第12回国土審議会特殊土壌地帯対策特別委員会 議事録
 
 
平成12年11月21日(火)
中央合同庁舎第5号館 (26階) 共用第9会議室
 
議事次第
 1.開   会
 2.委員等紹介
 3.委員長挨拶
 4.総括政務次官挨拶
 5.議   事
 (1)第10次特殊土壌地帯対策事業計画の進捗状況について
 (2)特殊土壌地帯対策をめぐる最近の状況について
 (3)特殊土壌対策の特徴と評価について
 (4)その他
 6.閉   会
 
               午後1時30分 開会
 
                 1.開  会
 
○事務局
 定刻になりましたので、ただいまから第12回国土審議会特殊土壌地帯対策特別委員会を開催いたします。
 私は、担当の審議官でございます。
 
               2.委員等紹介
 
○事務局
 開会に当たりまして、前回(昨年11月)の本委員会以降、本日までに委員の交代がございました。新委員の方を御紹介申し上げます。
 まず、市町村議会議長といたしまして、島根県松江市議会議長の後藤v一様。
 それから、高知県伊野町議会議長の西川かず子様。
            〔各委員それぞれ自席にて挨拶〕
○事務局
 その他の委員の方は変更ございません。委員長も前回同様、須賀委員にお願いしております。
 お手元に委員名簿を資料2という形で用意させていただいております。
 本日、この委員会には、加戸委員、檜山委員、斉藤委員、それから小橋委員の4名の方が御欠席となっております。定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。それでは、議事の進行につきまして、委員長、よろしくお願いいたします。
 
               3.総括政務次官挨拶
 
○委員長
 ただいま、蓮実総括政務次官がお見えでございますので、政務次官から御挨拶をお願い申し上げます。
○総括政務次官
 蓮実進でございます。御苦労さまでございます。
 本日、ここに第12回国土審議会特殊土壌地帯対策特別委員会が開催されるに当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 須賀委員長を初めとする委員の皆様には、御多忙中にもかかわらず遠方より本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。また、常日頃、国土行政の全般にわたりまして御尽力をいただき、とりわけ特殊土壌地帯対策の推進につきましては格別の御指導、御鞭撻をいただいていることに対しまして、この機会をお借りしまして、改めて厚く御礼を申し上げたいと存じます。
 さて、特殊土壌地帯対策は、昭和27年に特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法が制定されて以来、治山治水、農業農村整備等の各種対策を実施し、相当の成果を上げてまいりました。しかしながら、特殊土壌地帯では、宅地の造成など都市化の進展に伴って土砂災害の危険箇所が増加傾向にあるなど、なお対策を必要とする地域も数多く残されておる現状であります。最近では、21名の犠牲者を出しました平成9年の鹿児島県出水市の土石流災害、広島県を中心に死者・行方不明者39名を数えた昨年6月末の梅雨前線豪雨による土砂災害は記憶に新しいところであります。また、農業面につきましても、水を利用するハウス栽培の増加などに対応するため、かんがい排水施設の一層の整備が必要となるなど、取り組むべき課題も数多く残されており、改めて特殊土壌地帯対策を進めていく必要があると感じております。
 本日は、平成13年度まで5年間の対策である第10次特殊土壌地帯対策事業計画の進捗状況を御審議いただくとともに、併せて、今後の対策の進め方について忌憚のない意見交換をしていただければ幸いと存じます。
 国土庁といたしましては、本日の審議内容を踏まえまして今後の特殊土壌地帯対策を進めてまいりますので、委員の皆様におかれましては引き続き御支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。
○委員長
 大変どうもありがとうございました。
 総括政務次官は公務御多忙でございますので、今から退席をされます。大変お忙しい中をありがとうございました。
〔総括政務次官退席〕
 
               4.委員長挨拶
 
○委員長
 それでは、審議に入ります前に、私から一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、委員の皆様方には大変御多忙の中を当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
 御案内のとおり、昭和27年に特土法が制定されまして以来、これまで5年ごとに9回にわたりまして期限延長がなされ、現行法の期限の平成13年度末でちょうど50年となります。この間、関係の方々の御尽力によりまして、特殊土壌地帯の災害防除並びに農業生産力の向上は着々と成果が上がってきているところでございます。
 当委員会におきましては、平成9年度から平成13年度までの5年計画を、すなわち、第10次特殊土壌地帯対策事業計画の3年目の進捗状況につきまして御審議をいただき、あわせまして、現場でのシラス対策、赤ホヤ対策等に取り組んでまいりました鹿児島県、宮崎県の担当課長より、それぞれの特殊土壌の特徴や対策事業の実施につきまして発表をしていただき、意見交換を行いましたのが前回の委員会でございます。
 そこで、本日は、まず議題の一つといたしまして、4年目の半ばを過ぎました第10次事業計画の進捗状況について事務局から御説明をいただき、それにつきまして御審議を賜りたいと存じます。
 続きまして、議題の2といたしましては、平成13年度末の特土法の期限切れを控えまして、特殊土壌地帯の現状や課題を御説明いただきますとともに、中央省庁の再編や、それに伴います国土審議会の新しい体制等につきまして御説明をいただき、意見交換を行いたいと考えております。
 次の議題の3といたしましては、本特別委員会の運営規則第6条によりまして、昨年に引き続きまして、現場で花崗岩風化土の対策に取り組んでこられました広島県の○○砂防課長さんから、特殊土壌対策の特徴や今後の対策等につきまして、御意見、御要望などを伺うことといたしたいと存じます。
 皆様方の御協力によりまして本特別委員会を円滑に進めてまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。何とぞ、よろしくお願いを申し上げます。
 
                5.議   事
      (1)第10次特殊土壌地帯対策事業計画の進捗状況について
      (2)特殊土壌地帯対策をめぐる最近の状況について
 
○委員長
 それでは早速、議事に入らせていただきます。
 本日の議題は三つございますが、まず最初に、議題(1)、議題(2)につきまして、事務局から一括して資料の説明をお願いいたします。
○事務局
 担当課長の山村豪雪地帯振興課長でございます。
 説明に入ります前に、お配りしております資料の確認をさせていただきたいと思います。 資料が1番から10番までございます。資料1は「議事次第」、資料2は、特別委員の名簿です。資料3が、横長の「第10次特殊土壌地帯対策事業計画の実施状況について」、資料4といたしまして、これは縦長の資料になりますが「平成11年度特殊土壌地帯対策推進調査報告書について」、資料5といたしまして「特殊土壌地帯の現状と課題」、資料6が「中央省庁等の改革について」、資料7が「国土審議会令について」、資料8はパンフレットでございますが、土砂災害防止法の関係のパンフレットとなっております。資料9は、気象庁の資料でございますけれども、「土砂災害に対する一層の警戒を伝える警報等の発表について」という資料、最後に、資料10といたしまして「特殊土壌地帯の特徴と評価について(その2)」ということで、これは広島の方から花崗岩風化土についてお話しいただく際の資料でございます。
 それとは別途、封筒の方へ参考資料の1番から5番ということでお配りさせていただいております。参考資料1が、昨年(前回)の当特別委員会の議事録でございます。参考資料2が、今日お話しをいただきます広島県の○○さんのプロフィールでございます。それから、参考資料3が「特殊土壌地帯対策の概要」、参考資料4が「特殊土壌地帯対策関係例規集」、関係法令等を一括して整理をしたものでございます。それから、参考資料5といたしまして「特殊土壌地帯対策事業一覧」ということで、特殊土壌対策として行われております関係各省の諸事業につきまして、事業の内容、採択基準、国庫補助率等について、まとめたものを差し上げております。
 それでは説明に入りたいと思いますが、先ほど御紹介いたしましたように、本日初めての方もおられますので、参考資料3で、この制度の概要についてまず御説明をしておきたいと思います。
 なお、土壌でございますので、なかなか口で言ってもわかりませんので、代表的なものを六つほど、土壌のサンプルを用意してお回しいたしますので、御覧いただきたいと思います。
 参考資料3の5ページでございますが、特殊土壌地帯対策につきましては、昭和27年から5カ年ずつ、これまで10回にわたる計画を立てて実施をいたしております。第1次から9次まで45年間になるわけですが、その間の実績額を累計いたしますと7兆9千億円ほどとなっております。こういう事業費の中で、特殊土壌地帯の保全、災害防除と農業生産力の向上に効果を上げてきたわけでございます。現在は、5ページの表の一番下にあります第10次の計画ということで、1兆9千億円ほどの計画額で事業を実施いたしております。
 次に、6ページで御説明をしておきたいと思います。この特土計画に基づきます優遇措置というものを取りまとめてございます。この特土計画に記載されている事業が実施されますと、「後進地域の開発に関する特例法」というのがございまして、それによる補助の特例が適用されております。右側の表−4に関係県の国庫負担率の引き上げの率をそれぞれ記載いたしておりますが、各県の財政力の状況に応じて、その国庫負担率が引き上げになると、こういう制度でございます。現在、10県に対しまして、こういう引き上げ措置が講じられております。この引き上げ額といたしましては、年間約60億円という数字になっております。
 それから、特土計画に基づきます農地保全整備事業のうち、シラスに関係しますものにつきましては、地方債の元利償還措置の一部が基準財政需要額に算入され、交付税措置がなされているということでございます。
 そのほか、この事業計画をつくるということと、それから表5にありますように、その他予算措置等で、例えば、国営かんがい排水事業の一定規模以上のものにつきましては、通常3分の2の補助率が70%に引き上げられているとか、あるいは採択基準の緩和等がなされていると、こういう制度でございます。
 以上が制度の概況でございます。
 続きまして、お配りしております資料3に基づきまして、現在走っております第10次の計画の進捗状況について御説明をいたしたいと思います。右肩に「資料3」と書きました「第10次特殊土壌地帯対策事業計画の実施状況について」という、横長でまとめたペーパーでございます。
 資料をお開きいただきまして、1ページでございますが、第10次の特殊土壌地帯対策事業計画の姿というのが右側の方に載っております。合計で1兆9,580億ほどの事業費を積み上げております。「治山」から始まりまして、「河川」、「砂防」、「治水ダム」、それから「農地防災」あるいは農業生産力を向上させるための「かんがい排水」でありますとか、あるいは「畑作振興」でありますとか、そういう事業を取り上げて計画に記載しているわけでございます。計画につきましては、この事業費と国費というのが計画の内容になっているわけでございます。
 その下の「進捗状況」でございますが、平成9年から12年度の4年間の実施見込みを集計いたしますと、事業費ベースでいきまして1兆8,561億円ということでございます。したがいまして、計画額に対する進捗率は95%ということになります。5年計画の4年目でございますから、標準的なその8割を超える非常にいい進捗状況となっております。あと1年残っておりますし、12年の補正の予算というものもございますので、計画の達成はほぼ確実と、こういう状況になっているわけであります。
 それから2ページを御覧いただきまして、4年間の1兆8,500億は、どういうふうな形の事業が行われているかというのが次のページでございます。ウエイトとして一番高いものが河川改修で約20%、それから砂防の事業が19%、以下、治山の事業、あるいは、かんがい排水の事業というのが割合では10%を超える主なものということになっているわけでございます。全体的に申し上げまして、農地の防災事業も含めまして災害防除関係の事業の比率が7、それから農地改良関係の事業の比率が3ということで実施をされております。
 それから、その下の棒グラフのところでありますが、「事業別の進捗状況」ということであります。これを見ていただきますと、ほとんどの事業で5カ年計画の4カ年目の平均となります80%を上回るということでございます。特に、治山でありますとか、砂防でありますとか、治水ダム、あるいは農地防災、中山間総合整備というのは非常にその進捗率が高くて、既に計画達成の状況にございます。このグラフの中で、真ん中より少し右の「農道整備」が70%を切るぐらいで少し低そうに見えるわけでありますけれども、これは、例えば中山間総合整備事業の中で農道が整備をされていたり、あるいは畑作振興の中で農道が整備をされるということもございまして、農道そのものの整備が遅れているということを示しているものではないわけであります。
 それから3ページですが、それでは、県別にどういうふうな実施状況になっているかというのが、このページでございます。ここでは、数字の関係上、指定をしております14県のうち、全県指定県、鹿児島、宮崎、高知、愛媛、島根の5県でございますけれども、その事業費が非常に大きいということであります。それぞれ比較をしてみますと、それぞれの県の特殊土壌の指定面積の割合に大体合ったような形で事業が実施されているということが言えるかと思います。それから、各県で実施をされております事業内容には、当然ながら、それぞれの地域によって状況が違いますので差が見られまして、兵庫、静岡、山口といったところでは災害防除関係の事業の割合が高くなっております。鳥取、福岡では農地改良関係の事業の割合が高くなっているというのが、その特色かというふうに思います。
 それから4ページでございますが、4ページで、全国的な事業の実施状況との対比ということをいたしております。事業計画に計上されているすべての事業をとりますと、特殊土壌地帯では全国の17%の事業が実施されていると、こういうことになっております。一方で、特殊土壌地帯の指定をされておりますところの面積が日本全土の15%でございますので、高い比率で事業が実施をされていると、こういうことになります。
 事業別に見たのが、その下のグラフでございますけれども、事業別に見ますと、農地防災、あるいは治水ダム、急傾斜崩壊などで事業の実施割合が高くなっているわけでございます。そのほかのものも特殊土壌地帯では積極的に実施されているということが言えるのではなかろうかと思うわけです。
 以下、それぞれの数字をつけておりますので、これは後で御覧いただきたいというふうに思います。
 続きまして、資料4でございます。縦長の資料でございますが、「平成11年度の特殊土壌地帯推進調査報告書の概要」につきまして、御説明をいたしたいと思います。
 この調査につきましては、「調査目的」にございますように、この法律で対象としております7種類の特殊土壌につきまして、その今日的な意義とか必要性というものを主に学術的な観点から整理をしてみるということで、この調査を実施いたしたわけでございます。
 「調査体制」につきましては、学識経験者の方、今日御出席をいただいております○○委員にも御協力をいただきまして検討委員会を設置いたしました。検討委員会を設置した上で、関係県の御協力も得まして現地調査、あるいはその事例の収集等を実施し、評価をいたしたわけでございます。
 どういうふうなことをやったかということで、その次からついております「報告書要旨」の4ページ以降で少し御説明をしたいと思っております。ついております報告書要旨の4ページに「シラス」というのがございます。全体的な整理として、まずそのシラスというのはどういうものかというところから出発をし、それが災害防除面あるいは農業生産面でどういう特徴があるのかと、そして、それによって主な災害被害としてはどんなことがあるのかと、あるいは、その災害被害を防ぐための対策内容としてはどういうことがあるのかと、こういうことを整理をしていって、今日的な意義なり必要性はどうかと、すべて同じ方式で各土壌について点検をいたしております。
 シラスで御説明いたしますと、「性状」としては、そこにございますように、軽石を含んだ火山灰土壌で、非常にその層が厚いということがございます。こういうことから、「特徴」といたしましては、雨による侵食、崩壊を受けやすく、土石流が非常に発生しやすいでありますとか、あるいは地震により崩壊しやすいと、こういうことが起きます。それでは、その「災害」としては、例えば侵食あるいは土石流というようなことが起きるということで、「対策」としては、表面排水を促進するために、例えば集水路・排水路等を濃密に施工をしてそれを防ぐような工夫をしなくてはいけないと、こういうことがございます。
 それから、右側の方の「農業生産面」でいきますと、まずは土壌流亡を受けやすいということと、地下水が低く水の確保が難しい、あるいは肥料成分に乏しいということがございまして、これから、例えば干ばつの害でありますとか風の害というのが農業生産面では考えられると。で、「対策」といたしましては、かんがい用水の確保なりが必要、あるいはその地力の増進が必要ということになるわけでございます。
 「対策の今日的な意義、必要性」といたしましては、シラスにつきましては、対策をとったところでは成果が上がっておりますけれども、いまだ対策の必要な面積は多く存在をしているというのが整理でございます。農業生産面につきましても同じようなことでございますが、事業が実施されたところでは生産性の向上が図られるけれども、実施されたところは限られているので、今後ともその空白域での事業を推進することが必要と、こういう整理をいたしております。
 以下、それぞれの土壌について同じような整理をいたしたわけでございますが、あちこち行って恐縮ですが、1枚目にそれを全部要約いたしておりますので、ここを御説明いたします。
 2番目の「ボラ」につきまして、災害の防除面につきましては、災害の発生は着実に減少ということですが、いまだ対策が必要な地域があるということでございます。それから、農業生産面につきましては、表層土壌の流亡防止というのが必要となっているということでございます。
 3番目の「コラ」ですけれども、対策が必要な地域ではコラを排除するというのがほぼ終了いたしておりまして、コラに起因するような災害防除面あるいは農業生産面の問題はほとんどないと、こういう状況にまでなってきております。
 (4)の「赤ホヤ」でございますか、災害面につきましては、南九州で非常に層が厚いわけですが、そういうところを除きまして防災上の大きな問題とはならないと。ただ、局地的には表層すべり等が見られるというのが災害面でございます。農業生産面につきましては、土壌の物理性、化学性の改良が必要であると。それから、軽いということで侵食対策も必要となってくるということでございます。
 5番目の「花崗岩風化土」につきましては、これは災害面でございますが、居住地域が拡大をするということで危険箇所が現在も増大をしていると、こういう状況にありますので、さらなる対策の充実が必要であるということでございます。
 6番目が「ヨナ」でございますが、対策の空白域があり、今後とも対策の推進が必要となっているという状況であります。
 7番目の「富士マサ」ですけれども、災害面では、大きな災害が発生するおそれはないけれども、表土流出が起こりやすいということがございます。それから農業面では、固結層、そういう層の排除が必要というのが学術的な面で専門家の方々の御協力を得て整理をした結果でございまして、以上のようなことになっているわけでございます。
 続きまして、資料5を御説明いたしたいと思います。資料5に「特殊土壌地帯の現状と課題」というものがございますが、これで最近の状況等の全体をまとめて御説明をいたしたいというふうに思います。
 1ページ目でございますが、今までの「特殊土壌地帯対策の実績」ということでございます。右側に、第1次から第10次までの表を載せております。第1次発足当初につきましては、567億円の計画額、実績といたしましては39%ということで、非常に低い形で推移をいたしておりました。第2次の進捗は78%。それから第3次に至りまして99%ということで、この第3次あたりから、最初に御説明申し上げました「後進地域開発特例法」に基づきます補助率のかさ上げというものが実施をされてきたわけでございます。その後、おおむね、どの期も大体計画どおりの進捗でございますが、第7次(昭和57年〜61年)は財政再建の期間等とも重なりまして、78%の進捗ということに終わっております。第1次から9次までの全体を合計いたしますと、8兆3,000億の計画額に対しまして7兆9,000億の実績ということで、おしなべまして95%の実績というふうになっているわけでございます。現在は第10次計画ということで走っておりますが、これは先ほど御説明いたしましたとおり、12年度までの4年間の進捗で95%と、こういうことになっているわけでございます。
 2ページ目でございますが、グラフが最初の方が見にくくなっておりますけれども、それぞれ農地改良なり災害防除ということで事業を実施されております。おしなべまして、災害防除関係が7、農地改良関係が3ということで実施をされております。
 事業別には、2ページ目の下の(図2)になりますが、治山関係が累計で13%、砂防関係が18%、河川改修関係が23%。それから生産面でいきますと、やはり水の問題がございますので、かんがい排水が10%というのが主要なところとなっております。
 3ページ目でございますが、災害防除関係でこういうふうに特土計画を立て、資金が投入されて、いろいろな工事が行われたわけでございますが、では、それがどういうふうに効果をあらわしているかというのを、3ページ以下、分析をしたものでございます。災害防除の関係につきまして、(図3)は、全県指定の5県、鹿児島、宮崎、高知、愛媛、島根と、こういうことになりますが、この全県指定の5県につきまして、近年の水害による被害額を全国平均と対比いたしたものでございます。平成2年から9年までとっておりますけれども、一番左側が「人口当たりの被害額」、真ん中の黒いのが「面積当たりの被害額」、それから白い棒が「所得に対する被害額」ということで、全国を「100」とした値でこの5県を比較いたしております。全体的に言えますことは、数年に一度大きな災害が発生をし、例えば平成5年であれば、人口当たりの被害額でも全国平均の十数倍の数字になります。それから、あとは平成9年なりも大きいものがございます。こういう大きな目立った災害が余りないという年であっても全国平均以上の被害額ということでございますので、対策を実施したところではそれぞれ効果が上がっているということでございましょうけれども、地域トータルとしてとると、まだまだ特殊土壌地帯における災害の発生が多いと、こういうことを示しているわけでございます。
 それから4ページですが、もう一つ建設省の方で、急傾斜崩壊の危険箇所でありますとか、あるいは地すべりの危険箇所というのを調査いたしております。全県指定5県でいきますと、全国の急傾斜崩壊の危険箇所につきましては、全国の約17%がこの5県に存在をすると、あるいは地すべりの危険箇所は、この5県で全国の11.5%が存在するということになっております。表の下に(注)がありますが、この5県の国土面積に対する割合が10%を切るぐらいでございますので、やはり、こういう数字を見れば特殊土壌地帯には危険箇所が多いということがおわかりいただけるかと思います。
 その次ですけれども、やはり災害が多いということでございますので、当然、災害防除関連の行政投資がかなりなされているということでございます。(表3)を見ていただきますと、これは人口1人当たりの国土保全等のための投資額を、全国を100として、全県指定県あるいは特土14県について比較したものでございます。「国土保全」のうち、特に「治山治水」につきましては、特土14県の平均で全国の16%増しの投資が行われているということでございます。高知では228、あるいは島根では285ということで、全国に比べて倍ぐらいの人口1人当たりの災害関連の行政投資が行われていると、こういう状況にあります。
 それから5ページ目でございます。(表4)のところでございますが、土砂災害につきましては、昭和30年代後半から死者・行方不明という人的被害につきましてはだんだん減少をしてきており、長期的に見ればその逓減傾向ということが言えると思います。ただ、近年の雨あるいは土壌を原因とする災害の多くが特殊土壌地帯でも発生しているということでございまして、右に「防災白書」から主な災害をとってございますが、その中の印をつけたものが特殊土壌地帯で発生をしていると、こういう状況でございます。
 それから、その下でございますが、都市化の進展など土地利用がだんだん変化をしてきております。そういう中で、例えば市街地なり集落と山が近接した地域が増加するということで、危険箇所が増大する傾向にあります。先ほど総括政務次官の挨拶にもございましたように、例えば平成5年の鹿児島の「8・6水害」でありますとか、昨年の広島で発生いたしました梅雨前線の災害においては、新しい、いわゆるニュータウンでの土砂災害が見られると、こういう状況になってきているわけでございます。
 それから6ページ目ですが、6ページ目からは「農地改良関係」ということでございます。まず「収量」ということで、平均的に、共通的に見ることのできます水稲の平年収量等を比較したものでございます。長期的に見ますと、この制度がスタートいたしました昭和27年から最近の数字まで比較をいたしますと、約50年で6割以上、平均収量は向上ということですが、全国平均との比較では依然として低いということですけれども、その差はだんだん詰まりつつあると、こういう状況が言えるかと思います。
 7ページでございますが、農業の生産性向上の一つとして、需要の動向等が大変変化をいたしますので、「農地の作付自由度の向上」ということを見たのが(図5)でございます。内側は昭和35年でございますが、昭和35年は、米、いも類といったようなものが中心でございますけれども、最近時点の外側の平成10年をとりますと、米、いもがぐっと減って、特に水を必要とするような野菜でありますとか、果実でありますとか、花、こういったものがふえてきているということでして、やはり農地改良が行われた結果、作付の自由度がだんだん向上をしていっているということが言えるかと思います。
 それから8ページ目でございますが、8ページ目につきましては「農業の生産性」ということで、耕地10a当たりの土地生産性と基幹農業従事者1人当たりの労働生産性ということでとっております。土地生産性につきましては、特に宮崎、高知で実額の伸びが高いということと、それから5県で耕地面積が非常に大きく減少していると、この両方の要因がございましてどんどん向上をしていっておりまして、全国平均を上回ると。特に南九州では、昭和60年代には全国平均を上回るようになってきたという状況であります。ただ、下の基幹的農業従事者1人当たりの所得で見ますと、上昇はしておりますけれども、依然として全国の8割程度の水準ということになるわけでございます。
 それから9ページでございますが、インフラの代表例ということで道路の整備を挙げておりますが、国道、県道、市町村道、いずれをとりましても全国に比べて特土地帯はまだまだ遅れていると、こういう状況でございます。
 10ページに行きまして、「論点」ということでございます。この特殊土壌地帯の法律は5年間の時限立法ということになっておりまして、平成13年度末には期限切れを迎えます。その期限切れを迎えるに当たって、右の方でございますが、第2次地方分権推進計画の中で、特にこういう期限切れを迎えるに際しては、目標の達成度等を確認して、その時点でのその状況の変化に応じて意義なり必要性について再検討を行うと、で、その結果を踏まえて見直しをしますというのが閣議決定されております。こういうことを踏まえまして、この特殊土壌の対策につきましても、今まで、どの程度の目標が達成をされたのかということを中心に幾つか御議論をいただきたい点ということで、論点を幾つか挙げさせていただいております。
 論点の一つといたしましては、制定後半世紀ということで、50年になるわけですけれども、現時点で、この制度の目的であります特殊土壌地帯の保全、災害の防除ということになろうかと思いますが、それと農業生産力の向上というのがどの程度達成されたというふうに考えるかというのが1点ございます。
 2点目が、先ほども触れましたように、都市化の進展など土地開発が進むという中で、特に都市近郊の住宅地に生じている危険性へどういうふうに対応をしていくかというのが2点目でございます。
 3点目が、現在の計画の内容が、事業の名前、それから事業費、国費ということでございますけれども、今度、省庁再編の中で各省で政策評価が行われていくわけですが、公共事業等もそれぞれの事業で政策評価ということになっております。そういう政策評価の観点から見て、事業名、事業費、国費と、こういう計画が十分かどうかというのも一つの論点かと思います。
 それから最後に挙げさせていただいておりますのは、環境基本法の制定以降いろいろな動きがございますが、特に環境政策というものが推進をされている中で、この計画の策定なり、あるいは、その計画に基づく事業の実施に当たって「環境」というものをどういうふうに考えていったらいいか、あるいは、その環境に配慮していくためにどういうふうに考えたらいいかと。
 以上、これに限らないと思いますが、論点としてはこのようなものがあろうかなというふうに思うわけであります。
 それから、11ページ、12ページは、参考までにということですが、今まで、それぞれ5年間の計画がずっと立てられておりますけれども、その中で、必要性に応じて事業が追加をされたり目標が追加をされたりしているということを5年ごとにまとめたものでございます。これは後で御覧いただけばというふうに思います。
 それから資料6と7ですが、資料6は「中央省庁改革」ございます。「改革のポイント」といたしましては、この法律につきましては、ポイントの1にございますように、国土交通省、農林水産省、それから総務省の三省が共同で所管をする法律ということになります。その上で、制度のとりまとめ窓口は農林水産省、再編後に「農村振興局農村政策課」ができますが、そこで事務を取り扱うということになっております。これまで、この特土計画につきましては内閣総理大臣の名前で計画を設定してきたわけですが、これが三大臣連名になるというのがポイントでございます。
 それから資料7でございますが、国土審議会の関係でございます。これも「ポイント」のところを御覧いただきたいと思いますが、国土交通省に国土審議会が置かれます。これは今と同じでございますが、この特別委員会につきましては国土審議会の分科会という位置づけになります。分科会につきましては、この国土審議会の委員と特別委員で構成をするということです。その次がポイントでして、「地方振興関係」とありますが、この特殊土壌の分科会長は、本審議会の委員のうちから分科会を構成する委員と特別委員で選挙をします。本審議会の委員が分科会長に就任をし、国土審議会と各分科会との一体性を確保する、そういう趣旨で、こういうふうに変更になります。この点は従来どおりですが、分科会の議決をもって本審議会の議決というふうになります。それから、庶務が少し変わりまして、これは省庁再編の関係で、この分科会の庶務につきましては、再編後の国土交通省の都市・地域整備局地方整備課におきまして、農林水産省農村振興局農村政策課の協力を得て処理をするということになります。変更のポイントとしては、上から4番目の、この分科会の会長さんの件と最後の庶務の件が実質的な変更になるということでございます。以上、私の方からまとめて御説明をいたしました。
 続きまして、資料8につきましては建設省、それから資料9につきましては気象庁の方からそれぞれ御説明をしていただくこととなっておりますので、まずは建設省の方から、よろしくお願いしたいと思います。
○説明者
 建設省砂防部でございます。お時間を5分いただきましたので、2時20分までの間で御説明をさせていただきます。
 まず資料8、このパンフレット1枚でございますが、これを見ていただきたいと思います。この写真は昨年の6月の広島の災害でございまして、昨年の6月の災害を契機にいたしまして「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」、略称しまして「土砂災害防止法」というのが制定されたわけでございます。まず、このパンフレットの写真でございますが、詳しいお話は広島県の○○課長から後で御説明があるかと思いますけれども、パッと見ていただきますと、住宅がずっと山の方に立地してきているのがおわかりいただけると思います。その新しい住宅開発が、このように都市部からその周辺部、グリーンベルト地帯から山の方にまで入ってきまして、その結果として、従来、山が単独で崩れたとき、これは非常に小さい土石流なのですが、そういう段階では死亡というようなことにはならなかったような現象が、こういう現象になってきていると。これを何とか防ぎたいということでございまして、この上の右書きの方に挙がっておりますのが、その下の、土石流が直撃したところでございます。ここでは、お1人が残念ながらお亡くなりになったということてございます。
 この問題を整理しますと、どういうことかと申しますと、まず、従来よりここにお住みになっている方、この家を買われた方は、ここの土地がこのような危険な区域であったかどうかということがなかなかおわかりにならなかった。もちろん、行政側の方といたしましては、これらについて危険であるということを御説明しておったわけでございますが、それはあくまで行政サービスにとどまっていたわけでございます。これを、区域を指定しまして、後で御説明しますが、「レッドゾーン」と「イエローゾーン」に指定しまして、そのことをしっかりとお知らせする、それで、その中で所定の手続を執行していくということを目的としてございます。
 1枚あけていただきますと、「土砂災害防止法とは」というふうになってございまして、「この法律はソフト対策を推進しようとするものです」というふうに入ってございます。これは何かといいますと、従来、工事の方は、砂防工事でありますとか、がけの急傾斜地防止工事等を行ってきたわけでございますが、そういうものは砂防法でありますとか、地すべり等防止法、急傾斜法の方に譲りまして、警戒避難、ソフト対策だけを中心にした法律ということになります。
 2点目、「なぜ新しい法律が必要となったのか」というところでございます。広島の災害が契機になったのは事実でございますが、平成10年で、平均でございますが1,023件の土砂災害が各地で発生し、なおかつ、47都道府県すべてで土砂災害が発生しているというようなこと。それから、ここにはスペース等の関係で書いておりませんが、このような危険箇所が宅地開発によりましてどんどん増加していっている、で、対策工事によって抑え込んでいる箇所数より増加している箇所数の方が多いと、このような問題がございまして、法律をつくるようになったわけでございます。
 次に「法律のスキーム」となっておりますが、対象とする土砂災害といたしまして、急傾斜地の崩壊、これはがけ崩れですが、それから土石流、地すべり、この三つの現象を対象といたしまして、まず最初に、国土交通大臣が基本指針を定めます。それに従いまして、ここからは都道府県のお仕事になるわけでございますが、まず、どこが危ないのかというような基礎調査を行います。そして、その基礎調査に基づきまして、土砂災害警戒区域、「イエロゾーン」というふうに呼んでおりますが、黄色い部分と、それから土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)を定めます。では、「イエローゾーン」では何をするかということでございますが、それは住民の方にお知らせし、右の方に書いておりますが、災害対策基本法によりまして、市町村地域防災計画に組み込みます。で、市町村の地域防災計画の中での警戒避難体制を整備してくださいと。それから「レッドゾーン」でございますが、特別警戒区域においてはどうなるかといいますと、まず、一定の開発行為に対する許可制度をとります。その対象といたしましては、このように危険な区域に入ってくるということは、他人を無理やり入れ込んでくるということで分譲住宅、それから、避難困難な方々の社会福祉施設のための開発行為については許可制度をとります。それから、建築物については構造規制をかけまして建築基準法の方に譲りますというようなことでございまして、その区域の方々については、融資、それは住宅金融公庫の融資でありますとか、がけ地近接等危険住宅移転事業等の資金の確保ということで、そのような補助制度を行うということでございます。
 ここで5分たってしまいましたが、あと1分だけいただきまして、右書きの方に、ではどんなところが「イエローゾーン」で、どんなところが「レッドゾーン」になるのかということなのですが、まずイエローゾーンは、がけ崩れの例で申し上げますと、がけの斜面とそれの下側の区域、それから土砂が流れてくる区域をイエローゾーン、それから、がけ崩れによって家が直撃されるようなところについてはレッドゾーンにしようということでございます。土石流、地すべりについても同様でございます。
 そして最終ページでございますが、今お話ししますような事柄、イエローゾーンではこのようなこと、警戒避難ですよと、それからレッドゾーンでは、特定開発行為に関する許可制度、それから建築物の規制、それから建築物の移転等を行いまして、移転される方々については、住宅金融公庫、がけ地近接等危険住宅移転事業等によりましてそのバックアップをさせていただくと、このようなスキームになった法律でございます。
 若干時間がオーバーしてしまいましたが、とりあえず御説明とさせていただきます。
 詳しく、広島の災害とか降雨の状況等については、また後ほど御説明もあろうかと思います。以上でございます。
○委員長
 ありがとうございました。
 続きまして、気象庁に説明をお願いしたいと思います。
○説明者
 こんにちは、気象庁予報部でございます。
 気象庁は、平成3年からですけれども「土壌雨量指数」という概念を導入しております。2枚紙のうちの一番下の方に書いておりますけれども、「平成3年から土壌雨量指数の概念を導入した」と。土壌雨量指数というのは一体何かと申しますと、雨(降水)によって土の中(土壌中)に蓄えられています水分量をもとにして算出しました、およそ10キロ四方程度の地域の土砂災害の危険性を判断するための情報ということで、土の中に一体どれぐらいの水分が含まれているかということを指数(数字)であらわれたものであります。それで、次のページにも書いていますけれども、これまで統計してきております例えば積算雨量であるとか、あるいは総降水量とか、あるいは合計雨量、それの概念に似たようなものであります。気象庁では、大雨と例えば土砂災害、土壌雨量指数と土砂災害との関係を調べました結果、土壌雨量指数と災害との関係の方が対応がよろしいということを調査結果として出しております。これは、全国で発生しました5万件余りの災害と土壌雨量指数との関係を調べて、決断したものであります。
 ということで、平成3年からの資料が蓄積されました関係で、今年の夏から防災気象情報、例えば気象の注意報、警報、あるいは一般の気象情報というのがありますけれども、この中で「土砂災害の危険性」を呼びかける運用を開始しました。これは7月1日から開始しております。具体的にはどういうことかと申しますと、雨が非常に量的に多くなりました場合、土壌雨量指数が歴代の1位、あるいは2位、非常に土壌雨量指数が大きくなった、結局、土の中に水分が非常に多くなった状況のときに、例えば「この数年で最も土砂災害の危険性が高くなっています」というような表現を、例えば気象警報あるいは情報の中で述べております。どういうことかと申しますと、大雨警報発表中に、例えば「土壌中の水分が非常に増えてきておりますので土砂災害の危険性が高い状況である」ということを、改めて、防災関係機関あるいは一般の住民の方々にお知らせしているわけです。私たちの考えでは、大雨警報の中のさらにまたその警報というような位置づけというふうに考えておりまして、こういう考えを防災関係機関あるいは報道機関を通じまして一般の住民の方々にお願いしているところであります。これは、業務に移す前に防災関係機関とか報道機関に説明をいたしまして、御理解をいただくようにお願いしております。
 例えば、今年9月の東海地方の豪雨ですけれども、その次のページに図を示しております。一番下に「日にち」と「時間」が入っておりまして、左の方が9月11日、右側が9月12日です。そして、赤い棒グラフがありますけれども、これは名古屋市の1時間ごとの雨量です。1時間ごとの雨量の目盛りは、左側の縦軸に表現しております。この棒グラフの一番大きいところ、これは9月11日の19時ですけれども、名古屋市で1時間に93oという非常に大量の雨が降ったわけです。このとき隣の東海市では1時間に114oという大雨を記録しております。こういうぐあいに名古屋市の大雨の経過をたどったわけですけれども、折れ線グラフに積算雨量、累積雨量といいますか、「総降水量」を表現しております。その目盛りは、右側の縦の軸に総降水量を表現しております。合計で11日から12日にかけまして550oを超す大雨になっております。そして、一番上に杭みたいな赤い字で示しておりますが、「大雨洪水警報」を次々に発表しているのですけれども、早い時間帯では9月11日の朝の5時半には大雨警報を愛知県に発表しております。そして時間が経過しまして、一番上に「時間」を書いておりますけれども、18時35分に※印で「大雨洪水警報」というのを表現しております。これが先ほど申し上げました、土壌雨量指数を考慮しまして「これは土砂災害の危険性が最も高い状態でありますよ」ということで大雨洪水警報を切りかえたわけです。これが18時35分で、それから時間を経るごとに6回、警戒を呼びかけております。
 そういう中で、これだけに限らず、例えば下の方に青い丸印と赤い丸印があるのですけれども、青い丸印は、気象庁本庁から非常に広範囲ですけれども警戒を呼びかけ、それから赤い丸印は、名古屋の気象台が愛知県に対しまして補完する情報、「今どこで大雨が降っておりますよ」、「どちらの方に動いておりますよ」、そういうことを含めまして気象情報を合計30回発表しているわけです。これほど注意警戒を呼びかけましても、やはり土砂災害あるいは浸水害というというのは発生すると。
 その次のページを見てくださると、日本地図がありまして、緑色のところは従来どおりの大雨警報を発表したところです。その中に茶色のマークをつけました府県がありまして、これが土壌雨量指数を活用しまして大雨警報の切りかえを実施した県です。これは8つの県にありまして、この一連の大雨で440件の土砂災害があったそうです。これは警察庁の調べです。その中で、この茶色の土壌雨量指数を用いまして「土砂災害のおそれが高いですよ」という呼びかけをした範囲で415件、全体の95%が土砂災害に見舞われていると、こういうことで、土壌雨量指数を使いました大雨警報の切りかえ、これはやはり危ない中でも最も危ない領域ということで、受けとめられる防災関係機関あるいは報道機関は、この気象庁の警報の切りかえに対して、十分警戒体制を強めていただきたいというふうに思っております。
 その次のページを見てください。これは愛知県の土壌雨量指数が歴代1位。先ほど申しましたように平成3年以来の統計なのですけれども、やはり、ほぼ全域で歴代1位の領域になっております。そして、その中で、茶色のところが実際に土砂災害が発生したところです。
 それから、その次のページを見てください。これが、例えば一番下に水色の棒グラフがありますけれども、これは雨量と同じで、「レーダー・アメダス解析雨量」です。それから、土壌雨量指数は雨が降りますとどんどん上がっていくのですけれども、統計期間中の履歴1位を更新しました後、土砂崩れが発生しております。これは雨の一番強いところから若干おくれまして土砂災害が発生する、こういうパターンをとっているようです。これは名古屋市の緑区の場合です。
 その次のページ、これは愛知県の小牧市の場合ですけれども、同じように雨のピークがありまして、土壌雨量指数がどんどんどんどん上がっていきまして、履歴の1位を更新しました数時間後に山崩れが発生している、こういう図でございます。
 その次のページ、これは愛知県犬山市の例ですけれども、雨が降りまして土壌雨量指数がどんどん上昇しまして、履歴1位を更新しました数時間後に、がけ崩れが発生。
 したがって、気象庁では、履歴1位あるいは2位ぐらいを観測しました場合には、すぐさま気象警報を切りかえまして、より一層の警戒を呼びかけているというところでございます。簡単に申しますと、雨量が多くなりまして土壌雨量指数が大きくなり、そして災害が発生するというパターンが、すべての場合に共通しているかと思います。気象庁では、その土壌雨量指数は毎正時、例えば今2時ですけれども、2時の土壌雨量指数というのは、2時15分には土壌雨量指数が全国一斉に計算されまして、全国の気象官署でそれを見ることができます。なおかつ、3時間先までの土壌雨量指数の予想も出ておりますので、これから土壌雨量指数はもっと大きくなるのかどうか、すなわち、土砂災害の危険性がもっと高くなるのかどうか、そのあたりも地方の気象官署で即座に見ることができまして、気象情報としまして発表して、お知らせしている、こういうことになっております。
 簡単ですけれども、以上で終わります。
○事務局
 どうもありがとうございました。
 以上で、議題の1番と2番に関する事務局の説明を終わらせていただきます。
○委員長
 大変どうも、ありがとうございました。
 ただいま事務局の方から、並びに建設省、気象庁から、それぞれ説明がございましたが、これまでの説明に対しまして御意見なり御質問がございましたら、お願いいたします。どなたからでも結構でございますが、ございませんでしょうか。
 
          (3)特殊土壌対策の特徴と評価について
 
○委員長
 御意見も御質問もないようでございますので、それでは、議題(3)の「特殊土壌対策の特徴と評価」に移ります。
 本日は、当委員会運営規則第6条の規定に基づきまして、現場で特殊土壌地帯対策に携わっておられます広島県の○○課長さんから、花崗岩風化土の特徴や対策時の御苦労などにつきまして、発表をお願いしたいと存じます。
 なお、○○課長さんの御経歴等につきましては、資料としてお配りしてございます。
 それでは○○課長、よろしくお願いいたします。
○説明者
 広島県土木建築部砂防課長でございます。よろしくお願いします。
 では、お手元の資料10をお開きください。先ほど建設省の方からも少し話が出ておりましたけれども、それから気象庁の方からも災害のことについてお話がありましたが、昨年(平成11年)の6月29日、広島は、広島市それから呉市を中心としまして大きな災害を受けたわけです。1名の方がまだ行方不明なのですが、死者・行方不明者32名という被害を出しまして、そのうちの24名が、いわゆる土砂災害、土石流もしくはがけ崩れによるもので、非常にたくさんの方がお亡くなりになりました。その一番の原因というのは、いろいろあると思うのですが、一つは土壌といいますか地質の問題、それからもう一つは土地利用上の問題にあるのではないかと言われております。
 まず、その災害の状況というのを資料10で概観していただきまして、その中に挟んでございますカラーのコピーをスライドにして持ってきてございますので、それを見ていただければ、より良く御理解いただけるのではないかと思っております。
 資料の1ページをお開きください。先ほど、特殊土壌一般の中でも出てきておりましたけれども、中国地方は、地質からいいますと白亜紀の末期に貫入したと言われております花崗岩が非常に広く分布しておりまして、広島もその例外ではないということで、図1に書いてございますように、広島市、呉市を中心に非常にたくさんの花崗岩が分布してございます。特殊土壌地帯として指定してございますのは、図の左下の方に凡例が出ておりまして、ハッチを入れてございますが、面積的には県土の約68%が特殊土壌として指定されてございます。
 花崗岩の特徴としましては、雨によりまして簡単に侵食されて、リルとかガリという溝が発達しまして非常に容易に侵食されるということ。それから、仮に植生がありましても、大きな雨が降りますと土壌水分が上がって、間隙水圧が上がるということだと思いますが、非常に崩壊が多発する。それもどちらかといいますと崩壊深の深い大規模な崩壊ではなくて、小規模な表層崩壊がダアーッと起こると、特に集水部になっている箇所でそういう崩壊が起こりやすいという特徴を持ってございます。
 それから、その崩壊によって落ちてきた土砂というものが、水によって非常に勾配の緩いところまで運ばれるという特徴を持っております。後で写真で御覧いただきますけれども、勾配が1度か2度。普通、土石流は縦断勾配が3度、若しくは流れても2度ぐらいでとまると言われているのですが、角度が1度、ほとんど水平じゃないかと思われるぐらいのところまで流れております。そしてまた、そういうところで死者が出ているというような特徴を持っております。
 2ページをお開きください。表−1ですが、広島県におきましては、その地質的特性から過去にいろいろ大きな災害が記録されておりまして、戦後の分だけでも、そこに書いてございますように、昭和20年9月の枕崎台風によりまして、これは柳田邦男さんの小説『空白の天気図』に出ているその災害なのですけれども、呉市で1,000名を超すような死者、それから陸軍病院の関係者の方が大野町というところで亡くなったというふうな記録がされております。それから、26年の10月にはルース台風によって大きな災害を受けている。いろいろ大小あるのですけれども、良く知られておりますのは、昭和63年7月の加計町で大規模な土石流災害が起こっている。それから平成11年、今お話ししましたように、6月にまた広島、呉で大きな災害が起こっているということで、まあ数十年サイクル、20年とか30年という話もございますれば、60年というサイクル、いろいろな言われ方をしておりますけれども、数十年に一度必ず大きな災害が起こって、たくさんの人が亡くなっているというパターンを繰り返してきております。
 3ページにまいりまして、昨年の、私どもが俗に呼ぶときは「6・29災害」と呼んでいるわけですけれども、この「6・29災害」が起こりまして、そのときに24名の方が土砂災害で亡くなったわけです。そのうち、いわゆる「災害弱者」と呼ばれている方たち、「5歳未満65歳以上」というふうに定義しておりますけれども、それが24名中13名、約4割の方が災害弱者であったというふうに記録されております。
 それから、雨の状況はどうであったかというと、6月1日から27日まで、ほぼ1カ月間の総雨量としましては300o。一つの連続雨量としてはもっと少ないのですけれども、一番多いところで約300oです。
 それから、実際に災害の起こる直前あるいは災害の起こる直後、その付近に集中した短期的な雨を見てみますと、観測所によって若干差はありますけれども、1時間に60o程度、最大でも81o/hrということで、57年の長崎災害のときのように150o/hrを超すようなとんでもない雨が降ったという、そういう記録的な雨ではございません。大ざっぱな確率計算をしますと、大体20年ないし30年に1回ぐらいの確率で降る雨であったというふうな結果が出ております。
 災害の場所としましては、土石流災害というのは139の渓流で起こったわけですが、主に広島市で起こっております。それから、がけ崩れは呉市に集中しております。呉市は、昭和42年にも大きながけ崩れの災害を受けているわけですけれども、そのパターンと良く似ているということです。
 また、雨の降り方ですが、広島市と呉市に非常に集中しておりまして、間の−広島市の西の方なのですけれども宮島とか、ああいったところ、それから市の北の方なのですが、そこと呉に集中しておりまして、従来の旧市街地、デルタ地帯の方は非常に雨が少なかったということで、非常に局地的な雨の偏りを見せております。
 崩壊としましては、勾配が30度ないし40度のところに非常に多く発生しているということ。
 土石流の方は、比較的流域面積が小さいところで起こっておりますけれども、先ほど申し上げましたように、非常に緩勾配のところまで氾濫が広がったという特徴と、それから流木が非常にたくさん流れてきたという特性を持ってございます。
 がけ崩れの方は、水が集まりやすいところ、まあ定石どおりのところで非常にたくさんの崩壊が起こっているという特徴がございます。
 がけ崩れと砂防ダム等の、いわゆる災害防止施設も当然やっておるわけですけれども、砂防ダムのあったところは、かなり土砂をそこで捕捉しまして災害をうんと少なくしております。また、がけ崩れ対策の施設の効果は非常に顕著でございまして、これをやったところはほとんどもう災害が起こっていないということで、非常に効果がはっはり出てきております。
 4ページに行っていただきまして、表−3に、広島県にはどれぐらい危険箇所があるのかというのを書いてございます。土石流の方が4,930、急傾斜が5,960、それから地すべりが80ということで、地質的に花崗岩地帯は比較的地すべりが少ないというふうに言われておりますけれども、そのとおりの数字が出ております。全部で1万箇所を超す危険箇所がありまして、そのうち、どれだけ手がついているか、いわゆる整備されているかというのが表の一番右側に書いてございますが、土石流が2割にも満たない19%、急傾斜がようやく36%、地すべりが16%強、全体でいうと3割に満たないような整備率というのが実態でございます。
 それから、昨年のそういった災害に対しましては、災害関連緊急砂防事業あるいは砂防激特というような事業で、今、鋭意事業を進めてございます。全体で200億円を超えるような事業費で今やってございます。
 「今後の課題」としましては、今後とも整備を進めていく必要があるだろうということでございますが、ハード対策ではなくて、先ほどの法律の話にもありましたようなソフトの対策、それから気象情報としていかにそれを活用していくかということも課題であると思います。
〔スライドによる説明。以下、スライドがかわるごとにS)の表示〕
 今、非常に駆け足で申し上げましたことをスライドの方で御覧いただきたいと思います。お願いします。
S1) これが、先ほどありました広島県の地質図でございます。ここが広島市でございます。これが宮島です。それから、呉がここにございます。
 この赤いところは花崗岩で、面積的に非常にたくさん分布しております。それから、この黒い枠が特殊土壌地帯に指定されているところでございます。
S2) これが先ほど資料にございました、過去の主な災害です。昭和20年、26年、42年、それから47年と、ずっとございまして、昨年の平成11年ということで、この災害の起きたところをプロットしますと、広島市の周辺はもう隙間がないぐらい実は分布が広がるというような実態がございます。
S3) これは、昨年災害を受けたところをプロットしたものでございます。この赤で書いてございますのが、土石流が起こった箇所でございます。黄色でプロットしてございますのが、がけ崩れでございます。がけ崩れは、先ほど申し上げましたように、呉の方に非常に集中してございます。それから土石流の方は、ここが広島の旧市街、デルタ地帯ですけれども、この西側、ずうっと宮島の方から北側の中国自動車道とジャンクションをするところまで非常に集中してございます。
 これで見てわかりますように、広島市というのは、デルタ地帯の方は平地があるのですが、そういう都市に人口が集中する過程で、周りが全部山なものですから、当然、宅地の方が山にはい上がっていかざるを得ないというふうなことで、それが去年の災害の大きな要因になっていると考えられます。
S4) これは広島市の北の方、安佐北区の大毛寺川というところでございますが、ここで4名の方が亡くなっております。ここに家があったのですが、上の方から土石流がバアーッと下りてきて、ここで広がったということでございます。それで、ここに今、砂防ダムを作りつつあります。
S5) これは、今の同じところを近景で見たところです。御覧のように、上の方から見ると、ただ白いだけですけれども、そばで見ますと、こういった流木を全部巻き込んできて被害をより大きくしているというところでございます。
S6) これが今の復旧状況です。先ほどの上から落ちてきたころに、こういった砂防ダムをつくっております。先日、この現場に再度行ってみたのですが、ちょうどここら辺が、何十年前か百年前かわかりませんが、昔、押し出してきた土砂が非常にたまって、礫が、いわゆる堆積した層がはっきり見てとれるということで、やはり数十年か百年、それ以上おきにここは出てきたところであると。それが、たまたま今そういう記憶が薄れて、ここに宅地を作ってしまったということだと推定できます。
S7) これは安川左支川ということで、広島市のちょうどいろいろな宅地開発ができているところですが、これが非常に典型的な写真で、先程のパンフレットの表紙にも使われておりましたけれども、ここからポンと崩壊が起こりまして、それが真下の家をのみ込んでしまって、1名の方が亡くなったと。後で調べてみますと、実は、宅地開発はここら辺でとまっておりまして、ここは開発されていなかったと、もとはため池であったそうです。それで、そこを埋めまして、価格的にもある程度リーズナブルな値段で、多分、分譲したのではないかと推測できますが、インタビューで聞いてみますと、この土地を買われて家を建てられた方は、ここがそういった危険なところとは思わなかったと、裏からのがけが少し崩れるかなあとは心配しておったけれども、こういう高いところからドンと来るということは全く考えていなかったということでございまして、同じようなところが、実は、こういうところにもずうっと連続してございます。
S8) これは今のところの近景です。やはり同じように、ものすごい流木が出てきてございます。
S9) これが、今の同じ箇所を下流から上流へ向かって見たところですけれども、こういう砂防ダムを作って、ちょうど家が建っていたところから、今、カメラマンが立って写真を撮ったところです。
S10)これは古野川というところでございますが、ここで2名の方が亡くなっております。ここは住宅が密集して張りついているというところではございませんで、耕地と、それから家がポツポツとあるようなところでございますが、上の方からドオーッと、それから支川からも崩壊が起きまして土石流が下流に流れてくると。これを見てわかりますように、この本川に当たるぐらいまで土砂が流れてきているということで、花崗岩の風化土の場合は流動性が非常によろしいということが、この写真からもはっきりわかると思います。S11)これは、同じところを近景で見たところです。こういう土砂と、それからまた木の根っこなど、いわゆる流木が非常に多かったのが特徴というのも、これでまた同じような結果が出ております。
S12)こういうところにおきましては、この中に石を詰めて、外側に金属の網みたいなものをかぶせます、コンクリートではなくて。土砂をこういうところで搬出しますと非常に値段的に処理費が高くなりますので、中に礫やら土砂を詰めてやる新工法で災害防除用の砂防ダムをつくっております。
S13)次は、堂ヶ原川です。この上に魚切ダムという広島市の水源の一つになっているダムがあるのですけれども、その左岸側にこういう支川が入っております。この道路、ここにトンネルがございますが、そのトンネルの入り口の付近、沢がズドンズドンと落ちてきて、ここでいろいろな集落、家をつぶしてしまったということで、2名の方が亡くなってございます。
S14)ちょうどトンネルの、これは今の近景でございます。こういう小さな沢みたいなのですけれども、上からスポンと抜けてくるとこれだけの土砂が出てきて、この下流の方の家を全部つぶしてしまうということです。
S15)これは同じ沢を、下流の方、人家も入れて復旧状況を見たところです。こういう砂防ダムをつくって上からの土砂をカットするというような工事が、今、鋭意進んでございます。
S16)これは荒谷川です。これも比較的流域面積の大きな川でして、斜めになって見にくいのですが、ここら辺からずうっと流れてきて、こういうところ、下流まで土砂が及んでいるということです。現場を歩いてみますと、こういうところというのは谷がある程度開けておりまして、今、田んぼとして利用され、あるいは宅地として利用されているのですけれども、よくよく重機で下を掘っているのを見てみますと、やはり7〜8mの深さ、あるいはそれ以上の深さで昔の堆積物がたまっておりますので、この谷自体が何度も過去に押し出してきた、そういったものの上に集落が形成されている。ほぼ例外なく、川というのは、この山の右か左かのどちらかに押しつけられておりまして、残りの空間を田んぼとか宅地として使っていると。ところが、一たん雨が降るとダアーッと出てきて、これいっぱいに広がって大きな被害を及ぼすというような特徴が出ております。そういう同じような流域を面積は小さいですけれども抱えながら、こういった宅地の開発がされていると。昨年度の雨ではたまたま被害を受けなかったのですけれども、こういうところが幾つも広がっているというのが実態でございます。
S17)これは、今の荒谷川の状況でございます。どちらかというと、普通、土石流といいますと2mとか3mあるいはそれ以上の転石が出てくるというふうに言われているのですけれども、昨年の災害の状況を見ますと、転石は比較的少なくて、礫あるいは砂分というのが非常に優先して、それが流木と一緒に流れて出てきているということでございます。S18)これは荒谷川の砂防ダムの、ダムサイトがこういうところにあるということでございます。
S19)これが屋代川です。これも同じように非常に下流まで土砂が出てきたということで、これが山陽自動車道だと思いますが、こういうところ、水源部から崩壊が起きまして下流まで流れてきている。この道路の盛り土の中の、ボックスカルバートになっているわけですけれども、ここの狭い空間を通って、また下で氾濫したということで、ここでは1名の方が亡くなっておりますけれども、ここでも土砂と水の混じったやつが非常に流動しやすくて、下流まで流れていったというような特徴がございます。
S20)これを見るとおわかりになりますように、田んぼと宅盤がこういう段々の形であるわけですけれども、これをダアーッとなめるような形で、いわゆる山になってこんもりした土石流の堆積物というのとはちょっと違う、やはり土砂流と呼んでいいような流れ方をしているという特徴がございます。
S21)これが、今の沢の対策です。これはダブルオールダムといいまして、同じように上下流に金属、この場合はエキスパンドメタルだと思いますが、それを張りまして、中に土砂を入れて安定させるという工法でございます。これを見てわかるように、谷の幅は非常に広い川です。
S22)次は、呉市のがけ崩れの例ですけれども、警固屋7丁目というところで、ここは1名の方が亡くなっております。昔から軍港施設の周辺に、そのすり鉢状のところにたくさんの家が張りついておりますので、こういったがけの上、それから中腹にたくさん家がありまして、当然、下にもあるわけですので、こういうところで崩壊が起こるとドンと落ちてしまうということで非常に危険です。しかも、今、造船業の景気が余り良くございませんので、中で高齢化が進行して、なかなかその移転なり対策工事もうまく進まないというような非常に悩ましいところもございます。
S23)これは同じ場所を、今、復旧工事で、いわゆる災害関連緊急急傾斜事業というので、これに法枠工を入れまして、アンカーをとって全部押さえているということですが、ここまでやりますと大体、雨がありましても崩れずに安心して住めるというような状況でございます。
 以上です。
○委員長
 大変どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして何か御質問なり御意見がございましたら、お願いいたします。−はい、どうぞ。
○委員
 どうもありがとうございました。お話しの「災害の特徴」の中で、以前に砂防ダムを施工したところ、あるいは急傾斜地のがけの対策をやったところには被害がなかったというお話でしたが、昨年の災害に限らず、やはり全般的にそういう傾向と考えてよろしいわけですね。
○説明者
 がけ、急傾斜の工事、一番最後にスライドをお見せしましたけれども、あれはもう確実にあります。で、非常に需要も高いです。生の話を申し上げますと、お金、予算がありましても、やはり用地のお話、がけ下に住んでいる方とがけを持っている方が違うということで、その場合にはなかなかうまくいかない。今の一番のネックは実はこれでございます。 それと砂防ダムの方ですが、残念ながら、ここに出てきたようなところは、家の方が本来、砂防ダムをつくるべきところまでもう逆に入り込んでしまっていますので、防災施設の方が山の中に入っていかざるを得ない。そうすると当然、効果が非常に悪くなる、だけれどそこでつくらざるを得ないというのが実態でございます。そういったのを、もう万やむを得ないということで新しい法律、先ほど建設省の方がお話しされましたけれども、そういうことがございますので、工法的には、お金はかかりますが、ああいう場合は山の斜面の方をある程度物理的に押さえて、土木的な工法で押さえて、下に砂防ダムをつくるということをやらざるを得ないと思います。途中で、荒谷川というところを、大きな沢だというふうに申し上げたのですが、実は、あそこの中流に大きな砂防ダムをつくってございました。そうしたら、去年の災害のときにあっと言う間にいっぱいになりまして、それだけではとめ切れずに下流に来て人が亡くなったということでございまして、一つの渓流をやるのに少なくとも5億円ぐらいはかかりますし、先ほどのところでは10億円を超えるようなお金がかかる。で、それには必ず土砂をそこでとめるための空間、場所が要るということですので、家が余りにも山の方に張りついてきますとこの工法が非常に難しくなるということでございまして、都市部での悩ましさというのがございます。
○委員
 ありがとうございました。最初に国土庁の方から御説明がありましたように、特土法の延長の問題に絡んで、今までどんな効果があったのだということをやはり整理してかからないといけないわけですよね。ですから、今までにお金をかけて手を入れた分はきちんとしていますよと、で、そうでないところがやられていますと。そしてもう一つは、そうでないところ、つまり、急傾斜地であるとか土石流の危険渓流だとかいうのがますます人の居住範囲の拡大に伴ってかえって増えていると、手当てはし、事業はどんどんやっているけれども、それ以上に場所が増えているのだと。そういう現象が、やはり今まで50年間に何兆円というお金を入れていても増えていて、まだこれは伸ばさなければいけないよというその根拠を何かしっかり積み上げていかなければいけないと思うものですから、その辺のところをおたくの方でもまた積み上げておいていただきますと大変ありがたいと思うのですが、どうもありがとうございました。
○委員長
 他にございませんでしょうか。−他にないようでございます。どうも御苦労さまでした。
 以上をもちまして、本日予定されておりました議題はすべて終了いたしました。
 
                (4)そ の 他
 
○委員長
 先程事務局から説明がありましたように、本日の第12回をもちましてこの特別委員会は終了することとなります。来年からは、新しい中央省庁の体制のもとに「国土審議会特殊土壌地帯対策分科会」として出発をするということであります。この際、何か皆様方の方で御意見等ございましたら、お伺いしたいと存じます。−はい、どうぞ。
○委員
 宮崎県の都城市長でございます。
 都城市は、かつて都城県がございましたり、今日は○○知事さんがいらっしゃいますが鹿児島県であったり、今は宮崎県ということであります。といいますことは、やはり全県指定の宮崎県、鹿児島県のちょうど中間地帯、最も特土法の恩恵をあずかったという地域であるというふうに思います。
 先程来、特土法を施行されて以来の、およそ半世紀にわたる実績等をお伺いいたしましたけれども、私は、ここで一つの感慨を覚えながらお聞きいたしました。と申しますのは、昭和27年に特土法が議員立法で制定されたと思うのですけれども、このときに特に中心になっていらっしゃったのが瀬戸山三男さんでいらっしゃいました。私の方の初代の公選市長でありまして、その後、衆議院議員になられて、建設大臣、文部大臣、いろいろなさいましたけれども、私どもが一番苦しんだその実態を一番良く知っていらっしゃった当時の瀬戸山先生ほか皆さん方にこの特土法をおつくりいただいたということが、どれほどその後、私どもの関係の地域に大きい貢献をしていただいたか、私は改めて、今日、ここで確認をさせられたような感じがいたします。ちょうどこの世紀も終わりで、本審議会も国の省庁再編等で動いていくわけでありますけれども、この50年間という間に10兆円、大変な投資であります。これだけの仕事をしていただいて、我々、直接恩恵をこうむっております地域の住民としては、大変感謝を申し上げております。このことをまず申し上げて、中心として今まで担当していただいた国土庁の皆さん方にもこの機会に厚く御礼を申し上げたいと、こういうふうに存じます。
 また、ただいままで、縷々お話がありましたけれども、また広島県の○○課長さんからもお話がありましたが、しかしながら、50年たってもまだまだだというのが私どもの実感でございます。災害が出るたびに今写真にありましたような例はしょっちゅう出てくるわけでありまして、これは指定を受けております地域共通の思いではないかというふうに思いますが、これから、いよいよ関係省庁も変わってまいりますと、国土交通省、農林水産省、総務省、三省が担当されるというふうなことになりますけれども、今まで国土庁という立場で担当していただきましたので、庶務関係はそちらということになろうかと思いますが、各省相乗りということになると、どうも焦点がぼけるような感じがしないでもございません。まあ、そういうことはないと思いますけれども、そういう点については今後ひとつ十分な御配慮をお願い申し上げたいと、こういうふうに存じます。
 せっかく、ここまで進めてこられました事業でございますが、まだ、先ほどの広島県の例でも3割弱の整備率というふうな実態でありまして、この表、資料にもありましたように、事業を実施していただいた地域については確かにそれなりの効果が上がっていると思います。災害も防止をされましたし、また、治山治水という点だけではなくて、農村、農業の整備でありますとか、あるいは農地防災という観点でも確かにすばらしい事業を今まで展開していただいたと、私ども、このように考えておりますが、今後どうぞ、新しい組織になり、また新しく進め方も変わっていくというふうに思いますけれども、従来の実績の上に積み重ねをしていただいて、さらにまた我々の特土地帯についての十分な御配慮を賜りますように、この機会に、お礼とお願いを兼ねて申し上げた次第でございます。
 本当に国土庁の皆さん方、省庁が変わっていくと、私どもも一抹の不安というか、そういうものを覚えます。どうぞ、今後も中心になってひとつ頑張ってくださいますように特にお願いを申し上げます。本当にいろいろとありがとうございました。
○委員長
 大変貴重な御意見をありがとうございました。
 これは私がお伺いしたいのですが、国土審議会の所管は国土交通省であると、そうですね。
○事務局
 はい。
○委員長
 特土は、とりまとめの窓口は農林水産省と。
○事務局
 はい、そうでございます。
○委員長
 私は、当然、国土交通省なのかなあと思っていたのですが、これが分かれることによって、これから先、特殊土壌地帯のいろいろな対策がどうなっていくのだろうかとちょっと心配があったのです。窓口と所管省が分かれるというのは、これは何か……。決して農林水産省がだめだと言っているのではないのですよ、何かそこにおありであったのかどうか。差し支えがあるのでしたら、もう結構です。
○事務局
 では私の方から。経過ということではございませんが、特殊土壌だけ議論されたわけではなくて、例えば私の課の所管でいえば、山村振興も豪雪も私はやっておりますが、そういう地方振興制度全般をどうするかということで議論をされた上で、最初に申し上げましたように、法律自体は三省共管ですと。ただ、その三省共管ということになりますと、いわゆる三すくみで実務が余り進まないということも懸念されますので、では、それぞれごとに一番関係の深い省庁にとりまとめ窓口を置こうじゃないかということで、特殊土壌についてはとりまとめ窓口は農林水産省と、こういうことになったわけでございます。別途、国土審議会につきましては、全体の国土のあり方ということを審議していただくというのが国土審議会でございますので国土交通省に置かれて、その一環として、特殊土壌の分科会が位置づけられるわけですが、当然、そのとりまとめ窓口が農林水産省ということもありますので、再編後の分科会を円滑にするために、その審議会の庶務は国土交通省ですが、それを農林水産省と一緒になってやりましょうということで、そういうふうになってやっております。
 それから、先程都城の市長さんからも出ましたけれども、どうしてもその変わり目ですから、いろいろ御心配なさる向きがございます。こういう話というのは特殊土壌だけではなくて、ほかでもいろいろ出てくるですけれども、いずれにいたしましても、中央省庁の再編によってこういう制度の運営の円滑さが損なわれてはいけないということでございまして、残り、もうわずかでございますけれども、鋭意、今、新しい省庁体制へ移るための実務的な準備というのをどんどんいたしてきておりますので、省庁再編後も円滑にこの制度が運営をされ、また、その制度の中でこの審議会の分科会が十分に機能するような形での最終的な準備というのを、これからしてまいりたいというふうに思っております。
○委員長
 ひとつ、そこはよろしく。
○委員
 庶務は国土交通省が担当する、農林水産省の協力を得てと、こういうふうに資料に書いてございます。さて、庶務が国土交通省で、農林水産省の協力を得てとなると、一つの省で受け持つのならわかるのですが、省をまたがって、一方が庶務を担当する、で、農林水産省の協力を得てと。もちろん、事業の幅は広いですから農林水産省の協力も要ると思うのですが、どうもやはり、我々の立場から言うと、一ところに行って済むような状態、庶務とか何とかいうことではなくてですね、窓口はそこに行けば終わるという形にしてもらうと大変ありがたい。あっちに行ったりこっちに行ったり、それは庶務に行ってくれとか、こういうことになったのでは大変困るのではないかと思います。
○事務局
 若干誤解がありますが、国土審議会の分科会の方の庶務というのは、例えば、こういう会議の日程を調整させていただいたり、そういうことは国土交通省が農林水産省の協力を得て行うということで、制度のとりまとめ、例えば、今日私が御説明申し上げました計画の進捗状況、これは事業は、現在も関係各省でそれぞれ事業が行われているわけですが、では、どこまで進んでいるのかとか、あるいは、全体的な中でこの制度の課題は何であろうかというようなこと、とりあえず、その原案的なことをまとめるのはとりまとめ窓口で農林水産省だと、こういうことでございますので、何か、その庶務と取りまとめ窓口が別にあるということではないと思います。
○委員長
 まあ、いろいろ御意見はあると思いますが、これはもう政府の中でお決めになったことでしょうから、やはり所管省とそれから窓口とが常に緊密な連携をとっていただくということでお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 他に何か御意見ございませんでしょうか。
○委員
 最初の国土庁の御説明の中の資料4で「推進調査報告」というのをまとめさせていただきましたが、その中で一番頭を痛めましたのが、50年間この事業が行われてきてどれだけの効果があったのかという、まとめ方でございますね。で、どのくらいそれによって災害が少なくなったのかということは、まとめようがなかったと言った方が早いかと思うのですが。それに、御承知のように各種の、建設省、農林水産省、両方にわたりまして非常にたくさんの多岐にわたる事業が一緒に組み込まれていますので、その中で効果をどう評価するかというのは、もうまとめようがございませんでした。それで、先ほども広島の課長さんにああいう御質問を申し上げたのですけれども、事業効果というのは、恐らく今の流れからいきまして、これからも公共事業すべてについて問われてくることと思いますし、これだけのお金が出るものですから、恐らく、もう少しシビアな形で問題にされてくると受けとめておかなければならないのではなかろうかと思います。したがって、建設省、農林水産省、どちらにおかれても、それぞれの所管のおやりになる事業の事業効果をどうするかということは、もうかねて御研究のことと思いますので、そういうこともこの特土の事業の中の効果のまとめ方に組み入れていただきまして、延長が少しでもやりやすくなるように考えていく必要があるのではなかろうかなと思います。
 それからもう一つは、そういう特土計画というのが、私ども、この席に出させていただいてもう六、七年になりますけれども、非常にわかりにくうございます。両省庁の事業がズラーッと並んでいまして、その計画は、事業費が幾らでというのでございますので。こういう形だから、したがって、最初に申し上げた事業効果の評価というのも難しくなるのだろうと思いますので、特土計画というものの何かうまいまとめ方といいましょうか、最初の出発に当たっての計画というものを、もう一工夫、50年を区切りにしたところで何かまとめられないものであろうかなと。昨年のその仕事以来考えていますけれども、余りにその守備範囲が大き過ぎまして、私自身、事業一つ一つの中身のことは良くわかりませんし、そういう点もまた国土交通省、農林水産省ですべて御検討いただいた方が、この特土法の延長のためにはプラスになるのではなかろうかと思いますので、そういう点もよろしくお願いしたいと思います。
○委員長
 他にございませんでしょうか。−別に御意見もないようでございますので、本日はこれをもちまして終わりますが、長時間にわたりまして熱心に御審議をいただきまして、まことにありがとうございました。
 また、先程申し上げましたとおり、本特別委員会は、本日の第12回をもちまして終了することになりますが、これまで委員の皆様方を初め関係省庁の皆様方には、大変この審議会の運営並びに審議に御尽力をいただきまして、まことにありがとうございました。 特殊土壌地帯対策は、今後ともまだまだこれは続けていかなくてはならない事業でございますので、新しい省庁再編後もこの特殊土壌地帯対策の円滑な推進につきましては、さらに一層の御支援、御尽力を賜りますよう、お願いを申し上げます。
 それでは最後に、地方振興局長から御挨拶をお願いいたします。
○事務局
 今日は、熱心な御議論をありがとうございました。また、広島の○○課長には、本当に現場の体験をありがとうございました。
 先程来、いろいろ御論議にあります中央省庁の再編に絡んだお話でございますけれども、来年1月6日から新しい省庁に相なります。それで、地方振興のそれぞれについて、これまで主務省庁で国土庁とか、いろいろ決まっておりました。今回、三省共管と、みんな一緒になってやっていきましょうということで、その連携を国土交通省、農林水産省、総務省、一緒になってやっていこうと。ただ、先ほど市長さんが言われましたように、ばらばらではどうしようもないので、省庁の窓口をどこかにつくりましょうということで、窓口は、例えば特殊土壌は農林水産省が、過疎対策はこれまで自治省がやっておりましたので総務省が窓口であると。ただ、自治省が総務省になっても、省庁としては三省が主務省庁としてやろうと。ただ、三省だけではできませんで、関係省庁すべてがまたがる施策でございますので、そこいらがとりまとめ窓口になって全省庁で取り組もうということで、中央省庁の再編の方針の中にそこを具体化していただきました、とりあえず窓口はそうしようと。ただ、三省で共管する、全省庁で対応する、こういうことでございますので、ぜひ、そこの点は御理解を賜りたいと思っております。
 また、国土審議会に絡んで、今日の特別委員会についても、来年から、審議会の簡素化という観点から、親審議会のもとで分科会をつくるようになりました。そういうことで、来年1月6日から各分科会ができるという具合に相なるわけでありまして、また新たな観点からこの施策についても考えてまいろうと。特に、13年度はその期限が切れるという時期でもありますので、いろいろ施策の評価も含めて、今後の延長方向に向けての来年は重要な時期であろうと思っております。そういう意味からも、関係省庁ともども、いろいろな連携をより密接にしながらやってまいりたいという具合に思いますので、引き続き皆様方に、また御指導、御鞭撻を賜れれば幸いでございます。本当にありがとうございました。
 
                 6.閉  会
 
○委員長
 それでは、先程御挨拶申し上げましたけれども、本日は長時間にわたりまして熱心に御審議を賜りましたことを心から厚く御礼申し上げます。また、重ねてお礼を申し上げます。
 以上をもちまして本日の審議会は終了させていただきます。まことにありがとうございました。
 
               午後3時18分 閉会