水資源開発審議会 吉野川部会議事録
 
 
            平成11年7月27日(火)  
              
 
 
 1.開  会
 
○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただいまから水資源開発審議会吉野川部会を開催させていただきます。
 
 2.委員及び専門委員紹介
 
○事務局 議事に入ります前に、本日の吉野川部会の開催に至りますまでの委員改選等の経過につきまして事務局より御報告させていただきます。
 水資源開発審議会におきましては、平成11年4月1日付で委員の改選がございまして、同年5月14日に開催されました第67回水資源開発審議会において、会長の互選、部会に属すべき委員の指名等が行われております。
 本部会の部会長につきましては、互選によりまして丸山利輔委員が選出されておられます。また、専門委員につきましては、一部の委員の交代がございまして、平成11年5月14日付をもって各部会に属すべき専門委員の指名がございました。
 本日は、委員の改選後初めての部会でございます
 お手元の資料−3に「水資源開発審議会 吉野川部会名簿」というものがございますので、ご覧をいただきたいと思います。
 
 3.水資源部長挨拶
 
○事務局 それでは、開会に先立ちまして、水資源部長から御挨拶いたします。
○事務局 水資源開発審議会吉野川部会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 委員の先生方におかれましては、日ごろより水資源行政の推進に御指導を賜り、また本日は大変お忙しい中、また大変お暑い中をお集まりいただきまして、厚く御礼申し上げます。
 さて、今回の部会でございますが、吉野川水系における水資源開発基本計画の一部変更につきまして御審議をいただきたいと考えております。
 吉野川は、御存じのように、「四国三郎」と称されておりまして、その源を高知県土佐郡瓶ヶ森山に発し、四国山脈に沿って東に流れ、紀伊水道に注いでいる四国第一の一級河川でございます。
 この吉野川水系につきましては、昭和41年11月に水資源開発水系の指定、昭和42年3月に水資源開発基本計画が決定されました。その後、平成4年4月に全部変更され、平成9年12月に一部変更されて現在に至っております。
 第1次の基本計画に基づき、既に早明浦ダム建設事業、新宮ダム建設事業、池田ダム建設事業、旧吉野川河口堰建設事業、香川用水事業、高知分水事業の6事業が完成し、本水系の用水の安定供給に大きく貢献しているところでございます。現在は富郷ダム建設事業を推進しているところでございます。
 なお、現計画の目標年次は平成12年度となっておりまして、現在、全部変更に向けた作業を開始したところでございます。全部変更の基本的な方向といたしましては、先月策定いたしました全国総合水資源計画、ウォータープラン21と呼んでおりますが、この考え方を踏まえ、今後、水資源開発審議会の調査企画部会で御討議いただきたいと考えております。しかし、現地での個々の事業は刻々と進んでおりますので、実情に合わせ、必要最小限のものにつきまして一部変更をさせていただくというものでございまして、今回のこの一部変更は、構造物の劣化等への対処及び調整池の建設を行う香川用水施設緊急改築事業の新規追加、あわせて総事業費の変更を行おうとするものでございます。
 具体的内容につきましては後ほど詳細に御説明申し上げますが、本日は、この案件につきまして御審議賜り、御意見をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
○事務局 それでは、この後の議事進行は部会長にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
 5.議  事
 
○部会長 本日は、皆様方、大変お忙しいところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 議事に入ります前に、議事の取り扱いについて御審議いただきたいと思います。
 本年の1月の第65回の水資源審議会で決められたやり方ということになっているようでございますけれども、具体的には、活発に御審議いただくために、議事は非公開といたします。また、従来は発言者の名前を伏せて議事要旨を公開しておりましたけれども、透明性を一層高めるということから、議事録を発言者を伏せて公開するということにさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 1)吉野川水系における水資源開発基本計画の一部変更について
 
○部会長 それでは、議事次第に従いまして、「吉野川水系における水資源開発基本計画の一部変更について」の議事に入らせていただきます。
 吉野川水系における水資源開発基本計画の変更案につきましては、水資源開発促進法に基づきまして、平成11年6月25日付で、内閣総理大臣より水資源開発審議会に対して資料1のような意見を求められております。すなわち、総理大臣から本審議会の会長の中川博次会長に対しまして、「吉野川水系における水資源開発基本計画の一部変更について」ということにつきまして意見を求められているわけであります。
 これに関わる専門的な、あるいは技術的な内容につきまして、あらかじめ本部会において調査・検討していただきまして、後日その結果を審議会の方に報告させていただきたい、そういう趣旨で、資料2でございますが、平成11年7月8日、審議会長から吉野川部会長あてに同じ趣旨の事柄につきまして意見を求められている次第でございます。それぞれ資料1、資料2ということで皆様のお手元に届いていると思いますので、ご覧いただきたいと思います。
 そういうことでございまして、本日はこの件につきまして委員の皆様方の御意見を賜りまして、審議会の方に報告させていただきたいということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、最初に、お配りしております資料の御確認とその内容につきまして事務局から説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 最初に、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第がついております1束の資料、これが資料−1から資料−7までをとじたものでございます。それから、資料−8ということで吉野川水系における水資源開発基本計画の新旧対照表。資料−9ということで参考資料。資料−10は現行の水資源開発基本計画でございますが、それとあわせまして説明資料をつけてございます。
 資料はすべてございますでしょうか。もし不足しておりましたら、事務局の方までお申し出いただけるようお願いしたいと思います。−よろしいでしょうか。
 それから、このテーブルの両端にアルバムを置いておりますので、御審議の途中に見ていただければと思います。これは今回御審議いただきます緊急改築事業に関連しました写真でございます。
 それでは、資料に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 資料−1、資料−2につきましては、先ほど部会長から御紹介のあったところでございます。
 資料−3は、この部会の名簿でございます。
 資料−4につきましては、水資源開発促進法の部分を写したものでございます。これは説明は省略させていただきます。
 資料−5でございますが、これは水資源開発基本計画の一部変更の手続をフローにしたものでございます。既に御案内かと思いますが、改めて御紹介をさせていただきたいと思います。
 水資源開発基本計画の一部変更 −これは全部変更も同様でございますが、手続といたしましては、原案を国土庁の方で作成いたしまして、関係省庁と協議をするということで、こちらの方は6月25日付をもちまして公文での協議を行っているところでございます。また、関係の知事に意見照会をするということが法律で決まってございます。これにつきましても、6月25日付をもちまして公文での意見照会を行っているところでございます。また、水資源開発審議会に意見を聞くということが法律上定められておりまして、先ほど資料−1、資料−2という形で、審議会、またこの部会に意見をお聞きしているという形でございます。こういった手続が整いますと、閣議決定、内閣総理大臣決定、最終的には官報公示に至るということでございます。
 なお、関係省庁との協議文書、また関係の知事への意見照会の結果につきましては、水資源開発審議会の場で御紹介をさせていただくということになってございます。
 資料−6でございますけれども、今回の一部変更の概要ということで書いてございます。水資源開発基本計画吉野川水系のフルプランの中に香川用水施設緊急改築事業を追加したいということが1点。2点としまして、これに付随いたしまして、事業の数の変更、総事業費の変更ということでございます。
 また、これは水資源開発基本計画の本文ではございませんが、説明資料の変更に関係するものということでございまして、香川県の水量の用途間転用ということで、工業用水から水道用水への転用という案件がございます。これにつきましては、後ほど参考資料の方で御説明をさせていただきたいと思います。
 資料−7は、新旧の対照表ということでございます。新規の香川用水施設緊急改築事業に関連いたしましてこの部分の変更があるということでございます。
 資料−8でございますが、こちらは後ほど御説明したいと思います。
 資料−9としまして参考資料がございます。主としましてこれで御説明をさせていただきたいと思います。
 まず吉野川水系の概要ということで、1ページでございます。こちらに図面がございますので、これを使いながら御説明したいと思います。
 吉野川につきましては、四国第一の河川ということでございますが、その源は高知県の瓶ヶ森山でございます。四国山脈に沿いまして流れ、途中で銅山川を合わせまして徳島の方まで流れていっているという形でございます。その流域は四国4県にまたがりまして、流域面積は3,750km2 、幹線流路延長は194kmという河川でございます。
 1ページの下の方に池田地点での年降水量の経年変化を書いてございます。年間約1,500mmほどということでございます。また、この池田地点での流況ということで書いてございますが、昭和29年から平成7年までの平均でいきますと、低水流量で約35m3 /s、渇水流量で約21m3 /sという形でございます。
 2ページに参りまして、吉野川の治水の概要ということでございます。
 吉野川につきましては、明治40年に第1期の改修事業ということで、下流部の河道整備を中心としました改修事業が行われております。これは昭和2年に竣工しておりますが、その後の枕崎台風や昭和29年の12号台風等によります出水にかんがみまして、改修計画、またダム事業がなされております。ダムとしましては、柳瀬ダムというものがつくられてございます。
 現在の計画といたしましては、昭和57年に改定をされたものでございます。基準地点岩津におきます基本高水流量を、ダムによる洪水調節のない場合のピーク流量24,000m3 /sといたしまして、上流ダム群で6,000m3 /sを調節いたしまして、河道では18,000m3 /sを流すという形の計画で事業が実施をされているところでございます。                                   
 3ページに参りまして、利水の概要ということでございます。水利用につきましては、吉野川の下流部で、農業用水を主体としまして利用されてきてございますが、近代に入りましてから、上流部でも発電、また、水不足地域へのかんがい用水等の分水に利用されてございます。分水といたしましては、水資源開発促進法によります水系指定の以前に銅山川の方から瀬戸内海側への銅山川分水と別子分水というものがこちらの地域でなされてございます。また、高知県の太平洋側につきましては、仁淀川分水と、鏡川に落とします穴内川分水という2つの分水がなされてきてございます。また、発電もこういった事業とあわせまして実施をされてきているところでございます。先ほど御紹介しましたように、水資源開発促進法による水資源開発以前の主な水資源開発事業としましては、柳瀬ダムということで、事業主体として愛媛県、工事は建設省が施工ということでございますが、こういう事業が既になされてございます。
 4ページに参りまして、過去の渇水の発生状況ということでございます。吉野川につきましては、四国4県の大変重要な水資源ということでございますけれども、近年におきましても渇水の頻発ということがございます。ここの表に載せてあるとおりでございますけれども、特に平成6年につきましては、水源の早明浦ダムが完全に干上がってしまうという状況がございました。取水制限も大変長期間にわたりました。高松市の方では、5時間給水が1カ月にわたって続くという非常に厳しい状況でございました。取水制限率が香川県では75%ということで、一番厳しいときには、香川用水、吉野川からとっております水の4分の1しかとれなかったという状況でございます。その後も平成7年、8年、10年という形で渇水が起きているという状況でございます。
 5ページは、水質の状況ということでございます。地点名と数字が載せてございますが、数字につきましては、BODということでございます。上流の方の早明浦ダムでは0.4mg/?、池田ダムに参りますと0.8mg/?ということで、非常に清流という形でございます。下流部の方に参りましても1mg/?という形でございます。旧吉野川の方に参りますと少し水質が落ちるという形が見てとれるかと思います。以上、水質の状況でございます。
 6ページは、水質保全のための施策ということで、環境基準あるいは排水規制等の設定の状況が書いてございます。
 7ページにつきましては、水環境についての整備状況ということでございます。建設省あるいは県の方で実施してございます河川に関連いたします浄化事業や河道整備事業、またダム周辺の環境整備事業の御紹介をしてございます。
 8ページからは、吉野川水系におきます水資源開発基本計画の説明でございます。この水資源開発基本計画につきましては、水系指定をされましたのが昭和41年ということでございます。その翌年の昭和42年に当初の計画が決定されてございます。現行の水資源開発基本計画、通称「フルプラン」というふうに呼んでおりますが、これが決定されましたのが第2次の計画ということでございます。平成4年の計画でございます。その後、平成9年に一部変更という形で部分的な修正がなされてございます。計画の目標年度としましては、足元が昭和59年といたしまして、平成12年を見通すという形でございます。新規事業につきましては、約2m3 /sという形の新規事業を見込みました。このフルプランにつきましては、富郷ダムというダムを掲上しているということでございます。
 9ページは、先ほど申しました水資源開発基本計画の決定、また変更の経緯ということで整理をしてございます。
 11ページ、12ページにつきましては、現行の水資源開発基本計画の水需要想定でございます。参考資料ということでございますが、説明は省略させていただきます。
 13ページに参りまして、この水資源開発基本計画に基づきます事業の実施状況ということでございます。既に第1次のフルプランの中で掲上されました事業で完成しているものが4施設ございます。早明浦ダム、これは四国にとっての水がめということで大変重要な施設でございます。また、池田ダムが完成してございます。それから、新宮ダム、旧吉野川河口堰が完成してございます。また、現行のフルプランの施設としまして、富郷ダムを昭和49年からやってございまして、水資源開発事業として現在進めてございます。平成12年には完成という予定で進んでございます。
 14ページには、完成しました施設ということでございます。水源施設ではございませんが、導水のための施設ということで、今回御審議いただきます香川用水、それと高知分水の2つを挙げてございます。
 15ページには、水源地域対策ということで、水源地域対策特別措置法に基づきます指定ダムということで、富郷ダムの状況を掲げてございます。また、その整備計画につきましても、全体で約23億円ということで、ここに書いてございますような事業をやっていくという形でございます。また、吉野川水源地域対策基金につきまして、ここに書いてございますような事業内容で、水源地域の活性化あるいは水源地域整備計画の支援といったことを行ってございます。
 16ページからが、今回御審議いただきます水資源開発基本計画の一部変更ということでございます。主たるものとしまして、香川用水施設緊急改築事業の追加ということでございます。これにつきましては、17ページ、それから18ページに概要図を載せてございますので、これで御説明したいと思います。
 17ページでございますけれども、事業の目的でございます。香川用水の施設は、昭和43年度から49年度にかけまして建設されまして、50年度から供用されているものでございます。農業用水の補給、また香川県の水道用水、工業用水の供給を行うということで、香川県にとりましては極めて重要な水源施設ということでございます。
 ただ、水路につきましては、昭和50年から供用されているわけでございますけれども、コンクリートのアルカリ骨材反応によりましてひび割れが非常に発生してございます。今見ていただいておりますアルバムの中にもひび割れの状況というものが出てまいるかと思いますが、こういったひび割れが発生しておりまして、用水の安定供給が危惧される状況になってございます。
 また一方で、平成6年のような大渇水も経験したということでございまして、安定供給を確保するということが非常に重要な課題になってございます。また、地震ということにつきましても、阪神・淡路大震災の事例を見るまでもなく対応しないといけないということでございまして、開水路に対しまして必要な補強、また耐震補強ということを行うということをこの事業の中として挙げてございます。
 また、あわせまして、調整池としまして、容量約300万m3 を持つ池を新設するということでございます。この容量を活用いたしまして、用水の安定供給を図るということでございます。
 この事業につきまして、新たに水資源開発基本計画の中に書き込みたいという形でございます。
 予定工期といたしましては、平成11年度から平成20年度までの期間を予定をしてございます。
 事業主体といたしましては、水資源開発公団ということでございます。
 続きまして19ページでございますけれども、用途間の転用についてということでございます。これはフルプランの本文に直接関係するものではございませんが、説明資料の中で書き込みたいという形で御説明をさせていただきたいと思います。
 香川用水につきましては、現在、水道用水を約3m3 /s導水しているわけでございますが、香川県地域の発展によりまして水需要の増加が予想されてございます。そういうことで、香川県としまして広域的な水道整備計画を策定してございますが、この計画におきましては、約0.75m3 /sの水道の増加ということを想定してございます。
 一方、工業用水につきましては、香川用水に関連しました工業用水道によりまして、香川県は1.38m3 というものを確保してございますが、昨今の状況から見まして、このうち0.75m3 /sにつきましては水道用水に振り向けても問題ないというふうに判断をいたしてございます。そういうことで、この工業用水の既に水源手当てのあるものから水道用水に振り向けたいという形でございます。
 (以下、図面にて説明)香川用水の水道の区域につきましては、この部分が香川県でございます。香川用水はこちらの方からずっと入ってきまして、水路が延びていっているという形でございますが、従来、この薄い色で書いておりました地域が給水対象でございますが、今回はこの赤い部分にも広げたいという形でございます。こういう形で、早明浦ダム及び池田ダムを水源としますものにつきまして、工業用水から水道用水についての転換をしたいということでございます。
 以上、参考資料での御説明でございます。
 資料−8に戻ります。これは新旧の対照表でございます。見開きになってございまして、左の方が現行で、右の方が一部変更という形で書いてございます。2ページ、3ページのあたりは需給見通し等の総論のところでございますが、これは特に変更がございません。 4ページの富郷ダムにつきましても特に変更はございません。
 6ページ、7ページの部分でございますが、新しい事業ということで、香川用水施設の改築ということで、こういうふうな形で掲上をしたいということでございます。
 8ページ、9ページにつきましては、一番上の2行の部分で変更がございます。事業の数が1から2になるということでございます。総事業費につきましても、1,480億円が1,900億円に変わるという形でございます。
 10ページ、11ページにつきましては、特に変更ございません。
 12、13、14、15ページも同様でございます。
 16、17ページにつきましては、先ほど御説明いたしました転用に関連いたしまして、香川県の水道用水として手当て済みのものの記載を修正したいということでございまして、香川県の分が3.12m3 /sから3.87m3 /s、これに対応する形で、工業用水としまして、1.38m3 /sが0.63m3 /sに減るという形でございます。また、右の方でございますが、注3という形で、工業用水から水道用水に振り向けたということを表現してございます。
 以上、簡単でございますが、今回の一部変更の御説明とさせていただきます。
○部会長 どうもありがとうございました。
 ただいま事務局から御説明がございましたので、ただいまから御質問、御意見をお願いしたいと思います。どんな事柄でも結構ですので、どうぞ御遠慮なくお願いできますでしょうか。
○委員 私は、初回でございますので、基本的なことをお教えいただきたいと思うのです。
 吉野川水系における水資源開発基本計画として、3ページのところを見させていただきますと、昭和59年度から平成12年度を目途とする間の水の需要の見通し及び供給の目標は云々と書いていまして、今回追加する事業の工期が平成20年度ということになっているわけですね。そうすると、12年度を目標としてやっているのに、工期が20年度までのものが、なぜこの基本計画の中で整合性を持って入ってき得るのか。その辺の考え方をどう考えたらいいのかということをお教えいただけますか。
○事務局 御指摘のとおり、この水資源開発基本計画につきましては、平成12年度が目標年次ということになってございます。ただ、今回掲上いたします施設につきましては、緊急的に改築あるいは手当てをしないといけない部分と、用水の安定性を高めるという意味で調整池を新設するという事業でございますが、こういった事業をしますと、どうしても長期間かかってしまうということがございます。そういう意味で、20年といいますのは、この事業としましての工期ということで、やむを得ない部分があるわけでございます。
 一方、この吉野川の計画につきましては、現在掲上されております施設は富郷ダムだけでございますけれども、そのほかのいろいろな計画につきましては、もともとの目標年次に対しまして、もともと整合しておりました事業が、その後のいろいろな現地での状況等の変化によりまして、工期が延びざるを得ないという形で来ているものがございまして、こういうものにつきましては、実態的な工期としてやむを得ないという形で、目標年次よりさらに先のものという形で挙げているものでございます。
 今回、この一部変更の施設ということで、緊急改築事業ということを掲上しているわけでございますが、これにつきましては、香川県としまして将来的なものも見込みながらやっているわけでございますが、まず今回の一部変更の中では、これを掲上いたしませんと事業として進めることができないという形でございますので、まず必要最小限度の変更ということで、この事業を掲上させていただきたいという形でございます。
○委員 それはわかるのですけれども、12年を目途にいろいろな事業をやって、こういう事業をやりますと言っておきながら、平成20年度までかかる事業費を全部掲げるということになると。目標年次を20年度を見越して云々というような表現になっているのならわかるけれども、目標そのものを12年度で据え置いたままにして、20年度までかかる事業を入れるというのは、その効果が完全に具現するのは平成20年度になってから初めて出てくるのではないか。そうだとするならば、やはりこの計画そのものはどこかでほころびている。または、先ほどが言っていた、次の全面見直しの先取りが既にここに入ってしまって、先取りとしての位置づけでこれを見てくださいということになるのかどうなのか。その辺の論理的な整合性というものをどうお考えになっているのかということをお聞きしたいのです。やらなければならないというのは別にしておいて、計画としての論理的な整合性はどうなのかということをお聞きしたいということなのです。
○事務局 厳密に言いますと、水資源開発促進法に基づく水資源開発基本計画の計画期間は12年度までという限定は別にないわけでして、13年になっても14年になっても、計画としては生きているということでございます。ただ、計画をつくるときの前提として需要の見通しというものを立てないといけないものですので、需要見通しとしての目標として一応12年度という目標を掲げて計画を組んでいるということなのです。計画そのものは、12年になったらその計画はおしまいになってしまうものではないという考え方なのです。ですから、我々は、12年度に終わりますと、新しい計画をつくるのではなくて、見通しのところを変えるという面で全部変更というようにやるというようになっております。我々も、そういう時期が非常に近い時期ですので、あくまでも内容的な変更は必要最小限にしたいと思っているわけなのです。
 いずれにしても、全部変更をしたとしましても、今回は新規の水の需要がどうなるから、それに対しての事業としてどうというのではなくて、需要という問題よりは、安全度が落ちているから安全度を増やそうとか、通常の維持修繕を超える抜本的な調整、大きな修繕工事といいますか、それをやらなければいけない、そういう改築事業ということですので、これは予算面とも絡むわけなのですけれども、20年という先の方になりますが、今段階から事業そのものとしてはスタートしたいということで、11年度から緊急改築というものが少し入り込んできているということになるのです。計画そのものがということになると、確かにそこはわかりにくいのですけれども。
○委員 私の考え方がちょっと合っていないのかどうか。そうすると、この吉野川の水資源基本計画のタイムホライズンというのは、今度の事業をつけ加えたことによって、平成20年度までの計画ということになるわけですか。それとも、そうはならないのですか。
○事務局 確かに20年度までの事業を含むという形になるわけでございますが、水資源部長からの御挨拶の中でもございましたように、目標年次が近づいてきているということでございますので、全部変更と申しまして、水需要の見通しを含めまして全体の枠組みを見直すようなことをやる必要があると私どもは思っておりまして、そのための作業も始めたところでございますが、その中で、より長期的なものについては整理をしていくという形になろうかと思います。
○事務局 正確に言いますと、基本計画そのものが明確に何年というものの計画というようになっていませんので、あくまでも事業計画の中に20年というものの事業が入ってくれば、基本計画としては20年度までが有効期間だというような格好になるということでございます。12年度が需要見通しの目標年度という、ある面では使い分けているのではないかと言われかねないところが確かにあるのですけれども。目標年度を超えても、そのまま計画として継続しているものが従来あるわけなのです。
○部会長 目途は12年度だけれども、それを満足するのには20年までかかってしまうという、そういう感じですね。そういうふうにとればいいわけですね。
○事務局 今回掲上いたしました事業そのものにつきまして、工事の規模とか工程の面からいきまして、どうしても20年まではかかってしまうという形でございます。
○委員 そうすると、今度全面見直しをした段階においては、目標年次は20年または20年以降になって、事業をやる期間と目標年次との間がきちっと整合するようになるわけですか。
○事務局 そういうことになるのです。ちょっと途中なので少し。
○委員 やはりちょっと過渡的なものだと。
○事務局 そういう意味では、非常に目標年次に近づいてきているということで、過渡的な要素の部分もこれは一部含んでいるということかもしれません。
○委員 ただ、11年から事業を開始しないと間に合わなくなるので、総理から諮問をすることにした、こういうことでございますか。
○事務局 はい。今この段階で一部変更はできるだけやむを得ないものについてしたいと思っているのですが、やはり現地の状況で、早く着手したいというものがありますので、やむを得ないのではないかということで、今回一部変更という格好で位置づけさせていただいたわけなのです。
○委員 その辺が何となくわかりにくいのです。本来なら、平成12年までにこれだけの水が必要だから、これだけの施設をつくるのだ、供給設備をつくるのだと。ところが、実際はもちろん工期がおくれるわけですから、本来はそれだけ水が不足になるわけですね。そこのところが何となくまだ十分やっていけるというような現実があるものだから、何となくよくわからなくなってしまうのです。普通の計画ならば、10年先にこれだけの水が必要だからこれだけの設備をつくります、15年度はこれだけの設備をつくります、こういうような考え方ですよね。その辺が一般的な考え方とちょっとずれているような感じもするのですけれども。
○事務局 今回新しく掲上いたします香川用水施設緊急改築事業につきましては、これ単独で新たに水を生み出すということではございません。新規に300万m3 の容量を持ちます調整池をつくりますけれども、これにつきましても、この池を使いまして新規開発をするということではございませんで、安定的な供給のためにつくるということでございます。そういう意味で、緊急改築事業そのもので新たな水手当てをするということではない。ある意味では、維持管理的あるいは安定供給のためという目的が非常に強い事業という形になってございます。
○部会長 そうすると、今の件は、12年度を目途とするというこの基本計画そのものとはちゃんと整合している、そういう理解でよろしいのでしょうか。ただ、工事は、先取りの意味もあって今始めるものですから20年度までかかってしまう、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○事務局 整合といいますか、12年と20年ということで言いますと確かにその分の違いがございますが、今回の吉野川の水資源開発基本計画の中で、まず緊急にこれを掲上して事業を進める必要がある、そういう形で位置づけをしたいということでございます。
○部会長 水量が全体の量としては増えるわけではない、ただ、維持管理を緊急に要するような事態が先ほどのコンクリートの部分で出てきているので、事業を緊急に始めたいと。
○事務局 過渡的措置としてとったとしても、全部変更したときに過渡的措置と全部変更とのギャップができるようなことになると困るのですけれども、新規の水需要という面が増えるというものではないので、また、それに対応する施設ではないので、そこの整合がとれなくなることはないであろうということで、ある意味では先取り的に、事業を急ぐのでやりたいということなのです。
○部会長 そういうことで、水量的には変更はない、だから目標年次の12年度とは整合しているわけですが、緊急に事業が必要だということで、多少全面変更の先取り的な意味合いもあって、ここで事業を先発させたい、そういう理解でよろしいでしょうか。
 それでは、そのほかの御質問、ひとつ遠慮なくお出しいただきたいと思います。
○委員 ただいまの質問に関連するのですけれども、今回の香川用水の緊急調整池を300万トンのものをつくってやるというのはなかなか珍しい事業だと思います。河川からとった水を中で調整して安全率を上げていくというやり方は非常に珍しいと思うのです。今後ますます新たなる水資源開発というのが難しくなってくるだろうと我々は素人考えで思うのですけれども、今回は新規開発ではなしに、安全率が向上する、こういうことでございますが、こういった非常に珍しい、調整的要素による安全率の向上なり新規の開発なりというような施策が今後どんどん出てくるのだろうかということが1点でございます。
 2点目は、先ほどから各先生方がおっしゃっていましたように、吉野川水系に係る需要と供給が12年ということで、もう来年に来ているわけでありまして、どうも私らが見ていますと、吉野川というのは需要があるのかどうか知りませんが、供給の手だてというのが非常に難しくなってきていると思うのですが、全部変更というものをどのようにお考えになるのか。先ほど、需要と供給の目標年次がとっくに消えてしまってもやっている水系もあるというお話もありましたけれども、余りそんな不細工なことはなさらないようにという心配もあって、もう来年に来ておりますので、その先、吉野川水系をどう考えるのかということを許される範囲内でお教えいただければ幸いだと思います。
○事務局 まず第1点の、新規の水需要に対するというよりは、むしろ水利用の安定性の向上という意味での事業が今後出てくるのではないかということでございますが、これにつきましては、この6月に策定いたしましたウォータープラン21の中でも、安定性の向上ということは非常に大きなテーマとして挙げてございます。その背景には、最近の雨の降り方そのものが非常に厳しい方向に変わってきている。降るときはドカッと降るけれども、降らないときは非常に降らないという形で、状況がむしろ厳しくなってきているということを背景にいたしまして、安定性の向上というものが大きな課題だということを言ってございます。こういうことを受けまして、このフルプラン、水資源開発基本計画の変更につきましても、そういう考え方を受けまして検討を進めていきたいと考えております。
 吉野川としてどうするかということでございますが、これにつきましては、まだ関係の省庁、また関係の県と御相談を始めたという段階でございますので、余り具体的に申し上げられる段階には至っておりませんが、いずれにしましても、水資源開発審議会としましてつくっていただきました調査企画部会の中でいろいろ御議論いただきまして、その中で水資源開発基本計画のつくり方そのものの議論も出てまいるかもわかりませんが、そういうことも含めまして検討していきたいと思っております。
○委員 ついでですけれども、香川用水のこの調整池は、河川法に基づく許可水利権には何ら変更はない、こういうふうに了解していいのですか。
○事務局 それにつきましては、先ほど転用という話もいたしましたので、これに関連する部分は当然出てくるということです。
○事務局 繰り返しになってしまうかもしれませんが、全国の総合水資源計画という、マクロ的に全国を見た計画を今回12年ぶりくらいに見直して発表したのですけれども、水の需要という面では、従来予測していたよりは実績の伸びは相当低い伸びでございますし、今後も需要としてはそう大きく伸びることはないだろう。生活用水等は若干伸びてきますけれども、そういうものになっています。それから、供給の方につきましては、先ほど話がありましたように、名目上は10m/sを供給できると言っていても、雨が少ないと7m/sとか6m/sしか供給できないという実態があるわけでして、最近の雨が少ない状況から見ると、今まで50m/s、100m/sやれていたものが、どうもその7割とか8割ぐらいしか実力がない、落ちてきているのではないかということでして、そういう面で、もう一回、これから10年後、15年後の目標に対して需要をどういうように個々の水系で見るのか。それに対して供給をどうするのか。今までの計画は、どちらかというと需要も目標よりは低かった、地域の事情もあって供給も予定どおりはできなかった、各水系ではマクロ的に言うとそういうことなのです。そういうものを踏まえて、これからまた10年後、15年後を新たな目標年にして、需要をどう見込み、それに対して安定性というものを含めてどういう供給を組むのか。それから需要面につきましては、いわゆる従来の上水、農水、工水だけでなくて、最近、環境用水とかそういうものも計画の中に入れ込んだらどうかというようなことがありまして、そういうものが全部変更のときには、今みたいな検討がなされて、新たな計画がつくられるということになります。その中で、雨が少なくなっていることを踏まえて安定性を上げるというのが非常に大きなポイントになっていまして、そういう観点からは、今回のような、水利権は全然ふえないけれども、安定性を上げるためにこういう調整池をつくるのだとか、既存の施設を少し大規模に改築するとか、そういうものが多分相当数入ってくる可能性は高いというように私どもは考えております。そういう面では、それもちょっと先取り的なものであるということです。
○部会長 需要そのものは余り伸びないだろうけれども、供給サイドの、気象条件の方が変わってきているというような御説明かと思います。
 そのほかにございませんでしょうか。
○委員 一つ教えていただきたいのですが、今の300万mの調整池に関連しまして、確かに水資源の基本計画は渇水量の何トンということになっていますが、この300万mを入れたとして、年間総利用量は変わらないのでしょうか。香川用水の利用量というのは。
○事務局 その点につきましては、これは吉野川に関係します県の間でいろいろ協議が行われておりまして、基本的には、今回の300万mの池をつくることによりまして、吉野川からとる水の量に影響を及ぼすものではないというふうに聞いております。では、どうやってこれをためるかということになりますが、香川県の中でこれはいろいろ努力しまして、節水等をいたしまして、その中で300万mの池の中にためていく、それでいざというときに使えるようにしたい、そういう形でございます。
○委員 そうすると、ためる量を先取りしているというわけではないわけですね。節水の分をここにため込んだ、より利用の合理化を図っていこうという発想ですね。
○事務局 あくまでも池田地点からとる総量は変えない、それの使い方を、少しずつ貯金するみたいにしてためておいて、いざ困ったときにそれを使うというのが香川県の考え方です。
○部会長 ほかにございませんか。
 ございませんようでしたら、この辺でそろそろ取りまとめに入らせていただきたいと思います。
 貴重な御意見をたくさんいただきまして、どうもありがとうございました。本日の議案であります吉野川水系における水資源開発計画の一部変更についてということでありますが、内容は既に説明のあったとおり、香川用水の従来の水利構造物が非常に劣化が早かったので改修したいということと、よりスムーズな、効率的な水利用のために300万mの調整池をつくりたいということ、それから事業主体は水資源開発公団で、予定工期が11年度から20年度まで、それから水利権の一部譲渡で、工業用水から水道用水へ0.75m/s動かしたいということであります。総量は変わらない。それから総事業費が、1,480億円が1,900億円ということで約400億円ほどふえる。そういう内容でございますが、これをこの吉野川部会として了承させていただくということで御異議はございませんでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
○部会長 ございませんようですので、そのように取り扱わせていただきたいと思います。
 御了承いただきましたので、29日に開催されます水資源開発審議会の場で吉野川部会としてこの報告をさせていただくことになります。当日、大変恐縮なのですが、私、国と同じような審議会がございまして、どうしても会長という役になっていまして、欠席するわけにはいきませんので失礼させていただきたいと思います。本日、御出席の委員の先生方の中でかわって御報告をお願いしたいと思います。大変恐縮ですけれども、私の方から、そのお役を八木橋委員にお願いできれば大変ありがたいと思いますが、そのことも含めまして御了承いただけますでしょうか。
 (八木橋委員より了承の意思表示あり)
○部会長 勝手でございますけれども、よろしくお願いします。
 では、本日、皆様方からちょうだいいたしました貴重な意見を報告させていただきたいと思いますけれども、その内容につきましては私と八木橋委員で御相談させていただきたいと思いますので、御一任をお願いしてよろしゅうございましょうか。
 (「異議なし」の声あり)
○部会長 異議なしと存じますので、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それではそのように取り扱わさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 2)その他
 
○部会長 最後に国土庁の方から何かございましたら、まだ少し時間があるようでございますので、よろしくお願いいたします。
○事務局 本日は、御熱心な御討議、本当にありがとうございました。私どもは全部変更を間近に控えておりまして、そういう時期の一部変更でございまして、全部変更の方もきちっと円滑にやりたいと思います。ひとつまた御指導方よろしくお願いいたします。本当にきょうはありがとうございました。
 
 5.閉  会
 
○事務局 これをもちまして水資源開発審議会吉野川部会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。