土地政策審議会(第10回)
議事概要
平成8年5月20日
国土庁 土地局
5月20日午後2時より、東海大学校友会館において、第10回土地政策審議会が開催された。審議の概要は以下のとおり。
諮問・答申
平成8年度において土地に関して講じようとする基本的施策(案)について、内閣総理大臣から諮問がなされ、一定の質疑の後、異議がない旨答申された。
意見概要
各委員から出された意見の概要は次のとおり。
アンケート調査では、売手と買手、持てる者と持たざる者がそれぞれどう判断しているかなど、クロス分析をして欲しい。
土地の経済的側面の分析は詳しくなされているが、土地の利用形態や付加価値、安全性や防災の問題、細分化の状況など、望ましい土地利用形態にどれだけ近づいているかという分析も必要ではないか。
東京都内など、相続税のため土地を細分化せざるをえない状況がある。資産の公平や社会的公平といった観点もあるのだろうが、土地利用そのものを確実に悪くしており、土地白書でも分析すべき。
土地政策の3つの目標のうち、土地神話の打破と適正な地価水準の実現については達成されつつあるが、適正かつ合理的な土地利用の実現は残された課題であり、これからは土地利用の問題に真剣に取り組んでいくべきだと考える。その場合、土地利用計画をどう作っていくか、それに地権者や住民とかをどう参加させていくかが重要。
土地利用の問題は、国全体の政策や経済動向に左右される問題だが、県や市町村の取組が重要。土地の有効利用を進める場合、政策の主体は、国よりも県や市町村のレベルなので、白書でも、県や市町村の動きをもう少し分析し、指導や支援のあり方について検討すべき。
国の用意している土地利用計画や土地利用規制の諸制度が必ずしもうまく利用されていないのではないか。制度の整備も重要だが、自治体の取組や、行政能力、地域住民や地権者の意識向上といったことが非常に重要な課題だ。実際、自治体レベルで、諸制度の不備を補いながら積極的に取り組んでいる例がある。
首都機能移転は我が国にとって大きな課題であるが、中でも、跡地利用は重要な問題ではないか。国土審でも検討されているようだが、本審議会でも、この問題について検討すべきではないか。
現在の我が国経済においては、資産デフレが構造的に改革すべき問題であり、土地税制について、全般的に見直し一定の調整を行うとあるが、抜本的に見直すぐらいのことを書いてもいいのではないか。
土地政策といっても、都市における土地政策になっており、中山間地の問題が抜けているのではないか。
首都機能移転問題について、もっと国民世論を高めることが必要。
土地白書の一番の問題は、フローの統計は充実しているが、ストックのデータが不足しており、景気との関係でどのように判断したらいいかというデータがないという点だ。
地籍調査をもっと促進するよう打ち出すべきではないか。ストックのデータなど、基本的データを充実させる方向で検討して欲しい。
地方における一番の土地問題は、線引きの接点のところの争い。これまで線引きがどのような問題を生じさせているのか、といった実情を踏まえて報告すべき。
地籍調査の達成率は40〜50%となっているが、土地を議論する際の一番大もとの基礎データなので、いつまでに達成するのかというスケジュールを明示して欲しい。
定期借地権は、21世紀の土地の利用や所有に関する大きな哲学的課題を提示しているものと認識しているが、白書の記述からは、そのメリットについてどう認識しているのか伝わらない。国土庁が最初に取り上げ、制度創設に当たり重要な役割を果たしたということをよく認識すべきであり、さらに適切な実態把握に努めて欲しい。
これからは、地価の問題もさることながら、「所有から利用へ」ということが一番大きな問題になる。有効利用のためには、東京都の有効利用促進協議会や民間都市開発推進機構、区画整理促進機構、第都市近郊土地利用調整推進協議会など、いろいろなものがあるが、これらがどのように整合性を持ってやっていくかを考える必要がある。
土地利用の問題は、今後の土地政策審議会の一番大きな課題になってくると思うので、何らかのガイドラインのようなものを作る必要があるのではないか。
問合せ先:国土庁土地局土地政策課 (課長) 長瀬、 (課長補佐) 河野
(電話) 03-5510-8030 (FAX)03-3501-8828