国土交通省
 運輸審議会答申書(国運審第7号)
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 主  文
  東京臨海高速鉄道株式会社の申請に係る鉄道の旅客運賃の変更及び設定については、次の額を最高額として認可することが適当である。
1. 普通旅客運賃
3キロメートルまで 200円
3キロメートルを超え9キロメートルまでの部分
3キロメートルまでを増すごとに60円加算
9キロメートルを超え13キロメートルまで 380円
2. 定期旅客運賃(1か月)
前記の普通旅客運賃を基礎に次の割引率を適用して算定した額
(1)通勤定期 35パーセント
(2)通学定期50パーセント
 理  由
 申請者は、新木場〜天王洲アイル間(7.8キロメートル)の鉄道を営業しており、平成3年11月1日に免許を受けた新木場〜東京テレポート間(4.9キロメートル)については運輸営業を開始した平成8年3月30日から、平成6年5月12日に免許を受けた東京テレポート〜大崎間(7.3キロメートル)のうち東京テレポート〜天王洲アイル間(2.9キロメートル)については運輸営業を開始した平成13年3月31日から、それぞれ、現行の上限運賃を実施している。
 申請者が建設中の天王洲アイル〜大崎間(4.4キロメートル)の鉄道が平成14年12月1日から運輸営業を開始し、新木場〜大崎間(12.2キロメートル)が全線開業できる見込みとなり、JR埼京線との相互直通運転の開始、新規開業駅での他の鉄道との乗継ぎ等により、利用者の利便性が大きく向上することとなる。
 これに伴い、申請者は、新規区間の開業に伴う旅客運賃を設定する必要があるとともに、全線開業後の利用者増による大幅な収入増が見込まれるものの、資本費負担の大きな増加に伴う経費増があるため、なお、著しい収支の不均衡が継続すると予想されることから、その厳しい経営基盤の改善を図るべく旅客運賃を改定しようとして、この申請に及んだものである。
 当審議会に提出された資料その他によって検討した結果、運賃算定の基礎となるべき適正な総括原価及びこれに基づく平年度である平成15年度から17年度までの3年間の平均の配当前の収支状況は、次のとおりである。
 平年度における適正な総括原価は、人件費1,721百万円、修繕費619百万円、経費1,975百万円、諸税等628百万円、減価償却費8,359百万円、支払利子等7,836百万円、合計21,138百万円と推定される。これに対し、収入は、現行運賃による平年度の旅客運賃収入10,194百万円、運輸雑収その他の収入406百万円、合計10,600百万円と推定されるので、差引き10,538百万円の不足を生ずるものと見込まれる。
 一方、旅客運賃を主文のとおり設定及び改定すれば、平年度における適正な総括原価は、支払利子等が7,792百万円に減少し合計21,094百万円となるのに対し、収入は、旅客運賃収入11,062百万円、運輸雑収その他の収入406百万円、合計11,468百万円と推定され、収支は改善するものの、なお差引き9,626百万円の不足を生ずるものと見込まれる。
 なお、申請者は、当該事業については、多額の資本費を投下した事業であるにもかかわらず、沿線開発の状況から当分の間、十分な輸送需要が期待できないため、設定及び改定後の運賃によっても収支の均衡は得られないが、関係地方公共団体等の申請者に対する支援措置が検討されており、長期的には配当前において収支の均衡を見込んでいる。また、この申請は、利用者の運賃負担力等諸般の事情も考慮されている。
 以上の諸点を考慮すれば、この申請は、鉄道事業法第16条第2項に掲げる基準に適合するものと認める。

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