臨時大深度地下利用調査会(第3回)
議事概要
日時:平成8年1月30日(火)
場所:通商産業省別館833会議室
開会
有識者ヒアリング
(大深度地下利用一般)
現在、地方分権の議論が盛んになされており、分権を進めながら、例えばリニア中央新幹線のような大規模な国家的プロジェクトは国が決めるということも大事だ。そこの調和をとった制度を考えていくべき。
OECDではコンパクトな都市を作るべしとの議論が主流になってきている。大深度地下を使って共同溝や地下変電所、都市高速道路などを作ることはこれに有効であろう。
(防災対策等)
地下空間の災害は1970年からの20年間で626件だったが、その内、災害の種類としては、火災が一番多かった。
大深度地下においては、耐震性は増加するが、ガス・地下湧水の危険性が増加し、また心理的不安感も増す。また、非常時に情報伝達が困難となる。
安全対策として、特別安全区画、シャフト(防災井戸)をもうけること等が必要だ。
作り替えが出来ないことを考えても、安全確保とこれに資する景観(内部の空間設計)上の工夫にはたっぷりと金を掛けた方がいい。
(トンネル施工技術等)
都市トンネルの工法には、開削工法、シールド工法、ナトム工法がある。
シールド工法は、都市部近郊で見られるほとんどの土質に適用できる。また、施工の深度の限界は、トンネルに作用する水圧によって決まると考えられる。
東京湾横断道路では、6kgf/cm2の水圧がかかっている。一概に言えないが現状技術ではもう少し水圧の高いところでも耐えられると考えられる。
シールド工法の施工技術等は近年著しく向上しており、現在行われているトンネル工事では大部分が0〜10mm以下の地表面の沈下に収まっている。
地山のもつ強度を積極的に利用し、支保構造物を最も合理的なものにすることを基本原理としたトンネル工法であるナトム工法は、近年、水圧を下げる工夫が必要なものの、地下空間形状の自由度が高いため、都市部のトンネル工事でも、一部採用されるようになってきている。
(海外事例)
ストックホルムは地盤が固く、環境保護の意識も高いため、地下利用が進んでいる。地下鉄の駅では、岩盤にコンクリートを吹き付け、その上を使って美術家に絵を描かせたりしている。
ジュネーブのレマン湖では湖底を民間に貸し付けて駐車場を整備させている。20年前に作られたが、1,450台も収容できる。
パリでは中央市場の跡地を使って、フォーラム・デ・アールという複合的な地下空間を整備した。地下鉄の他、地下道路、ショッピングセンター、プール、広場といろいろなものがある。
ボストンでは高速道路の地下化を進めている。今はその上部空間之利用をどうするかの議論が行われている。
モントリオールはランドマークの山を見通せる目的と冬の寒さに配慮し、地下鉄を中心に20kmにも及ぶ地下のネットワークを作った。駅のコンコースに図書館を設けたりしている。
欧米先進国の地下利用については、国民性、歴史性、気候など背景はさまざまである。総じて言うと、いいものなら地下を使っていこうというコンセンサスがあるように思われる。
その他
技術・安全・環境部会の設置を報告。同部会の議事規則を決定。
閉会
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
問合せ先 国土庁大都市圏整備局計画課大深度地下利用企画室
(室長)真鍋 (課長補佐)大槻
(電話)03-3501-6484 (Fax)03-3501-6534