水資源開発審議会利根川・荒川部会 議事要旨
日時:平成10年3月18日(水) 10:30〜12:30
場所:中央合同庁舎第5号館共用第7会議室
開会
メンバー紹介
水資源部長挨拶
議事要旨について
議事の冒頭で、「活発な議論を確保するため議事は非公開とし、発言者名をふせて議事の要旨をとりまとめ、これを公開する」こととした。
諮問
内閣総理大臣から水資源開発審議会長への諮問及び水資源開発審議会会長から部会へ専門的技術的事項について調査検討の結果報告を求めている文書の説明があった。
資料説明
事務局から利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画の一部変更について説明があった。
質疑応答
主な質疑応答は以下のとおり。
稲戸井調節池について
(質問)稲戸井調節池について、経済的な問題でできないということならわかるが、技術的にできないということはないのではないか。水需給が逼迫している状況下では、たとえ1m
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/sでも開発すべきではないか。また、周辺の地下水利用への影響については、浅い層の地下水を利用しているのであれば、対策は十分考えられるのではないか。ウイーンのドナウ川では、もっと長い区間にわたり、地下水面を調整するために堤防沿いに止水工を設けている。
(回答)費用の問題も含めて検討していると聞いている。帯水層まで矢板を設置することにより、透水係数で1×10のマイナス5乗程度まで小さくできるが、それでも地下水位は相当低下するという検討結果になったと聞いている。また、井戸の深さについては、周辺地域での地下水利用は、15m以上の深さのものが半数以上あると聞いている。
(質問)この地域は軟弱地盤が多く、これに伴う問題があるのではないか。
(回答)軟弱地盤のため、盛土や掘削を行う際に問題が発生したこともあり、深く掘削することについては、難工事も予想された。
(質問)中止になるまでにどの程度の予算を使っているのか。また、地層の内部の問題について、もっと事前にわからないのか。
(回答)昭和62年度から平成8年度までで約36億円を執行している。内容については、ボーリングなどの地質調査とその解析等であり、現地の工事は行っていないと聞いている。地層内部の問題については、最近はリモートセンシングの技術なども発達してきてはいるが、ボーリング等も含めた現地での詳細な地質調査が必要である。なお、遊水池により洪水調節を行う治水事業等は引き続き実施することとしており、これらの調査は今後の治水事業に活用されることとなる。
事業費について
(質問)事業費の増加についての話がこの前もあった。専門家の予測を上回るほど増額するということだが、どの程度大変なのかわからないと了承できないので、普通の人にもわかる説明をしてほしい。
(回答)ダム事業は同じものを他の地点につくることができず、一品生産であるという特性がある。事業費については、積算時点以降の物価上昇分は見込んでいないので、将来の増加要因となる。また、地質状況等について、不確定部分の費用を別途加えておくということは行っていないので、事業が進捗し、地質が当初想定より悪かったり新たな地すべり防止対策が必要になることがわかれば、それだけ事業費が増えることとなる。
その他関連事項
(質問)水資源開発計画として、水産資源の保護についてどのように考えているのか。
(回答)基本的には、河川管理者サイドにおいて、河川環境の保全・改善計画の中で考えられることとなる。フルプランにおいては配慮事項としているが、個別のダム計画等の中で、基準点における河川流量の確保などが行われている。また、魚の上りやすい川づくり事業を行うなど、努力がなされていると聞いている。
(質問)国土計画を見直す際には、例えば首都機能移転の際に水事情の良好な場所に移転するよう求めるなど、水の立場から発言されてはどうか。
(回答)首都機能移転計画については、水の確保が重要な条件の一つとなっているが、水資源問題だけで決定するということにはなっていない。なお、国土計画の中では、流域単位でものを考えるべきだという主張を行っている。
(質問)都市用水の節約について、フルプランにどのように位置づけられているのか。ロサンゼルスでは、需給ギャップの深刻さを踏まえ、日常的な節水を計画に含めている。渇水の際の取水制限だけでは、本腰を入れた対策にならないのではないか。
(回答)定量的にはフルプランに見込んでいないが、フルプラン本文のその他事項に記述した内容に沿って、節水を促すこととしている。なお、工業用水の循環利用等原単位を設定する際に考慮している部分もある。
その他以下の意見が出された。
滝沢ダムに新たに発電が加わるということであったが、水力発電はクリーンなエネルギーであり、賛成である。今後とも他のダムでも推進していただきたい。
水資源問題については、量的な面だけでなく、水質も含めて総合的な対策が必要である。
案の了承
利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画の一部変更について了承された。
なお、水資源開発審議会への部会の結果報告については、部会長に一任された。
閉会