらやっていけば、やや人間くさい、人間味のする報告書になっていくのではないかな、というふうに思います。
勝手なことを申し上げましたが、基本的にはこの案で賛成でございます。

○委員長代理

どうもありがとうございました。皆様方からいろいろのご意見をいただきましたことに感謝申し上げます。
今までの中で、国土庁さん側から何かコメントを今しておきたいとかいうことがございましたら、どうぞお願いいたします。

○事務局

個々の都市・地域の位置づけ、あるいは方向性のところについてでございますが、今回の「調査検討報告」につきましては、近畿圏整備の基本的方向ということで、非常に大きな方向性について主としてご検討いただいているところでございます。したがって、個々の都市あるいは地域についての基本的な方向であるとか整備の方向につきましては、さらに今後つくってまいります「基本開発計画」の段階におきまして、ご意見を踏まえまして、その中でどういう形で反映していくかということについて検討させていただきたいと思っております。

○委員長代理

どうぞお願いいたします。

○計画部会長

いろいろ適切なご意見を賜りましたが、計画部会としての仕事は90%くらい終わっておりますが、今後、これは後で説明があろうかと思いますが、国土庁としての「基本方針」の策定の中に、本日頂戴しましたご意見は、良い形で織り込めるように私自身としても努力をしてまいりたいと思います。
先ほどからのお話の中で2〜3ちょっと私、部会長としてお話し申し上げておこうかと思いますのは、この計画は近畿圏全体を見ておりまして、この計画が、例えばまちづくりの細部にわたってかくあるべしということを書き過ぎたら、恐らく皆様方はお困りになるであろう。しかし、近畿圏全体として克服していかなければいけないものはこういうことである―これが基本的なまとめの方向であるということをひとつご理解いただきたい。
それから、生活道等は、ご指摘のとおり、やはり本当はもうちょっと人間味を入れていかなければいけないところがあるかと思いますが、これも、ご承知のように、まちづくりの実態を担っておられる市町村や各府県のご計画が最も優先されるべきものでありまして、ここで、そういったまちづくりの細部の方向づけをするのは差し控えたい。しかし、近畿圏におけるこれからの人間の幸福といいますか、あるいは本当の意味での豊さをどのようにつくったらよいのかということについては、極めて難しいわけでありますが、近畿圏全体としてのビジョンを出すべくいろいろと努力をしたということがございます。このあたりはよくご理解いただきたい。
先ほど○○委員がおっしゃっておられましたが、まさにそのとおりでありまして、これはひとつできれば活かしていただいて、それぞれ地域としてむしろしっかりした方向を出していただくことを願っております。そういう意味では、こういう図も「ここの市はこうしてください」というようなことは一切書いておりません。それは、この図の表しております意味をおくみ取りいただいて、それぞれにはっきり方向を出していただいたそのうえで、なお近畿圏全体としてそれをサポートしなければいけない問題があれば、それは大いに近畿圏全体の課題として国もしっかり押さえていっていただかなければならないと、このように思っておりまして、そこのところはひとつご了解いただきたい。
それから、工場等制限法については、これは別途既に皆様方にご報告をいたしております。また、工場等制限法そのものは、先ほど出しましたこの図の全部にかかっているわけではありません。ご承知のように、大阪湾臨海の一定の地域、主として既成都市区域にかかっております。例えば、先ほど例示がありました東大阪にいたしましても、東大阪市のごく一部までであります。この問題は、いろいろと別途検討して、工場等制限法における制度の若干の緩和ということが既に出されておりまして、これは皆様方は既にご承知のはずでございます。
例えば、制限区域における「工場等」の中の大学でございますが、大学院の整備については制限範囲から除外する。また、規制のかからない工場の面積規模は、従来よりもかなり拡大していっております。
そういったことをひとつよくご覧いただいて、なおかつ近畿圏全体としては、工場等制限法、既成都市区域の制度というものは、実はプラスマイナス両面がございます。例えば、北近畿、南近畿は工場等制限法の既成都市区域とは全く逆の立場であるということもございます。近畿圏整備としては、その両方を踏まえてやっていかなければいけないということがございまして、工場等制限法については、別の角度で、ひとつ皆様方ご自身の問題としてご検討いただくのが一番いいだろうなと、こう思っております。我々としては、それはあまり明確には出しておりません。
以上でございます。

○委員

今の件に関連して、ちょっとだけ……。
私が申し上げましたのは、工場等制限法とか、再配置法でか、たまたまそこで引っかかってものを言っただけの話です。と申しますのは、それぞれのコアの円があるでしょう。その円をどうするのか。円をまだ拡大していくのか。その円を縮小していって、例えば日本海側のほうへもっと大きな円をつくっていくのか。この基本的な問題を、今、○○委員がおっしゃっているような形で、「地域間の問題もあるし、その問題をこの中で触れられないから」というふうなことになれば、人間が住むのに一番大事なこと、人がどれだけ幸せに暮らしていくかという一番大きな命題をクリアして、このコアをどうするんだという形の部分を持たないで、「それぞれの地域で、それぞれ勝手ですよ」と。そしたら、近畿として発展するためのコアは、まだまだ拡大していくのか、あるいは縮小して、もう少し端っこ側のコアを大きくしていくんだとか、この明確なビジョンがない限り……。私は、そういう意味で言っているのです。
既存の市街地の中で、例えば堺市などは全部かかっていますし、大阪市もかかっています。そうした中で、ここの人たちの働く場所をどんどん少なくしていって、そこからあふれた部分を逆に地方のほうへ引っ張り出していって、そこへ人口を定着させるほうがよいのだというふうな命題になるのか、その辺の一番大きな命題を根本的に考えないと、この報告書自身は全部上からなでてきれいごとばかりの話になっている、というふうに私は思うわけです。
以上です。

○計画部会長

今のお話はよくわかります。それは非常に大事な点でございます。
ただ、現計画ではそこまで近畿圏全体の合意をいただくというところにはいかないわけでありますので、全体としての方向づけにとどめております。これは事実でございます。おっしゃることはよくわかりました。

○委員長代理

ありがとうございました。
いろいろご意見をいただきましたが、締めくくりをさせていただきたいと思います。
本日は、計画部会から本委員会への報告ということでございますが、ただいま皆様方からご意見をいただきましたような点につきましては、今後の計画部会におけるさらなる調査検討の中で、先ほど計画部会長がおっしゃいましたように、十分考慮していただくようにお願い申し上げたいと思います。
なお、今後のスケジュール等につきまして事務局のほうから報告がございます。お願いいたします。

○事務局

本日、計画部会からこれまでの調査検討の報告をいただいたところでありますが、今後は、この「調査検討報告」をもとに、本日の皆様のご意見を踏まえつつ、本特別委員会が平成7年5月に内閣総理大臣から受けた「近畿圏整備の基本方針」に関する諮問に対する答申案をとりまとめていただきたいと考えております。
そして、本年度末には、特別委員会を開催させていただき、計画部会から答申案の報告を受けたうえ、本特別委員会として答申をまとめていただくとともに、併せて次期近畿圏基本整備計画のご審議及び答申をいただきたいと考えております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

○委員長代理

以上で議事はすべて終わりましたが、何か特にご発言はございませんでしょうか。

〔「なし」の声あり〕

○委員長代理

よろしゅうございますか。皆様方から活発なご意見をいただきましたことを感謝申し上げます。
それでは、本日の特別委員会は、以上をもちまして閉会させていただきます。
ご多忙のところ長時間にわたりましてご熱心にご審議いただきまして、まことにありがとうございました。

午後3時46分