土地政策審議会（第９回）
議事概要

　４月24日午後１時より、東條会館において、第９回土地政策審議会が開催された。審議の概要は以下のとおり。

1. 会長互選

   委員の互選により、根本二郎委員が会長に選出された。

2. 会長代理の指名

   根本会長により、河野正三委員が会長代理に指名された。

3. 諮問

   今後の土地政策のあり方について、内閣総理大臣から諮問がなされ、企画部会に付託して審議を進めることとなった。

4. 意見概要

   今後の審議等に関し、各委員から出された意見の概要は次のとおり。

• これまでの土地政策の基本は大筋間違っていなかった。問題は、土地についての基本理念、土地基本法の目的をいかに実行するかということ。
  
• 土地政策の推進にあたっては、総合調整官庁である国土庁がイニシアティブを発揮し、各省庁との連携・調整を図るべき。
  
• 土地の公共性という視点を重視すべき。
• 土地政策を議論する上で、大都市圏と地方圏とを区別すべき。
• 地方圏では利用価値に応じた地価水準が大体実現しているが、大都市圏の地価水準はまだ高いと思われるので、ＧＤＰとの比較ではもういい水準になってきたのではないかという判断はおかしい。
• 極端に地価が上昇、下落するのは問題だが、現在、地価はいい水準にきているのではないか。
• 土地政策においては、長期的な観点からの土地利用計画の充実及びそれに基づいたインフラ整備が重要。
• 定期借地権の活用を図るべきであり、利用しやすくするための制度自体の多様化や公的機関の積極的な関与が必要ではないか。
• 地価公示価格は、実勢価格を適切に反映しているのかどうか疑問があり、地価公示制度の再検討が必要ではないか。
• 特に遅れている大都市圏を中心に、地籍調査の積極的推進が重要。
• 土地政策の目標と、それを達成するための法制、税制、金融等の手段が合致しているのか疑問。経済は生き物であって軽視すべきではなく、あまりにも土地政策に信頼を置き過ぎるのは問題。
• 土地問題を考える上では、産業政策、社会政策の両面から考えるべき。日本人の心の問題、社会不安の根底に、住宅問題を含めた土地問題がある。
• 欧米先進諸国の土地政策を検討すべき。
• 不良債権の担保不動産について、アメリカでは、ＲＴＣが積極的に整理を進めて１０万戸の住宅供給が実現したが、我が国でも、過去の負債の処理のみならず、前向きに検討することが必要。

5. その他

• 諮問に対しては、今後、年内をメドに、一定の報告を提出することとなった。
• 次回の審議会は５月２０日で、平成８年版土地白書の審議を予定。