臨時大深度地下利用調査会(第10回)
議事要旨
日時:平成10年5月13日(水)10:00〜12:00
場所:通商産業省別館933号会議室 |
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- 開会
- 技術・安全・環境部会報告について
技術・安全・環境部会報告の内容について、部会長及び事務局から説明がなされた。
部会報告の概要は、次の通り。
<技術・安全・環境部会報告の概要>
(1)大深度地下の定義
大深度地下を「土地所有者等による通常の利用が行われない地下」、すなわち、「@地下室の建設のための利用が通常行われない地下」、「A建築物の基礎の設置のための利用が通常行われない地下」のいずれか深い方から下の空間と考え、具体的に定義した。
(2)技術・安全・環境面の課題
@技術分野
- 現在の調査技術は大深度地下の調査にも対応可能である。
- 現行の施工方法を適切に用いることで、深さ100m程度までの空間に施設を建設することが可能である。
- 建設コストはルート短縮等を考えると微減から4割増程度、これに加え、補償費の軽減、期間の短縮化により経済性を見込める場合がある。
A安全分野
- 安全の確保
火災対策が特に重要。
これまでの長大トンネル、超高層ビルの安全対策で対応可能と考えられる。
地震に対して既存技術により対応可能。
- 快適で安心できる内部環境の維持
日常の救急・救助活動、犯罪防止、漠然とした不安感の払拭、快適性の維持、弱者対策は重要
B環境分野
- 環境への影響が著しいものとなることを回避することが重要。
- 環境影響評価制度を積極的に活用し、地域の理解を得つつ円滑な事業の推進を期待。
- 詳細な調査、分析を行い、各段階で対策を実施し継続的にモニタリングする事が重要
- 地下水(取水障害、地盤沈下、流動阻害、水質汚染)、地盤変位、化学反応、掘削土の処理に適切に対応することが重要。
(3)大深度地下の適正かつ計画的な利用のあり方
計画的に利用すること、長期的な視点に立つこと、構想等の早い段階から調整すること、社会資本整備全体との連携・調整すること、情報を収集・整備することが重要。
- 法制部会報告について
法制部会報告の内容について、部会長及び事務局から説明がなされた。
部会報告の概要は、次の通り。
<法制部会報告の概要>
(1)大深度地下利用制度のあり方
大深度地下には土地所有権が及んでいないとは言えないが、利用の利益は薄いので、公益性を有する事業に対し土地所有権に優先して使える権利を行政庁が設定することができる。また、大深度地下は貴重な空間であるので、構想段階からの調整等を行い、適正かつ計画的に利用する。
(2)大深度地下の定義
大深度地下を「土地所有者等による通常の利用が行われない地下」、すなわち、「@地下室の建設のための利用が通常行われない地下」、「A建築物の基礎の設置のための利用が通常行われない地下」のいずれか深い方から下の空間と考え、具体的に定義した。
(3)制度を適用する地域
当面、東京、大阪、名古屋をはじめとする大都市及び周辺地域とすることが妥当である。これに対し、基本的には全国的に適用することが妥当との意見もあった。
(4)制度を適用する事業
鉄道、道路、河川、電気、ガス、通信、水道等の公益性のある事業。
(5)適正かつ計画的な利用の確保
計画的に利用すること、長期的な視点に立つこと、構想等の早い段階から調整すること、社会資本整備全体との連携・調整すること、情報を収集・整備することが重要。
(6)補償の要否
深い井戸、温泉井の掘削の制限や、荷重制限が行われたとしても、現行最大級程度の高層建築物が建設できれば、補償は不要であると推定されるが、例外的ながらも損失が生じる場合には補償がなされるべきである。
井戸、温泉井等の既に存する物件等に関する補償はなされるべきである。
(7)手続
説明会の開催等を行い、事業の公益性、大深度地下を使用する必要性、適正かつ計画的な利用への適合等を審査した上で、使用権の設定を行う。
補償の手続を置くが、使用権の取得後土地所有者等から要求があった場合に、補償を行う手続とする。既存物件等については、明渡しまでに補償を行う。
(8)損害賠償責任
特別の制度の導入は不要。ただし、国民の理解・安心を得るためという政策的な理由から、無過失責任制度等の導入も考えられるという意見があった。
(9)諸制度との関係
他の社会資本、鉱業権等とは、使用権を設定する前に適切な調整を行う。
浅深度地下、地上の用地取得の見込みも考慮して使用権を設定する等土地収用制度との連携を図る。
中間報告(H9.6)以降の法制部会においてなされた、@補償(既存物件への補償を含む)の手続のあり方、A損害賠償責任制度のあり方、B大深度地下における開発規制のあり方、C大深度地下利用制度と他の公共公益性を有する事業や土地収用制度との関係、D使用権取得に関する手続の詳細等について藤田部会長及び事務局より報告があった。
- 臨時大深度地下利用調査会答申(案)について
事務局より、上記技術・安全・環境部会と法制部会の報告を基に作成した答申(案)についての説明がなされ、これに対して、以下のような意見が出された。
<主な意見>
- 答申の前書きに当たる部分において、大深度地下を適正かつ計画的に利用することの重要性や、安全の確保、環境の保全の重要性について、もう少し強調して述べる必要がある。
- その他
次回は5月27日に開催することとし、答申を決定する予定となった。
- 閉会
問い合わせ先 国土庁大都市圏整備局計画課大深度地下利用企画室
(室長)真鍋、(課長補佐)岩月、佐藤
(電話)03-5510-8046 (fax)03-3501-6534